デイリーレポート 2023年8月22日
August 22, 2023
【前日の為替概況】ドル円 146.40 円まで上昇、米 10 年債利回りが 4.35%台まで上昇
21 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は 3 営業日ぶりに反発。終値は 146.22 円と前営業日 NY 終 値(145.39 円)と比べて 83 銭程度のドル高水準だった。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長 期化するとの観測が高まる中、米 10 年債利回りが一時 4.3518%前後と 2007 年 11 月以来の高水準を記録 すると、日米金利差拡大への思惑から円売り・ドル買いが進行。24 時 30 分前に一時 146.40 円と日通し 高値を更新した。
ただ、17 日に付けた年初来高値 146.56 円がレジスタンスとして意識されると、若干伸び悩んだ。
なお、市場では「パウエル FRB 議長が今週 25 日に行うジャクソンホール会議での講演で、景気の現状 や追加の利上げについてどのような見解を示すかに関心が集まっている」との声が聞かれた。
ユーロドルは上昇。終値は 1.0896 ドルと前営業日 NY 終値(1.0873 ドル)と比べて 0.0023 ドル程度の ユーロ高水準だった。独長期金利の上昇などを手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行すると、21 時前 に一時 1.0914 ドルと日通し高値を付けた。ただ、17 日の高値 1.0918 ドルが目先レジスタンスとして意 識されると上値が重くなった。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いも出て、23 時 30 分過ぎに は 1.0875 ドル付近まで下押しした。
もっとも、アジア時間に付けた日通し安値 1.0870 ドルがサポートとして働くと買い戻しが進み、1.0904 ドル付近まで持ち直した。
ユーロ円は 3 日ぶりに反発。終値は 159.32 円と前営業日 NY 終値(158.22 円)と比べて 1 円 10 銭程度 のユーロ高水準。ドル円の上昇をきっかけに円売り・ユーロ買いが優勢になると、17 日の高値 159.36 円 を上抜けて一時 159.40 円と 08 年 9 月以来およそ 15 年ぶりの高値を更新した。
ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。ポンド円は一時 186.66 円、豪ドル円は 93.91 円、NZ ドル円は 86.74 円、カナダドル円は 108.21 円、スイスフラン円は 166.55 円、メキシコペソ円は 8.60 円まで値を 上げた。米株式市場でダウ平均が下げ渋ったほか、ナスダック総合が大幅に上昇。ナイト・セッションの 日経平均先物も大証終値比 340 円高の 3 万 1840 円まで底堅く推移すると、リスク・オンの円売りが出た。
【本日の東京為替見通し】ドル円は米 10 年債利回り上昇で堅調推移、円買い介入には要警戒か
本日の東京外国為替市場のドル円は、米 10 年債利回りの上昇を受けて堅調推移が予想されるものの、 引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には要警戒となる。
本邦通貨当局は、昨年 3 回、ボラティリティー抑制を名目にしたドル売り・円買い介入を断行したが、 円買い介入は、ボリンジャー・バンド+2σ付近で行われ、介入後の安値は日足一目均衡表・基準線付近だ った。本日の高値の目安となる+2σ水準は 147.30 円付近、安値の目安となる基準線は 142.13 円となって いる。
すなわち、ドル円が、25 日のジャクソンホール会合でのパウエル FRB 議長の講演に向けて上昇基調を 辿り 147 円台に乗せるような局面では、ボラティリティーの抑制を名目にした本邦通貨当局によるドル売 り・円買い介入の可能性が高まることになる。
昨年のジャクソンホール会合でのパウエル FRB 議長の講演では、金融引き締めを「やり遂げるまでやり 続けなければならない」と述べ、利上げを継続する姿勢を鮮明にする超タカ派的な内容だった。
今年のパウエル FRB 議長の講演では、7 月米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見での発言「9 月 会合では追加利上げも、現状維持もあり得る。今後の金融政策は、経済指標次第」からのバイアスの変化 を見極めることになる。
注目は、パウエル FRB 議長が NY 連銀のレポート「パンデミック後の短期的自然利子率(R スター)の 進展」について、どのような見解を示すかによる。タカ派的なシナリオは、短期的な中立金利の上昇の可 能性に、肯定的な見解を示した場合であり、9 月 FOMC での追加利上げ観測が高まることになる。一方で、 否定的な見解だった場合は、ハト派的シナリオとなり、9 月 FOMC での据え置き観測が高まることになる。
さらに、7 月の米消費者物価指数(CPI)が前年比+3.2%と 6 月の同比+3.0%から 13 カ月ぶりに上昇し、 失業率も 3.5%へ低下していたことで、9 月 FOMC での追加利上げに言及する可能性が高まりつつある。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○15:00 ◎ 4-6 月期ノルウェー国内総生産(GDP、予想:前期比 0.1%)
○17:00 ◇ 6 月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○20:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○23:00 ◎ 7 月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲0.2%/年率換算 415 万件)
○23:00 ◎ 8 月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲10)
○23 日 03:30 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、同連銀主催のイベントに参加
○新興 5 カ国(BRICS)首脳会議(南アフリカ・ヨハネスブルク、24 日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
21 日の金融市場では、要人の発言は特になかった。
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。8 手連続陽線に続く 2 手連続陰線の後、抱き線で切り返して転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 2 148.40(2022/11/4 高値)
レジスタンス 1 147.57(2022/11/7 高値)
前日終値 146.22
サポート 1 144.93(日足一目均衡表・転換線)
サポート 2 143.30(8/10 安値)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。5 手連続陰線の後、2 手連続陽線で反発したものの、依然として転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 1.0955(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0896
サポート 1 1.0797(200 日移動平均線)
<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。抱き線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線
を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 187.80(ピポット・レジスタンス 2)
前日終値 186.53
サポート 1 184.68(日足一目均衡表・転換線)
<NZ ドル円=雲の上限を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引け、転換線を下回って引けているため、売りシグナルが優勢な展開となっている。抱き線で切り返したものの、基準線や転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線 86.80 円を念頭に置き、雲の上限を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 87.62(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 86.66
サポート 1 85.80(8/21 安値)