デイリーレポート 2023年10月30日

October 30, 2023

【前日の為替概況】ドル円、一時 149.46 円まで反落 ユーロ円もリスクオフの円買い優勢

27 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は 4 営業日ぶりに反落。終値は 149.66 円と前営業日 NY 終 値(150.40 円)と比べて 74 銭程度のドル安水準となった。米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標と して重視している 9 月米個人消費支出(PCE)コア・デフレーターが前年比 3.7%上昇と市場予想通りの 結果となったことが伝わると、全般ドル売りが先行した。

イスラエル軍の報道官がパレスチナ自治区ガザへの地上作戦を「今夜拡大する」と表明すると、ダウ平 均が一時 450 ドル超下落。ナイト・セッションの日経平均先物も 510 円下落し、リスク・オフの円買いを 促した。3 時 30 分過ぎには一時 149.46 円と日通し安値を付けた。

市場では「日銀が来週の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の 再修正に動くのではないか」との見方も出ており、売りが出やすい面もあったようだ。

ユーロドルはほぼ横ばい。終値は 1.0565 ドルと前営業日 NY 終値(1.0563 ドル)と比べて 0.0002 ドル 程度のユーロ高水準だった。米物価指標の結果が伝わると米インフレ鈍化が意識されて、全般ドル売りが 先行。一時 1.0597 ドルと日通し高値を付けた。中東カタールの衛星放送局アルジャジーラが「カタール の仲介で、イスラエルとハマスは停戦協定の実現に向けて急速に交渉を進めている」と報じると、中東情 勢への懸念が和らぎユーロ買い・ドル売りを誘った面もある。

ただ、節目の 1.0600 ドル手前では戻り売りなどが出たため上値は限定的だった。「イスラエル軍はガザ での地上作戦を拡大」との報道を受けて、ガザ停戦への期待がはく落したことも相場の重し。3 時前には 1.0557 ドル付近まで押し戻された。

ユーロ円は反落。終値は 158.13 円と前営業日 NY 終値(158.86 円)と比べて 73 銭程度のユーロ安水準。 中東情勢が一段と悪化するとの警戒感が高まり、ダウ平均や日経平均先物が軟調に推移すると、リスク・ オフの円買いが優勢となった。3 時 30 分過ぎには一時 157.89 円と日通し安値を更新した。

【本日の東京為替見通し】日米の政策決定会合控え神経質に、中東情勢はイランの動向が焦点

本日のドル円も、為替介入には警戒しつつも 149 円から 150 円の間での気迷い相場が続きそうだ。今週 は 31 日に日銀政策決定会合による金融政策発表と植田日銀総裁の会見、1 日に米連邦公開市場委員会 (FOMC)が政策金利の発表、及びパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見がそれぞれ予定されてい ることで、ドル円は神経質な動きを繰り返すことになると予想する。

日銀が発表した 9 月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」では、注目している「刈り込み平 均値」は 7・8 月の 3.3%から 3.4%まで上昇。また「加重平均値」は 8 月の 1.8%を上回り、2001 年 1 月以降で最大となる 2.0%まで上昇した。7 月の日銀展望レポートでは、23 年度のコア CPI の前年度上昇 率は 2.5%、24 年度は 1.9%だった。市場では再び上方修正をするとの予測が高い。

ただし、展望レポートの上方修正はある程度市場は織り込んでいることで、注目は長短金利操作(イー ルドカーブコントロール=YCC)を修正するか否かになる。仮に YCC 修正が見送られた場合でも、昨年は 日銀政策決定会合後に行われた当時の黒田日銀総裁の会見後に円安に市場が傾いたタイミングを見計ら って、円買い介入を行っているため油断できない展開が続くだろう。

先週末に円が買い戻された背景として、イスラエル軍のガザ進行による戦火拡大とされている。しかし ながら、中東情勢の混迷から始まったリスク回避の動きで、市場を先導していたスイスフランの買いは一 服。対円では 20 日に付けた 168.42 円の過去最高値、対ユーロも同日に付けた 0.9417 フランのフランの 年初来高値を更新後はフランがやや重くなっている。先週末もフラン買いにはならず、市場の反応にずれ があることで、今週もニュースへの過剰な反応には注意したい。

もっとも、中東情勢が金融市場のメイントピックであることには変わらない。イスラエルによる地上侵 攻が本格化する中で警戒しなければならないのは、イランが参戦した場合だ。週末のイスラエルの攻撃に 対して、イランのライシ大統領は「超えてはならない一線を超えた」と発言。イランが支援するヒスボラ などが独自に介入し、制御ができなくなる可能性が指摘された。さらに戦火が広がり、パレスチナ支持の 露・中とイスラエル支持の欧米との代理戦争まで発展した場合には、市場は素直に安全通貨(フランや円) 買いに動くか。

