デイリーレポート 2023年8月14日

August 14, 2023

【前日の為替概況】ドル円 145.00 円まで上昇、予想上回る米 7 月 PPI と米金利上昇を受け

11 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は 5 日続伸。終値は 144.96 円と前営業日 NY 終値(144.75 円)と比べて 21 銭程度のドル高水準だった。欧州株相場の下落などを背景にリスク回避の円買い・ドル 売りが先行。21 時過ぎに一時 144.42 円と日通し安値を付けた。

ただ、米労働省が発表した 7 月米卸売物価指数(PPI)が予想を上回ったことが分かると一転円売り・ ドル買いが優勢に。アジア時間の高値 144.90 円を上抜けて一時 145.00 円まで値を上げた。米 10 年債利 回りが 4.1737%前後まで上昇したことも相場の支援材料。

なお、米ミシガン大学が発表した 8 月消費者態度指数(速報値)は予想を上回った一方、消費者の期待 インフレ率は 1 年先・5 年先のいずれも前月から低下し、予想を下回った。インフレ期待の下振れにドル 売りで反応すると、一時 144.47 円付近まで下押しする場面もあった。

ユーロドルは 3 営業日ぶりに反落。終値は 1.0949 ドルと前営業日 NY 終値(1.0981 ドル)と比べて 0.0032 ドル程度のユーロ安水準だった。欧州債利回りの上昇などを手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行。21 時 30 分前に一時 1.1005 ドルと日通し高値を付けた。

ただ、米 PPI の上振れをきっかけにユーロ売り・ドル買いが優勢になると一時 1.0943 ドルと日通し安 値を付けた。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いも出た。

なお、米期待インフレ率の下振れを受けて一時 1.0984 ドル付近まで買い戻される場面もあったが、戻 りは鈍かった。

ユーロ円は 5 日ぶりに反落。終値は 158.78 円と前営業日 NY 終値(158.95 円)と比べて 17 銭程度のユ ーロ安水準。ドル円の上昇につれた買いが入った半面、ユーロドルの下落につれた売りが出たため、一時 158.57 円と日通し安値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、本邦通貨当局の円買い介入に要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、投機筋のドル買いと本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の 可能性に注目することになる。なお一部市場参加者によれば、お盆休みで本邦輸出企業は 145 円台から上 にドル売りオーダー、輸入企業は 143 円台から下にドル買いオーダーを置きっぱなしにしているもよう。 本邦通貨当局は昨年 9 月 22 日、ドル円が 145 円台に乗せた局面でボラティリティー抑制を名目にした ドル売り・円買い介入を断行。本日も、145 円付近で推移しているため要警戒となる。 投機筋のポジションの目安となる IMM 通貨先物の非商業(投機)部門のネット円売り持ちポジションは、 8 月 8 日時点で 83,180 枚と発表された。その後 11 日に 145.00 円まで上昇したことで、10 万枚程度まで 拡大していることが想定される。

昨年の本邦通貨当局のドル売り・円買い介入が実施された時間帯は、9 月 22 日の第 1 弾の円買い介入 (2 兆 8382 億円)は東京勢が帰宅しつつある 17 時台、10 月 21 日の第 2 弾介入(5 兆 6202 億円)はロン ドン午後にあたる日本時間 23 時台だった。10 月 24 日の第 3 弾の円買い介入(7296 億円)は東京勢が本 格参入しつつある 8 時台という、市場がやや薄い間隙に断行された。当時の IMM 通貨先物の円売り持ちポ ジションは 10 万枚台だった。そして、ボラティリティーの目安であるボリンジャー・バンド+2σ付近で 断行されたが、本日の+2σは、145.40 円付近にある。

ユーロ円が 2008 年秋以来の 160 円台に迫りつつあるため、ユーロ売り・円買い介入の可能性にも警戒 しておきたい。本邦通貨当局は、2000 年秋のユーロ危機の時、日米欧の協調ユーロ買い介入に参加して、 ユーロ円の 100 円割れを買い支えており、外国為替資金特別会計(外為特会)には、当時購入したユーロ が残っている。

なお明日 8 月 15 日の前後には、米国債償還・利払いの円転が見込まれている。日銀によるイールドカ ーブコントロール(YCC)の運用柔軟化を受けた本邦機関投資家のレパトリエーション(国外滞留資金の 本国環流)も念頭に入れておきたい。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

特になし

<海外>

○15:00 ◇ 7 月独卸売物価指数(WPI)

○21:00 ◎ 7 月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比 6.43%)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

11 日 08:40 ロウ豪準備銀行(RBA)総裁

「インフレ鈍化の為に必要なことを行う」

「幾分のさらなる引き締めが必要である可能性」

「インフレは正しい方向に向かっている」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。5 手連続陽線で転換線を上回って引 けており、続伸の可能性が示唆されている。 本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線 を下抜けた場合は手仕舞い。なお同線は先週末高値 145 円を 超えるようだと水準を上げていく見込み。

レジスタンス 2 146.59(2022/11/10 高値)
レジスタンス 1 146.12(151.95 円~127.23 円の 76.4%戻し)
前日終値 144.96
サポート 1 143.26(日足一目均衡表・転換線)
サポート 2 142.55(日足一目均衡表・雲の上限)

<ユーロドル=8/10 高値から基準線を抵抗帯に戻り売り>

陰線引け。雲の上で引けているものの、転換線は基準線を 下回り、遅行スパンは実線を下回っているため売りシグナル 優勢な展開。抱き線で反落して転換線 1.0989 ドルを下回っ て引けて続落の可能性が示唆されており、同線を念頭に戻り 売りスタンスで臨みたい。10 日高値 1.1065 ドルから基準線 1.1094 ドルまでを抵抗帯と見込む。

レジスタンス 1 1.1094(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0949
サポート 1 1.0863(日足一目均衡表・雲の下限)

<ポンド円=8/11 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。5 手連続陽線で転換線を上回って引 けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は、11 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、 同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 184.75(ピボット・レジスタンス 2)
前日終値 184.03
サポート 1 183.39(8/11 安値)

<NZ ドル円=雲の上限を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の中で引けている。中立な位置ではあるが、抱き 線で反落して 87 円前半の転換線や 86 円後半の基準線を下回 って引けており、続落の可能性が示唆されている。 本日は、雲の上限を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線 を上抜けた場合は手仕舞い。なお雲の上限は、本日 87.85 円 から明日以降は水準をやや下げる見込み。

レジスタンス 1 87.85(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 86.76
サポート 1 85.90(日足一目均衡表・雲の下限)