デイリーレポート 2023年9月5日

September 5, 2023

【前日の為替概況】ドル円、レーバーデー休場の中で 146.50 円まで上昇

4 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は 146.47 円と前営業日 NY 終値(146.22 円)と 比べて 25 銭程度のドル高水準だった。欧州時間に円安・ドル高が進んだ流れを引き継いで、一時 146.50 円と日通し高値を付けた。ただ、米国市場がレーバーデーで休場となったため、一本調子で上昇する展開 にはならなかった。8 月 30 日の高値 146.54 円や 8 月 29 日に付けた年初来高値 147.37 円がレジスタンス として意識された面もあった。

ユーロドルは 3 営業日ぶりに反発。終値は 1.0796 ドルと前営業日 NY 終値(1.0780 ドル)と比べて 0.0016 ドル程度のユーロ高水準だった。欧州時間に一時本日高値となる 1.0809 ドルまで買われた影響が残った。 ただ、欧州株相場の失速や時間外のダウ先物の下落に伴うユーロ売り・ドル買いが出ると、24 時前には 一時 1.0783 ドル付近まで下押しした。

なお、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は講演で「我々は記録的なペースで金利を引き上げてきた。 インフレ率を中期目標である 2%へと適時に戻す」などと述べたものの、来週 14 日の定例理事会で金利 を引き上げるかどうかについては言及を避けた。

ユーロ円も 3 日ぶりに反発。終値は 158.13 円と前営業日 NY 終値(157.58 円)と比べて 55 銭程度のユ ーロ高水準。22 時 30 分前に一時 158.25 円と日通し高値を付けたものの、そのあとは 158 円台前半での もみ合いに転じた。米国市場が休場となる中、市場参加者が減少し商いは低調だった。

南アフリカランドは軟調だった。プラチナ価格の下落を受けて世界最大の産出量を誇る同国の通貨ラン ドに売りが出た。対円では一時 7.65 円と 8 月 21 日以来の安値を付けたほか、対ドルでは 19.1423 ランド と 8 月 18 日以来の安値を更新した。

【本日の東京為替見通し】豪ドル、豪準備銀行(RBA)の政策金利や声明文に要注目か

本日の東京外国為替市場のドル円は、中国の 8 月 Caixin サービス業 PMI を受けた人民元(CNH)円の動 向や豪準備銀行(RBA)理事会の金融政策を受けた豪ドル円の動向に注目する展開が予想される。

10 時 45 分に発表される 8 月 Caixin 中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は 53.5 と予想され ており、7 月の 54.1 からの悪化が見込まれている。中国は不動産市場発の景況感悪化が警戒されており、 政策金利の引き下げが断行されている。ネガティブサプライズを受けた上海株式市場や人民元の動向に警 戒しておきたい。

13 時 30 分に発表される豪準備銀行(RBA)理事会の政策金利は、+0.25%の利上げ予想もあるものの、 大半は 4.10%での据え置き予想となっている。

7 月の豪消費者物価指数(CPI)は前年比+4.9%と発表され、6 月の同比+5.4%から大幅に低下した。住 宅価格が 7.3%、アルコール飲料を除く食品が 5.6%上昇したものの、燃料価格が 7.6%低下したことが インフレ率低下に寄与したとのことである。

メインシナリオは、政策金利据え置き、声明文ではサプライズ無しだが、可能性が低いリスクシナリオ としては、タカ派寄り、あるいはハト派寄りの声明文に警戒しておきたい。

豪準備銀行(RBA)の元国内市場担当者であるジョナサン・カーンズ氏は、先週、豪政策金利はピーク 水準近辺にあり、恐らく 2024 年中はその水準で維持されるとの見方を示した。

ドル円は、昨年 9 月 22 日の本邦通貨当局による第 1 弾ドル売り・円買い介入が実施された 145 円台を 上回り、10 月 24 日の第 3 弾円買い介入が実施された 147 円台まで上昇している。しかし、これまでの所 は、本邦通貨当局は口先介入に留まっているため、円買い介入の実施水準は、昨年 10 月 21 日に第 2 弾の 円買い介入が実施された 150 円台まで引き上げられているのかもしれない。本邦通貨当局による円安への 対応は、これまでの所、「望ましくない、注視する」という口先介入に留まっており、「適切、断固たる措 置をとる」といった介入の可能性を警告する段階ではないことも、円買い介入への警戒感を後退させてい る。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:30 ◇ 7 月家計調査(消費支出、予想:前年比▲2.5%)

<海外>

○08:01 ◇ 8 月英小売連合(BRC)小売売上高調査

○10:30 ◇ 4-6 月期豪経常収支(予想:80 億豪ドルの黒字)

○10:45 ◎ 8 月 Caixin 中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:53.5)

○13:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表(予想:4.10%で据え置き)

○16:50 ◎ 8 月仏サービス部門 PMI 改定値(予想:46.7)

○16:55 ◎ 8 月独サービス部門 PMI 改定値(予想:47.3)

○17:00 ◎ 8 月ユーロ圏サービス部門 PMI 改定値(予想:48.3)

○17:30 ◎ ビスコ伊中銀総裁、講演

○17:30 ◎ 8 月英サービス部門 PMI 改定値(予想:48.7)

○18:00 ◎ 7 月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.6%/前年比▲7.6%)

○18:30 ◎ 4-6 月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比 0.1%/前年同期比 1.1%)

○21:30 ◎ シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、パネルディスカッションに参加

○23:00 ◎ 7 月米製造業新規受注(予想:前月比▲2.5%)

○東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議(ジャカルタ)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

4 日 06:59 バイデン米大統領

「習中国主席の G20 出席見送りは残念」

4 日 16:37 シムシェキ・トルコ財務相

「インフレを低下させるには時間がかかる。忍耐が必要」

4 日 22:37 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁

「ユーロ圏は非常にインフレが高過ぎる状況」

「中央銀行がインフレ期待をしっかりと抑え続けることが 重要」

4 日 22:38 プーチン露大統領

「トルコとの協議は建設的だった」

「ロシアとトルコは貿易を巡りルーブルとリラの使用を増 加」

4 日 22:52 エルドアン・トルコ大統領

「黒海経由の穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)の復 活についてプーチン露大統領と話し合った」

「黒海イニシアティブについて近いうちに解決策が合意 されると信じている」

4 日 23:00 ナーゲル独連銀総裁

「ECB の使命は物価の安定であり、銀行を喜ばせること ではない」

「最低準備金への付利金利を廃止する政策的理由があ った」

「インフレはなお高すぎる」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。2 手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 148.40(2022/11/4 高値)
レジスタンス 2 148.40(2022/11/4 高値)
レジスタンス 1 147.37(8/29 高値)
前日終値 146.47
サポート 1 145.91(日足一目均衡表・転換線)
サポート 2 144.04(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。2 手連続陰線の後、孕み線で反発したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。 本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 1.0856(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0796
サポート 1 1.0667(6/6 安値)

<ユーロ円=8/30 高値を抵抗に戻り売りスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。しかし、2 手連続陰線の後に反発したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。 本日は、転換線 158.41 円を念頭に置き、8 月 30 日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 159.76(8/30 高値)
前日終値 158.13
サポート 1 157.65(日足一目均衡表・基準線)

<豪ドル円=雲の上限を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。しかし、抱き線で反発して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は、雲の上限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 95.81(8/1 高値)
前日終値 94.65
サポート 1 94.08(日足一目均衡表・雲の上限)