デイリーレポート 2023年11月21日
November 21, 2023
【前日の為替概況】ドル円、3 日続落 米利上げ打ち止め観測などを背景に円買い・ドル売り
20 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は 3 日続落。終値は 148.39 円と前営業日 NY 終値(149.63 円)と比べて 1 円 24 銭程度のドル安水準となった。米利上げ打ち止め観測などを背景に円買い・ドル売 りが先行。20 時 30 分過ぎに一時 148.10 円と 10 月 3 日以来の安値を付けた。市場では「今週は米感謝祭 を控えていることから、ポジション調整目的の円買い・ドル売りが中心となっている」との声が聞かれた。
米商品先物取引委員会(CFTC)が 17 日発表した 14 日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイ ル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は売りと買いの差し引きで 13 万 249 枚の売り越し(ドル円のロング)と 2017 年 11 月以来の大きさとなったことが伝わっている。
なお、米 10 年債利回りが上昇に転じた場面では 148.69 円付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍 かった。好調な米 20年債入札をきっかけに米 10年債利回りが再び低下したことなどが相場の重しとなり、 148.15 円付近まで押し戻された。
ユーロドルは 3 日続伸。終値は 1.0940 ドルと前営業日 NY 終値(1.0915 ドル)と比べて 0.0025 ドル程 度のユーロ高水準だった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ局面が終了したとの見方からユーロ買い・ ドル売りが優勢となった。米国株相場の上昇を背景にリスクオンのドル売りも出て一時 1.0952 ドルと 8 月 15 日以来の高値を付けた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時 103.38 と 9 月 1 日以来の低水準を付けた。
ユーロ円は 3 日続落。終値は 162.32 円と前営業日 NY 終値(163.27 円)と比べて 95 銭程度のユーロ安 水準。ドル円の下落につれた売りが優勢となり、20 時 30 分過ぎに一時 161.78 円と日通し安値を付けた ものの、売り一巡後は徐々に下値を切り上げた。ユーロドルの上昇につれた買いが入り、162 円台半ばま で下げ渋った。
【本日の東京為替見通し】ドル円、調整売りが一服しても米感謝祭控え戻りは鈍いか
昨日のドル円は 150 円大台前に戻りが抑えられると 148 円前半まで一段と調整売りが進んだ。商品先物 取引委員会(CFTC)が先週末に発表した投機筋の通貨先物ポジションで、円ショートポジション(11 月 14 日まで)は前週に比べて 2 万 6209 枚拡大の 13 万 249 枚と 2017 年 11 月以来 6 年ぶりの高水準となっ ており、円の買い戻しが出やすい。米利上げサイクル終了の思惑が強まりドル高の動きが後退しているな か、今週後半に米感謝祭を控えドル円の戻りが鈍くなりそうで、どこまで調整の売りが進むかが注目され る。
ただ、足もとで円買いに傾くのはポジション調整と円買い介入だけとの声も大きく、ドル円が大きく売 り込まれる可能性は低い。主要国の利上げが終焉に向かい、いよいよ市場の視線は利下げサイクルのスタ ートに向けられているが、高金利が長引く可能性が警戒される一方で、日銀の金融政策正常化への不透明 感は払しょくされておらず、金融政策格差を背景とした円独歩安の流れが変わったとはいえない。また、 各国の中銀が積極的に金融引き締めを進めたが、市場が懸念したほど景気の後退は見られず、今後引き締 め姿勢を緩めることに伴い景気への期待が強まれば、リスクオンの円売りが加速する可能性もある。
本日も東京タイムでは主な経済指標や注目のイベントは予定されておらず、ドル円は時間外の米長期金 利や日経平均の動きを眺めながらの動きが予想される。海外市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)議事 要旨の公表が予定されているが、大きな手がかりになる可能性は低い。シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME)グループが FF 金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では 12 月と来年 1 月の FOMC での金利据え置き予想が 100%に達するなど、市場の目線は利下げ時期がいつになるかに向けられている。
【本日の重要指標】
<国内>
特になし
<海外>
○08:00 ◎ ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、パネルディスカッションに参加
○09:30 ◎ 11 月 RBA 理事会議事要旨
○17:30 ◎ 10 月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比 2.1%)
