デイリーレポート 2023年9月20日
September 20, 2023
【前日の為替概況】ドル円、反発 米 10 年債利回りが 2007 年 11 月以来の高水準を記録
19 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は 147.86 円と前営業日 NY 終値(147.61 円)と比べて 25 銭程度のドル高水準だった。米 10 年債利回りが一時 4.3667%前後と 2007 年 11 月以来の高水準を記録すると円売り・ドル買いが優勢となった。アジア時間の高値 147.89 円を上抜けて一時 147.92円と日通し高値を更新した。ただ、15 日に付けた年初来高値 147.95 円がレジスタンスとして意識されるとやや伸び悩んだ。
ユーロドルは 3 営業日ぶりに反落。終値は 1.0679 ドルと前営業日 NY 終値(1.0692 ドル)と比べて 0.0013ドル程度のユーロ安水準だった。独長期金利の上昇などを手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行。21時 30 分前に一時 1.0718 ドルと日通し高値を更新した。19-20 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にポジション調整目的の買いも入った。
ただ、買い戻しはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出ると、4 時 30 分前に 1.0676 ドル付近まで押し戻された。
ユーロ円は小幅ながら続伸。終値は 157.90 円と前営業日 NY 終値(157.82 円)と比べて 8 銭程度のユーロ高水準。21 時 30 分前に一時 158.28 円と本日高値を付けたものの、そのあとは 157.81 円付近まで押し戻された。ユーロドルにつれた動きとなった。
【本日の東京為替見通し】148 円窺う局面も FOMC 待ちで値動き限られるか、中国 LPR に要注目
本日のドル円も底堅さを維持し、148 円をうかがう局面があるかもしれないが、本日米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利並びに経済・金利見通し(ドットチャートを含む)の公表などを控えていることで、値動きは限られたものになるか。
昨日、ユーロドルが 1.0700 ドル台を上抜けたように、FOMC を前にドル円も目先の短期的なストップロスをつけ、148 円台を狙いにいく場面もありそうだ。しかしながら、FOMC の経済・金利見通しが 6 月時点と比較し、どの程度変化があるのか、またパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が会見でどのような見解を示すのかが、今回は非常に読みにくいこともあり、一方的に為替市場が動くのは考えにくい。仮に148 円を突破した場合でも、為替介入警戒感や、22 日の日銀政策決定会合を控え、昨年 11 月に付けた148.40 円台までドルを持ち上げるのも難しく、小幅な上昇に留まると予想する。
本日から大きなイベント(中銀の各国政策決定会合)が続くことで、アジア時間に敢えて大きなリスクを取る地合いにはなりにくいだろう。しかしながら、本日は中国が 1 年物と 5 年以上物の最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)を発表することには注目したい。8 月は 1 年物 LPR を引き下げたが、住宅ローン金利の目安である 5 年超 LPR が据え置かれ、市場は失望感から株が軟調に動き、リスク回避に敏感なオセアニア通貨が弱含んだ。人民元取引の基準値公表とほぼ同時刻に発表され、香港・中国株式市場が寄り付く直前ということもあり、LPR 発表から中国株式市場が始まる数十分の間は中国をめぐる値動きが、円を含め多くの通貨に影響を与えることになりそうだ。
なお、本日は本邦から 8 月の貿易統計が発表される。8 月は資源価格の高騰もあり、7 月よりも赤字幅が大幅に拡大する予想となっている。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 8 月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前 6591 億円の赤字、季節調整済 4425 億円の赤字)
<海外>
○15:00 ◇ 8 月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比 0.2%)
○15:00 ◎ 8 月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.7%/前年比 7.0%)
○15:00 ◎ 8 月英 CPI コア指数(予想:前年比 6.8%)
○15:00 ◇ 8 月英小売物価指数(RPI、予想:前月比 0.8%/前年比 9.3%)
○17:00 ◎ 8 月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.3%/前年比 4.8%)
○18:00 ◇ 7 月ユーロ圏建設支出
