デイリーレポート 2023年8月25日

August 25, 2023

【前日の為替概況】米 10 年債利回り 4.23%台でドル高 対円 145.96 円、対ユーロ 1.0805 ドル

24 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は 3 営業日ぶりに反発。終値は 145.83 円と前営業日 NY 終 値(144.84 円)と比べて 99 銭程度のドル高水準だった。米長期金利の上昇などを手掛かりに円売り・ド ル買いが先行。前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容となったことも相場の支援材料とな り、一時 145.96円と日通し高値を付けた。節目の 146.00円手前ではいったん利食い売りなどが出たため、 145.43 円付近まで伸び悩む場面もあったが、2 時過ぎには 145.94 円付近まで再び強含んだ。欧州通貨や オセアニア通貨に対してドル高が進んだ影響も受けた。

なお、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁は「米連邦準備理事会(FRB)はしばらく制限的なスタン スを維持すべき」「金融政策は恐らく十分に講じた」「FOMC は金利に関して年内に動かないだろう」と述 べたほか、コリンズ米ボストン連銀総裁は「FRB にはまだやるべきことがある」「さらなる利上げの可能 性がある」「しばらく政策を維持する必要がある可能性が非常に高い」などと語った。

オセアニア通貨はさえない。ダウ平均が 370 ドル超下落するなど、米国株相場が軟調に推移するとリス クに敏感なオセアニア通貨に売りが出た。豪ドル米ドルは 0.6413 米ドル、NZ ドル米ドルは 0.5916 米ド ルまで値を下げた。

ユーロドルは反落。終値は 1.0810 ドルと前営業日 NY 終値(1.0863 ドル)と比べて 0.0053 ドル程度の ユーロ安水準だった。ユーロ圏景気の減速懸念からユーロ売りが出やすい中、米国株安に伴うリスク・オ フのドル買いが優勢となった。5 時過ぎには一時 1.0805 ドルと本日安値を更新し、前日に付けた約 2 カ 月ぶりの安値 1.0803 ドルに迫った。

主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時 104.03 まで上昇した。

ユーロ円は 3 日ぶりに反発。終値は 157.66 円と前営業日 NY 終値(157.34 円)と比べて 32 銭程度のユ ーロ高水準。ドル円の上昇につれた買いが入ると一時 158.05 円と日通し高値を付けたものの、ユーロド ルの下落につれた売りが出ると上値が重くなった。米国株や日経平均先物の下落も相場の重し。

【本日の東京為替見通し】ドル円、23 時 5 分からのパウエル FRB 議長の講演待ちで動意薄か

本日の東京外国為替市場のドル円は、8 月の全国消費者物価指数(CPI)の先行指標となる東京都区部 CPI を見極めた後は、今夜 23 時 5 分からのパウエル FRB 議長のジャクソンホール講演を控えて動きづら い展開が予想される。

今週は、パウエル FRB 議長のジャクソンホール講演への思惑から、145 円台~146.40 円(高値)~144.54 円(安値)~145 円台で推移し、過去 9 日間の中心値である日足一目均衡表・転換線 145.55 円付近に収 斂してきている。講演内容がタカ派的ならば 147 円方向、ハト派的ならば 143 円方向、そして、曖昧なら ば、来週発表される米 7 月インフレ率や 8 月雇用統計に向けて、もみ合い相場が続くことになるのかもし れない。

8 時 30 分に発表される 8 月の東京都区部コア CPI は前年比+2.9%と予想されており、7 月の同比+3.0% からの伸び率鈍化が見込まれている。予想通りならば、8 月全国 CPI の伸び率鈍化の可能性が高まること になる。しかし、22 日に日銀が発表した 7 月の消費者物価の基調的変動の分析で重視する各種コア指標 は、全て過去最高の上昇率を記録していたことで、8 月の総務省発表の CPI や日銀発表のコア 3 指標まで 予断を許さない状況が続くのかもしれない。

今週の最重要イベントであるパウエル FRB 議長のジャクソンホール講演では、今後の金融政策に関して、 NY 連銀の自然利子率の上昇レポートに同意し、FF 金利を「より高い水準でより長く(higher for longer)」 維持するタカ派的見解なのか、それとも、同意せずに利上げ停止の可能性を示唆するハト派的な見解なの か、注目されている。

