デイリーレポート 2024年1月24日

January 24, 2023

【前日の為替概況】ドル円、3 日ぶり反発 米長期金利上昇でドル高

23 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は 3 営業日ぶりに反発。終値は 148.35 円と前営業日 NY 終 値(148.10 円)と比べて 25 銭程度のドル高水準だった。植田日銀総裁の発言をきっかけに一時 146.99 円まで急落した反動で買い戻しが先行。米長期金利の指標となる米 10 年債利回りが 4.15%台まで上昇す ると全般ドル買いが活発化し、東京時間の高値 148.55 円を上抜けて一時 148.70 円まで上値を伸ばした。

ただ、19 日の高値 148.80 円が目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。

ユーロドルは続落。終値は 1.0854 ドルと前営業日 NY 終値(1.0883 ドル)と比べて 0.0029 ドル程度の ユーロ安水準となった。米長期金利の上昇を受けて全般ドル買いが優勢になると、一時 1.0822 ドルと昨 年 12 月 13 日以来の安値を更新した。1 月ユーロ圏消費者信頼感速報値が▲16.1 と予想の▲14.3 を下回 ったことも相場の重し。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時 103.82 と昨年 12 月 13 日以来の高値を付けた。

ユーロ円も続落。終値は 161.04 円と前営業日 NY 終値(161.19 円)と比べて 15 銭程度のユーロ安水準。 植田日銀総裁の発言を受けて、日本時間夕刻には 160.43 円まで下落したものの、NY 市場に限れば 160 円 台後半での狭いレンジ取引に終始した。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は 方向感が出なかった。

代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインはこの日も軟調に推移した。市場では「米国で現物 を運用対象とする上場投資信託(ETF)が承認されたことを受けて、承認を先取りして買い進めていた投 資家の売りが続いている」との声が聞かれた。対ドルでは一時 3 万 8509 ドル前後、対円では 571 万円台 と昨年 12 月 1 日以来の安値を更新した。

【本日の東京為替見通し】日銀政策イベントを通過し、ドル高・円安地合いは継続

昨日の日銀金融政策イベントを受けてドル円は一時神経質な動きとなるも、サプライズはなくほぼ無風 通過した。年初から強まったドル高・円安の地合いは変わらず、ドル円は上値を試す動きが続くと想定さ れる。東京タイムでは本邦の 12 月貿易統計の発表が予定されているが、ドル円は日経平均や時間外の米 長期金利の動向を睨んだ動きになるだろう。12 月貿易統計(季調前)は 1221 億の赤字と、11 月から赤字 額は大きく縮小するも 3 カ月連続の赤字が予想されている。日経平均だけではなく、昨日に中国当局が政 策支援策を検討しているとの報道を背景に 3 日ぶりに反発した中国株の動きにも注目したい。

日銀は 1 月の金融政策決定会合でマイナス金利解除を見送り、2024 年度の物価見通しを下方修正した。 これは大方の予想通りの結果である。植田日銀総裁の「物価目標の実現確度、少しずつ高まっていると判 断」との発言を受けて円買いに傾く場面もあったが、市場もすでに 3 月か 4 月の会合で日銀がマイナス金 利解除に動くと織り込んでおり、円買いは続かなかった。植田日銀総裁は「マイナス金利解除後も、当面 は緩和的な金融環境が続くと思うが、どのくらいの長さになるかは言いようがない」などとも発言してい る。日銀の金融政策正常化の見方が高まったとはいえ、マイナス金利解除後の利上げ期待が高まらない限 り、円が大きく買われる地合いにはなりにくい。米早期利下げ観測が後退している現状では、ドル円が底 堅さを維持し 150 円台回復を試す動きを念頭に置きたい。

【本日の重要指標】

<国内>

○08:50 ◎ 12 月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前 1221 億円の赤字、季節調整済 4194 億円の赤字)

<海外>

○17:00 ◎ 12 月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.1%/前年比 5.2%)

○17:15 ◎ 1 月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:42.5)

○17:15 ◎ 1 月仏サービス部門 PMI 速報値(予想:46.0)

○17:30 ◎ 1 月独製造業 PMI 速報値(予想:43.7)

○17:30 ◎ 1 月独サービス部門 PMI 速報値(予想:49.5)

○18:00 ◎ 1 月ユーロ圏製造業 PMI 速報値(予想:44.8)

○18:00 ◎ 1 月ユーロ圏サービス部門 PMI 速報値(予想:49.0)

○18:30 ◎ 1 月英製造業 PMI 速報値(予想:46.7)

○18:30 ◎ 1 月英サービス部門 PMI 速報値(予想:53.2)

○21:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数

○23:45 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:5.00%で据え置き)

○23:45 ◎ 1 月米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:47.9)

○23:45 ◎ 1 月米サービス部門 PMI 速報値(予想:51.0)

○23:45 ◎ 1 月米総合 PMI 速報値(予想:51.0)

