デイリーレポート 6月25日
June 25, 2025
【前日の為替概況】ドル円、4日ぶり反落有事のドル買い解消進行
24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反落。終値は144.94円と前営業日NY終 値(146.15円)と比べて1円21銭程度のドル安水準だった。イスラエルとイランの停戦合意の報を受け て、「有事のドル買い」の解消が進行。6月米消費者信頼感指数が93.0と予想の99.5を下回ったことも ドル売りを促した。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米下院金融サービス委員会で「インフレが低下し労働市場が 軟化した場合、利下げ前倒しの可能性も」「インフレ率は予想ほど強くない可能性がある」などと発言す ると、米長期金利の低下とともに全般ドル売りが活発化。23時30分前に一時144.51円と日通し安値を 更新した。米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.2827%前後と5月8日以来の低水準を付け た。市場では「パウエルFRB議長の証言中、金融市場では米債利回りが低下し、ドルが下落。年内少なく とも2回の利下げに対する織り込みがやや強まった」との声が聞かれた。
なお、パウエルFRB議長は議会証言の事前原稿で「関税の引き上げはインフレ率を押し上げ、経済活動 を圧迫する可能性が高い」「FRBは政策調整を行う前に、経済の動向をより深く見極めるのに適した状況 にある」と従来の考えを強調。利下げを急がない方針を改めて示していた。また、質疑応答では「関税政 策のインフレへの影響は6月と7月のデータに出始めるだろう」「データは関税の少なくとも一部が消費 者に打撃を与えることを示唆」との考えを示した。為替については「ドルは長期にわたって準備通貨であ り続ける」「ドル下落のシナリオは時期尚早」などと語った。
ユーロドルは4日続伸。終値は1.1609ドルと前営業日NY終値(1.1578ドル)と比べて0.0031ドル程 度のユーロ高水準だった。欧州時間発表の6月独Ifo企業景況感指数が予想を上回ったことを受けてユー ロ買い・ドル売りが先行。NY市場に入ると、低調な米経済指標やパウエルFRB議長の発言を手掛かりに 全般ドル売りが優勢になり一時1.1641ドルと2021年10月以来の高値を更新した。その後の下押しも 1.1605ドル付近にとどまった。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時97.71まで低下した。
ユーロ円は4日ぶりに反落。終値は168.26円と前営業日NY終値(169.20円)と比べて94銭程度のユ ーロ安水準。ドル円の下落につれた売りが出て一時167.92円まで値を下げたものの、NY市場に限れば狭 い範囲での推移にとどまった。ドル相場となったためユーロ円自体は方向感が出にくい状況だった。
【本日の東京為替見通し】中東情勢に注意を払いつつ、日米金融当局者の発言に注目
本日の東京時間では、ドル円は引き続き中東情勢の行方に注意を払いながら、日米金融当局者の発言の ほか、株価や時間外の米長期金利の動向を確認することになるか。
昨日はトランプ米大統領が「イスラエルとイランの間で、完全かつ全面的な停戦が合意された」などと 発言すると、中東情勢に対する過度な懸念が後退。これまで「有事のドル買い」で買われたドル円は売り 戻しが優勢となった。その後イスラエルとイランの停戦が日本時間13時から発効したことも、ドルの売 り戻しを後押しした。前週末から7月利下げに言及するFRB高官の発言が相次いだほか、パウエルFRB 議長からも利下げ前倒しの可能性について言及したことで、本日の東京市場でもドルが売られやすい地合 いを引き継いで推移することが予想される。
ただ、市場のリスク回避ムードの緩和は株高要因であり、昨日はダウ平均が終値で約3カ月半ぶり高値 となるなど米株は主要3指数がそろって上昇している。この流れを引き継いでアジア株が上昇するような らば、リスク・オンの流れの中でクロス円に連れてドル円も値を上げる展開もあり得る。そのほか、中東 情勢が再び緊迫化する場合は「有事のドル買い」再開に備えておきたいところ。
国内では、日銀金融政策決定会合における主な意見(6/16-17開催)が公表される。今回は長期国債の 買い入れペースの縮小が決定されたが、どのような議論がなされたか気になるところ。
また、田村日銀審議委員の発言機会が予定されている。同委員は16-17日に開催された日銀金融政策決 定会合にてただ一人、長期金利の形成は市場と市場参加者に委ねるべきであるとして、2027年1-3月ま で月間の買入れ予定額を原則として毎四半期4000億円程度ずつ減額する議案を提出(反対多数で否決) した。政策委員会の中でタカ派とされる同氏が今後の金融政策について言及があれば確認しておきたい。 他方、豪州では5月消費者物価指数(CPI)が発表予定。市場予想は前年比+2.3%と前月+2.4%よりわ ずかな伸びの鈍化が見込まれている。7月に豪準備銀行(RBA)理事会を控える中、予想よりも弱い結果 となれば豪ドル相場の重しとなる事も考えられる。
そのほか、豪CPIの少し前にはタカ派とされるシュミッド米カンザスシティー連銀総裁の講演も予定さ れている。先週末から7月利下げについての言及が相次ぐ一方、昨日同じくタカ派とされるハマック米ク リーブランド連銀総裁は「政策金利は当面の間、据え置かれる可能性」との見方を示すなど、FRB内でも 次の一手についての見方が分かれている様子。どのような見通しを示すか確認しておきたい。
