デイリーレポート 2023年6月12日
June 12, 2023
【前日の為替概況】加ドル円、低調なカナダ 5 月雇用統計にも関わらず 104.78 円まで上昇
9 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は 139.40 円と前営業日 NY 終値(138.92 円)と 比べて 48 銭程度のドル高水準だった。「日銀は来週 15-16 日に開く金融政策決定会合で、大規模金融緩 和策の維持を決める公算が大きい」との報道を手掛かりに円売り・ドル買いが進み、日本時間夕刻に一時 139.73 円まで上昇した影響が残った。
ただ、一目均衡表転換線が位置する 139.69 円がレジスタンスとして意識されると伸び悩む展開となり、 21 時 30 分過ぎには 139.03 円付近まで下押しした。もっとも、13-14 日の米連邦公開市場委員会(FOMC) を前に様子見ムードは強く、大きな方向感は出なかった。
ユーロドルは 3 営業日ぶりに反落。終値は 1.0749 ドルと前営業日 NY 終値(1.0782 ドル)と比べて 0.0033 ドル程度のユーロ安水準だった。米長期金利が上昇した一方、独長期金利が低下したことでユーロ売り・ ドル買いが優勢となった。ユーロクロスの下落につれた売りも出て、一時 1.0743 ドルと日通し安値を更 新した。市場では「欧州中央銀行(ECB)定例理事会や FOMC など重要イベントを来週に控えた週末とあっ て、ポジション調整目的の売りが出やすかった」との指摘があった。
なお、ユーロ豪ドルは 1.5938 豪ドル、ユーロ NZ ドルは 1.7531NZ ドル、ユーロカナダドルは 1.4320 カナダドル、ユーロポンドは 0.8541 ポンドまで値を下げた。
ユーロ円は小幅続落。終値は 149.70 円と前営業日 NY 終値(149.80 円)と比べて 10 銭程度のユーロ安 水準。日本時間夕刻に一時 150.44 円まで値を上げたものの、NY 市場に入ると 149.69 円付近まで押し戻 された。
カナダドル円は底堅い動き。カナダ統計局が発表した 5 月カナダ雇用統計で新規雇用者数が 1.73 万人 減と予想の 2.32 万人増に反して減少し、失業率が 5.2%と予想の 5.1%より弱い内容となったことが分か ると 104.11 円付近まで下押しした。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、すぐに持ち直した。23 時過ぎには一時 104.78 円と日通し高値を付けた。
【本日の東京為替見通し】まずは企業物価指数を見極め、今週は FOMC と日銀会合を控える
本日の東京外国為替市場のドル円は、日本の 5 月の企業物価指数を見極めた後は、明日からの米連邦公 開市場委員会(FOMC)を控えて動きづらい展開が予想される。
ドル円は週明け、過去 9 日間のレンジの中心である日足一目均衡表・転換線 139.45 円付近で推移して いる。13-14 日に開催される FOMC と 15-16 日開催の日銀金融政策決定会合での金融政策の現状維持とい う見通しにより、居心地がいい水準なのかもしれない。
8 時 50 分発表の 5 月企業物価指数は前月比-0.2%/前年比+5.6%と予想され、4 月分から低下見込み。 注目ポイントは、4 月速報で前年比-2.9%だった内訳の輸入物価指数。同指数は、昨年 7 月のエネルギー 価格の上昇と円安による前年比+49.2%からは大幅に減速していた。輸入物価指数の 4 月分マイナスへの 鈍化は、ドル円相場が 130 円台と円高傾向だったことが要因だった。が 5 月は 140 円台へ上昇する円安傾 向だったことで、黒田前日銀総裁と植田日銀総裁が「コストプッシュ・インフレ」と言及していた輸入物 価指数の動向を見極めることになる。
明日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)では、先日、次期 FRB 副議長に指名されているジェファーソ ン FRB 理事がタカ派的な利上げ休止を示唆していたように、据え置きが見込まれている。そして、米ウォ ールストリート・ジャーナルの FED ウォッチャー、ニック・ティミラオス記者も「Fed Prepares to Skip June Rate Rise but Hike Later(FRB は 6 月会合では金利を据え置き、夏以降に再び利上げを行う準備 をする可能性」と配信していた。すなわち、米連邦準備理事会(FRB)執行部の意向は、6 月 FOMC は利上 げ休止、その後の利上げ再開や利下げへの転換は、データー次第ということになる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが FF 金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッ チ」では、6 月は 5.00-25%で据え置き、7 月は 5.25-50%への利上げ確率が高まっている。 15-16 日に開催される日銀金融政策決定会合では、先週末に関係筋の話として「日銀は来週 15-16 日 に開く金融政策決定会合で、大規模金融緩和策の維持を決める公算が大きい」との報道通りに現状維持が 見込まれている。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 5 月企業物価指数(予想:前月比▲0.2%/前年比 5.6%)