○20:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数
○20:00 ◇ 7 月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲1.2%)
○21:30 ◎ エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:30 ◇ EIA 週間在庫統計
○21 日 03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:5.25-5.50%で 据え置き)
○21 日 03:00 ◎ FOMC、経済・金利見通し発表
○21 日 03:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○21 日 06:30 ☆ ブラジル中銀、政策金利発表(予想:12.75%に引き下げ)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
19 日 10:37 豪準備銀行(RBA)議事要旨
「0.25%の利上げも検討したが、据え置き論拠が強いと いう判断」
「インフ率は現在の 6%から 24 年末にかけて約 3.25%に減 速し、25 年後半には 2-3%の目標帯に達する予測」
「引き締め政策の全体的な影響をより詳細に評価するた め、時間をかける必要があると認識」
「経済データと見通しへの影響、リスクが判断の指針に」
「中国経済の下向きリスクが拡大している」
「金融政策のさらなる引き締めが必要となる可能性があ るとの認識で一致」
「8 月に燃料価格が急騰し、第 3 四半期のヘッドラインイ ンフレが加速される可能性」
「労働市場が依然としてひっ迫しているが、転換点に達 している可能性が指摘」
「一部の委員は、経済が予想よりも急激に減速するリス クがあると指摘」
「複数の委員、前回会合以降、政策金利のピークに対す る市場の予想が低下していると指摘」
19 日 10:42 西村経済相
「金利高を乗り越えていける企業体制が重要」
19 日 11:01 岸田首相
「米経済関係者に向けて、日本の経済金融に対する取 り組みをアピールするスピーチを予定」
19 日 15:50 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「欧州中央銀行(ECB)は金利を必要な限り長く 4%に維 持する」
「4%の金利は適切な水準」
「金利がどの程度の期間 4%に留まるかは断言できな い」
19 日 23:38 バイデン米大統領
「米国は中国とのデカップリングではなくデリスクに賛 成」
「中国との競争を責任を持って管理したい」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=転換線近辺まで 21 日線上昇、しっかりした支えに>
小陽線引け。一目均衡表・転換線 146.93 円を下値に控えるなか底堅い推移が続き、148 円回復をうかがう状況となっている。21 日移動平均線も 146.87 円前後と転換線近辺まで上昇して同水準付近のサポートがよりしっかりしてきた。下値も13・14 日安値が付近に位置する 147 円前後にとどまりそうな様相。米金融政策の結果など材料次第ではあるが、高値更新をうかがう流れが続いている。
レジスタンス 1 148.45(2022/11/3 高値)
前日終値 147.86サポート 1 147.02(9/13・14)
サポート 2 146.44(9/12 安値)
<ユーロドル=転換線を上回る場面あったが押し返される>
上影陰線引け。一時 1.0718 ドルと、一目均衡表・転換線1.0701 ドルを上回る場面もあったが押し返され、1.0680 ドルで引けた 5 日移動平均線を追うように下落した。本日1.0671ドル前後へ切り下がる 5日線付近で重い動きが続きそう。直近の下値節目である 14 日安値 1.0632 ドルの下抜けを試す展開を想定する。
レジスタンス 1 1.0752(9/14 高値)
前日終値 1.0679
サポート 1 1.0608(3/17 安値)
<ポンド円=転換線付近で重い動きが続きそう>
陽線引け。183.49 円までじり高となったが、一目均衡表・転換線を前に頭打ちとなった。本日 183.49 円へ低下した転換線付近が引き続き重そう。同線は今後も低下が続く見込み。同線を重しとしたさえない推移が強いられそうだ。
レジスタンス 1 183.92(9/15 高値)
前日終値 183.23
サポート 1 182.52(9/14 安値)
<NZ ドル円=深押しあっても転換線などが支え>
陽線引け。本日早朝には一時 87.87 円と、8 月 2 日以来の高値を更新する動きが続いている。昨日 87.45 円で引けた 5日移動平均線からややかい離した感もあり、本日 87.45 円前後で推移する同線付近まで調整が入る展開も視野に入れておきたい。ただ、底堅さは大きく損なわれないとみる。下押しが深めになっても、上昇が続く見込みの一目均衡表・転換線 87.13 円も支えになりそうな状態であり、上向きの流れが続くと予想する。
レジスタンス 1 88.22(8/2 高値)
前日終値 87.76
サポート 1 87.13(日足一目均衡表・転換線)