デイリーレポート 2023年11月22日

November 22, 2023

【前日の為替概況】ドル円、横ばい フィキシングフローこなしつつ米金利にらみ上下

21 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は横ばい。終値は 148.39 円と前営業日 NY 終値(148.39 円) とほぼ同水準だった。日本時間夕刻に一時 147.15 円と 9 月 14 日以来の安値を付けたものの、NY 市場で は買い戻しが優勢となった。ロンドン 16 時(日本時間 1 時)のフィキシングに絡んだ円売り・ドル買い のフローが観測されたほか、低調な米 10 年物インフレ連動債(TIPS)入札や米連邦公開市場委員会(FOMC) 議事要旨をきっかけに米長期金利が上昇すると全般ドル買いが優勢となった。4 時過ぎには一時 148.60 円と日通し高値を付けた。ただ、米長期金利が低下に転じると上値が重くなった。

なお、米連邦準備理事会(FRB)がこの日公表した 10 月 31 日-11 月 1 日分の FOMC 議事要旨では「当 局者全員が金利について慎重に進めることに同意」としながらも、「インフレの進展が不十分な場合、FRB はさらなる引き締めを検討」「大半の当局者はインフレの上振れリスクを認識」との見解が示された。

ユーロドルは 4 営業日ぶりに反落。終値は 1.0911 ドルと前営業日 NY 終値(1.0940 ドル)と比べて 0.0029 ドル程度のユーロ安水準だった。アジア市場では一時 1.0965 ドルと 8 月 11 日以来の高値を付けたものの、 NY 市場に入るとさえない展開となった。米感謝祭を控えて、ポジション調整目的の売りが出たほか、ロ ンドン・フィキシングに絡んだユーロ売り・ドル買いのフローが観測された。低調な米 10 年 TIPS 入札や FOMC 議事要旨をきっかけにドル買いが強まると、一時 1.0900 ドルと日通し安値を付けた。

ユーロ円は 4 日続落。終値は 161.91 円と前営業日 NY 終値(162.32 円)と比べて 41 銭程度のユーロ安 水準。欧州市場序盤に 161.25 円まで売られた影響が残ったものの、NY 市場に限れば、ドル円とユーロド ルの値動きの影響を同時に受けたため、大きな方向感は出なかった。

【本日の東京為替見通し】ドル円、調整に一服感も一段の買い戻しは米金利次第か

昨日のドル円は一時 147.15 円まで続落し、大幅下落した反動もあり、米連邦公開市場委員会(FOMC) 議事要旨公表後には 148.60 円まで反発した。ドル円は 13 日に 151.91 円まで上昇するも、昨年 10 月 21 日に記録した 1990 年 7 月以来の高値 151.95 円を上抜けできず失速した。米利上げサイクル終了の見方が 強まったことを背景にドル高圧力が後退し、ドル円は上値警戒感が緩んだものの、クロス円の堅調な動き が続くなど円安地合いの継続でしばらくは 150 円大台を維持し底堅い動きとなった。ただ、先週末に 150 円大台を割り込み、商品先物取引委員会(CFTC)での投機筋の通貨先物ポジションで円ショートポジショ ンが約 6 年ぶりの高水準となっていることがクローズアップされるなか、米感謝祭を控え急速に円ショー トポジションの調整が進んだ。

今週に入って注目の材料が乏しいなか、ドル円は下落基調を強め、どこまで調整売りが進むかが注目さ れたが、いったんは売りが一巡したとみていいだろう。9 月 13・14 日の安値 147.02 円を下抜けし、147 円大台を割り込めば 145 円台まで一段と売りが進んだ可能性もあっただけに、明日に日本が勤労感謝の日、 米国で感謝祭を迎え流動性の低下が見込まれ油断は許されない。本日も日米市場で注目材料は乏しく、先 週末から大きく下落したドル円に一段の買い戻しが入るかどうかは米長期金利の動き次第だろう。

昨日の FOMC 議事要旨では、今後の利上げについて慎重なアプローチを取るとしながらも、インフレ低 下の進展が不十分であることが示唆されれば金利を引き上げる必要があるとの見解で一致したことが明 らかになった。米連邦準備理事会(FRB)による利上げサイクル終了しても、高金利水準が長期間続く可 能性が高い一方で、日銀の金融政策正常化期待が強まっていないことを鑑みると、ドル高・円安地合いが 変わったと判断するのはまだ早い。

【本日の重要指標】

<国内>

○未定 ◇ 11 月月例経済報告

<海外>

○09:00 ◎ 7-9 月期シンガポール国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率 1.1%)

○17:00 ◎ 10 月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.5%/前年比 5.5%)

○17:35 ◎ ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、講演

○20:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演

○21:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数

○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.6 万件/187.5 万人)

○22:30 ◎ 10 月米耐久財受注額(予想:前月比▲3.1%/輸送用機器を除く前月比 0.1%)

○24:00 ◎ 11 月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲17.6)

○24:00 ◎ 11 月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:60.6)

