デイリーレポート 8月21日
August 21, 2025
【前日の為替概況】ドル円、FRBの独立性巡る懸念から続落ユーロドルは小反発
20日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。終値は147.33円と前営業日NY終値(147.67円) と比べて34銭程度のドル安水準だった。トランプ米大統領が米住宅ローン契約に関して不正疑惑が出て いるクック米連邦準備理事会(FRB)理事に対して「今すぐに辞任すべき」との見解を示すと、トランプ 氏によるFRBへの圧力が改めて意識され、全般ドル売りが先行。米長期金利の低下も円買い・ドル売りを 促し、24時前に一時146.87円と日通し安値を更新した。米国株相場の失速に伴うリスク回避の円買い・ ドル売りも入った。
ただ、15日の安値146.74円や一目均衡表雲の上限146.30円がサポートとして働くと下げ渋った。FRB が公表した7月29日-30日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で「過半数のメンバーはインフ レリスクが雇用リスクを上回ると認識」「大半のメンバーはFRBの政策は適切だと認識」との見解が示さ れたことも相場を下支えし、147.49円付近まで値を戻した。
ユーロドルは3営業日ぶりに小反発。終値は1.1652ドルと前営業日NY終値(1.1647ドル)と比べて 0.0005ドル程度のユーロ高水準となった。米長期金利の低下などを手掛かりにユーロ買い・ドル売りが 先行。トランプ米大統領の投稿をきっかけにFRBの独立性を巡る懸念が高まると全般ドル売りが優勢とな り、22時前に一時1.1674ドルと日通し高値を更新した。
ただ、前日の高値1.1693ドルが目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。市場では「21-23 日のジャクソンホール会議を前に積極的に上値を試す展開にはなっていない」との声も聞かれた。
ユーロ円は続落。終値は171.67円と前営業日NY終値(171.99円)と比べて32銭程度のユーロ安水準。 22時30分過ぎに一時171.95円付近まで値を上げたものの、東京午前に付けた日通し高値172.06円が目 先レジスタンスとして意識されると失速した。高く始まったダウ平均が下げに転じるなど、米国株相場が 軟調に推移するとリスク回避の円買いも入った。24時過ぎには一時171.34円付近まで下押しする場面が あった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、FRB独立性への懸念などで上値が重い展開
本日の東京外国為替市場のドル円は、明日22日のジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演 を控えて動きづらい展開の中、FRBの独立性を巡る懸念や米10年債利回りが低下していることで上値が 重い展開が予想される。
ドル円のテクニカル分析では、8月1日の高値150.92円から146円台まで下落した後、149円台前半の 200日移動平均線が上値を抑える形で、146円台-148円台での保ち合い、フラッグを形成しつつあると 思われる。ドル円がフラッグを形成しているとの仮定が正しければ、下放れて、N計算値(150.92円~ 146.62円~148.52円)による目標値144.22円を目指す展開が予想される。
昨日は、トランプ米大統領が米住宅ローン契約に関して不正疑惑が出ているクックFRB理事に対して 「今すぐに辞任すべき」との見解を示したものの、クックFRB理事は「辞任を強要されるつもりはない」 と反論している。
トランプ米大統領が尊敬しているレーガン第40代米大統領は、利下げ要求を拒んでいたボルカー第12 代FRB議長を追い出すため、4名の刺客をFRB理事として指名したことで、ボルカー第12代FRB議長は 辞表を叩きつけた。
現在、トランプ・チルドレン(ウォラーFRB理事、ボウマンFRB副議長、ミランFRB暫定理事)の3名 を送り込んでおり、クックFRB理事の代わりに4人目のFRB理事を指名できれば、パウエルFRB議長に対 する包囲網が完成する。
パウエルFRB議長は明日のジャクソンホール会合では、雇用市場の低迷を理由に、昨年のジャクソンホ ール会合同様に利下げ開始を表明して、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の利下げを断行す るのか、それともインフレへの警戒感から、「データ次第」と表明するのか注目されている。
