デイリーレポート 2024年1月17日
January 17, 2023
【前日の為替概況】ドル円、147.31 円まで上昇 FRB の早期利下げ観測後退でドル高
16 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は 147.19 円と前営業日 NY 終値(145.73 円) と比べて 1 円 46 銭程度のドル高水準となった。1 月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が▲43.7 と予想 の▲5.0 を大幅に下回ったことが分かると全般ドル売りが先行。22 時 30 分過ぎに一時 146.29 円付近まで 下押しした。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事はこの日、 講演で「インフレが再燃しなければ、今年利下げは可能」としながらも、「インフレ率の低下が持続する と明確になるまで利下げを急ぐべきでない」「利下げは秩序立った慎重なペースで進めるべき」などと発 言。「ウォラー氏は行き過ぎた市場の利下げ期待をけん制した」との見方から、米長期金利の上昇ととも にドル買いが加速した。4 時前には一時 147.31 円と昨年 12 月 7 日以来の高値を更新した。
ユーロドルは下落。終値は 1.0875 ドルと前営業日 NY 終値(1.0950 ドル)と比べて 0.0075 ドル程度の ユーロ安水準だった。ウォラー氏の発言を受けて FRB が早い時期に利下げに転じるとの見方が後退すると、 米長期金利が上昇し全般ドル買いが優勢となった。欧米株価の下落を背景にリスク・オフのドル買いも入 り、1 時過ぎに一時 1.0863 ドルと日通し安値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルイ ンデックスは一時 103.43 と昨年 12 月 13 日以来約 1 カ月ぶりの高水準を付けた。
なお、低調な米経済指標を受けて一時 1.0898 ドル付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。 また、欧州中央銀行(ECB)高官からは早期利下げに慎重な発言が相次いだものの、ユーロ買いでの反応 は薄かった。
ユーロ円は続伸。終値は 160.06 円と前営業日 NY 終値(159.60 円)と比べて 46 銭程度のユーロ高水準。 23 時前に一時 159.32 円付近まで売られたものの、アジア時間に付けた日通し安値 159.24 円が目先サポ ートとして働くと買い戻しが優勢に。ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが出ると、一時 160.15 円まで上値を伸ばした。
【本日の東京為替見通し】ドル円、日米金融政策への思惑から堅調推移か
本日の東京外国為替市場のドル円は、日米金融政策への思惑から堅調推移が予想される。 ドル円は、令和 6 年能登半島地震を受けて日銀の早期マイナス金利解除観測が後退という円売り要因と、 ウォラーFRB 理事の発言を受けて FRB の早期利下げ観測が後退するというドル買い要因を受け、147.31 円まで上昇して年初来高値を付けている。
ドル円は、昨年 11 月 13 日の高値 151.91 円から 12 月 28 日の安値 140.25 円まで 11.66 円下落した後、 昨日は半値戻しの 146.08 円を上回って 147.31 円まで上昇し、61.8%戻しの 147.46 円を射程に入れつつ ある。一目均衡表でも、雲(下限 145.92 円・上限 146.81 円)を上抜けて、三役好転が点灯して買い時代 に入りつつある。
米商品先物取引委員会(CFTC)の 1 月 9 日時点のデータでは、投機筋の主要通貨や新興国通貨に対する ドル売り持ち総額は 127 億ドルとなっており、前週の 105 億ドルから増加していた。昨年 11 月半ばの時 点では、約 100 億ドルのドル買い持ちだったことで、約 227 億ドル規模の途転ドル売りが断行されたこと になる。ドル売り持ちの背景には、昨年 12 月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された今年 3 回程度 の利下げがあると思われる。さらに、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが FF 金利先物の動 向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、今年 6 回の利下げで、年末の FF 金利誘導目標は約 4 割が 3.50-3.75%までの 1.75%の利下げが見込まれている。
現状のドル全面高の展開は、投機筋のドル安相場観に反する動きであるため、彼らの動向には注視して いきたい。昨日は主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスが一時 103.43 と昨年 12 月 13 日以来約 1 カ月ぶりの高水準を付けていた。
1 月 9 日時点の CFTC での円のネット売り持ちポジションは、55949 枚(NY 終値:144.48 円)となって おり、昨年 11 月 14 日の 130249 枚(NY 終値:150.37 円)から大幅に減少していた。
11 時に発表される 10-12 月期中国国内総生産(GDP)は、前期比+1.0%、前年比+5.3%と予想されてお り、7-9 月期 GDP の前期比+1.3%は下回り、前年比+4.9%は上回ることが見込まれている。12 月中国鉱工 業生産(予想:前年比+6.6%)は 11 月の同比+6.6%と同じ、12 月中国小売売上高(予想:前年比+8.0%) は、11 月の同比+10.1%から伸び率鈍化が見込まれている。
中国の消費者物価指数(CPI)は、昨年 10 月から 12 月まで、3 カ月連続で前年比マイナスとなってお り、デフレ懸念が再燃している。中国人民銀行は、デフレ圧力に対処し、貸し出しを増やすために、15 日に中期貸出制度(MLF)の 1 年物金利を引き下げることが見込まれていた。しかしながら、利下げが見 送られたことで、次回の 2 月 19 日の月次見直しまで先送りされている。
中国の 2023 年通年での GDP は前年比+5.2%と予想されており、成長率目標である 5%前後の達成がほ ぼ確実となったことが見込まれている。今年の政策目標は、デフレリスクや住宅危機、長引く信用収縮が 今年の成長モメンタム構築に向けた取り組みを損なうかどうかに移っている。
【本日の重要指標】
<国内>
特になし
<海外>
○11:00 ☆ 10-12 月期中国国内総生産(GDP、予想:前期比 1.0%/前年同期比 5.3%)
○11:00 ◎ 12 月中国鉱工業生産(予想:前年比 6.6%)
○11:00 ◎ 12 月中国小売売上高(予想:前年比 8.0%)
○16:00 ◎ 12 月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.2%/前年比 3.8%)
○16:00 ◎ 12 月英 CPI コア指数(予想:前年比 4.9%)
○16:00 ◇ 12 月英小売物価指数(RPI、予想:前月比 0.4%/前年比 5.1%)
○23:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:35 ◎ バスレ・スロベニア中銀総裁、講演
