デイリーレポート 5月9日
May 9, 2025
【前日の為替概況】ドル円、続伸米中の交渉進展に期待
8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は145.91円と前営業日NY終値(143.83円)と 比べて2円08銭程度のドル高水準だった。米英両政府はこの日、貿易協定を締結することで合意したと 発表。週末に米中高官による通商協議を控える中、中国との交渉進展への期待もあり、ダウ平均は一時 650ドル超上昇した。米国株高によるリスク・オンの円売り・ドル買いが優勢になると、4時30分前に一 時146.18円まで値を上げた。トランプ大統領が「今すぐ株を買った方がいい」と発言したことも株高と ドル高につながった。 また、前日にはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見 で早期利下げに慎重な姿勢を示唆。米早期利下げ観測が後退する中、米長期金利が大幅に上昇したことも ドル買いを促した。 ユーロドルは続落。終値は1.1228ドルと前営業日NY終値(1.1301ドル)と比べて0.0073ドル程度の ユーロ安水準となった。21時30分過ぎに一時1.1320ドル付近まで値を上げたものの、アジア時間に付 けた日通し高値1.1336ドルが目先レジスタンスとして意識されると失速した。米英間の貿易協定が締結 したことや週末に予定されている米中通商交渉への期待から、米国株相場が上昇したこともドル買いを促 した。米長期金利の大幅上昇も相場の重しとなり、4時30分過ぎには一時1.1212ドルと日通し安値を更 新した。 ユーロ円は続伸。終値は163.82円と前営業日NY終値(162.55円)と比べて1円27銭程度のユーロ高 水準。米関税政策を巡る協議が進展するとの期待から米国株相場が上昇すると、投資家のリスク志向が改 善し円売り・ユーロ買いが広がった。4時30分前には一時163.91円と本日高値を更新した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、明日からの米中通商交渉への期待感から堅調推移か
本日の東京外国為替市場のドル円は、3月の実質賃金を見極めた後は、今週末に開催される米中通商交 渉への期待感から堅調推移が予想される。 トランプ米大統領が英国との貿易協定合意を発表し、対中関税が引き下げられる可能性にも言及したこ とで、10-11日に開催される米中通商交渉への期待感が高まっている。 ニューヨーク市場のドル円は146.18円まで上昇したが、IMMシカゴ筋の過去最大規模の円のネット買 い持ちポジションが手仕舞われるタイミングに警戒しておきたい。 IMMシカゴ筋は、今年1月にドル円が155円付近で推移していた頃、円の売り持ちポジションから買い 持ちポジションに転換し、152円付近では過去最大規模に拡大して、先週4月29日時点(※NY終値:142.33 円)では179,212枚まで過去最大を更新していた。 シカゴ筋がドル売り・円買いのポジションに傾いた背景には、日銀の追加利上げ観測、米連邦準備理事 会(FRB)の追加利下げ観測、米国の貿易赤字削減に向けたトランプ関税によるドル下落観測などがあっ たと思われる。 しかし、日銀金融政策決定会合では、トランプ関税の「不確実性」を理由にハト派的な据え置きとなり、 米連邦公開市場委員会(FOMC)でも「不確実性」を理由に、タカ派的な据え置きとなっており、米英貿易 協定の締結合意や米中通商交渉への期待感などから、ドル売り・円買いのベクトルが後退しつつある。 米中通商交渉では、ベッセント米財務長官の発言「今回は大きな貿易合意についてではなく、緊張緩和 に関するものになるだろう。前進する前に緊張を緩和しなければならない」のように米中間の緊張が緩和 される内容だった場合は、来週のドル円は、雲の下限147.91円や200日移動平均線149.68円に向けた上 昇基調が予想される。 逆に、米中間の緊張が緩和されなければ、ドル円は失速することになる。 8時30分に発表される3月毎月勤労統計(現金給与総額)では、実質賃金に注目することになる。2 月の現金給与総額は、前の年の同じ月と比べて3.1%増えたものの、物価の上昇に賃金の伸びが追いつか ず、実質賃金は1.2%減少し、2カ月連続のマイナスだった。 日銀は1日の金融政策決定会合で現状の金融政策の維持を決定し、トランプ関税によって世界経済の不 確実性が一段の増す中で、経済・物価見通しを下方修正するとともに、2%の物価安定目標の実現時期を 1年程度先送りした。そして、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中核である基本的見解から、 日銀の利上げ路線の根幹を成してきた「賃金と物価の好循環」という文言が消滅した。 3月の実質賃金が3カ月連続のマイナスだった場合は、日銀のハト派的な据え置きを裏付けることにな る。
