デイリーレポート 4月7日
April 7, 2025
【前日の為替概況】】ドル円、4日ぶり反発売り一巡後に買い戻し入る
4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反発。終値は146.93円と前営業日NY終値 (146.06円)と比べて87銭程度のドル高水準だった。トランプ米政権の「相互関税」に伴う世界経済の 先行き不透明感が高まる中、中国が対抗措置を発表。報復の連鎖が世界経済の悪化につながるとの警戒か ら、欧米株相場が急落するとリスク回避の円買いが優勢となった。米長期金利の指標となる米10年債利 回りが3.8564%前後と昨年10月以来の低水準を記録したことも相場の重しとなり、20時過ぎに一時 144.56円と昨年10月2日以来約半年ぶりの安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。米労働省が発表した3月米雇用統計で非農業部門雇用者数が 22.8万人増と予想の13.5万人増を上回ったことが分かると全般ドル買いが進行。ダウ平均が2200ドル 超下落するなど、米国株相場が急落するとリスク・オフのドル買いも活発化し、3時過ぎに一時147.43 円と日通し高値を付けた。
トランプ米大統領はこの日、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長に対し利下げを実施するよう求め たものの、パウエル氏は講演で「トランプ米政権の関税政策が経済に与える影響は予想を上回る可能性が 高い」「高インフレと経済成長率の鈍化にリスクが高まっている」と述べ、今後の政策運営については「適 切な方向性について結論を出すには時期尚早」と明言を避けた。また、「選挙で選ばれた公職者のコメン トに反応したくない」としながらも、「急ぐ必要はないと感じている。時間はある」と話し、利下げを急 がない姿勢を改めて示した。この発言もドル買いを誘った要因となった。
ユーロドルは3日ぶりに反落。終値は1.0956ドルと前営業日NY終値(1.1052ドル)と比べて0.0096 ドル程度のユーロ安水準となった。中国が米国の相互関税に対抗した報復措置を発表すると、米中の貿易 摩擦激化に伴う景気減速懸念が増大。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが優勢となり、21 時30分前に一時1.1089ドル付近まで値を上げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し高値1.1108ドルや前日の高値1.1144ドルが目先レジスタンスとして 意識されると失速した。欧米株価の急落でリスク・オフのドル買いも優勢となり、2時過ぎに一時1.0925 ドルと日通し安値を更新した。
なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時103.18まで上昇した。
ユーロ円は続落したものの、下値は堅かった。終値は160.91円と前営業日NY終値(161.43円)と比 べて52銭程度のユーロ安水準。貿易摩擦の激化が世界経済を下押しするとの警戒から世界的に株価が下 落すると、投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ユーロ売りが先行。24時前に一時159.03円と3月11 日以来の安値を更新した。ただ、ドル円が急速に持ち直すとユーロ円にも買い戻しが入り、一時161.41 円付近まで下げ幅を縮めた。
【本日の東京為替見通し】米リセッション懸念・第2プラザ合意リスク、リスク回避がドル円の重しに
本日の東京時間でドル円は、不安定な動きを繰り返しながらも売り場探しということは変わらないと思 われる。すでに早朝に、中国の報復関税などを嫌気し、ドル円は145円台まで下落している。市場流動性 が急速に悪化していることで、買い戻しが入ると本日も値幅を伴った動きをみせることもあるだろうが、 何十年に1度の転換期で、今後の世界経済の動向が分からない限りはリスク回避的な動きは変わらないだ ろう。
米国時間2日(日本時間3日)に発表された米国の相互関税発表後に一時上昇した水準(150.49円) からのドル売り・円買いは144.56円までと約6円進んだ。先週4日はこの値幅の概ね半値(147.53円) まで買い戻された。引き続き、本日も先週後半同様に不安定で方向感のない値動きになりそうだが、「半 値戻しは全戻し」という格言があることや、米国のリセッションやスタグフレーション懸念、日本の関税 の対応次第で、引き続きドル円は上値が重くなるだろう。
