デイリーレポート 4月28日
April 28, 2025
【前日の為替概況】ドル円、反発円安是正を巡る思惑が後退
25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は143.67円と前営業日NY終値(142.63円) と比べて1円04銭程度のドル高水準だった。日本時間早朝に「日米財務相会談では為替目標について協 議されなかった」と伝わったことで、円安是正を巡る思惑が後退し円売り・ドル買いが出やすい地合いと なった。「中国は米製品に対する報復関税について、一部輸入品の適用除外を検討」との報道や、トラン プ米大統領が「中国の習近平国家主席から電話があった」と明らかにしたことを受けて、米中貿易摩擦の 緩和期待が高まったことも円売り・ドル買いを誘った。23時発表の4月米ミシガン大学消費者態度指数 確報値が52.2と予想の50.8を上回ったことが分かると、一時144.03円と14日以来の高値を付けた。
ただ、144円台での滞空時間は短かった。週末を控えたポジション調整目的の売りが出たほか、米長期 金利の低下に伴うドル売りが出ると一時143.45円付近まで下押しした。トランプ米大統領が「対中関税 は何らかの譲歩がない限り引き下げない」「再度、関税を一時停止することはないだろう」と述べたこと も相場の重し。
なお、中国政府はこの日、「中国と米国は関税に関する協議や交渉を行っていない」「米国は協議に関し 国民をミスリードすべきではない」と表明した。
ユーロドルは反落。終値は1.1365ドルと前営業日NY終値(1.1390ドル)と比べて0.0025ドル程度の ユーロ安水準となった。アジア時間に一時1.1316ドルまで売られた影響が残った。ただ、NY市場に入る と米長期金利の低下に伴うドル売りが出て下げ渋った。ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシング に絡んだユーロ買いのフローが観測されると一時1.1389ドル付近まで下値を切り上げた。
もっとも、本日早朝に付けた日通し高値1.1394ドルや前日の高値1.1398ドルが目先レジスタンスとし て意識されたため、戻りも限定的だった。
ユーロ円は3日続伸。終値は163.30円と前営業日NY終値(162.41円)と比べて89銭程度のユーロ高 水準。しばらくは162円台後半でのもみ合いが続いていたが、NY市場に入ると買いが強まった。ロンド ン・フィキシングに絡んだユーロ買いのフローが観測されると一時163.76円と日通し高値を付けた。た だ、引けにかけては163.15円付近まで伸び悩んだ。
【本日の東京為替見通し】注目イベントを前に神経質な動きか、トランプ政権支持率が低水準に
本日の東京時間でドル円は、今週多く予定されているイベントを控えていることで動きにくく、先週末 のレンジを踏襲することになりそうだ。特に30日には赤沢経済再生相が渡米して5月1日に2回目とな る日米関税交渉が行われるほか、日銀政策決定会合も30-1日に行われることで、1日が非常に重要な日 になる。
先週24日に行われた加藤財務相とベッセント米財務長官の会談後に加藤氏は「米国からは為替に関し て目標やそれに対する枠組みの話は全くなかった」「具体的な為替レートについての話はなかったとした」 と述べた。ただし、先週25日夜の読売新聞の報道によると、「ベッセント氏は『ドル安・円高が望ましい』 と述べ、トランプ米大統領の意向に沿って為替水準への強い懸念を表明した模様だ」と報じている。これ までも重要な日米交渉後の会見で、両国の公表内容に大きな相違があった例は多く、加藤氏だけの話を鵜 呑みにするのはリスクがあるか。
会見内容の違いでは、2018年9月に行われた安倍政権と第1次トランプ政権の日米通商協議後の相違 が有名だ。この会見後日本政府は、日米間の新たな通商協議である「日米物品貿易協定(TAG)」が行われ たと発表した。安倍首相が「これまで(の自由貿易協定=FTA)と全く異なる」と表現したように、日本 側だけの報道を見ていると、新たな取り組みが行われたと思われた。しかし、米国サイドは「TAG」など という言葉を一切使用せず、米国側の声明では「AgreetoNegotiateaFreeTradeAgreement」と従来 のFTAを使用した。前回も今回も日本は選挙などのイベントが迫っていることもあり、会見内容に相違が 出た可能性もある。今後の展開には注目したい。