【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間
<国内> ○08:30 ◇ 3 月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比2.5%) ○08:30 ◇ 3 月家計調査(消費支出、予想:前年比0.2%) ○08:50 ◇ 4 月外貨準備高 ○14:00 ◇ 3 月景気動向指数速報値(予想:先行107.5/一致115.9) <海外> ○未定 ◎ 4 月中国貿易収支(予想:890.0 億ドルの黒字) ○15:00 ◎ 4 月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%/前年比2.5%) ○15:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演 ○16:00 ◇ 4 月スイスSECO 消費者信頼感指数(予想:▲33.0) ○16:00 ◇ 3 月トルコ鉱工業生産 ○17:40 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演 ○18:55 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演 ○19:45 ◎ クーグラーFRB 理事、講演 ○20:15 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演 ○21:00 ◎ 4 月ブラジルIBGE 消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比5.52%) ○21:30 ☆ 4 月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化0.50 万人/失業率6.8%) ○21:30 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ ○21:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、イベントに参加 ○22:10 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演 ○23:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、あいさつ ○10 日00:30 ◎ ウォラーFRB 理事、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、パネルディスカッションに参 加 ○ロシア(戦勝記念日)、休場 ○10 日 米中高官、貿易問題を巡る協議(スイス)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
8日08:26ハセット米国家経済会議(NEC)委員長 「政策についてFRB議長に常に同意するとは限らない」 「米連邦準備制度の独立性を尊重する」 8日10:00トランプ米大統領 「明日午前10時(日本時間8日23時)に大きな記者会 見を行う」 「非常に大きく、非常に高く評価されている国との主要な 貿易協定について発表」 8日19:14 「英国との合意は完全かつ包括的」 8日23:53 「英国と素晴らしい合意に達した」 「米英合意により、米国産輸出品の市場アクセスが拡 大」 9日00:24 「中国と非常に良好な関係を築けると期待」 「交渉がうまくいけば、対中関税を引き下げる可能性」 「パウエルFRB議長は非常に遅い」 「今すぐ株を買った方がいい」 8日10:30楊金龍・台湾中銀総裁 「米国が台湾ドル高を要請した事実はない」 8日10:33植田日銀総裁 「物価2%超え継続、国民生活にマイナスの影響」 「基調的物価、見通し期間後半に2%に向けて歩み再 開」 「経済動向は不確実性が高く、丁寧にみていきたい」 「食料価格上昇、基調的インフレ率への影響を注視」 「デフレ脱却、政府が総合的に判断」 8日16:36リクスバンク(スウェーデン中銀)声明 「スウェーデンの経済見通しは3月の予測よりも若干弱 まった」 「経済見通しの弱さは短期的にインフレ率が低下するこ とを示唆」 「金融政策は現在バランスが取れており、経済活動とイ ンフレの見通しをより明確にするためには、更なる情報 を待つことが賢明である」 「インフレ率が3月の予測より高くなる可能性よりも、低く なる可能性の方がやや高いと評価。