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March 8, 2024
◆ドル円、日銀の政策修正への思惑から上値は重い
◆CPI など米重要指標が予定も、材料視されづらい
◆ユーロドル、早期利下げ期待はそれほど高まらず
ドル円 144.00-150.00 円
ユーロドル 1.0700-1.1100 ドル
ドル円は、日銀の早期マイナス金利解除への思惑から上値の重い展開となりそうだ。思惑が高 まるきっかけとなったのは6日に「日銀が18-19日に開く金融政策決定会合で、一部出席者がマ イナス金利政策の解除が妥当だと意見表明する見通し」との一部報道がヘッドラインで伝わった こと。結果的に一部出席者というのが「少なくとも1名」だったことが分かったため円高が加速 するという展開はならなかったが、翌日には海外短期筋が囃すように日銀の早期政策修正を見越 して円買いや日本株売り、債券売りを仕掛けた。また、日本最大の労働組合である連合が「今年 の春闘における加盟労組の賃上げ要求が1994年以来、30年ぶりに5%を上回った」と発表したこ とで3月会合でのマイナス金利解除期待が一段と高まる形となっている。
もっとも海外中銀とは違って日銀の場合、たとえマイナス金利を解除したとしても、その後に 金利をコンスタントに引き上げる可能性は低いと見られている。そのため政策修正をきっかけに 円安トレンドが終焉するとはみていないが、結果が出る19日までは戻りの鈍い動きとなりそうだ。 引き続き日銀絡みの報道には警戒する必要があるだろう。
なお来週は米国から、12日の2月消費者物価指数(CPI)を皮切りに14日には2月卸売物価指 数(PPI)や2月小売売上高、15日には3月ミシガン大学消費者態度指数・速報値と重要指標が 多く発表される。ただ、今週は2月ISM非製造業景況指数の発表やパウエル米連邦準備理事会(FRB) 議長の議会証言が行われたものの、米金利見通しとしては3月・5月の金利据え置きという大方 の予想に変化は見られておらず、市場の焦点が日銀に向かっていることが窺われる。
ユーロドルは、方向感を見出しづらい。欧州中央銀行(ECB)が金融政策発表でインフレ見通し を下方修正したことから「利下げに向けた準備に入ったのでは」との見方が広がった。しかしな がら、ラガルドECB総裁は定例記者会見で「今回、利下げについて議論しなかった」「インフレに 関する確信は十分ではない」と利下げについて慎重な姿勢を示した。短期金利市場では、依然と して最初の利下げは6月と予想している。
ドル円は150円台前半から半ばでのもみ合いが続いていたが、2月米ISM非製造業景況指数な ど弱い米経済指標が相次いだことを受けて次第に売りに押される展開に。日銀の早期マイナス金 利解除への思惑が高まると下値を探る動きとなり、週後半には一時147.50円台まで売り込まれ、 2月2日以来の安値を付けている。 ユーロドルは1.08ドル台半ばでの推移が続いた後は低調な米経済指標に伴う米長期金利の低 下につれて買いが強まった。ラガルドECB総裁の発言を受けて1.09ドル半ばまで上昇した。(了)
March 8, 2024
◆豪ドル、翌週の金融政策を控えて思惑的な動きに警戒
◆豪ドル、RBA の利下げ時期の遅さが支えとなるか
◆ZAR、SARB は国政選挙を前に利下げを求める声に応じない
豪ドル円 95.50-99.50 円
南ア・ランド円 7.70-8.10 円
豪ドルは神経質な展開となりそうだ。18-19日に豪準備銀行(RBA)理事会と日銀金融政策決定 会合が開催され、19-20日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催予定。日・米・豪の金融政 策公表を翌週に控えるなか、イベントを前にした思惑的な動きが相場を左右することになるだろ う。金融政策絡みの観測報道などにも警戒しておきたい。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、今週行われた議会証言で「利下げにはインフレに関 するさらなる確信が必要」などの見解を示し、従来通り利下げを急がない姿勢を表明。ただ、RBA は前回の会合で「金利のさらなる引き上げを排除しない」と言及しており、金融緩和へと向かう 時期はFRBよりも遅くなるだろう。来週の米インフレ指標を受けて米国の金利先安観が強まった 場合は対ドルで豪ドルが底堅く推移することも予想される。