米系大手金融機関のJPモルガンは、先週末景気後退(リセッション)の可能性を40%から60%に引き 上げた。また、S&Pグローバルは25%から30-35%に、他の欧米金融機関も今後の引き上げを示唆してい る。米国のリセッション懸念、更にはスタグフレーション懸念もあることがドル円の売り要因になる。先 週末はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が早期の利下げについては否定したものの、追加利下げ予 想が急速に上昇している。リセッション懸念やFRBの利下げ圧力がドル円の上値を抑えになるだろう。
また、米国の要因だけではなく、日本国内の要因でもドル売り圧力がある。相互関税でこれまでもトラ ンプ政権が「ダーティ15」と名指しされた、日本、台湾、韓国はそれぞれ24%、32%、26%と高関税賦 課となった。これらの3カ国は防衛面で米国依存となっていることで、対抗措置を取ることができないで いる。その3カ国のうち、日本の場合は7月に参議院選挙、韓国は尹大統領が罷免されたことで60日以 内の大統領選挙などを控えている。両国とも無策でいることも難しく、アジア各国との間で兼ねてからト ランプ米大統領が懸念を表明していたドル高の修正を合意(第2プラザ合意)が行われる可能性も捨てき れない。トランプ大統領は、昨年4月、SNSで34年ぶりのドル高・円安に市場が動いたことについて「ア メリカにとって大惨事だ(Theyen'srecentfallagainstthedollarisa"totaldisasterfortheUnited States")」と投稿している。更に、ラトニック米商務長官は3日に「ドルが安くなれば、その分輸出は容 易になる」とも発言している。6日夜に石破首相と加藤財務相が会談をしたことも憶測を生んでいる。対 抗策が取れず、交渉の切り札がない国がドル売り・自国通貨買いを認め、貿易不均衡を解消することで高 関税賦課から逃れようとする可能性もあるだろう。
また、ドル円の売り遅れも上値を抑える要因。これまで、IMMポジションが過去最高となる規模の円ロ ングを持っていることで、本邦の投資家は円の売り戻し(ドルの買い戻し)を期待する予想を声高にはや し立てていた。しかし、今回の円高で、逆に本邦の投資家や実需のドル円の売り遅れを指摘する声が増え ている。先週1日に発表された3月の日銀短観で2025年度の全規模・全産業の想定為替レートは147.06 円(上期147.17円、下期146.95円)、大企業製造業は147.35円(上期147.43円、下期147.28円)で、 短観が調査されていた時期や、短観発表時は想定レートよりもドル円は上回っていたが、現時点では想定 為替レートを下回って推移している。現行水準でのドル円の売りだけではなく、新年度に入ったばかりと いうこともあり、今年度分での輸出予約がままならない企業はスワップポイントを加味したレートでのド ル売りをする場合は、147円台半ばから上は絶好の売り場にもなりそうだ。
なお、本日は本邦の2月毎月勤労統計が発表される。これまでは同指標の実質賃金が注目されていたが、 日本に対する米国の関税が想定よりも高い設定となったことで、日銀の追加利上げ時期が急速に後退し、 実質賃金に対する市場の反応も鈍くなりそうだ。
【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 2 月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比3.0%)
○08:50 ◇ 3 月外貨準備高
○14:00 ◇ 2 月景気動向指数速報値(予想:先行107.8/一致116.7)
○14:00 ◇ 日銀地域経済報告(さくらレポート)
<海外>
○15:00 ◎ 2 月独鉱工業生産(予想:前月比▲1.0%/前年同月比▲3.6%)
○15:00 ◇ 2 月独貿易収支(予想:185 億ユーロの黒字)
○18:00 ◎ 2 月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.5%/前年比1.9%)
○18:45 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:30 ◎ クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○8 日04:00 ◇ 2 月米消費者信用残高(予想:150.0 億ドル)
○豪州、NZ は6 日から冬時間に移行済み
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
4日05:36トランプ米大統領
「関税に対するマーケットの反応は予想通り」
「何か素晴らしい提案があれば関税交渉に応じる」
「金利の低下が望ましい」
4日22:33
「中国は間違った対応をした。パニックに陥った」
「それは許されないことだ」
「ベトナムのラム氏との電話会談は有意義だった」
「ベトナムは関税をゼロに引き下げたいと考えている」
「近い将来ラム氏と会談できることを楽しみにしている」