○23 日 00:30 ◇ EIA 週間在庫統計

○23 日 01:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演

○23 日 01:30 ◎ マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、講演

○オランダ総選挙

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

21 日 05:49 ビルロワドガロー仏中銀総裁

「景気後退は回避すべきであり、回避できる」

「ソフトランディングの可能性が高い」

「私たちはフォワードガイダンスに過度は依存しており、 今後のガイダンスについてはもっと控えめになるべき」

「おそらく 2024 年末よりも早い時期に PEPP 再投資を中 止する必要がある」

「少なくとも今後数回の会合と、今後数四半期は金利が 頭打ちになると予想される」

21 日 19:47 ベイリー英中銀(BOE)総裁

「市場はインフレ持続のリスクを過小評価している」

「市場は直近のデータを重要視し過ぎている」

21 日 19:48 マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員

「今は金融政策を更に引き締めることが重要」

「2%インフレ目標へのコミットメントを強化する必要」

21 日 19:49 ラムズデン英中銀(BOE)副総裁

「英国経済の制限速度は低い」

「制限速度が低いと、目標インフレ率を上回る可能性が 高まる」

「我々は市場金利期待から距離を置くことを明確にして いる」

「家計と企業を対象とした調査は、インフレ期待の固定 化と整合的」

22 日 01:22 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁

「今後の決定は今後のデータ次第、インフレ目標を達成 できないリスクが高まっていると判断した場合には行動 する」

「昨年のインフレ急騰に大きな役割を果たしたエネルギ ーとサプライチェーンの混乱は現在解消されつつある」

「今後数カ月間に総合インフレ率が再び若干上昇すると 予想している」

「インフレが持続的に目標に戻るための条件が整ってい るという確固たる証拠が得られるまで、引き続き注意を 払う必要がある」

「今は勝利宣言を始める時期ではない」

「賃金の堅調な伸びは主に過去のインフレに関連したキ ャッチアップ効果を反映している」

21 日 19:53 ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委 員

「ヘッドライン・インフレの低下は、インフレのトレンドを判 断する良い指標ではない」

22 日 04:03 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 (10 月 31 日-11 月 1 日分)

「当局者全員が金利について慎重に進めることに同意」

「インフレの進展が不十分な場合、FRB はさらなる引き 締めを検討」

「複数の当局者は、個人消費の勢いが維持される可能 性を指摘」

「当局者らは需要と供給のバランスは引き続き改善して いると指摘」

「当局者は今後数カ月間のデータがインフレ継続の程度 を明らかにするのに役立つと予想」

「当局者らはインフレ圧力が緩和するさらなる証拠が必 要だと指摘」

「当局者らは消費支出に関するデータが再び予想外に 上向きになったと指摘」

「インフレ率を2%に戻すために金融政策スタンスを十分 に制限的に維持することが重要」

「多くの当局者は成長への下振れリスクを認識」

「大半の当局者はインフレの上振れリスクを認識」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=雲の中で戻り試す>

下影同事線引け。147.15 円まで下振れが先行した。しかし 147円前半で上昇中の 90日移動平均線を割り込んだ同水準か ら反発して、148.39 円で NY の取引を終えている。 本日 147.34 円前後へ切り上がった 90 日線付近や昨日安値 付近での底堅さを背景に雲の中で戻りを試す展開。雲の上限 に沿ったペースにとどまるかもしれないが、低下が見込まれ る一目・転換線を試すところまで戻せるか注視する局面となる。


レジスタンス 2 149.53(日足一目均衡表・転換線および基準線)
レジスタンス 1 148.97(11/13-21 下落幅の 38.2%戻し)
前日終値 148.39
サポート 1 147.70(11/21 レンジ 38.2%水準)

<ユーロドル=維持してきた 5 日線を割り込む調整も>

上影小陰線引け。8 月 11 日以来の高値 1.0965 ドルまで上昇後は調整の売りが優位となった。上ひげを伴う目先の重さ を示唆する足型を形成している。ここまで維持してきた 5 日 移動平均線を割り込む調整も視野に入れて臨みたい。同線は 本日 1.0906 ドル前後へ切り上がって推移。ピボットや上昇 が見込まれる一目・転換線 1.0811 ドルなどがめどになるか。


レジスタンス 1 1.0965(11/21 高値)
前日終値 1.0911
サポート 1 1.0860(ピボット・サポート 2)

<ユーロ円=昨日レンジ付近で次に動き出す方向を探る状態>

下影陰線引け。8 日以来の安値 161.25 円まで下落が先行した。しかし下げ渋り、一目均衡表・転換線 162.78 円と基準 線に挟まれたレンジ中程に戻して NY の取引を終えている。 頭打ちが予想される転換線と、本日 161.00 円で推移する基 準線に挟まれて方向感が出にくそう。昨日のレンジ付近で次 に動き出す方向を探る状態といえる。

レジスタンス 1 162.43(11/21 高値)
前日終値 161.91
サポート 1 161.25(11/21 安値)

<豪ドル円=転換線ピークアウト前にレンジ切り上げたい>

下影同事線引け。下ひげをともなう足型を形成して下げ渋る展開が続いている。まだ上昇余地がある転換線付近の底堅 さが続くか。ただ、同線は、現状からすれば来週早々にも 97.73 円で頭打ちとなる公算。上向きの流れを継続するため には、同線のピークアウト前にレンジを切り上げ始める必要がある。

レジスタンス 1 97.73(11/20 高値)
前日終値 97.29
サポート 1 96.84(11/21 安値)