【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 5 月企業向けサービス価格指数(予想:前年比3.1%)
○08:50 ◇ 日銀金融政策決定会合における主な意見(6 月16-17 日分)
○10:00 ◇ 田村直樹日銀審議委員、あいさつ
○14:00 ◇ 4 月景気動向指数改定値
<海外>
○09:15 ◎ シュミッド米カンザスシティー連銀総裁、講演
○10:30 ◎ 5 月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比2.3%)
○15:45 ◇ 6 月仏消費者信頼感指数(予想:89)
○17:45 ◎ ロンバルデリ英中銀(BOE)副総裁、講演
○20:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数
○23:00 ☆ 5 月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲6.7%/69.4 万件)
○23:00 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米上院銀行委員会で金融政策や経済情勢に関する半
期に一度の証言
○23:30 ◇ EIA 週間在庫統計
○26 日02:00 ◎ 米財務省、5 年債入札
○北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(オランダ・ハーグ、最終日)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
24日07:08トランプ米大統領
「イスラエルとイランの間で、完全かつ全面的な停戦が 合意された」
「約6時間後、両国が現在進行中の最終任務を完了し た時点で発効」
「停戦は12時間続き、その時点で戦争は終結したと見 なされる」
「イランがまず停戦を開始し、12時間後にイスラエルが 停戦を開始、24時間後には『12日間戦争』の公式な終 結」
24日14:11
「停戦は発効した。どうか破らないでほしい」
「本来なら少なくとも2-3%は金利を下げるべきだ」
「議会にはこの非常に愚かで頑固な人物(パウエルFRB 議長)をしっかり問い詰めてもらいたい」
「我々は彼(パウエルFRB議長)の無能のツケを何年も 払い続けることになるだろう」
24日19:48
「イスラエルとイランは共に停戦協定に違反した」
「イスラエルにもイランにも満足していない」
24日22:27
「中国は今後、イランから原油の購入を継続できる」
「願わくば、米国からも十分な量を購入してくれるだろう」
24日07:22ヴァンス米副大統領
「トランプ大統領と共に停戦合意の実現に取り組んでい る」
「イランが核開発計画を再構築しないことを望んでおり、 長期的な解決策の構築を目指す」
「今後数時間は国際的な承認を巡るさらなる調整が続く 見込み」
「最大の懸念は、イランのウラン濃縮度が60%から90% に達するかどうか」
24日09:53アラクチ・イラン外相
「現時点ではいかなる停戦合意もない」
「軍事作戦に関する最終決定は後ほど行う」
「イスラエルが攻撃を停止すれば、我々も対応を続ける つもりはない」
24日10:37林官房長官
「参院選は7月3日公示・20日投開票を決定」
24日11:45イスラエル軍
「安全上の事案は終了。シェルターから退避しても構わ ない」
24日13:06ビルロワドガロー仏中銀総裁
「市場の混乱があっても、ECBは依然として利下げが可 能」
「ECBの金利は中立水準に戻った」
「中立金利は最終的な金利ではない」
「原油価格だけでは反応方針を決める十分な指標には ならない」
24日15:21ネタニヤフ・イスラエル首相
「イランとの停戦に同意した」
「イランの核と弾道ミサイルの脅威を取り除く目標を達 成」
24日18:43グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委 員
「利下げについては慎重かつ段階的なアプローチが引 き続き必要」
「リスクは両サイドあるが、経済成長に関しては下振れ、 インフレについては上振れリスクに傾いている」
「最近のインフレ率の上昇を考慮すると、物価安定が最 優先事項」
24日19:13ボスティック米アトランタ連銀総裁
「物価上昇が予想される中で利下げを急ぐ必要はない」
「年後半に0.25%の利下げを予想」
「今年の経済成長率は1.1%に減速し、インフレ率は 2.9%に上昇する見込み」
24日20:47デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「基調的なディスインフレの流れは、原油価格の上昇に も関わらず変わっていない」
24日21:39パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長(議 会証言原稿)
「関税の引き上げはインフレ率を押し上げ、経済活動を 圧迫する可能性が高い」
「最終的な関税の水準が影響を左右する」
「FRBの責務はインフレ期待を安定させ、一時的な物価 上昇が継続的なインフレ問題に発展するのを防ぐこと」
「インフレ率は目標の2%をやや上回っている」
「長期的なインフレ期待は2%の目標と整合的」
「FRBは政策調整を行う前に、経済の動向をより深く見 極めるのに適した状況にある」
24日23:22
「インフレが低下し労働市場が軟化した場合、利下げ前 倒しの可能性も」
「FRBが関税についてコメントするのは不適切」
