デイリーレポート 2023年8月30日

August 30, 2023

【前日の為替概況】ドル円、4 日ぶり反落 米債入札結果や弱い指標を受け米長期金利低下

29 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は 4 営業日ぶりに反落。終値は 145.88 円と前営業日 NY 終 値(146.54 円)と比べて 66 銭程度のドル安水準だった。米長期金利の上昇などを手掛かりに円売り・ド ル買いが先行。21 時 30 分前に一時 147.37 円と昨年 11 月以来約 9 カ月半ぶりの高値を付けた。

ただ、23 時発表の 8 月米消費者信頼感指数が 106.1 と予想の 116.0 より弱い数字となったほか、7 月米 JOLTS 求人件数が 882.7 万件と予想の 946.5 万件を大幅に下回り約 2 年ぶりの低水準を記録すると、米長 期金利の低下とともに一転ドル売りが優勢に。アジア時間の安値 146.31 円や前日の安値 146.28 円を下抜 けて一時 145.67 円まで値を下げた。

なお、米長期金利の指標である米 10 年債利回りは 4.23%台から 4.10%台まで急低下した。米 7 年債入 札が堅調だったことも米金利の低下につながった。

ユーロドルは続伸。終値は 1.0880 ドルと前営業日 NY 終値(1.0819 ドル)と比べて 0.0061 ドル程度の ユーロ高水準だった。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが先行すると、22 時 30 分前に 1.0782 ドルと日通し安値を付けたものの、米労働指標が予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)による追加利 上げへの警戒が薄らぐと全般ドル売りが優勢に。4 時 30 分前には一時 1.0892 ドルと日通し高値を更新し た。

主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは 104.36の本日高値から 103.37の本日安値ま で一転下落した。

ユーロ円は小幅ながら 4 日続伸。終値は 158.72 円と前営業日 NY 終値(158.53 円)と比べて 19 銭程度 のユーロ高水準。ドル円の上昇につれた買いが入ると一時 159.06 円の日通し高値を付けたものの、米経 済指標の下振れをきっかけにドル円が急落するとユーロ円にも売りが出た。0 時 30 分過ぎには 158.31 円 付近まで押し戻された。

【本日の東京為替見通し】ドル円、底堅さを維持しつつも上昇は一服か

先週末に市場が注目したジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を通 過し、市場の目線は再びインフレや景気・雇用データに向けられている。ドル円は昨日まで 3 日連続で年 初来高値を更新した後、弱い米経済指標の結果を受けて売りに押されたが、FRB が 9 月の米連邦公開市場 委員会(FOMC)で政策金利を据え置きし、11 月もしくは 12 月会合で 0.25%の追加利上げを行うとの市場 のコンセンサスは変わっておらず、ドル円は底堅さを維持しつつも、週末に注目の米雇用統計の結果発表 を控え上昇は一服しそうだ。

昨日に発表された、8 月米消費者信頼感指数はインフレ懸念が再燃しているなか、予想に反して 3 カ月 ぶりに低下し、雇用情勢について職が「十分」と「就職困難」の回答から算出する労働市場格差は前月か ら縮小し、失業率が 8 月に上昇する可能性が示された。また、7 月米 JOLTS 求人件数は市場予想を大幅に 下回る約 2 年ぶりの低水準となり、労働需給バランスの改善傾向が示された。これは賃金上昇圧力やイン フレの抑制につながる可能性を示し、FRB による追加利上げの緊急性を和らげる結果といえるかもしれな い。市場では FRB が今年に後 1 回の利上げを行い、来年は利上げを開始すると見込んでいるが、深刻な景 気低迷やディスインフレが起きない限り、FRB は「利上げ一時停止または利下げ検討」に関する明確なシ グナルを出す可能性は低く、政策見通しに右往左往する相場展開が続きそうだ。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○10:30 ◇ 田村直樹日銀審議委員、あいさつ

○14:00 ◇ 8 月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:37.4)

<海外>

○10:30 ◎ 7 月豪住宅建設許可件数(予想:前月比▲0.8%)

