デイリーレポート 2023年5月2日

May 2, 2023

【前日の為替概況】ドル円137.54円まで続伸、米10年債利回りが3.60%台まで上昇

1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。終値は137.50円と前営業日NY終値(136.30円)と比べて1円20銭程度のドル高水準だった。欧州や英国市場が休場だったことから、しばらくは136円台後半でのもみ合いが続いていたが、4月米ISM製造業景気指数が47.1と予想の46.7を上回り、前月の46.3から改善したことが分かると、米長期金利の上昇とともにドル買いが優勢となった。200日移動平均線が位置する137.00円を上抜けると上昇に弾みが付き、一時137.54円と3月9日以来の高値を更新した。米長期金利の指標である米10年債利回りは一時3.6064%前後まで上昇した。

なお、市場では「日銀が前週末に大規模な金融緩和策の維持を決めたあとだけに、日米金利差拡大への思惑から円安・ドル高が進みやすい面もあった」との声が聞かれた。

ユーロドルは3日続落。終値は1.0976ドルと前営業日NY終値(1.1019ドル)と比べて0.0043ドル程度のユーロ安水準。米経済指標の上振れをきっかけに全般ドル買いが優勢になると、1.0964ドルと日通し安値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時102.19まで上昇した。

ユーロ円は4日続伸。終値は150.96円と前営業日NY終値(150.07円)と比べて89銭程度のユーロ高水準。大規模な金融緩和策を継続する日銀と、利上げ継続中の欧州中央銀行(ECB)との金融政策の方向性の違いが鮮明となる中、円売り・ユーロ買いが優勢となり一時150.96円と2008年9月以来およそ14年8カ月ぶりの高値を付けた。

【本日の東京為替見通し】豪ドル RBA の金融政策に要注目、米では本日からFOMC

本日の東京外国為替市場ではドル円は、本日から明日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、200日移動平均線(以下200日線)137.01円の上での様子見が予想される。注目は、豪ドルが豪準備銀行(RBA)の金融政策を受けて動意付くかどうか。RBAは金利据え置き決定が予想され、その声明内容が注視される。

さきほどイエレン米財務長官がマッカーシー下院議長ら与野党議会指導部に宛てた書簡で、「われわれの予測では、6月初旬までには政府の支払い義務全てを履行し続けることができなくなる。早ければ6月1日の可能性もある」と通達しており、債務上限を巡るリスクにも警戒しておきたい。イエレン米財務長官は、先日、「金融機関の融資引き締めが、FRBが行う必要がある追加利上げの代わりになる可能性がある」と述べ、追加利上げは不要と述べていた。

昨日のドル円は、200日線137.00円を上抜けて137円半ばまで上げ幅を広げた。前回の同日線超えは、3月8日のパウエルFRB議長の議会証言での0.50%の追加利上げ示唆を受けた137.91円まで。その後、3月10日の全米16位のシリコンバレーバンクや同月12日の全米29位のシグネチャー・バンクの経営破綻を受けて200日線を下回った。

昨日は、JPモルガン・チェースが全米14位のファースト・リパブリック・バンクを救済買収した。これにより金融システム不安定化への警戒感が後退したため、ドル買いが活発化し200日線超えとなった。

15年前の2008年5月30日、JPモルガン・チェースがアメリカ第5位の投資銀行(証券会社)ベア・スターンズを救済買収した。当時、バーナンキ第14代FRB議長は、「この問題はこれで終わり」と幕引きを図った。しかし、2007年8月のパリバ銀行と2008年5月のベア・スターンズは、2008年9月のアメリカ第4位の投資銀行(証券会社)リーマン・ブラザーズの破綻の序章に過ぎなかった。

今回も、2008年の米国の住宅不動産バブル崩壊の再現にならないとは限らないため、関連ヘッドラインには警戒しておきたい。

本日からのFOMCでは、米銀3行の経営破綻にも関わらず、3月のFOMCで予告された通りに、10回目の利上げでFF金利誘導目標は5.00-25%となり、年末まで維持されることが見込まれている。すなわち、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策は、これまでの利上げ継続路線から、高金利維持路線に転換して、インフレ抑制に取り組む政策に切り替えられることになる。FRBがインフレ指標として注視している3月のPCE総合価格指数は、昨年6月の前年比+6.8%から前年比+4.2%まで伸び率が鈍化していた。伸び率が減速しているインフレ率を、FF金利5.00-25%で抑えながらインフレ目標2%の達成を目論むことになる。