これは今後、金融 政策が若干緩和されることを示唆している可能性があ る」 8日10:50中村日銀審議委員 「緩和環境を維持し、引き続き経済活動をサポート」 「経済見通しが達成されれば利上げを行う」 8日17:05ノルゲバンク(ノルウェー中銀)声明 「現在の見通しでは政策金利は今年中に引き下げられ る可能性が高い」 「見通しをめぐる不確実性は通常よりも大きく、政策金利 の今後の動向は経済情勢に左右される」 「インフレ率はピークから大幅に低下したが依然として目 標の2%を上回っている」 8日20:38英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨 「MPCは5人が0.25%引き下げ支持、2人は0.50%引き 下げ、2人が据え置き主張」 「インフレの持続リスクと、経済における総需給のバラン スについて引き続き注意深く監視」 「中期的にインフレが2%の目標に持続的に戻るリスク がさらに解消されるまで、金融政策は十分に長く抑制的 な状態を維持する必要がある」 「インフレの中期的見通しに関する見解が変化している」 「更なる引き締め解除に向けては、段階的かつ慎重なア プローチが引き続き適切」 「ディングラ委員とテイラー委員が0.50%引き下げを支 持」 「マン委員とピル委員が据え置きを主張」 「国内の物価・賃金圧力のデフレーションは概ね継続」 「英国の基調的なGDP成長は24年半ばから鈍化し、労 働市場は緩和を続けている」 「世界経済の成長見通しは弱まっているが、英経済成長 とインフレに対するマイナスの影響は小さくなる可能性」 「1年後のCPI予測は+2.4%(前回は2.6%)」 「2年後のCPIは+1.9%(前回は2.2%)」 「3年後のCPIは+1.9%」 「2026年GDP予測は+1.3%(前回は+1.5%)」 「2027年GDP予測は+1.5%(前回は+1.4%)」 8日20:38ベイリー英中銀(BOE)総裁 「英国のディスインフレは継続している」 「政策金利は自動操縦ではない」 「インフレ圧力は徐々に緩和する見込み」 9日00:06ラトニック米商務長官 「英国に対する10%関税は残る」 「英国との合意は米農産物と機械にアクセス解放」 9日00:33マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総 裁 「米加貿易協定が締結すれば経済への最も直接的なリ スクを取り除くだろう」 「関税は撤廃されたとしても、永続的な影響をもたらす」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=転換線を追うように上昇し始め基準線も抜け上伸>
大陽線引け。上昇傾向の一目均衡表・転換線144.08 円を
追うように水準を切り上げ始め、同線を上抜けた。勢いづい
て、144.59 円に位置していた一目・基準線の抵抗もこなし4
月10 日以来の高値146.18 円まで上伸した。
大幅続伸で久しぶりの高値圏へ上昇したことに対する相
応の反動も念頭に置いて臨むべきだが、日足ベースで抵抗と
なるような主だった上方向のテクニカル指標は特に目立た
ない。下押しがあっても適度にとどめ、上値を試す流れを想
定する。
レジスタンス2 147.35(2/12-4/22 下落幅の半値戻し)
レジスタンス1 146.54(3/11 安値)
前日終値 145.91
サポート1 145.14(5/8 レンジ61.8%水準)

<ユーロドル=戻り余地なくなった転換線が抵抗となりそう>
陰線引け。1.13 ドル前半で低下傾向の一目均衡表・転換線
付近から下放れ、4 月11 日以来の安値1.1212 ドルまで下落
した。下振れは1.1189 ドルに位置していた一目・基準線手
前にとどまったものの、本日早朝は1.1228 ドルに切り上が
った同線を下回って推移する場面もあった。基準線前後の攻
防からの戻りを期待するが、昨日の下落で戻す余地がなくな
った転換線1.1317 ドルが抵抗となりそうだ。
レジスタンス1 1.1317(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.1228
サポート1 1.1135(ピボット・サポート2)

<ユーロ円=転換線を抜けて上昇も状態不安定>
大陽線引け。一目均衡表・転換線163.12 円を上抜けて一
時163.91 円と5 日以来、3 日ぶりの164 円回復をうかがう展
開となった。ただ、上抜けた転換線はまだ低下余地を残して
おり、下押し局面での支えとなるかどうか不確かな面もあっ
て状態は不安定。162.95 円前後で推移する5 日移動平均線が
上昇へ転じて支えとなってくるか見定めたい。
レジスタンス1 164.63(5/2 高値)
前日終値 163.82
サポート1 163.02(5/7 高値)

<豪ドル円=低下した雲を上回る格好に>
陽線引け。一目均衡表・転換線92.09 円付近の底堅さを背
景とした上昇で、一目・雲の抵抗を試す展開となった。本日
は93.09 円へ切り下がった雲の上限を上回る格好となった。
雲の低下を追うような調整も想定しておきたいが、現水準
92.09 円から92 円後半へ切り上がる見込みの転換線がやがて
支えになってくるだろう。
レジスタンス1 94.26(90 日移動平均線)
前日終値 93.38
サポート1 92.33(5/8 安値)