○18:15 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○18:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○19:00 ☆ 12 月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比 2.9%)
○19:00 ☆ 12 月ユーロ圏 HICP コア改定値(予想:前年比 3.4%)
○20:00 ◇ 11 月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲1.1%)
○20:30 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○21:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数
○21:00 ◎ 11 月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比 2.1%)
○21:15 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○22:30 ◇ 11 月対カナダ証券投資
○22:30 ◇ 12 月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲0.7%)
○22:30 ◇ 12 月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲1.6%)
○22:30 ☆ 12 月米小売売上高(予想:前月比 0.4%/自動車を除く前月比 0.2%)
○22:30 ◇ 12 月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.5%)
○23:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、講演
○23:00 ◎ ボウマン FRB 理事、講演
○23:15 ◎ 12 月米鉱工業生産指数(予想:前月比横ばい)
◇ 設備稼働率(予想:78.7%)
○24:00 ◇ 11 月米企業在庫(予想:前月比▲0.1%)
○24:00 ◎ 1 月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:39)
○18 日 00:15 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18 日 03:00 ◎ 米財務省、20 年債入札
○18 日 03:30 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○18 日 04:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○18 日 05:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
16 日 16:30 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「利下げの時期については言及しない」
「今年の我々の次の行動は利下げ」
「金利は現在よりも高くなるべきではない」 16 日 20:26 ナーゲル独連銀総裁
「利下げについての話は時期尚早だ」
「インフレについてはまだ道半ば、政策判断にはデータ を待つ必要」
「米国の選挙が市場に与える影響を監視する」
16 日 21:33 クガニャゴ SARB(南ア準備銀行)総裁
「インフレ戦争に勝利するまで金利は長期間高くなる見 込み」
17 日 00:39 センテノ・ポルトガル中銀総裁
「インフレのアンダーシュートは避けるべき」
「第 1 四半期の GDP は依然として停滞しているようだ」
「賃金について懸念する理由は見当たらない」
「インフレの軌道は良好」
17 日 01:04 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「以前ほど迅速に利下げをしたり急ぐ理由はない」
「利下げを開始した場合でも秩序だって慎重であるべ き」
「インフレが再燃しなければ今年利下げが可能」
「持続可能な 2%インフレの達成が射程圏内にあると確 信」
「目標は近づいているが、確実にするためには今後数カ 月以内にさらに詳しい情報が必要」
「利下げ時期と回数は今後のデータ次第」
17 日 02:59 ミュラー・エストニア中銀総裁
「ユーロ圏の賃金上昇率はインフレ目標と一致していな い」
「市場の 2024 年利下げ予想はアグレッシブ」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=雲の下限を支持に押し目買いスタンス>
大陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線
を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買い
シグナルが点灯した。2 手連続陽線で転換線を上回って引け
ており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は雲の上限 146.81 円を念頭に置き、下限を支持に押
し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 2 149.75(2023/11/22 高値)
レジスタンス 1 148.51(2023/11/30 高値)
前日終値 147.19
サポート 1 145.92(日足一目均衡表・雲の下限)
サポート 2 145.37(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売り、200 日線が視野に>
陰線引け。転換線は基準線を下回っているものの、遅行ス
パンは実線を上回り、雲の上で引けていることで買いシグナ
ルが優勢な展開となっている。しかし 4 手連続陰線で転換線
を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は 1.0930 ドル台の転換線を抵抗に戻り売りスタンス
で臨みたい。下サイドでは、200 日移動平均線 1.0848 ドルや一目・雲の上限 1.0828 ドルが意識される。
レジスタンス 1 1.0931(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0875
サポート 1 1.0733(日足一目均衡表・雲の下限)
<ユーロ円=1/16 安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で推移していることで、三役好転の強い買い
シグナルが点灯している。2 手連続陽線で転換線を大きく上
回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は 16 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 161.78(2023/12/1 高値)
前日終値 160.06
サポート 1 159.24(1/16 安値)
<豪ドル円=1/11 高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ
グナルが点灯している。しかし抱き線で反落し、僅かながら
も転換線を下回って引け、続落の可能性が示唆されている。
本日は 96.97 円の転換線を念頭に置き、11 日の高値を抵抗
に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 97.80(1/11 高値)
前日終値 96.91
サポート 1 96.21(日足一目均衡表・基準線)