デイリーレポート 2024年4月25日

April 25, 2024

【前日の為替概況】ドル円155.37円まで上昇、155.00円のノックアウト・オプションをヒット

24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は155.35円と前営業日NY終値(154.83円) と比べて52銭程度のドル高水準だった。米利下げ開始時期が後ずれするとの観測が高まる一方、日銀の 低金利政策は当面続くとの見方から円売り・ドル買いが出やすい地合いとなった。大量のノックアウトオ プションが観測されている155.00円を上抜けると断続的にストップロスを巻き込んで、一時155.37円と 1990年6月以来約34年ぶりの高値を更新した。

ただ、大きな節目を更新したことで、市場では政府・日銀による為替介入が一段と警戒されており、「当 局が介入に踏み切るとみられていた防衛ラインを上抜けたことで、神経質な動きとなっている」との声も 聞かれた。

ユーロドルは小反落。終値は1.0699ドルと前営業日NY終値(1.0701ドル)と比べて0.0002ドル程度 のユーロ安水準だった。22時前に一時1.0678ドルと日通し安値を付けたものの、4時30分前には1.0706 ドル付近まで下げ渋る場面もあったが、引けにかけては再び弱含んだ。円絡みの取引が中心となったため、 1.0700ドルを挟んだ狭いレンジでの値動きが続いた。

ユーロ円は4日続伸。終値は166.21円と前営業日NY終値(165.71円)と比べて50銭程度のユーロ高 水準。日本時間夕刻に一時165.44円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。ド ル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが出ると、取引終了間際に一時166.23円と2008年8月以来の高 値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、本邦通貨当局のドル売り・円買い介入に要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、関門だった155円のノックアウト・オプションの防戦ラインが打 ち破られたことで本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入という円安防戦の可能性に警戒する展開が予 想される。

本邦通貨当局は、ドル円が1990年以来の高値を更新していく過程で、「断固とした措置」「介入の準備 完了」「環境は整っている」などの円安牽制発言を繰り返し、日米韓財務相会談やG-7財務相・中央銀行 総裁会議でも懸念を共有していたことで、介入を見送った場合は信用のダメージが強まるのではないだろ うか。

現状の円安と原油高を前提にした試算では、家計の負担が年間でおよそ11万円増えるとのことであり、 今春の大幅な賃上げや4万円の定額減税の恩恵が感じられなくなることで、岸田政権にとっては円安阻止 は喫緊の課題だと思われる。

一方で、円安の恩恵としては、岸田政権が標榜している「貯蓄から投資」の象徴である新NISA(少額 投資非課税制度)を支援して、インバウンド消費を高めることなどが挙げられる。さらに、円安のデメリ ットでもある交易条件の悪化に関しては、3月の貿易収支が円安による輸出の増大で黒字に転換していた。 ドル高・円安の背景としては、日米の金融政策の乖離が挙げられる。

米連邦準備理事会(FRB)は量的金融引締政策(QT)により月間950億ドルの資産を売却して、市場か ら資金を吸収しており、米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ開始時期は秋以降に先送りされるとの見 方が浮上し、さらに利上げの可能性もやや高まりつつある。

一方で、日銀は、イールドカーブコントロール(YCC)を撤廃したものの、量的金融緩和政策(QE)に より国債の購入は継続して市場へ資金を供給しており、日銀金融政策決定会合での追加利上げは夏以降に なるのではないか、との見方が優勢となっている。

そして、日本のインフレ率が2%台にも関わらず、ゼロ金利政策なので、実質金利はマイナスであるた め、円・キャリートレードなどの投機的な円売り圧力が強まる環境にある。

神田財務官は、円買い介入の大義名分として投機的な円売りとボラティリティーの増大を挙げていた。 4月16日時点のIMM通貨先物の投機筋の円売り持ちネットポジションは、165619枚(x1250万円=約 2兆円)と、2007年6月26日以来(188077枚)17年ぶりの高水準となっている。円・キャリートレード の残高は、2月末時点では約11.5兆円となっており、現状ではさらに増えていることが予想される。 ボラティリティー増大を示唆するボリンジャー・バンド+2σは156.23円付近にあり、ドル円の上昇チ ャネルの本日の上限は157.28円にある。

植田日銀総裁は先週ワシントンでのG20会議後の記者会見で、円安による輸入物価の上昇が基調的な物 価上昇率に影響を与える可能性に言及し、「無視できない大きさの影響が発生した場合には金融政策の変 更もあり得る」と述べていた。

本日からの日銀金融政策決定会合では、ゼロ金利での据え置きが見込まれているものの、円安抑止のた めに、サプライズ的な追加利上げが決定されたタイミングで、本邦通貨当局による円買い介入が断行され るという奇策には警戒しておきたい。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○日銀金融政策決定会合(1 日目)

○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

○14:00 ◇ 2 月景気動向指数改定値

<海外>

○15:00 ◇ 5 月独消費者信頼感指数(Gfk 調査、予想:▲26.0)

○15:45 ◇ 4 月仏企業景況感指数(予想:101)

○16:00 ◎ シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演

○17:20 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演

○18:15 ◎ ラガルド ECB 総裁、講演

○18:30 ◇ 3 月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比 1.0%/前年比 4.6%)

○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:50.00%で据え置き)

○21:30 ☆ 1-3 月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率 2.4%)

◎ 1-3 月期米個人消費(速報値、予想:前期比年率 3.0%)

◎ 1-3 月期米コア PCE(速報値、予想:前期比年率 3.4%)

○21:30 ◇ 3 月米卸売在庫(予想:前月比 0.3%)

○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5 万件/180.5 万人)

○23:00 ◎ 3 月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比 0.4%/前年比▲3.0%)

○26 日 00:15 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演

○26 日 02:00 ◎ 米財務省、7 年債入札

○26 日 02:30 ◎ パネッタ伊中銀総裁、講演

○オーストラリア、ニュージーランド(アンザックデー)、休場

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

24 日 16:17 ナーゲル独連銀総裁

「インフレは賃金上昇の継続的な力強さから高止まりし ている」

「6 月の利下げが一連の利下げ開始につながるとは限ら ない」

「特定の金利経路を前もって約束することはできない」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯中。抱き線で切り返して依然として転換線を上 回って引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨 み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 156.98(1990/5/11 高値)
レジスタンス 1 155.87(1990/6/25 高値)
前日終値 155.35
サポート 1 154.18(日足一目均衡表・転換線)
サポート 2 153.59(4/19 安値)

<ユーロドル=横ばいの基準線を抵抗に戻り売りスタンス>

小陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線 を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売り シグナルが点灯中。3 手連続陽線の後に孕み線で反落して転 換線を上回って引けたものの、横ばいの基準線を下回って引 けていることで続落の可能性が示唆されている。 本日は下落中の転換線 1.0658 ドルを念頭に置き、基準線 を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手 仕舞い。

レジスタンス 1 1.0772(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0699
サポート 1 1.0601(4/16 安値)

<ポンド円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。2 手連続陽線で依然として転換線を 上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨 み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 194.45(ピポット・レジスタンス 2)
前日終値 193.63
サポート 1 191.98(日足一目均衡表・転換線)

<NZ ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回っているものの、遅行ス パンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグ ナルが優勢な展開となっている。3 手連続陽線で依然として 転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されてい る。 本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を 下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 93.45(2/23 高値)
前日終値 92.16
サポート 1 91.07(日足一目均衡表・転換線)