ドル売り・円買い圧力としては、日銀政策決定会合についても米国の圧力が日銀にかかっている可能性 もあることも要因。ベッセント氏は先週「日本が先進7カ国(G7)の合意(=為替はファンダメンタルズ を映し安定的に推移するべき)を尊重することを期待する」と述べているが、G7各国では為替(特に自 国通貨安)を操作している形跡は直近ではない。しかしながら、トランプ政権は日本の低金利路線が為替 操作と捉えている節もある。先週の植田日銀総裁が訪米時に、米国側から金利面での円安調整(日銀の金 利引き上げ要望)があった可能性も否定できないことで、1日の日銀政策決定会合も注目される。なお、 米連邦準備理事会(FRB)と違い、日銀は完全には独立性が確保されているわけではない。日銀法第4条 で「金融政策が『政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分 な意思疎通を図らなければならない』」と記載されている。
一方、ドル買い・円売り圧力としては、先週からトランプ政権が対中関税圧力を弱めるなど、これまで の強気姿勢が影を潜めていることがあげられる。ここ最近の米トリプル安(債券安・株安・ドル安)の結 果、大統領就任100日間(ハネムーン期間)終了が近づく中で、トランプ大統領の支持率は70年以上ぶ りの低水準となった。トリプル安を避け、支持率を上げるために、関税に対する軌道修正があればドルの 支えになる。ただ、先週は米政権が中国との交渉を進めているような報道が流れる一方で、中国が完全に 否定するなど、遅々として進まない交渉の中で米政権からのフェイクニュースが流れる可能性がある。金 融市場は仮にフェイクであろうとも、アルゴ取引を中心に反応してしまうことで、ボラタイルな動きを繰 り返すことになりそうだ。
【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○19:30 ◎ 3 月インド鉱工業生産(予想:前年同月比3.3%)
○21:00 ◇ 3 月メキシコ貿易収支(予想:28.00 億ドルの黒字)
○21:00 ◇ 3 月メキシコ失業率(季節調整前、予想:2.35%)
○22:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、イベントに参加
○22:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○カナダ総選挙
○南アフリカ(自由の日の振替休日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
25日06:23加藤財務相
「ベッセント米財務長官と二国間協議を行った」
「米国の関税措置は極めて遺憾、見直し強く申し入れ た」
「為替レートは市場で決定されることなど日米で再確認」
「為替の過度な動きは経済に悪影響との認識も日米で 再確認」
「為替について日米で緊密かつ建設的に協議続けてい くことで一致」
「米国から為替水準や目標に関する言及は全くなかっ た」
25日06:28植田日銀総裁
「世界経済、足もとで不確実性が高まっている」
「情勢見極め適切な政策運営に努めていくことが重要と 指摘」
「(米関税)各国の話持ち帰って精査、日本経済の見方 構築へ」
25日07:01カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「不確実性の高まりによって企業がレイオフを実施する のではないかと懸念」
「まだレイオフの兆候は見られていない」
「貿易摩擦が解決すれば不確実性は軽減されるだろう が、楽観的すぎるかもしれない」
25日09:46赤沢経済再生相
「(加藤・ベッセント会談で)為替について従来の基本的 認識を確認できたと報告受けている」
「(関税対策パッケージで)必要に応じて予備費活用は ありうるが、補正予算検討の事実はない」
「5月毎月勤労統計から総合CPIによる実質賃金を公表 予定」
25日16:18中国外務省報道官
「(米国製品の一部に対する関税免除について)詳細に ついては把握していない」
「中国と米国は関税に関する協議や交渉を行っていな い」
25日16:26ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「たとえ関税が引き下げられても経済には傷跡が残るだ ろう」
