デイリーレポート 2023年4月12日

April 12, 2023

【前日の為替概況】ユーロ円、昨年12月16日以来の高値 欧米株価指数が堅調推移

11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小幅ながら4日続伸。終値は133.68円と前営業日NY終値(133.61円)と比べて7銭程度のドル高水準だった。欧州市場では一時132.97円と日通し安値を付ける場面もあったが、NY市場に入ると買い戻しが優勢となった。米10年債利回りが上昇に転じたことを受けて全般ドル買いが入ったほか、日銀の政策修正観測の後退を材料に引き続き円売りが出やすい地合いとなった。ダウ平均が一時190ドル超上昇したことも相場の支援材料となり、4時前に133.81円と日通し高値を更新した。

ただ、前日の高値133.87円が目先レジスタンスとして意識されると上昇が一服。米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するグールズビー米シカゴ連銀総裁が「米連邦準備理事会(FRB)は慎重さと忍耐をもって利上げを行うべき」「過度に積極的な利上げには慎重であるべき」と述べたことも相場の重しとなった。

ユーロドルは3営業日ぶりに反発。終値は1.0912ドルと前営業日NY終値(1.0859ドル)と比べて0.0053ドル程度のユーロ高水準だった。欧州債利回りの上昇などを手掛かりに、イースター休暇明けの欧州勢がユーロ買い・ドル売りで参入すると一時1.0928ドルと日通し高値を付けた。ドイツ株が1年3カ月ぶりの高値を付けたほか、フランス株が過去最高値を記録するなど、欧州株相場の上昇に伴うリスク・オンのユーロ買い・ドル売りも入った。

米長期金利が上昇に転じると全般ドルを買い戻す動きが広がり、1.0896ドル付近まで上げ幅を縮める場面もあったが、下押しは限定的だった。グールズビー米シカゴ連銀総裁のハト派的な発言もユーロ買い・ドル売りを促し、1.09ドル台前半まで持ち直した。

ユーロ円は4日続伸。終値は145.89円と前営業日NY終値(145.11円)と比べて78銭程度のユーロ高水準。日銀の政策修正観測が後退する中、欧州株高に伴う円売り・ユーロ買いが優勢となった。ダウ平均が2カ月ぶりの高値を更新したことも相場の支援材料となり、一時145.96円と昨年12月16日以来の高値を付けた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、動きづらい展開 米3月CPI発表を今夜に控え

本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米3月消費者物価指数(CPI)を控えて動きづらい展開が予想される。

ドル円は、10日には植田日銀総裁の就任記者会見での現状の金融緩和策の維持発言を受けて133.87円まで、11日も133.81円まで上昇したものの134円台には乗せ切れない状態が継続。米10年債利回りは10日が3.43%台、11日が3.45%台までの上昇に留まっており、今夜の米CPIを待つ展開となっている。米3月CPIは前月比+0.2%/前年比+5.2%と予想されており、2月からは低下が見込まれている。予想通りならば、昨年6月の前年比+9.1%をピークにインフレ鈍化傾向が続くことになる。CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、5月2-3日FOMCでの0.25%の追加利上げ確率は68%程度となっている。しかしながら、12月12-13日のFOMCでは4.25-50%へ引き下げられる確率が高くなっており、3月FOMCでのドット・プロットの5.00-25%とは0.75%の乖離となっており、ドル円の134円台を重くしている。

8時50分に発表される3月企業物価指数は、前月比横ばい/前年比+7.1%と予想されており、2月速報値(前月比-0.4%/前年比+8.2%)からは伸び率鈍化が見込まれている。

輸入物価指数をみると、2月は前年比+14.6%と昨年7月の前月比+49.2%をピークに低下基調にある。これは、原油価格の低下や140-150円の円安局面が終了したことによるもの。しかし今年3月以降は、OPECプラス減産による原油価格の反発やドル円が130円台で底堅く推移していることによる輸入物価指数の下げ止まりには警戒しておきたい。

2月下旬には、日銀総裁候補だった植田氏と黒田日銀総裁(当時)は「輸入物価上昇によるコストプッシュが主因であり、23年度半ばにかけて2%を下回る水準まで低下する」と述べていた。なお、卸売物価指数としての企業物価指数が8-9%台で推移し、消費者物価指数が3-4%台で推移している現状は、「価格転嫁が出来ていない」ことを示唆している。さらに2月コアCPIが前年比+3.1%まで伸び率が鈍化した背景には、政府による電気・ガス料金の抑制効果があり、同政策が影響しない「生鮮食品

とエネルギーを除外したコアコアCPI」は、前年比+3.5%と1982年1月以来の高い伸び率を記録していた。コアコアCPIの上昇基調は、コストプッシュに言及する植田日銀総裁にとって難題となるのではないだろうか。

【本日の重要指標】

<国内>

○08:50 ◇ 3 月企業物価指数(予想:前月比横ばい/前年比 7.1%)
○08:50 ◎ 2 月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比▲7.8%/前年比 2.9%)