13時30分に発表されるRBAの政策金利は、4月理事会に続いて据え置き予想。豪1-3月期消費者物価指数(CPI)は、前年比で+7.0%だったが、10-12月期の+7.8%からは大幅に鈍化し、RBAが重要視するトリム平均値は前年比で+6.6%となり、前期+6.9%から減速していた。4月会合の議事要旨では「今後の理事会で、金融政策を引き締める必要がある可能性を明確にすることが重要」との見解が示されていたが、インフレ低下や金融システムの不安定により、引き締めとなる可能性は低下している。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:50 ◇ 4 月マネタリーベース(予想:前年同月比▲1.3%)

<海外>

○13:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表(予想:3.60%で据え置き)

○15:00 ◎ 3 月独小売売上高(予想:前月比0.4%/前年比▲6.5%)

○15:00 ◇ 4 月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比▲0.4%)

○16:00 ◇ 4 月スイスSECO 消費者信頼感指数(予想:▲22.0)

○16:00 ◇ 4 月トルコ製造業PMI

○16:30 ◇ 4 月スイス製造業PMI(予想:47.3)

○16:50 ◎ 4 月仏製造業PMI 改定値(予想:45.5)

○16:55 ◎ 4 月独製造業PMI 改定値(予想:44.0)

○17:00 ◎ 4 月ユーロ圏製造業PMI 改定値(予想:45.5)

○17:30 ◎ 4 月英製造業PMI 改定値(予想:46.6)

○17:30 ◎ 1-3 月期香港域内総生産(GDP)速報値(予想:前期比3.0%/前年同期比0.5%)

○18:00 ☆ 4 月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比7.0%)

○18:00 ☆ 4 月ユーロ圏HICP コア速報値(予想:前年比5.7%)

○20:20 ◎ ロウ豪準備銀行(RBA)総裁、講演

○23:00 ◎ 3 月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:977.5 万件)

○23:00 ◎ 3 月米製造業新規受注(予想:前月比1.1%)

○24:00 ◇ 4 月メキシコ製造業PMI

○3 日03:00 ◎ 4 月ブラジル貿易収支(予想:84.00 億ドルの黒字)

○米連邦公開市場委員会(FOMC)1 日目

○アジア開発銀行(ADB)年次総会(韓国・仁川、5 日まで)

○中国(メーデー)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

2日00:16 ゲオルギエバ国際通貨基金(IMF)専務理事

「インフレは思うように減速していない」

「2024 年のインフレ率は不快なほど目標を上回る見込み」

2日05:31 イエレン米財務長官

「債務上限の特別措置が6月1日までに尽きる可能性がある」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=年初来高値が視野に、200 日線137.01 円>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯中。3 手連続陽線で200 日移動平均線を超えて上げ足を速め、年初来高値が視野に入ってきた。依然として転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。本日も下値では137.01 円の200 日線が意識される。基本的な押し目買いスタンスは継続し、1 日安値を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 139.89(2022/11/30 高値)
レジスタンス1 137.91(3/8 高値=年初来高値)
前日終値 137.50
サポート1 136.14(5/1 安値)
サポート2 135.28(日足一目均衡表・転換線)

<ユーロドル=転換線を下回って引け続落が示唆>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。しかし、3 手連続陰線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。一方で酒田罫線法では「上げ三法」の買いシグナルが点灯している。上値では1.1015 ドルの転換線を念頭に、本日は戻り売りスタンス。4 月26 日の高値を上抜けた場合は手仕舞い。下サイドでは、上昇中の基準線を割り込めるかが注目される。

レジスタンス1 1.1095(4/26 高値)
前日終値 1.0976
サポート1 1.0942(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロ円=5/1 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。4 手連続陽線で転換線を大きく上回って引けているため続伸の可能性が示唆されている。本日は1 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 151.38(2008/9/30 高値)
前日終値 150.96
サポート1 150.03(5/1 安値)

<豪ドル円=3 手連続陽線、200 日線を目指す展開か>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。3 手連続陽線で転換線を上回って引けているため、200 日線92.17 円に向けた続伸の可能性が高まった。本日は、1 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 92.25(3/3 高値)
前日終値 91.18
サポート1 90.04(5/1 安値)