○19:00 ◇ 10-12 月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数(予想:37)
○22:30 ◎ 10 月カナダ CPI(予想:前月比 0.1%/前年比 3.2%)
○24:00 ◎ 10 月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲1.5%/年率換算 390 万件)
○22 日 01:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○22 日 02:00 ◎ シュナーベル ECB 専務理事、講演
○22 日 02:35 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○22 日 04:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(10 月 31 日-11 月 1 日分)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
20 日 16:58 ウンシュ・ベルギー中銀総裁
「利下げリスクへの賭けが、逆に利上げを促している」
「12 月と 1 月は政策金利を据え置くべき」
20 日 22:11 イエレン米財務長官
「米中両国は協力する機会があると認識」
「バイデン米大統領は習近平・中国国家主席に対し、台 湾政策は変わっていないことを明言した」
「中国の米国への投資に関する問題について議論した」
「米国では食品を含む一部の重要な価格が依然として 上昇している」
「インフレは低下していると思う」
20 日 23:55 デコス・スペイン中銀総裁
「金利引き下げについて話し始めるのは完全に時期尚 早だ」
21 日 02:28 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「フォワードガイダンスを提供する時期ではない」
「全体的なコアインフレ率は順調に下がっているが、そ の多くは商品によるもの」
「現場の取引先は、依然としてパンデミック前よりも速い ペースで値上げを行っていると報告している」
「インフレは長期にわたって物価上昇を促す頑固なもの として引き続き注視」
21 日 03:50 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「利下げを考えるには時期尚早だ」
「インフレ率を 2%の目標に戻すことが、引き続き BOE の 絶対的な優先事項」
「インフレ率が高いときは、リスクを冒さない」
「中東での悲劇的な出来事がエネルギー価格の上昇リ スクを高めている」
「労働市場は最近軟化しているにもかかわらず、依然と して逼迫している」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=雲の上限を割り込む>
大陰線引け。一目均衡表・雲の上限を割り込んで下落した。
10 月 3 日以来の安値 148.10 円をつけている。転換線が基準
線と重なり、一目均衡表の買いサインがすべて消えている。
戻しても、本日 148.66 円に位置する雲の上限の上昇に沿
うような緩やかなペースにとどまるか。雲付近から離れるこ
とができても、149.70 円前後で低下傾向の 5 日移動平均線付
近で動きが停滞しやすいだろう。
レジスタンス 2 149.70(5 日移動平均線)
レジスタンス 1 148.81(10/30 安値)
前日終値 148.39
サポート 1 147.43(10/3 安値)
<ユーロドル=5 日線の切り上がり伴う上昇基調継続へ>
陽線引け。堅調な推移が続き、8 月 15 日以来の高値 1.0952
ドルまで上伸した。1.09 ドル前後で上昇中の 5 日移動平均線
の切り上がりを伴う上向きの流れが継続。反転の兆候となる
特段のチャートパターンも確認されておらず、上昇基調が続
くと予想される。
レジスタンス 1 1.1005(8/11 高値)
前日終値 1.0940
サポート 1 1.0899(5 日移動平均線)
<ポンド円=転換線が戻り局面で抵抗になりそう>
下影陰線引け。直近の下値の節目となる 10 日安値 184.64
円に並ぶ水準まで大きく下振れた。184.70 円前後で上昇中の
21 日移動平均線や一目均衡表・基準線 184.53 円も付近に位
置するレンジでいったん下げ渋っている。しかし頭打ちが予
想される一目均衡表・転換線 186.46 円が反発局面で抵抗に
なりそうであり戻りは重いだろう。
レジスタンス 1 186.46(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 185.56
サポート 1 184.64(11/10・20 安値)
<NZ ドル円=5 日線付近の重さこなせるかどうかがポイントか>
小陰線引け。重い動きだが、一目均衡表・基準線 88.99 円
を下値に控える水準で下げ渋っており、気迷い気味の足型を
形成している。方向性は不透明で、5 日移動平均線付近の重
さをこなして戻せるかどうかが目先のポイントか。同線を上
回ることができれば、現水準 90.08 円から緩やかな上昇が予
想される一目・転換線に追随して水準を切り上げる展開が期
待できる。
レジスタンス 1 89.96(5 日移動平均線)
前日終値 89.56
サポート 1 88.99(日足一目均衡表・基準線)