「インフレ率は予想ほど強くない可能性がある」
「中東の緊張が経済に与える影響を判断するのは時期 尚早」
「状況は変化しており、我々の考え方もそれに適応して きた」
「金利の動向は経済の動向次第」
「FRBはインフレに対して慎重な姿勢を維持」
「経済が好調な状況では、利下げを急ぐ必要はないと考 えている」
「利下げの具体的な会合については言及を避けたい」
「インフレが抑制されれば、早期の利下げも可能」
「FRBを去る間に経済が好調であることを望んでいる」
「6月と7月の数字で関税インフレが見られるだろう」
「データは関税の少なくとも一部が消費者に打撃を与え ることを示唆」
「ドルは長期にわたって準備通貨であり続ける」
「6月、7月、8月には関税によるインフレ効果が顕著に 現れると予想」
「もしそれが見られなければ、利下げは早期に実施され るだろう」
「FRBは様子見の姿勢」
「関税はインフレへの一時的な打撃となる可能性がある ものの慎重に対応する必要」
「インフレ全体の状況は良好」
24日22:30ハマック米クリーブランド連銀総裁
「政策金利は当面の間、据え置かれる可能性」
「利下げの差し迫った理由は見当たらない」
「政策に関しては、急ぎすぎて間違った判断をするよりも、 ゆっくり正しく判断する方が良い」
「米国経済は堅調な勢いを保っており、雇用市場も今の ところ堅調」
「関税導入は見通しの不確実性を高めている」
24日22:47ラムスデン英中銀(BOE)副総裁
「労働市場の大幅な緩和の累積的な証拠が影響を与え ている」
「中期的にはインフレの下振れリスクをより重視」
「求人件数の減少により、求人数は大幅に減少した」
24日23:06レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主 任エコノミスト
「インフレ目標達成はほぼ完了していることに十分な自 信」
「サービスインフレはまだ道のりが遠い」
24日23:24ベイリー英中銀(BOE)総裁
「英国経済はやや緩んできている」
「労働市場の減速が始まっている」
25日01:50イラン政府
「国際的な枠組みに基づいて問題を解決する用意があ る」
「我々は、国際法の下で公正かつ合理的な合意を求め る」
「イスラエルが国際的な枠組みに基づいて抑制されるこ とを望む」
25日01:54ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「経済成長は今年鈍化する見込み」
「雇用市場は堅調に推移する見込み」
「関税の影響と同様に、不確実性も経済パフォーマンス にとって重要」
「不確実性が解消されれば、経済は活性化するだろう」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=基準線・転換線方向へ戻すことできるか注視>
下影大陰線引け。有事のドル買い解消が進むなか、一目均
衡表・雲の上限145.55 円付近や一目・転換線145.42 円前後
で動きを停滞させる場面を挟みつつも下落が進行した。
144.51 円まで下値を広げたが、144 円半ばで上昇中の21
日移動平均線近辺で下げ渋り145 円手前と、一目・基準線
145.08 円に近づく格好でNY を引けている。本日144.53 円前
後へ小幅に切り上がった21 日線を維持し、基準線回復から
さらに転換線方向へ戻すような底堅さを示すことができる
か注視する場面といえよう。
レジスタンス1 145.92(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 144.94
サポート1 144.34(6/18 安値)
サポート2 143.65(6/16 安値)

<ユーロドル=転換線は頭打ち懸念を払しょく、底堅さ期待>
上影小陽線引け。一時1.1641 ドルと、年初来高値を更新
した。2021 年10 月以来の高値圏で上昇の勢いをいったん落
ち着かせたものの、これまで重かった1.16 ドル台を維持し
てNY を引けている。レンジを切り上げたことで、頭打ちが
懸念された一目均衡表・転換線は1.1544 ドルへ小幅に上昇
して上向きの流れを維持できる見込み。高値更新をうかがう
展開が期待できる
レジスタンス1 1.1692(2021/10/28 高値)
前日終値 1.1609
サポート1 1.1544(日足一目均衡表・転換線)

<ポンド円=高値更新の流れへ回帰できるか注目>
下影小陰線引け。23 日に198.20 円と、1 月7 日につけた
年初来高値198.26 円目前まで上振れた後を受け、調整の下
押しが197 円割れまで進んだ。下ひげを形成する格好で下げ
渋っており、上昇中の5 日移動平均線を上回る水準を維持。
本日196.94 円前後で推移する5 日線を引き続き維持し、高
値更新の流れへ回帰することができるか注目となる。
レジスタンス1 198.26(1/7 高値=年初来高値)
前日終値 197.31
サポート1 196.55(ピボット・サポート2)

<NZ ドル円=転換線の動向は不安定な相場つきを示唆>
上影小陰線引け。相場の強弱を判断する上での分岐点200
日移動平均線87.60 円付近で戻りが鈍い。上昇余地を残す一
目均衡表・転換線86.92 円を上回るレンジを維持しているが、
現状からすれば同線は今週末に87.32 円へ切り上がったとこ
ろでいったん頭打ちとなる見込み。転換線の動向は不安定な
相場つきを示唆。底堅いものの振れやすい展開が想定できる。
レジスタンス1 87.70(6/19 高値)
前日終値 87.05
サポート1 86.30(日足一目均衡表・基準線)