パウエルFRB議長は、夏にトランプ関税による物価上昇が顕在化する、と述べていた。 7月の消費者物価指数(CPI)は伸び率が鈍化していたものの、卸売物価指数(PPI)の伸び率が加速し ていたことは、輸入企業が関税分を転嫁し始めたことで、8月のCPIの伸び率加速の可能性が残されてい る。7月のFOMC議事要旨では「過半数のメンバーはインフレリスクが雇用リスクを上回ると認識」して いたが、パウエルFRB議長が「雇用の最大化」と「物価の安定」のどちらに軸足を置くのか、明晩まで待 つことになる。
【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○07:45 ◎ 7 月ニュージーランド(NZ)貿易収支
○15:00 ◎ 4-6 月期ノルウェー国内総生産(GDP)
○16:15 ◎ 8 月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:48.1)
○16:15 ◎ 8 月仏サービス部門 PMI 速報値(予想:48.5)
○16:30 ◎ 8 月独製造業 PMI 速報値(予想:48.8)
○16:30 ◎ 8 月独サービス部門 PMI 速報値(予想:50.3)
○17:00 ◎ 8 月ユーロ圏製造業 PMI 速報値(予想:49.5)
○17:00 ◎ 8 月ユーロ圏サービス部門 PMI 速報値(予想:50.8)
○17:30 ◎ 8 月英製造業 PMI 速報値(予想:48.3)
○17:30 ◎ 8 月英サービス部門 PMI 速報値(予想:51.8)
○17:30 ◎ 7 月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比 0.9%)
○18:00 ◇ 6 月ユーロ圏建設支出
○21:30 ◇ 7 月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比 0.3%)
○21:30 ◇ 7 月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲0.6%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5 万件/196.0 万人)
○21:30 ◎ 8 月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:6.7)
○22:45 ◎ 8 月米製造業 PMI 速報値(予想:49.7)
○22:45 ◎ 8 月米サービス部門 PMI 速報値(予想:54.2)
○22:45 ◎ 8 月米総合 PMI 速報値(予想:53.5)
○23:00 ◎ 8 月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲14.7)
○23:00 ◎ 7 月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.1%)
○23:00 ◎ 7 月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲0.3%/年率換算 392 万件)
○米カンザスシティー連銀主催のシンポジウム(ジャクソンホール会議)、テーマは「転換期の労働市場:人 口動態、生産性、そしてマクロ経済政策」(ワイオミング州ジャクソンホール、23 日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
20 日 11:10 ニュージーランド準備銀行(RBNZ)声明
「政策金利を 0.25%引き下げるか、0.50%引き下げるか について投票を行い、4 対 2 で 0.25%の利下げを決定」
「中期的なインフレ圧力が予想通りに緩和しつづければ 金利をさらに引き下げる余地がある」
「総合インフレ率は 2026 年半ばまでに目標の中間値で ある 2%程度に回復すると予想される」
「データは NZ 経済が 2025 年第 2 四半期に縮小し、5 月 の声明発表時の予想よりも弱かったことを示唆」
「第 3 四半期には成長が再開すると予想」
「金利見通し、今後に 2 回の 0.25%の利下げがあること を示唆」
20 日 12:11 ホークスビー・ニュージーランド準備銀行 (RBNZ)総裁
「利下げをより速く進めるか、より遅く進めるかは、今後 の経済データ次第」
「次の 2 回の会議はライブで行われる。決定はまだ下さ れていない」
「政策金利の見通しは 2.5%付近で底を打つとされてお り、これはさらなる利下げと一致」
「正式な総裁に就きたいと申し入れた」
「NZ ドルの下落に満足」
「250bp を超える金融緩和は成長を支える」
「第 2 四半期の経済活動は予想よりもかなり弱い」
「財政見通しでは政府支出が減少し、インフレ抑制に寄 与すると予測」
「10 月会合で新しい MPC メンバーを任命したい」 「4 対 2 の投票は初めて」
20 日 16:34 スウェーデン中銀(リクスバンク)声明
「経済活動は依然として弱い状況」