一方で、対円では神経質な展開となりそうだ。今週は日銀の早期政策正常化への思惑が広がり、 円が全面高となる場面もあった。来週には日銀の注目している春闘の集中回答日が控えており、 マイナス金利の解除時期を巡って再び市場の思惑が交錯する可能性もある。円相場が全般に不安 定な動きになった際には、豪ドル円への影響にも注意しておきたい。なお、来週は12日に2月 NAB企業景況感指数の発表が予定されているが、相場への影響は限られるだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅い展開となりそうだ。南アフリカ準備銀行(SARB)のクガニ ャゴ総裁は先月末に「インフレを抑制するという課題はまだ終わっておらず、完了するまでは金 融スタンスを変更する理由がない」「5月29日に投票を控える中でもSARBは選挙の圧力に屈する つもりはない」と述べるなど、国政選挙を前に利下げを求める声に応じるつもりはないと明言。 南アのインフレ高止まり自体は懸念材料だが、金利面での相場下支え効果は期待できるだろう。
また、貴金属価格の上昇傾向もZAR相場を支える可能性が高そうだ。その一方で、今週は市場全 般でドル売りが進んだ影響が大きかったこともあり、来週以降も対ZARでドル売りの流れが継続 するか見極める必要があるだろう。
豪ドルは対ドルでは底堅く推移した。週半ば以降はさえない米経済指標を受けた米長期金利の 低下からドル売りの流れが目立つようになり、豪ドルも対ドルでは1月30日以来の高値となる 0.6625ドルまで反発した。ただ、豪ドル円はドル円が147円台半ばまで下落した影響で相殺され たため、狭いレンジ内で方向感を欠いた動きとなった。
ZARも対ドルを中心に底堅く推移。手掛かり材料は乏しかったものの、対ドルでは18.67ZAR台 までドル安・ZAR高が進んだ。金先物価格が連日で過去最高値を更新するなど堅調に推移したこ ともZAR買いを誘った面があった。(了)
March 8, 2024
◆ポンド、英雇用データや景気指標に注目
◆ポンド、英政府予算案に対する格付け会社の判断に注意
◆加ドル、日米金利動向に振らされる展開
ポンド円 187.00-192.00 円
加ドル円 108.50-111.50 円
ポンドは、週前半から半ばに発表される雇用データや景気指標に注目。また、対円では日銀の 金融政策への思惑、対ドルでは米金利の動きに左右される場面も多そうだ。
英国立統計局(ONS)は12日、「ボーナスを除く平均賃金」の11-1月期分を発表する。前回 2023年10-12月期は前年比6.2%上昇と一部予想を0.2ポイント上回ったものの、前々回6.7% からは鈍化して約1年ぶりの低水準を記録した。翌週には2月消費者物価指数(CPI)が予定され、 その結果はもちろん重要ではある。ただ、インフレの方向性を総合的に判断するうえで、賃金デ ータは英中銀金融政策委員会(MPC)内での話し合いに少なからず影響を与えるだろう。また、英 景気の減速が懸念されるなか1月国内総生産(GDP)や鉱工業生産には目を向けておきたい。月次 GDPは前回マイナスから持ち直すか、鉱工業生産はプラスを維持できるかがポイント。
また、英予算案に対する格付け会社の判断にも注意したい。フィッチ・レーティングスは先月、 政府に厳格な歳出管理策を打ち出すよう促し、内容次第では格下げのリスクがあると指摘した。6 日にハント財務相が行った春季財政報告で予算案が明らかにされたが、財政赤字額を示す公共部 門純借入額は減少し続け、翌年度に政府目標を下回る見通しが示されている。
加ドルは、週初は2月雇用統計の結果を引きずることになりそうだ。前回1月分は新規雇用者 数が予想の2倍超え、失業率も予想より強く、約1年1カ月ぶりに前月から改善した。
労働市場への反応一巡後は、カナダ中銀(BOC)の金融政策決定会合も終えたばかりでもあり、 次の金融政策イベントを控える日米の金利動向を受けた円やドル相場全般の流れに沿った動きと なるだろう。対円について着目すべき点は、日銀の早期マイナス金利解除への市場の期待感がど の程度まで高まるか。対ドルでは、米国の2月インフレ指標に注視。12日米消費者物価指数(CPI) は、総合が前回からほぼ横ばいだがコア指数は減速予想。BOC早期利下げ観測の後退が加ドルの 支えとなっているなか、米金利先安観の強弱が相場の方向性を決めそうだ。
なおBOCは6日、政策金利を市場予想通り5.00%で据え置いた。マックレムBOC総裁が記者会 見で「高水準の政策金利は適切」と強調し、「利下げ検討は時期尚早」と述べたことが材料視され て加ドルは買われた。短期金融市場では6月会合に対する利下げ織り込み度が低下した。
ポンドは対円では191円前半で頭を抑えられ、週後半にかけて188円前半まで売り込まれた。 日銀の早期政策修正に対する思惑が高まり、全般円買いが優勢となった動きに歩調を合わせた。
一方、対ドルでは1.26ドル付近から昨年12月以来の1.28ドル台乗せとなった。弱い米経済指標 をきっかけにドル売りが進んだ。加ドルも対円では111円を上値に売りが強まった。BOC会合後 に持ち直す場面もあったが、本邦金利の先高観が強まると109円半ばまで下値を広げた。ただ、 対ドルでは、1.36加ドル近辺から1.34加ドル半ばまで加ドル高が進行した。(了)