<海外>

○08:30 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、イベントに参加
○20:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 2 月インド鉱工業生産(予想:前年同月比 5.1%)
○21:00 ◎ 3 月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比 5.80%)
○21:00 ◎ 1 月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比 1.4%)
○21:30 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:30 ☆ 3 月米 CPI(予想:前月比 0.2%/前年比 5.2%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比 0.4%/前年比 5.6%) ○22:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○22:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:00 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○23:00 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:4.50%で据え置き) ○23:30 ◇ EIA 週間在庫統計
○13 日 01:00 ◎ 3 月ロシア CPI(予想:前月比 0.2%)
○13 日 01:00 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○13 日 02:00 ◎ 米財務省、10 年債入札
○13 日 03:00 ◎ 3 月米月次財政収支(予想:3020 億ドルの赤字)
○13 日 03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3 月 21-22 日分) ○13 日 03:15 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○20 カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、13 日まで)
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合(ワシントン、16 日まで)

※時刻表示は日本時間

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

11 日 05:31 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁

「市場の金利見通しについて懸念していない」
「今年の CPI は約 3.75%であり、インフレ見通しには多く の不確実性がある」
「2025 年までにインフレ率が 2%に戻ると予想」 「家賃関連のインフレ圧力が急激に低下すると予想」
「住宅を除くコアサービスは非常に堅調」

11 日 22:18 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁 「FRB があと 1 回利上げに動くのは理にかなう」
「小売売上高や消費者物価指数(CPI)などのデータに 注目」
「インフレが低下してきたら利下げに動く必要も」
「今年の米経済は緩やかな成長を見込む」

11 日 08:53 鈴木財務相

「政府・日銀とも共同声明を見直す考えない認識と理 解」
「金融政策手法は日銀にゆだねられるべき」

11 日 22:11 国際通貨基金(IMF)

「2023 年の世界 GDP 見通しを 1 月時点の 2.9%から 2.8%に下方修正」
「2024 年の GDP は 1 月時点の 3.1%から 3.0%に修正」
「日本の 2023 年 GDP を 1.8%から 1.3%に下方修正」
「ユーロ圏の 2023 年 GDP は 1 月の 0.7%から 0.8%に 上方修正」
「米国の GDP は 1 月の 1.4%から 1.6%に上方修正」 「インフレは依然として高すぎる。金融政策はインフレを 引き下げることに集中すべき」

11 日 22:51 イエレン米財務長官

「米国のインフレは依然として高すぎるが、ここ半年で緩 和した」
「ウクライナ戦争や最近の銀行システムへの圧力を考慮 し、下振れリスクを引き続き警戒」

12 日 02:34 グールズビー米シカゴ連銀総裁

「銀行のストレスを評価するには慎重さと忍耐が必要」
「銀行の混乱はここ数週間で沈静化した」
「よりタイトな信用は経済に重大な影響を与える可能性」
「FRB は過度に積極的な利上げには注意する必要」
「金融ストレスが実体経済に及ぼす潜在的な影響を評 価する必要」
「適切な金融政策には慎重さと忍耐が必要」
「インフレデータは引き続き非常に強い」
「最も重要な問題は信用状況がどのように変化するか」
「5 月の会合に先立って私の一番の関心事はクレジット」

※時間は日本時間

##【日足一目均衡表分析】

<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス継続>

小陽線引け。133 円割れでは下げ止まり、133 円後半まで切り返した。雲の中での引けだが、転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、売りシグナルが優勢な展開が続いている。しかし4 手連続陽線で、昨日も転換線を上回って引けているため続伸の可能性が示唆されている。
本日は132 円前半の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 135.11(3/15 高値)
レジスタンス1 134.49(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 133.68
サポート1 132.26(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 131.53(4/7 安値)

<ユーロドル=4/10 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。1.08 ドル後半の転換線の下では下げ渋り、1.09ドル前半まで上昇した。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けて三役好転の強い買いシグナルが点灯中。抱き線で反発し転換線を上回って引けているため続伸の可能性が示唆されている。
本日は10 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0973(4/4 高値)
前日終値 1.0912
サポート1 1.0831(4/10 安値)

<ポンド円=4/11 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯している。4 手連続陽線で転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。なお転換線は昨日、164 円半ばまで水準を上げた。
本日は165 円前半の11 日安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 167.03(2022/12/20 高値)
前日終値 166.11
サポート1 165.20(4/11 安値)

<NZ ドル円=雲の下限から4/11 高値が抵抗帯に>

陰線引け。雲の中に入り込む場面もあったが伸び悩んだ。転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けているため売りシグナルが優勢な展開。雲の下で孕み線で反落し、転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線83.00 円を念頭に置き、83 円前半の雲の下限から11 日高値を抵抗帯に戻り売りスタンスで臨みたい。

レジスタンス1 83.21(4/11 高値)
前日終値 82.75
サポート1 82.10(4/7 安値)