デイリーレポート 2023年11月28日

November 28, 2023

【前日の為替概況】ドル円、米 10 年債利回り 4.37%台で 148.55 円まで続落

27 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。終値は 148.69 円と前営業日 NY 終値(149.44 円) と比べて 75 銭程度のドル安水準となった。欧州時間に一時 149.33 円付近まで値を上げたものの、アジア 時間に付けた日通し高値 149.67 円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。米長期金利の低下 などが相場の重しとなり、5 時前に一時 148.55 円と日通し安値を付けた。市場では「米利上げ打ち止め 観測が広がる中、マーケットの関心は利下げへの転換時期に向いている」との指摘があった。

なお、米 5 年債入札で底堅い需要が確認されると、米長期金利の指標となる米 10 年債利回りは一時 4.3788%前後まで低下した。

ユーロドルは小幅ながら 3 日続伸。終値は 1.0954 ドルと前営業日 NY 終値(1.0939 ドル)と比べて 0.0015 ドル程度のユーロ高水準だった。ユーロ円やユーロポンドなどユーロクロスの下落につれた売りが先行し、 0 時過ぎに一時 1.0925 ドルと日通し安値を付けた。

ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入ると、1.0957 ドル付近まで持ち直した。もっとも、日本時間夕刻に付けた日通し高値 1.0959 ドルには届かなかった。

ユーロ円は 4 営業日ぶりに反落。終値は 162.87 円と前営業日 NY 終値(163.47 円)と比べて 60 銭程度 のユーロ安水準。欧米株価の下落を背景にリスク・オフの円買い・ユーロ売りが先行すると、23 時 30 分 過ぎに一時 162.54 円と日通し安値を更新した。

ただ、売り一巡後は 162 円台後半でのもみ合いに転じた。ドル絡みの取引が中心となったため、相場は 方向感が出なかった。

【本日の東京為替見通し】ドル円、米長期金利の低下で下値リスクに要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、米金利が低下していることで続落の可能性に警戒する展開が予想 される。

米 10 年債利回りは 4.3%台まで低下しており、ドル売り要因となっている。先週末発表された 11 月の 米総合購買担当者「雇用」指数(PMI)の低下や昨日発表された低調な 10 月米新築住宅販売件数などが影 響しているもよう。

今週のドル円の注目経済指標は、12 月 12-13 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、米連邦準 備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している 30 日に発表される米 10 月 PCE 価格指数だろう。CME グループが FF 金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、12 月 FOMC での金利据え置き、 利下げ開始時期は来年 5 月、または 6 月からだと示唆している。もし、10 月 PCE 価格指数の伸び率が鈍 化していた場合、来年の利下げ開始時期の予想が前倒しされる可能性が高まることになる。

商品先物取引委員会(CFTC)が発表した 11 月 21 日時点の円のネット売り持ちポジションは、10 万 5454 枚となっていた。ドル円が続落し続けた場合は、円買い圧力が増大する可能性を示唆している。

ドル円のテクニカル分析では、長期的には、エリオット波動の最終第 5 波を示唆する「斜行三角形」を 形成しつつあり、中期的には高値反転を示唆する「弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)」を 形成しつつあることで、下値リスクが高まりつつある。

そして短期的には「ダブル・トップ(151.72 円・151.91 円)」がネック・ラインである 149.21 円(11/3 安値)を下抜けたことで完成し、目標値 146.70 円{=149.21 円-(151.72 円-149.21 円)}が点灯してい る。

豪ドルは、9 時 30 分に発表される 10 月豪小売売上高(予想:前月比+0.1%)やその後に予定されてい るブロック豪準備銀行(RBA)総裁の講演に注目しておきたい。今週のオーストラリアの注目経済指標は、 明日発表される同月消費者物価指数(CPI)なので、小売売上高では、予想から大幅に外れない限りは豪 ドル相場への影響は限定的だと思われる。ブロック RBA 総裁は先週、「価格上昇が CPI 項目の広範囲にわ たり、インフレがますます国内主導、需要主導になっている」として、金利がしばらく高止まる可能性が 高いことを改めて示唆していた。

【本日の重要指標】

<国内> 特になし

<海外>

○09:30 ◎ 10 月豪小売売上高(予想:前月比 0.1%)

○10:15 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演

○10:18 ◎ ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演

○10:18 ◎ ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、講演

○16:00 ◇ 12 月独消費者信頼感指数(Gfk 調査、予想:▲27.9)

○16:45 ◇ 11 月仏消費者信頼感指数(予想:84)

○17:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演

○23:00 ◇ 9 月米住宅価格指数(予想:前月比 0.4%)

◇ 7-9 月期米住宅価格指数

○23:00 ◎ 9 月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比 4.0%)

○24:00 ◎ 11 月米消費者信頼感指数(予想:101.0)

○24:00 ◎ 11 月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:1)

○24:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、あいさつ

○24:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演

○29 日 00:45 ◎ ボウマン FRB 理事、講演

○29 日 01:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演(事前収録)

○29 日 02:00 ◎ ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演

○29 日 03:00 ◎ 米財務省、7 年債入札

○29 日 03:30 ◎ レーン ECB 専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

27 日 15:15 植田日銀総裁

「2%物価目標の実現、十分な確度では見通せない」

「賃金・物価の好循環へ良い芽出ているが、不確実性高 い」

「保有 ETF の処分方法を具体的に議論する段階になっ ていない」

27 日 16:55 ベイリー英中銀(BOE)総裁

「利下げについて議論するのは時期尚早」

「インフレ率を 2%に下げるのは大変な作業」

「最近のインフレ低下の多くは、エネルギーコスト高騰の 緩和によるもの」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=雲の中に再び入る、転換線を抵抗に戻り売り>

陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の中で引けているものの売りシグナルが優勢な展 開となっている。2 手連続陰線で雲の中に再び入ってきた。 雲の上限は 149.11 円に本日は位置している。 転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されて おり、本日は同線を抵抗に戻り売りスタンスで臨みたい。

レジスタンス 2 150.16(21 日移動平均線)
レジスタンス 1 149.29(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 148.69
サポート 1 148.02(11/22 安値)
サポート 2 147.15(11/21 安値)

<ユーロドル=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグ ナルが点灯している。下押しも 1.09 ドル前半までだった。3 手連続陽線で転換線を上回って引けており、続伸の可能性が 示唆されている。 本日も転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を 下抜けた場合は手仕舞い。


レジスタンス 1 1.1005(8/11 高値)
前日終値 1.0954
サポート 1 1.0895(日足一目均衡表・転換線)

<ポンド円=186 円台半ばの転換線を支持に押し目買い>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けているため三役好転の強い買いシグナ ルが点灯中。4 手連続陽線の後、昨日は 24 日高値の手前から 失速した。孕み線で反落したものの、転換線を上回って引け ており反発の可能性は残されている。 本日は、186 円台半ばで横ばいの転換線を支持に押し目買 いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。


レジスタンス 1 188.66(11/24 高値)
前日終値 187.76
サポート 1 186.57(日足一目均衡表・転換線)

<NZ ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線 を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシ グナルが点灯中。4 手連続陽線の後、高寄り小陰線で反落し た。しかしながら依然として転換線を上回って引けており、 反発の可能性が示唆されている。 本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を 下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 91.20(11/15 高値)
前日終値 90.67
サポート 1 90.19(日足一目均衡表・転換線)