○25 日 00:30 ◎ マックレム BOC 総裁、会見

○25 日 00:30 ◇ EIA 週間在庫統計

○25 日 03:00 ◎ 米財務省、5 年債入札

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

23 日 12:15 日本銀行声明

「必要であれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じ る」

「予想物価上昇率、緩やかに上昇している」

「潜在成長率、足もとではゼロ%台後半と推計される」

「物価見通し、原油価格の下落の影響主因に 24 年度が 下振れ」

「経済・物価めぐる不確実性極めて高い」

23 日 15:38 植田和男日銀総裁

「わが国の景気は緩やかに回復。先行きの日本経済は 緩やかな回復を続ける見通し」

「能登半島地震に際して、金融機能維持と資金決済円 滑化に万全を期す」

「コア消費者物価指数(CPI)はサービス価格の上昇もあ り足元は 2%台前半」

「賃金上昇を伴う 2%物価目標の持続的・安定的な実現 を目指す」

「必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じ る」

「2%物価目標の安定的持続に必要な時点まで現行の 緩和策を継続」

「賃金から物価への波及、少しずつ広まっている」

「物価目標の実現確度、少しずつ高まっていると判断」

「目標を見通せれば、マイナス金利含む緩和策の継続 の是非を検討する」

「物価目標の実現確度向上の根拠は、コアコアCPI再点 検で同じ数字だったこと」

「第 2 の力は引き続きゆっくり上昇を継続」

「輸入物価上昇の価格転嫁はピークを過ぎたと判断」

「マイナス金利解除は、その後の経路も考慮して判断」

「マイナス金利は、ある程度の副作用は否定できない」

「物価目標実現へどのくらい近づいたかは把握が難し い」

「実質賃金がずっとマイナスである見通しでは、目標達 成に遠い」

「実質金利がプラスに転じる見通しなら政策変更は妨げ ない」

「マイナス金利解除しても極めて緩和的な環境が続く」

「能登半島地震で非常に大きなマイナスの影響があれ ば、出口判断に影響する」

「ETF、目標達成が見通せる段階で引き続き買うかは検 討」

「サービス価格が上がることで賃金引き上げの余地を生 む」

「株価や為替の動きには注目している」

「物価 2%の前に利上げした場合、デフレに戻るリスクも 上がる」

23 日 17:51 神田財務官

「日銀の決定を尊重し、市場に対して適切な対応をとる」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=90 日線を上回るレンジ中心の推移が続くか>

下影小陽線引け。一時 146.99 円と 1 週間ぶりに 147 円割 れへ下振れた。しかし 147.46 円前後で推移する 90 日移動平 均線のサポートを下回る同水準で下げ渋り、148 円台を回復している。 引き続き 90 日移動平均線を上回るレンジ中心の底堅い推 移が続くか。不安定で振れやすく再び 90 日線を割り込むよ うな場面はあるかもしれないが同線前後での下げ渋りを想定する。


レジスタンス 2 149.20(2023/11/24 安値)
レジスタンス 1 148.80(1/19 高値)
前日終値 148.35
サポート 1 147.46(90 日移動平均線)

<ユーロドル=雲と転換線に挟まれたレンジ付近で推移しそう>

小陰線引け。一時 1.0916 ドルと一目均衡表・転換線を抜 けて上振れ後、1.0822 ドルと一目・雲の中へ潜り込む下落と なるなど不安定に上下した。ただ、雲の上限付近で NY を引 けており、低下が続く見込みの転換線 1.0905 ドルと上限が 1.0869 ドルの雲に挟まれたレンジ付近の推移が続きそう。転 換線と雲上限の交差が予想される 1.0890 ドル付近に収れん しつつ方向性をうかがう流れ継続が予想される。

レジスタンス 1 1.0916(1/23 高値)
前日終値 1.0854
サポート 1 1.0783(90 日移動平均線)

<ユーロ円=再び下振れても転換線が支えに>

小陰線引け。気迷い気味のなか 160.43 円へ下振れる場面 もあった。しかし 161 円台で上昇中の 5 日移動平均線近辺へ 戻して引ける底堅さを示している。目先のすう勢を示す 5 日 線は本日 161.14 円前後へ小幅に低下して推移しており頭打 ち兆候が出てきたため、再び下押す展開も想定しておくべき かもしれない。ただ、上昇傾向の一目均衡表・転換線 160.21 円が支えとなりそうであるため、相場が大きく崩れる状態にはならないだろう。

レジスタンス 1 161.72(1/23 高値)
前日終値 161.04
サポート 1 160.21(日足一目均衡表・転換線)

<豪ドル円=上昇が予想される転換線の動きが支援に>

陽線引け。97 円半ばで上昇中の 5 日移動平均線前後の底堅 さを維持している。97 円後半が重く下押しを挟む推移となり やすいが、下値を探る動きは一目均衡表・転換線 97.24 円前 後にとどまっている。下支えとなる転換線の上昇は続く見込 みで、同線の動きとともに上値を伸ばす展開が期待できる。


レジスタンス 1 98.07(2023/12/1 高値)
前日終値 97.63
サポート 1 97.24(日足一目均衡表・転換線)