デイリーレポート 2023年9月14日

September 14, 2023

【前日の為替概況】ドル円 147.73 円まで上昇、米 8 月 CPI+3.7%で 10 年債利回りが 4.34%台へ

13 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は 147.46 円と前営業日 NY 終値(147.08 円)と比べて 38 銭程度のドル高水準だった。ただ、NY 市場に限れば一進一退の展開となった。米労働省が発表した 8 月米消費者物価指数(CPI)は前年比で 3.7%上昇と予想の 3.6%上昇を上回り、2 カ月連続で加速。全般ドル買いが先行し、一時 147.73 円と日通し高値を付けた。

ただ、エネルギーと食品を除くコア指数は前年比 4.3%上昇と 7 月の 4.7%上昇から減速し、市場予想通りとなった。米連邦準備理事会(FRB)が 19-20 日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るとの見方が意識され、ドル買いの勢いは徐々に後退した。2 時 30 分前には 147.17 円付近まで下押しした。もっとも、引けにかけては再び強含み、4 時 30 分過ぎには 147.51 円付近まで値を戻した。市場では「米インフレ率は FRB の目標をなお大きく上回ったまま。今月の FOMC では利上げを見送り、11 月か 12月に追加利上げに踏み切る選択肢を残しておく可能性が高まった」との声が聞かれた。

ユーロドルは 4 営業日ぶりに反落。終値は 1.0730 ドルと前営業日 NY 終値(1.0754 ドル)と比べて 0.0024ドル程度のユーロ安水準。米インフレ指標発表直後には 1.0711 ドルと日通し安値を付けたものの、22 時前には 1.0761 ドル付近まで値を戻した。ただ、買い戻しが一巡すると再び弱含み、引けにかけては 1.0728ドル付近まで押し戻された。明日 14 日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を前に様子見ムードが強まり、狭いレンジでの取引に終始した。

ユーロ円は小幅ながら続伸。終値は 158.22 円と前営業日 NY 終値(158.18 円)と比べて 4 銭程度のユーロ高水準。ドル円とユーロドルがもみ合いとなったことで、ユーロ円も大きな方向感が出なかった。

【本日の東京為替見通し】ドル円は底堅い展開か、148 円台では円買い介入の可能性に要警戒

本日の東京外国為替市場のドル円は、米 8 月の CPI が前年比+3.7%の上昇だったことで底堅い展開が予想されるものの、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には要警戒か。来週 19-20 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での判断材料となるデータは、8 月の失業率は 3.8%へ上昇していたことで据え置き要因、8 月の CPI は前年比+3.7%上昇していたことで利上げ要因、一方でコア CPI の伸び率鈍化は据え置き要因となる。また、パウエル FRB 議長が注視しているスーパーコア(※住居費を除くサービス業の価格動向)が、前月比+0.36%だったことは、利上げ要因となる。

パウエル FRB 議長は、ジャクソンホール講演で、「適切であればさらに金利を引き上げる用意がある。インフレ率が 2%に持続的に低下すると確信できるまで、金利を引き締め寄りな水準に据え置く」と述べていた。7 月の FOMC の議事要旨では、「インフレに著しい上振れリスクがあり、金融政策の追加引き締めが必要になり得るとの認識を大半の参加者は引き続き示した」ことが判明している。

しかしながら、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが FF 金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、来週の FOMC では、約 97%程度の確率で金利据え置きを示唆している。また、米ウォールストリート・ジャーナルの FED ウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は、10 日付の記事で、「FRB は利上げに慎重になりつつある」との見解を示している。

来週の FOMC での利上げの有無は依然として不透明であるものの、ドル円が思惑的に 148 円台に乗せた場合は、本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性が高まることで警戒しておきたい。