「パウエルFRB議長が利下げするには絶好のタイミン グ」
5日02:41
「TIKTOKの売却期限を75日延期する」
4日08:49加藤財務相
「為替についてはコメントしない」
「(米国の関税について)貿易体制などに大きな影響を 及ぼしかねない」
「(株価について)上がったり下がったりするもの」
4日09:27内田日銀副総裁
「見通しが実現するかは毎回の会合で点検する」
「米国の関税措置は物価への影響は上下様々に考えら れる」
「経済・物価の見通し実現していけば、政策金利引き上 げ、緩和度合い調整していく」
4日10:11植田日銀総裁
「米関税の影響、世界経済や日本経済に下押し圧力」
「米関税の影響、物価には上下様々なメカニズム考えら れ一概に評価できない」
「米関税の影響を十分に注視し、金融政策決定に役立 てていきたい」
「外部環境が大きく変化すれば見通しも変化、適切に政 策対応」
「コメ価格、前年比でみた上昇率は次第に低下する可能 性が高い」
「食品価格の上昇は、天候以外の要因が関係している 可能性」
「食品価格の上昇は、消費マインド、予想物価上昇率へ の影響を留意」
4日17:01コテキ・ポーランド中銀審議委員
「来月の会合で0.50%利下げは可能」
4日18:12石破首相
「(米関税対応)なるべく早期に対策本部設置したい」
「トランプ米大統領と直接話すのがいいが、まずは電話 会談を模索している」
5日00:29パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「関税が経済に与える影響は予想を上回る可能性が高 い」
「関税がインフレに及ぼす影響は長期化する可能性が ある」
「長期インフレの指標は引き続き安定している」
「見通しは非常に不確実で、失業率の上昇とインフレ上 昇のリスクが高まっている」
「金融政策の適切な方向性を話すには時期尚早」
「FRBはインフレ期待の抑制維持の責務を負っている」
「我々の責務は一時的な物価上昇が継続的なインフレ 問題とはならないようにすること」
「選挙で選ばれた公職者のコメントに反応したくない」
「急ぐ必要はないと感じている。時間はある」
「政策調整の前に様子を見るつもり」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=転換線の動向も示唆する下向きの流れ続くか>
下影陽線引け。昨年10 月2 日以来、約半年ぶりの安値
144.56 円まで下振れ後は戻し、146.93 円で週の取引を終え
た。
長い下ひげをともなう足型を形成したことで底堅い動き
で週明けの取引を再開することを期待したが、145 円付近ま
で下落が先行する軟調な展開。低下が続く見込みの一目均衡
表・転換線の動きも示唆する下向きの流れが続くか。
レジスタンス1 147.43(4/4 高値)
前日終値 146.93
サポート1 144.56(4/4 安値)
サポート2 143.43(2024/10/2 安値)

<ユーロドル=転換線付近の攻防>
陰線引け。上昇力の鈍りを示唆する上ひげをともなう足型
を連日形成する格好となり、1.09 ドル前半へ下落した。週明
けは1.08 ドル台へ下押す場面もあった。一目均衡表・転換
線1.0939 ドル付近の攻防。転換線は、まだ少し上昇余地を
残している状態で、下値1.0758 ドルから現相場水準付近ま
で切り上がる見込みの一目・基準線もサポートに加わってく
れば、折り返し高値更新の動きを再開することは可能だろう。
レジスタンス1 1.1017(4/4 レンジ半値水準)
前日終値 1.0956
サポート1 1.0866(21 日移動平均線)

<ユーロ円=雲の下抜けも想定しておいた方がよさそう>
下影陰線引け。一目均衡表・雲のサポートを試す弱い動き
となってきた。本日158.12 円に位置する雲の下限での下支
えを期待するが、雲を上回る水準で均衡していたレンジ相場
が崩れた勢いで売りが加速している感が強い。雲の下抜けも
想定しておいた方がよいとみる。
レジスタンス1 161.24(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 160.91
サポート1 158.12(日足一目均衡表・雲の下限)

<豪ドル円=しっかり戻すには反発の足場固める必要がある>
大陰線引け。86 円手前で伸び悩み、85 円半ばの日足一目・
転換線や前半の基準線を下抜けると、一時84.27 円まで下落
した。その後は下げ幅を縮めるも3 手ぶりの陰線引け。
本日から一目・雲の下限が85 円後半まで低下し、来週前
半には85.30 円台まで水準を切り下げ見込み。上値の重さが
意識されるなか、85.20 円台の基準線が目先の戻りめど。下
値は83 円前半の3 月11 日安値が視野に入りつつある。
レジスタンス1 90.15(2024/8/5 安値)
前日終値 88.78
サポート1 86.06(2023/3/24 安値)