「年内に追加利下げが行われる可能性はなお残されて いる」
「インフレは予想以上に高くなったものの、一時的な要因 によると評価」
「将来的に経済活動が強まる条件は整いつつあるが、 回復は鈍いまま」
「想定を超えるインフレには注意が必要」
20 日 16:38 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「貿易交渉の合意で世界的な不確実性は軽減した」
「ユーロ圏の成長鈍化は、既に第 2 四半期に顕在化して いる」
20 日 21:36 トランプ米大統領
「クック FRB 理事は今すぐに辞任するべきだ」
21 日 03:03 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
(7 月 29 日-30 日分)
「複数のメンバーが現行金利は中立金利を大きく上回ら ない可能性があると認識」
「複数のメンバーが高騰した資産評価に懸念を表明」
「過半数のメンバーはインフレリスクが雇用リスクを上回 ると認識」
「反対票を投じたメンバーはインフレが持続する可能性 は低いと見ており、雇用リスクを懸念」
「関税が経済とインフレに及ぼす全体的な影響はいまだ 不明」
「複数のメンバーは金利が中立水準からそれほど離れ ていない可能性があると認識」
「複数の企業が顧客に関税を転嫁すると予想」
「当局者は失業率とインフレ率が共に悪化した場合、難 しいトレードオフの可能性を認識」
「当局者はインフレ率をやや高め、成長は鈍化し、失業 率は低いと評価」
「多くのメンバーは関税の完全な効果が現れるまでには しばらく時間がかかる可能性があると指摘」
「複数のメンバーが下期の経済成長の鈍化を予想」
「一部のメンバーは関税を除けばインフレ率は目標に近 づくと認識」
「一部のメンバーは利下げ前に関税の明確化を待つこと は現実的ではないと認識」
「大半のメンバーは FRB の政策は適切だと認識」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=21 日線が重い中、転換線を念頭に置いた取引>
下影陰線引け。146.87 円まで下押すも、15 日安値 146.74
円が目先のサポートとして意識されると、日足・一目均衡表
の転換線付近まで値を戻して引けた。
本日、転換線は 147.37 円に位置しており、同線を念頭に
置いた取引が見込まれる。昨日に続き上値の重さが意識され
て 15 日安値を割り込むと、雲上限 146.32 円を視野に入りそ
うだ。仮に値を戻しても 21 日線 147.85 円が抵抗となろう。
レジスタンス 1 147.85(21 日移動平均線)
前日終値 147.33
サポート 1 146.32(日足一目均衡表・雲の上限)
サポート 2 145.86(7/24 安値)

<ユーロドル=様子見ムードの中、基準線に注目>
極小陽線引け。19 日に続いて日足・一目均衡表の雲の上限
を挟んでのもみ合いが続いた。
昨日の足形はコマとなり様子見ムードも漂う中、依然とし
て 21 日移動平均線は下向きのため、引き続き日足・一目均
衡表の基準線 1.1591 ドルが攻防の分岐点になると見る。割
り込むと 90 日線 1.1510 ドルに向けて勢いが出るかもしれな
い。仮に値を戻しても 1.17 ドルは引き続き抵抗となろう。
レジスタンス 1 1.1693(8/19 高値)
前日終値 1.1652
サポート 1 1.1591(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロ円=攻防の分岐点に差し掛かる>
下影陰線引け。昨日は 172.06 円で上昇一服後に 171.12 円
まで下押すも、14 日安値 170.97 円を前に下げ渋った。
依然として 21 日移動平均線が下向きである点を踏まえる
と、勢いは弱くても下向きの流れは継続していると見る。14
日安値を割り込むと日足・一目均衡表の雲上限 170.30 円ま
で下値余地が拡大しそうだ。ただし、昨日高値を超えるよう
だと、目先の底入れ感が出て戻りを試すこともあり得る。
レジスタンス 1 172.70(8/19 高値)
前日終値 171.67
サポート 1 170.30(日足一目均衡表・雲の上限)

<豪ドル円=雲下限を念頭に置いた取引>
下影陰線引け。日足・一目均衡表の雲上限での上値の重さ
を確認すると、雲下限を割りこんで一時 94.40 円まで下落し
た。本日も雲下限 94.54 円を念頭に置いた取引が見込まれる。
下抜けて終わると三役逆転が点灯するため、下押しは深くな
ることも考えられる。目先は心理的節目の 94 円が機能する
か注目したい。
レジスタンス 1 95.35(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 94.78
サポート 1 94.00(心理的節目)