ドル円の先週の高値は 147.87 円までだったが、6 日には、神田財務官が、急激な為替変動が続いた場合は「あらゆる選択肢」を排除せず、適切に対応するとの見解を示していた。8 日には、鈴木財務相が「為替市場の動向を高い緊張感を持って注視。過度な変動にはあらゆる選択肢を排除せず対応する」と円安を牽制していた。そして、9 日の新聞のインタビュー記事では、植田日銀総裁も、年末までのゼロ金利解除の可能性に言及することで、円安を牽制していた。植田日銀総裁は、イールドカーブコントロール(YCC)の運用柔軟化の理由に、為替市場のボラティリティー抑制を挙げており、148 円が本邦通貨当局の防戦ラインである可能性が示唆されている。

昨年秋の 3 回の円買い介入の実施時間帯は、9 月 22 日が 17 時 30 分過ぎ、10 月 21 日が 23 時 30 分過ぎ、10 月 24 日は 8 時 30 分過ぎに行われ、価格水準は、ボラティリティー抑制の名目を裏付けるように、ボリンジャー・バンドの+2σ付近だった。現時点の+2σ水準は、148.17 円付近に位置している。

10 時 30 分に発表される 8 月豪雇用統計の予想は、失業率が 3.7%、新規雇用者数が+2.30 万人と見込まれている。RBA は声明文の中で「金融政策の決定を下す際にインフレと労働市場の見通しに引き続き細心の注意を払う」と表明していたことで要注目か。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

○08:50 ◎ 7 月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比▲0.9%/前年比▲10.7%)

○13:30 ◇ 7 月鉱工業生産確報

○13:30 ◇ 7 月設備稼働率

<海外>

○08:01 ◇ 8 月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:▲56)

○10:30 ◎ 8 月豪雇用統計(予想:失業率 3.7%/新規雇用者数 2.30 万人)

○15:00 ◎ 8 月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.2%/前年比 7.7%)

コア指数(予想:前月比 0.1%/前年比 4.9%)

○15:30 ◇ 8 月スイス生産者輸入価格

○21:15 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:4.25%で据え置きと 4. 50%に引き上げで拮抗)

○21:30 ◇ 7 月カナダ卸売売上高(予想:前月比 1.4%)

○21:30 ☆ 8 月米小売売上高(予想:前月比 0.2%/自動車を除く前月比 0.4%)

○21:30 ◎ 8 月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比 0.4%/前年比 1.2%)

◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比 0.2%/前年比 2.2%)

○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5 万件/169.5 万人)

○21:45 ☆ ラガルド ECB 総裁、定例記者会見

○23:00 ◇ 7 月米企業在庫(予想:前月比 0.1%)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

13 日 12:48 鈴木財務相

「今後とも経済・物価・市場動向を把握し、的確に対応」

「長期金利は、経済財政状況や海外市場動向を背景に 市場においてきまるもの」

「日銀に与えられた責務をしっかり果たしていただけるこ とを期待」

「経済対策の内容・規模については、まさにこれから」

13 日 19:41 岸田首相

「月内に経済対策の柱建てを閣僚に指示」

「デフレからの脱却を確実なものにしていく」

「物価上昇率プラス数パーセントの賃上げを実現する」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。2 手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 148.40(2022/11/4 高値)
レジスタンス 1 147.87(9/7・8 高値)
前日終値 147.46
サポート 1 146.89(日足一目均衡表・転換線)
サポート 2 145.59(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロドル=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。3 手連続陽線の後、抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。本日は、転換線 1.0748 ドルを念頭に置き、基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 1.0876(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0730
サポート 1 1.0635(5/31 安値)

<ポンド円=9/5 高値を抵抗に戻り売りスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回っているものの、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開。しかし、4 手連続陽線でも転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。本日は、転換線 184.24 円を念頭に置き、5 日高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 185.78(9/5 高値)
前日終値 184.20
サポート 1 182.69(9/11 安値)

<NZ ドル円=雲の下限を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。2 手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。本日は、87.28 円まで上昇している雲の上限や横ばいの転換線 86.81 円を念頭に置き、雲の下限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 88.60(8/1 高値)
前日終値 87.23
サポート 1 86.61(日足一目均衡表・雲の下限)