<海外> ○15:30 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○16:00 ◇ 4 月トルコ経常収支(予想:45.0 億ドルの赤字)
○16:00 ◇ 4 月トルコ失業率
○21:00 ◎ 4 月インド鉱工業生産(予想:前年同月比 1.5%)
○21:00 ◎ 5 月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比 4.37%)
○23:00 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○13 日 00:30 ◎ 米財務省、3 年債入札
○13 日 02:00 ◎ 米財務省、10 年債入札
○13 日 03:00 ◎ 5 月米月次財政収支(予想:2360 億ドルの赤字)
○オーストラリア(国王誕生日)、ロシア(ロシアの日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
9 日 09:36 植田日銀総裁
「政策の効果・副作用双方に目配りしてバランスの良い政策運営に努めたい」
「2%物価目標の持続的・安定的な実現にはまだ少し間がある」
「粘り強く金融緩和を継続する」
9 日 16:39 スウェーデン中銀(リクスバンク) 「経済状況は今後 6 ヶ月間、弱いままであると予想」
「一般的な製造業、特に輸出業界は需要が強く、多くの受注があり、生産率も高い」
「小売業では需要が通常よりも弱く、高いインフレが家計の財政を弱め、売上高が減少」
「製造業はコスト圧力が低下している」
9 日 18:04 易綱・中国人民銀行総裁
「CPI は下半期までに徐々に上昇すると予想され、12 月までには 1%を超えてくるだろう」
「第 2 四半期 GDP は強くなる見通し」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=6/7 高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ
グナルが点灯中。しかし、孕み線で反発したものの転換線を
下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線 139.45 円を念頭に置き、7 日高値を抵抗に
戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 2 140.93(5/30 高値)
レジスタンス 1 140.25(6/7 高値)
前日終値 139.40
サポート 1 138.45(6/1 安値)
サポート 2 137.30(200 日移動平均線)
<ユーロドル=転換線や雲の下限を念頭に置いた取引に>
陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を
下回り、雲の下で引けて三役逆転の強い売りシグナルが点灯
している。1.08 ドル超えの雲の下限が抵抗水準として意識さ
れた。しかしながら、孕み線で反落したものの転換線を上回
って引けており反発の可能性は残っている。
本日は、転換線 1.0711 ドルを念頭に置き、5 月 31 日の安
値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場
合は手仕舞い。
レジスタンス 1 1.0845(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0749
サポート 1 1.0635(5/31 安値)
<ポンド円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ
グナルが点灯している。3 手連続陽線で転換線を上回って引
けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は、上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨
み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 176.29(ピポット・レジスタンス 2)
前日終値 175.31
サポート 1 174.04(日足一目均衡表・転換線)
<NZ ドル円=上向きの転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回っているものの、遅行ス
パンは実線を上回り、雲の上で引けているため買いシグナル
が優勢な展開となっている。2 手連続陽線で転換線を上回っ
て引けていることで続伸の可能性が示唆されている。
本日は、84 円台で上向きの転換線を支持に押し目買いスタ
ンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 86.69(5/24 高値)
前日終値 85.41
サポート 1 84.54(日足一目均衡表・転換線)