【本日の重要指標】

<国内>

○未定 ◇ 10 月月例経済報告

○日銀金融政策決定会合(1 日目)

<海外>

○09:30 ◎ 9 月豪小売売上高(予想:前月比 0.3%)

○17:00 ◇ 10 月スイス KOF 景気先行指数(予想:95.0)

○17:00 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演

○18:00 ☆ 7-9 月期独国内総生産(GDP)速報値(季節調整済、予想:前期比▲0.2%/前年同期比▲0.7%)

○18:00 ☆ 7-9 月期独 GDP 速報値(季節調整前、予想:前年同期比▲1.0%)

○18:30 ◇ 9 月英消費者信用残高(予想:14 億ポンド)

○18:30 ◇ 9 月英マネーサプライ M4

○19:00 ◎ 10 月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:93.0)

○19:00 ◎ 10 月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲17.9)

○22:00 ◎ 10 月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比 0.2%/前年比 4.0%)

○欧州は 29 日から冬時間に移行済み

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

27 日 08:46 鈴木財務相

「為替は安定的に推移することが重要」

「過度な変動は望ましくない」

「為替相場の動向や介入についてはコメントを控える」

「強い緊張感をもって万全の対応を行う」

27 日 16:19 ミュラー・エストニア中銀総裁

「金利がいつまでピークにとどまるかは経済が決める」

「ユーロ圏は停滞状態にあるが、深刻な経済危機では ない」

27 日 17:08 バスレ・スロベニア中銀総裁

「金利水準はインフレを抑制する」

「ユーロ圏のインフレ率はさらに鈍化する見通し」

28 日 02:29 イスラエル軍報道官

「今夜地上軍が作戦を拡大」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=16 日以来の終値水準、調整幅を見極める展開か>

陰線引け。150 円台で頭を抑えられ、149 円後半の日足一 目・転換線を割り込んで下げ幅を広げた。149 円半ばの 21 日 移動平均線を下回ったところで売りが一服。 三役好転は継続しているが、16 日以来の低い終値水準であ り、下向き調整幅を見極める展開か。150.05 円まで上昇した 転換線を目先の上値めどとし、149 円前半の基準線まで下押 しは念頭に入れておきたい。

レジスタンス 1 150.41(10/27 高値)
前日終値 149.66
サポート 1 149.11(日足一目均衡表・基準線)
サポート 2 148.17(10/10 安値)

<ユーロドル=24 日陰線の影響残る、転換線まで売り目線>

極小陽線引け。26 日安値の手前では下げ渋るも 1.06 ドル には届かず、1.0571 ドルの一目・基準線を挟み上下。ロウソ ク足の実体は 2 日連続で狭く、戻りの限定さは 24 日陰線の 影響が残っていることを示唆している。 本日は 1.0609 ドルで横ばいの転換線まで売り目線で臨み たい。同線をしっかりと超えてくるようならば、24 日高値の 1.06 ドル後半から 1.07 ドル前半の雲の下限が意識される。

レジスタンス 1 1.0609(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0565
サポート 1 1.0483(10/6 安値)

<ユーロ円=雲の上限を念頭に置いた取引に>

陰線引け。158.90 円台の 25・26 日高値に届かず反落し、 158 円割れまで下げ幅を広げた。ただ、157 円後半の日足一 目・雲の上限を僅かに割り込んだところで下落は一服。 8 月末と先週の高値水準でダブルトップを形成しつつある。 本日は雲の上限が位置する 157.91 円付近を念頭に置いた取 引に。雲の中にしっかり入り込むと、18・19 日に支えられた 157.69 円や 157.40 円台には 90 日移動平均線が控えているが、

レジスタンス 1 158.94(10/25 高値)
前日終値 158.13
サポート 1 157.19(日足一目均衡表・基準線)

<豪ドル円=複数の主要線を睨みながら方向感探る>

陰線引け。95 円前半で前日高値を上回るも失速し、94 円 後半まで反落して終えた。日足一目・雲を割り込んだところ で下げ渋り、引け水準は僅かに雲を上回った。 本日は 94 円後半から 95 円付近に位置する主要線を睨みな がら方向感を探る展開か。日足一目均衡表では雲の上限が 94.79 円、基準線は 95.00 円、転換線が 95.07 円。移動平均 線では 90 日線が 94.73 円、21 日線は 94.91 円に控えている。


レジスタンス 1 95.37(10/27 高値)
前日終値 94.80
サポート 1 94.25(10/26 安値)