デイリーレポート 2024年6月14日
June 14, 2024
【前日の為替概況】ユーロは欧州政局不安で下落対ドル1.0733ドル、対円168.28円
13日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは反落。終値は1.0737ドルと前営業日NY終値(1.0809 ドル)と比べて0.0072ドル程度のユーロ安水準だった。米労働省が発表した5月米卸売物価指数(PPI) が予想を下回ったことが分かるとユーロ買い・ドル売りが先行。21時30分過ぎに一時1.0816ドルと日 本時間夕刻に付けた日通し高値に面合わせした。ただ、欧州を代表する株価指数のひとつユーロ・ストッ クス50指数が2%近く下落するなど、欧州株相場が軟調に推移するとリスク・オフのユーロ売り・ドル 買いが優勢に。欧州の政局不安などを背景にユーロ売りが出やすい面もあり、2時前には一時1.0733ド ルと日通し安値を更新した。ユーロはドル以外の通貨に対しても軟調だった。ユーロ豪ドルは一時1.6175 豪ドル、ユーロNZドルは1.7393NZドル、ユーロポンドは0.8413ポンド、ユーロカナダドルは1.4751 カナダドル、ユーロスイスフランは0.9595スイスフランまで値を下げた。
ドル円は反発。終値は157.03円と前営業日NY終値(156.72円)と比べて31銭程度のドル高水準だっ た。前日の5月米消費者物価指数(CPI)に続き、本日の米PPIが予想を下回ったことを受けて円買い・ ドル売りが先行。21時30分過ぎに一時156.59円とオセアニア時間に付けた日通し安値に面合わせした。 そのあとは157.27円付近まで買い戻される場面もあったが、ユーロ円中心にクロス円が下落するとド ル円にも売りが出て156.70円付近まで下押しした。もっとも、引けにかけてはじり高となり、157円台 前半まで持ち直している。
ユーロ円は反落。終値は168.61円と前営業日NY終値(169.41円)と比べて80銭程度のユーロ安水準。 欧州の政局不安を手掛かりにユーロ全面安となった流れに沿って一時168.28円と日通し安値を更新した。 欧州株安に伴うリスク回避の円買い・ユーロ売りも入った。
【本日の東京為替見通し】ドル円、日銀金融政策決定会合の結果を見極める展開
本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀金融政策決定会合での金融政策正常化の度合いを見極めるこ とになる。
日銀金融政策決定会合での決定内容として、政策金利(無担保コールレート)は、0.00-10%で据え置 きか、追加利上げ(+0.15%~+0.25%)、国債買い入れは、月額6兆円規模で据え置き、5兆円程度まで 減額、4兆円以下に減額、などのパターンを想定しておきたい。
タカ派的なシナリオは、植田日銀総裁、内田日銀副総裁、安達日銀審議委員が示唆していたように、追 加利上げ(+0.15%~+0.25%)と国債買い入れオペの4兆円以下への減額となる。このシナリオの場合の ドル円は、155円以下への下落が予想される。
植田日銀総裁は「長期金利は金融市場で形成されることが基本になる」と述べて、国債買い入れオペの 撤回を示唆していた。内田日銀副総裁は「デフレとゼロ金利制約との闘いの終焉は視野に入った」と述べ ていた。安達日銀審議委員は「持続的・安定的な物価上昇が2%を上回る可能性がより強まっている場合 には、利上げを行うことで金融緩和度合いを調整するペースを早める必要性があるかもしれません」と述 べていた。英訳された安達日銀審議委員の見解は、円安抑制措置として、為替介入から利上げ前倒しへの シフトと解釈されたらしい。
ハト派的なシナリオは、中村日銀審議委員が示唆していたように、金融政策の現状維持となる。この場 合のドル円は、158円以上への上昇が予想されるものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可 能性に警戒することになる。
ハト派的シナリオの背景には、4月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」の3指標が前年比 伸び率2%を下回ったこと、4月のコアCPIは前年比+2.2%に留まっていたこと、25カ月連続して実質賃 金がマイナスであり、1-3月期GDPがマイナス成長のままであることが挙げられる。
なお、2022年9月22日の日銀金融政策決定会合後の記者会見で、黒田日銀総裁(当時)は、「当面金 利を引き上げるようなことはない」と述べ、当日ドル円が145円台に上昇した局面で、本邦通貨当局はド ル売り・円買い介入に踏み切った。
2024年4月26日の日銀金融政策決定会合後の記者会見で、植田日銀総裁は、円安について「基調的な 物価上昇率に、今のところ大きな影響を与えているわけではない」と述べ、29日にドル円が160円台ま で上昇した局面で、本邦通貨当局はドル売り・円買い介入に踏み切った。
【本日の重要指標】
<国内>
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合(終了後、決定内容発表、予想:当座預金金利 0.00-0.10%で据え置き)
○13:30 ◇ 4 月第三次産業活動指数(予想:前月比 0.5%)
○13:30 ◇ 4 月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 4 月設備稼働率
○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見
<海外>
