デイリーレポート 2024年6月26日
June 26, 2024
【前日の為替概況】ドル円159.76円まで強含み、ボウマンFRB理事のタカ派発言で
25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小反発。終値は159.70円と前営業日NY終値(159.62円) と比べて8銭程度のドル高水準だった。ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事が講演で「政策金利をし ばらく据え置けばインフレを抑制できる可能性が高いが、必要であれば利上げの用意がある」と改めて表 明すると、全般ドル買いが先行。一時は4.20%台まで低下した米10年債利回りが4.25%台まで上昇した こともドル買いを促した。アジア時間高値159.71円を上抜けると一時159.76円と日通し高値を更新した。
ただ、前日の高値159.92円がレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。米2年債入札が「好調」 と伝わり、米10年債利回りが上昇幅を縮めたことも相場の重し。市場では「160円の心理的な節目を前 に政府・日銀による為替介入への警戒感もあり、上値は限定的だった」との声も聞かれた。
なお、クックFRB理事はNYでの講演で「ある時点で金利を引き下げるのが適切となるだろう」と述べ たものの、具体的な時期については明言を避けた。
ユーロドルは反落。終値は1.0714ドルと前営業日NY終値(1.0733ドル)と比べて0.0019ドル程度の ユーロ安水準だった。FRBが利下げを慎重に判断するとの見方が広がる中、米長期金利の上昇に伴うドル 買いが先行。23時過ぎに一時1.0691ドルと日通し安値を更新した。
ただ、前日の安値1.0684ドルが目先サポートとして意識されると下げ渋った。米長期金利が再び低下 に転じた場面では1.0718ドル付近まで下値を切り上げた。
ユーロ円は7営業日ぶりに反落。終値は171.10円と前営業日NY終値(171.35円)と比べて25銭程度 のユーロ安水準。23時過ぎに一時170.71円と日通し安値を付けたものの、その後は171.00円を挟んだ もみ合いに転じた。ドル円の上昇につれた買いが入った半面、ユーロドルの下落につれた売りが出た。
【本日の東京為替見通し】ドル円は円買い介入に要警戒、豪ドルは豪5月CPIに要注目か
本日の東京外国為替市場のドル円は、スポット取引の決済日が月末最終営業日(28日)となることに よる円売りの可能性に対して本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切るのか否かに注目する展開と なる。 ドル円は、本邦通貨当局のレッドラインと見なされている160円の手前で、21日は159.84円、24日は 159.92円、25日は159.76円までで伸び悩む展開となっている。
本日は、スポット取引の決済日が月末最終営業日(28日)となるため、円売り圧力の可能性に警戒し ておきたい。
また、昨年6月27日に神田財務官の続投人事が発表されており、本日から月末にかけて神田財務官退 官の人事が発表される可能性があることで、円の守護神である神田財務官が退場することによる円売り圧 力が強まる可能性には警戒しておきたい。
本邦通貨当局による円買い介入の可能性が高まる目安としては、神田財務官が警戒するボラティリティ ーの上昇を示すボリンジャー・バンド+2σが160.29円、「神田ライン」(過去28日間の安値から10円上 昇)が164.55円(154.55円+10円)となる。
海外投機筋は、IMM通貨先物の非商業(投機)に現れているように、円売り持ちポジション(※6/18 時点:147753枚)を積み上げており、一部の外国為替証拠金取引(FX)投資家は、円買い介入への期待 感から円買い持ちポジションを積み上げている。
本邦通貨当局が円買い介入を見送り、ドル円が160円を上抜けた場合、FX投資家の円買い持ちポジシ ョンの手仕舞いとなり、4月の152円の攻防戦の後のように上昇トレンドに弾みがつくことが予想される。
一方で、4月29日のように円買い介入に踏み切った場合は、シカゴ筋の円売り持ちポジションの手仕 舞いとなり、反落することが予想される。
10時30分に発表される5月豪消費者物価指数(CPI)は前年比+3.8%と予想されており、4月の同比 +3.6%からの上昇が見込まれている。予想通りならば、豪準備銀行(RBA)のインフレ目標レンジ(2-3%) から遠ざかることになり、先週のRBA理事会での声明文「インフレの上振れリスクに対して警戒」が現実 味を帯びてくることで、豪ドル買い要因になる。
ブロックRBA総裁は理事会後に「利上げについても議論した」などと述べていた。
##【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○10:30 ◎ 5月豪消費者物価指数(CPI、予想:前年比3.8%)
○15:00 ◇ 7月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲18.9)
○15:45 ◇ 6月仏消費者信頼感指数(予想:89)
○18:30 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○19:00 ◎ パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○19:40 ◎ レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:45 ◎ カザークス・ラトビア中銀総裁、講演