「今後の政策対応については完全にオープン」
25日17:10シュレーゲルSNB(スイス国立銀行)総裁
「貿易政策をめぐる状況は、スイスを含むすべての国に とって大きな不確実性」
「スイス経済の減速も排除できない」
「物価の安定は貿易政策に起因する不確実性を防ぐこ とはできないが、それでも非常に重要」
「貿易政策は世界経済の分断をもたらす可能性」
「主な手段は金利だが、為替介入によって金融環境に 影響を与えることもできる」
25日19:31トランプ米大統領
「中国の習近平国家主席から電話があった」
「大統領職に権力を集中させているわけではない」
「国ごとに公正な関税を設定する」
「富裕層への増税という考えを支持」
「今後3-4週間で貿易合意がまとまる見込み」
「3期目の大統領選出馬については言及を避ける」
「イラン大統領または最高指導者との会談に前向き」
「カナダからは何も必要ない」
26日02:40
「中国が何らかの譲歩をしない限り関税は撤廃しない」
「中国を開放すれば大きな勝利となるだろう」
「マーケットは関税に適応しつつある」
「再度、関税を一時停止することはないだろう」
25日23:35グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委 員
「英経済の弱さは需要によるものか供給によるものかは っきりしない」
「需給ギャップは拡大しており、インフレ率は目標水準に 戻る見通し」
26日03:13欧州連合(EU)欧州委員会のドムブロフス キス上級副委員長(通商政策担当)
「EUは関税問題に関して米国と相互に合意できる解決 策に到達する意向」
「ウクライナへの継続的な支援が必要」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=21 日線付近が重そう>
陽線引け。一時144.03 円と、14 日以来の144 円台を回復
する場面もあった。
底堅いが143 円後半へ押し戻され、144 円台への定着をう
かがう状況。一目均衡表・転換線141.96 円と基準線145.55
円に挟まれたレンジ中程から方向性を探るなか上値を試す
局面だが、上伸しても低下中の21 日移動平均線付近が重そ
う。
レジスタンス2 144.78(21 日移動平均線)
レジスタンス1 144.31(4/14 高値)
前日終値 143.67
サポート1 142.83(ピボット・サポート1)

<ユーロドル=転換線は明日にも頭打ちとなる公算>
下影小陰線引け。1.14 ドル手前で戻りが鈍かった。一目均
衡表・転換線は明日1.1441 ドルへ切り上がる余地を残して
いるものの、同水準で頭打ちとなる公算。上値の重さの示唆
と受け止めることができる。1.12 ドル付近で上昇中の21 日
移動平均線や一目・基準線1.1153 ドルを見据えた調整が進
む展開も視野に入れて臨みたい。
レジスタンス1 1.1440(4/23 高値)
前日終値 1.1365
サポート1 1.1280(ピボット・サポート2)

<ポンド円=雲を念頭に置いた取引か>
陽線引け。下押しを190.05 円に留めて21 日移動平均線を
割り込まずに切り返すと、191.73 円まで上昇して一目均衡
表・雲上限を上抜けたところで一服。4 手連続の陽線引け。
21 日線付近の底堅さを確認したことで、本日は192.06 円に
位置している一目・雲の上限を念頭に置いた取引となるか。
上抜けると192.50 円前後に位置する200 日線が射程に入り
そうだ。雲が上値を抑えるようだと再び21 日線の底堅さを
確認する展開も想定される。
レジスタンス1 192.50(200 日移動平均線)
前日終値 191.23
サポート1 189.79(21 日移動平均線)

<NZ ドル円=86.20 円台の雲の上限を巡る攻防>
陽線引け。85 円前半で推移する一目均衡表・雲の下限付近
で下げが一服すると、86.07 円まで切り返して雲の上限86.21
円に迫った。3 手連続の陽線引け。引き続き雲の上限を意識
した展開が見込まれる。上抜くと2 日に付けた今月高値86.76
円が次のポイント。ただし、85.48 円にある雲の下限を割り
込んだ場合は一目・転換線85.01 円に向けた下押しも想定さ
れる。
レジスタンス1 86.76(4/2 高値)
前日終値 85.75
サポート1 85.01(日足一目均衡表・転換線)