○15:00 ◎ 5 月消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%/前年比 3.5%)
◎ コア指数(予想:前月比▲0.1%/前年比 2.1%)
○15:45 ◇ 5 月仏 CPI 改定値(予想:前月比横ばい/前年比 2.2%)
○16:35 ◎ バスレ・スロベニア中銀総裁、講演
○18:00 ◇ 4 月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済 200 億ユーロの黒字)
○18:00 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○21:30 ◇ 4 月カナダ製造業出荷(予想:前月比 1.2%)
○21:30 ◇ 4 月カナダ卸売売上高(予想:前月比 2.8%)
○21:30 ◇ 5 月米輸入物価指数(予想:前月比 0.1%)
○23:00 ◎ 6 月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:72.0)
○15 日 01:00 ☆ 1-3 月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比 5.4%)
○15 日 01:00 ◎ 5 月ロシア CPI(予想:前月比 0.6%)
○15 日 02:30 ◎ ラガルド ECB 総裁、講演
○15 日 03:00 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○主要 7 カ国(G7)首脳会議(サミット、伊プーリア州、15 日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
13 日 15:59 バスレ・スロベニア中銀総裁
「現在の経済見通しが的中すれば、今年さらなる利下げ を行う可能性が高い」
「基本シナリオが当てはまれば、来年もさらに利下げが あるだろう」
「データに基づいた決定を行う」
「ディスインフレプロセスが遅れるリスクがある」
13 日 20:47 イエレン米財務長官
「労働市場は今やパンデミック前と似た状況」
「賃金は今のところインフレを加速させる要因にはなって いない」
「残存するインフレの相当部分は、住宅コストが通常水 準に徐々に戻っていることを反映」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=6/12 の安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ
グナルが点灯している。孕み線で切り返して転換線を上回っ
て引けていることで続伸の可能性が示唆されている。
本日は 12 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、
同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 2 160.17(4/29 高値=年初来高値)
レジスタンス 1 157.99(5/1 高値)
前日終値 157.03
サポート 1 155.72(6/12 安値)
サポート 2 155.12(6/7 安値)
<ユーロドル=遅行スパンが逆転、転換線を抵抗に戻り売り>
上影陽線引け。転換線は基準線と同値のままだが、遅行ス
パンは実線を上回って好転し、雲の上で引けていることで、
買いシグナルが優勢な展開。しかし、抱き線で反発して一時陰線引け。転換線は基準線と同値のままだが、遅行スパン
は実線を下回り、雲の中で引けていることで、売りシグナル
が優勢な展開となっている。抱き線で反落して転換線を下回
って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を
上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 1.0818(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0737
サポート 1 1.0650(5/1 安値)
<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線
を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買い
シグナルが点灯中。孕み線で反落したものの、転換線を上回
って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を
下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 201.32(6/13 高値)
前日終値 200.41
サポート 1 199.26(日足一目均衡表・転換線)
<NZ ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線
を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買い
シグナルが点灯中。3 手連続陽線の後、孕み線で反落したも
のの、依然として転換線を上回って引けていることで反発の
可能性が示唆されている。
本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を
下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 97.22(6/13 高値)
前日終値 96.84
サポート 1 96.25(日足一目均衡表・転換線)