昨年 10 月 21 日(金曜日)のニューヨーク市場では、ドル円が 151.95 円まで上昇した後、23 時 30 分 頃に本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切った。当時は、米ウォールストリート・ジャーナルの FED ウォッチャー、ニック・ティミラオス記者が「11 月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では通常の 3 倍にあたる 0.75%の利上げを決め、12 月に 0.50%に利上げペースを落とすかどうかを議論する公算が大 きい。一部の当局者は過度な景気悪化を警戒し、利上げペース減速や来年早々の利上げ停止を求めている」 との記事を配信し、ドル円は反落途上だった。

今夜も、23 時 5 分からのパウエル FRB 議長の講演での金融政策への言及で、市場が動いた場合、本邦 通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切る可能性に警戒しておきたい。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:30 ◎ 8 月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合予想:前年比 2.9%)

○08:50 ◇ 7 月企業向けサービス価格指数(予想:前年比 1.3%)

<海外>

○08:01 ◇ 8 月英消費者信頼感指数(Gfk 調査、予想:▲29)

○15:00 ☆ 4-6 月期独 GDP 改定値(季節調整済、予想:前期比横ばい/前年同期比▲0.2%)

○15:00 ☆ 4-6 月期独 GDP 改定値(季節調整前、予想:前年同期比▲0.6%)

○17:00 ◎ 8 月独 Ifo 企業景況感指数(予想:86.7)

○23:00 ◎ 8 月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:71.2)

○23:05 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ジャクソンホール会議で講演

○24:00 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、インタビューに応対

○26 日 00:30 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、インタビューに応対

○26 日 01:30 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、インタビューに応対

○26 日 04:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、ジャクソンホール会議で講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

24 日 20:10 トルコ中銀声明

「金融引き締めはインフレ見通しの大幅な改善が達成さ れるまで、タイムリーかつ段階的に必要に応じてさらに 強化される」

「委員会は金融政策スタンスを支援するために量的引き 締めと選択的信用引き締めに関する決定を継続」

「インフレ指標とインフレの基礎的傾向は注意深く監視さ れ、委員会は物価の安定という主な目的に沿ってあらゆ る手段を断固として使用し続ける」

「最近の指標はインフレの基礎的な傾向が継続的に上 昇していることを示唆」

24 日 23:13 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁

「金利の上昇については懸念していない。注意深く監視 している」

「この地区(フィラデルフィア)では信用が逼迫しているの が明らかだ」

「FRB はしばらくは制限的なスタンスを維持すべき」

「金融政策は恐らく十分に講じた」

「失業率は 4%を少し上回る可能性がある」

「インフレが早く低下すれば利下げも早くなる可能性が ある」

「FOMC は金利に関して年内に動かないだろう」

25 日 00:06 センテノ・ポルトガル中銀総裁

「次回理事会では慎重になる必要がある」

「ECB はデータに依存して決定を行ってきた」

「9 月の決定に先立って多くのデータがまだ得られてい ない」

「経済の下振れリスクが顕在化している」

25 日 00:20 コリンズ米ボストン連銀総裁

「インフレ率が 2%の目標に達するには時間がかかる」

「FRB にはまだやるべきことがある。忍耐強く、毅然とす べき」

「FRB の取り組みに明るい兆しが見えている」

「さらなる利上げの可能性がある」

「しばらく政策を維持する必要がある可能性が非常に高 い」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=8/23 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。2 手連続陰線の後、抱き線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。本日は、転換線 145.55 円を念頭に置き、23 日安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 147.57(2022/11/7 高値)
レジスタンス 1 146.56(8/17 高値)
前日終値 145.83
サポート 1 144.54(8/23 安値)
サポート 2 142.32(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロドル=下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。本日は、200 日移動平均線 1.0804 ドルを念頭に置き、下落途上の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 1.0878(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0810
サポート 1 1.0733(6/12 安値)

<ユーロ円=横ばいの転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。しかし、孕み線で反発したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。本日は、横ばいの転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 158.18(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 157.66
サポート 1 156.87(8/23 安値)

<豪ドル円=雲の上限を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。本日は、転換線 93.83 円を念頭に置き、雲の上限を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 95.00(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 93.59
サポート 1 92.79(8/18 安値)