ウィークリーレポート 2025年7月11日
週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円)
July 18, 2025
ドル円、円安基調は変わらず
◆ドル円、財政拡大や日米金融政策維持への期待感から底堅い ◆リスク要因はFRB 議長の解任問題 ◆ユーロドル、ECB は約1 年続いた利下げサイクルを一時停止へ
予想レンジ
ドル円 147.00-152.00 円 ユーロドル 1.1450-1.1800 ドル
7 月21 日週の展望
ドル円は、参院選の結果次第で週明けから大きく動意づく可能性があるだろう。投開票の3 日 前となっても自公与党が過半数割れとなる可能性は一段と高まっており、衆参両院で少数与党と なった場合、野党が推し進める減税に向けて動き出すとの思惑が広がる。すでに今週は超長期債 利回りが大きく上昇し、為替市場では財政拡大を先取りするかたちで円売りが強まっているが、 結果が判明すれば一段と円安が加速することもあり得る。しかも、週明け21 日は東京市場が海の 日で休場であり、薄商いで値が振れやすく、ドル円が大きく上昇するリスクがある事は想定して おいた方が良いだろう。一方で、過半数割れでも石破政権が続投し、減税に消極的な立憲民主党 との連立政権を樹立するようなら円が買い戻されるケースも想定しておきたい。 ただ、ドル円の上昇要因はそれだけではなく、米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ観測、 日銀の利上げ観測がさらに後退していることも挙げられる。今週発表された6 月米消費者物価指 数(CPI)は、衣料品価格など、関税の影響を受けやすいカテゴリの上昇が顕著に見られた。7 月 以降はより一層、関税による物価圧力の影響を大きく受けるとされており、米利下げ観測は一段 と後退している。また、日銀は日米関税交渉の期限となる8 月1 日の前日に決定会合が予定され ており、今回は利上げを見送る公算が大きく、円売り・ドル買いの地合いは継続しそうだ。 リスク要因としては、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任問題だろう。「トランプ米 大統領がFRB 議長の解任を共和党議員らに打診」との報道を米大統領は否定したが、米大統領自 身、FRB 議長解任を望んでいることは明らか。今後も、あらゆる理由を付けて解任に追い込も動 きが出てきた場合は、FRB の独立性を脅かし、ドルの信認問題に発展しそうだ。なお、来週は22 日にFRB 主催のカンファレンスでパウエルFRB 議長のあいさつが予定されている。 ユーロドルは、米長期金利の動向に振らされる神経質な動きが続くとみている。来週は欧州中 央銀行(ECB)理事会が開催されるが、現時点では据え置き予想。2024 年6 月から続いた利下げ サイクルを一時停止することが見込まれている。ラガルドECB 総裁が米関税政策の影響を考慮し た上で次回会合での利下げ再開を示唆するかどうかが注目される。
7 月14 日週の回顧
ドル円は荒い値動き。週明けに146.86 円まで売られたものの、米CPI 後に米長期金利が急上昇 すると買いが優勢に。一時149.18 円と約3 か月半ぶりの高値を付けたが、FRB 議長の解任報道で 一時146.92 円まで急落。米大統領が否定すると反発し17 日には149.09 円まで切り返した。 ユーロドルは一進一退。米金利上昇で1.1563 ドルまで下落した後、FRB 議長の解任報道が相次 ぐと1.1721 ドルまで反転。米大統領による否定で失速すると1.1557 ドルまで値を下げた。(了)
July 18, 2025
豪ドル、雇用統計で利下げ思惑広がる
◆豪ドル、雇用統計で利下げ思惑広がる ◆NZドル、4-6月期CPIに注目 ◆ZAR、中銀総裁はインフレの不透明感を指摘
予想レンジ
豪ドル円 93.50-97.00円 南ア・ランド円 8.10-8.50円
7月21日週の展望
豪ドルはさえない動きとなりそうだ。今週はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任騒動で一時的にドル売りの反応が見られる場面もあったが、その後はすぐにドル買い戻しの流れに戻り、改めてドル買いの強さが確認された。来週もトランプ米大統領の言動に注意する必要があるものの、基本的には豪ドルも対ドルで売りに押される展開が続きそうだ。 また、今週発表された6月豪雇用統計がさえない結果となったことも豪ドルの重しとなるだろう。新規雇用者数や失業率はいずれも市場予想より弱い結果となり、若年層の失業率は9.6%まで上昇した。豪準備銀行(RBA)理事会が前回(7-8日)の会合で指摘していた「労働市場のひっ迫」とは異なる内容となり、市場では「RBAが予想よりも早くタカ派的な姿勢を放棄せざるを得なくなる可能性がある」との思惑が広がっている。RBAが次回(8月11-12日)の理事会で再び利下げに動くかどうかの最終的な判断は今月30日の4-6月期消費者物価指数(CPI)を待つ必要があるが、当面は豪金利先安観が意識されるだろう。なお、金利先物市場では現在、8月理事会での0.25%利下げをほぼ100%程度織り込んだ状態にある。 