○23:00 ☆ 5月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲0.2%/63.3万件)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○27日02:00 ◎ 米財務省、5年債入札
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
25日10:41 鈴木財務相
「為替の行き過ぎた動きには適切に対応していく」
「為替は市場でファンダメンタルズを反映して決まっていく。安定的に推移することが一番重要」
25日16:48
「(日韓財務対話で)足もとの急速な円安・ウォン安で深刻な懸念を共有」
「為替は安定的に推移することが望ましい」
「過度な変動に対しては適切な対応をとる」
25日10:43 林官房長官
「為替の過度な変動には適切な対応取っていきたい」
「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要」
「為替の過度な変動、企業や家計の経済活動に悪影響与える」
25日20:41 ボウマンFRB理事
「政策金利を『しばらく』据え置けばインフレを抑制できる可能性が高い」
「必要であれば利上げの用意がある」 「インフレ率が持続的に2%まで上昇することをデータが示せば、いずれ政策 金利を徐々に引き下げることが適切となるだろう」
「米国のインフレ率はしばらくの間高止まりすると予想」
26日00:15 リャブコフ露外務次官
「我々の任務は、世界が核の混沌に陥るのを阻止すること」
26日01:04 クックFRB理事
「雇用者数の増加は今年も引き続き過大評価される可能性」
「労働市場は逼迫しているが、過熱しているわけではない」 「雇用のリスク、インフレ目標は現在よりバランスが取れている」
「政策は制限的で需要に圧力をかけている」
「来年はインフレがより急速に減速すると予測」
「3カ月および6カ月のインフレ率は不安定な道筋で低下すると予想」
「ある時点で金利を引き下げるのが適切となるだろう」
※時間は日本時間
##【日足一目均衡表分析】
<ドル円=6/21 の安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ
グナルが点灯中。被せ線で反落したものの孕み線で反発して、
依然として転換線を上回って引けていることで続伸の可能
性が示唆されている。しかし、本日陰線で反落した場合、「二
本立ち二羽烏」の天井圏示唆となるため注目しておきたい。
本日は21 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、
同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 160.48(ピボット・ターニングポイント)
レジスタンス1 160.17(4/29 高値=年初来高値)
前日終値 159.70
サポート1 158.67(6/21 安値)
サポート1 158.67(6/21 安値)
<ユーロドル=横ばいの基準線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を
下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ
グナルが点灯している。孕み線で反落して、依然として転換
線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、低下中の転換線1.0715 ドルを念頭に置き、横ば
いの基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜け
た場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0792(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0714
サポート1 1.0611(4/19 安値)
<ポンド円=6/25 安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ
グナルが点灯している。7 手連続陽線で転換線を上回って引
けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は25 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、
同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 203.19(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 202.60
サポート1 201.97(6/25 安値)
<NZ ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線
を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買い
シグナルが点灯中。2 手連続陰線でも依然として転換線を上
回って引けていることで反発の可能性が示唆されている。
本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を
下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 98.04(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 97.71
サポート 1 97.02(日足一目均衡表・転換線)