○10:30 ◎ 7 月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年比 5.2%)

○15:00 ◇ 7 月独輸入物価指数(予想:前月比横ばい/前年比▲12.9%)

○16:00 ◇ 8 月スイス KOF 景気先行指数(予想:91.5)

○17:30 ◇ 7 月英消費者信用残高(予想:13 億ポンド)

○17:30 ◇ 7 月英マネーサプライ M4

○18:00 ◎ 8 月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:93.7)

○18:00 ◎ 8 月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲16.0)

○20:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数

○21:00 ◎ 8 月独 CPI 速報値(予想:前月比 0.3%/前年比 6.0%)

○21:15 ☆ 8 月 ADP 全米雇用報告(予想:19.5 万人)

○21:30 ◇ 7 月米卸売在庫(予想:前月比▲0.3%)

○21:30 ☆ 4-6 月期米国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比年率 2.4%)

◎ 4-6 月期米個人消費(改定値、予想:前期比年率 1.8%)

◎ 4-6 月期米コア PCE(改定値、予想:前期比年率 3.8%)

○23:00 ◎ 7 月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲1.0%/前年比▲15.7%)

○23:30 ◇ EIA 週間在庫統計

○31 日 01:00 ◎ 7 月ロシア失業率(予想:3.2%)

○トルコ(戦勝記念日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

29 日 16:49 ブロック RBA(豪準備銀行)副総裁

「気候変動はインフレ結果をより不安定にする可能性が 高い」

「再利上げの可能性もあるが、データを注視している」

「どの中央銀行も、追加の利上げ幅に頭を悩ませてい る」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=転換線近辺の攻防>

上影小陰線引け。147.37 円まで昨年 11 月以来、約 9 カ月半ぶりの高値を更新する展開が先行した。しかし、その後は145.67 円まで調整が進んだ 145.96 円へ切り上がった一目均衡表・転換線付近の攻防。まだ上昇の可能性を残す同線近辺での下げ渋りを期待するが、この水準で下げ渋ることができなければ 144.92 円前後で上昇中の 21 日移動平均線が次のサポートになるか確かめることになる。

レジスタンス 2 147.37(8/29 高値=年初来高値)
レジスタンス 1 146.52(8/29 レンジ半値水準)
前日終値 145.88
サポート 1 144.92(21 日移動平均線)

<ユーロドル=転換線を上抜けも動意不安定か>

下影陽線引け。一目均衡表・転換線 1.0848 ドルを前に押し返される場面もあったが、買いが再び盛り上がり同線を上抜けると 1.0892 ドルまで上伸した。ここからは 1.0904・1.0918 ドル前後で低下中の 21・90 日移動平均線が抵抗。その上に一目・雲の下限 1.0956 ドルも控えている。伸び悩んだ場合、切り下がりが予想される転換線は強い支えになりそうではなく、動意は不安定になるか。

レジスタンス 1 1.0956(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0880
サポート 1 1.0812(200 日移動平均線)

<ユーロ円=気迷い示す足型を形成>

小陽線引け。一目均衡表・転換線 158.18 円を上回る水準で推移したものの、実体部の薄い気迷いを示す足型を形成している。転換線がいったん切り下がる場面も想定され、不安定な動意を示唆。現水準 155.46 円からの急上昇が予想される一目・基準線のサポートが効き始めてくるまで荒っぽく振れる場面も想定した上で臨みたい。

レジスタンス 1 159.06(8/29 高値)
前日終値 158.72
サポート 1 158.01(21 日移動平均線)

<豪ドル円=日柄経過を味方に雲克服できそう>

下影小陽線引け。一目均衡表・雲の下限付近から雲の中ほどまでじり高推移となった。雲を一気に上抜くまでの勢いではないが、雲の上限が低下していく部分を日柄の経過を味方に克服することができそう。雲を抜けて底堅く推移することができるか。

レジスタンス 1 94.95(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 94.53
サポート 1 93.97(日足一目均衡表・雲の下限)