隣国のニュージーランド(NZ)では、21日に予定されている4-6月期CPIに注目が集まるだろう。NZ準備銀行(RBNZ)のホークスビー総裁は「金利は中立水準に近い」と言及しているが、前回(9日)の声明文では「中期的なインフレ圧力が予想通り緩和し続ける場合、今後さらに政策金利を引き下げる見通し」との見解も示されている。4-6月期CPIが予想比で大きく上振れない限り、次回(8月20日)の会合で追加利下げが決定される可能性が高そうだ。なお、1-3月期CPIは前年比2.5%の上昇と約2年半ぶりに前期の2.2%からインフレが加速している。 南アフリカ・ランド(ZAR)は神経質な展開となりそうだ。来週は23日に6月CPIの発表が予定されている。南アフリカ準備銀行(SARB)のクガニャゴ総裁は今週、「米国の関税政策と中国におけるデフレ傾向が南アフリカのインフレ見通しを不透明にしている」と指摘。市場でも次回(31日)の金融政策決定委員会(MPC)でSARBが金融緩和サイクルを維持するか一時停止するかで意見が分かれており、その直前に発表される今週のインフレデータに注目が集まっている。なお、前月(5月分)は前年比2.8%の上昇となり、SARBのインフレ目標(3-6%)下限を3カ月連続で下回った。
7月14日週の回顧
豪ドルは対ドルで弱含み。全般にドル買いが進んだ影響を受けたほか、豪雇用統計がさえない結果となったことも相場の重しとなった。豪ドル円はドル円の上昇につれて1月以来の高値を更新する場面もあったが、週末にかけては伸び悩んだ。ZARは対ドルで方向感の乏しい動きが続いたが、対円ではドル円の上昇に伴って8.3円台で底堅く推移した。(了)
週間展望・回顧(ポンド、加ドル)
July 18, 2025
ポンド、PMI や小売売上高が重しとなるか
◆週明け、参院選の結果次第で対円では荒い動きに ◆ポンド、7 月PMI や6 月小売売上高が重しとなる可能性 ◆加ドル、米国との通商関係に注視だが、交渉目的に変化も
予想レンジ
ポンド円 197.00-202.00 円 加ドル円 106.00-110.00 円
7 月21 日週の展望
20 日投開票の参議院選挙の結果次第で、ポンドや加ドルは週明けから対円では値幅を伴った荒 い動きに注意したい。注目は、連立政権を組む自民党と公明党が多数派を維持できるかどうか。 与党苦戦のニュースが目立ち、非改選議席と合わせて過半数確保は微妙との見方が広がっている。 参院選の序盤から野党に勢いはあったが、終盤でも支持を着実に固めている。もっとも、野党優 勢は投資家にとっては日本売りを強める材料でもある。前評判の良い党は財政拡張策を掲げてお り、それが財政リスク懸念を高めているからだ。本邦の超長期債相場は軟調な地合いのまま(金 利は上昇基調)、30 年債利回りは過去最高を更新。為替は金利上昇で円高となる局面があるも、 あくまで一時的な動きだ。結局は本邦債売りからの円売りという構図となっている。「選挙は水物」 と言われており、自公民の組織票が土壇場で盛り返すかもしれないが、与党大敗となれば、日本 が祝日の週明け21 日の円相場は週末と違った水準で始まる可能性もあり注意したい。 英国では経済成長の減速懸念が高まるなか、今週は週後半に7 月製造業/サービス部門購買担 当者景気指数(PMI)、6 月小売売上高が発表予定。11 日発表の5 月国内総生産(GDP)や鉱工業生 産は小幅プラスや横ばいと、4 月分からの改善予想から一転してマイナスに沈んだ。財政不安も 高まるなかで下振れた経済指標は、明らかにその後のポンド相場の重しとなっている。今週発表 された6 月消費者物価指数(CPI)は予想外に加速していたものの、3-5 月失業率(ILO 方式)は 4.7%と予想より悪く、約4 年ぶりの高い水準を記録した。6 月インフレ率の上振れで英中銀の利 下げペースが鈍るとの思惑はあるが、深刻な労働市場の冷え込みは無視できない。PMI や小売売 上高がさえないようだと、英金利先安観の強まりでポンドは上がりづらくなるだろう。 カナダでは、24 日に5 月小売売上高が発表され、「自動車を除く前月比」の改善度合いがポイ ントの1 つ。ただし、加ドルにとってより重要なのは、なかなか溝が埋まらない貿易を巡る米加 関係の行方だろう。8 月1 日の追加関税期限が迫るなか、カーニー加首相は関税撤廃を目的とす る交渉の断念を示唆。米国との貿易協定には、カナダ製品への課税受入れを含む可能性が出てき た。ただ、米国に歩み寄り始めた一方で、対米でメキシコと連携する姿勢を見せている。加墨の 両首脳は電話会談で、米政権の関税措置を踏まえ、貿易協力の強化で合意した。この動きが、ト ランプ米大統領の暴走にブレーキをかけることができるのか見定めたい。
7 月14 日週の回顧
ポンド円は全般円安が進むなか199 円後半まで上昇も、9 日高値には届かず失速。パウエルFRB 議長の解任観測報道でドル円が急落すると、つれて198 円を割り込んだ。ただ一巡後は199 円台 まで切り返した。加ドル円は1 月下旬以来の108 円後半まで上値を伸ばしたが、その後の円買い 戻しで107 円前半まで沈んだ。一巡後は108 円台を回復している。ポンドドルは1.35 ドル付近か ら1.3360 ドル台まで下落。加ドルは対ドルで1.37 加ドル半ばまで加ドル安に振れた。(了)