デイリーレポート 2023年6月13日

June 13, 2023

【前日の為替概況】ドル円、日米金融政策会合への思惑から 139.76 円まで強含み

12 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は 139.60 円と前営業日 NY 終値(139.40 円) と比べて 20銭程度のドル高水準だった。欧州市場では一時本日安値となる 139.07円まで売られたものの、 前週末 NY 時間の安値 139.03 円付近がサポートとして意識されると買い戻しが優勢となった。米連邦準備 理事会(FRB)は 13-14 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置くとの観測が高まる一方、 7 月利上げの可能性を残すとみられており、円売り・ドル買いを誘った面もあった。日銀が今週開く金融 政策決定会合で、大規模な金融緩和策を維持するとの見方も円売りを促し、2 時過ぎには 139.76 円と日 通し高値を付けた。

ユーロドルは小反発。終値は 1.0757 ドルと前営業日 NY 終値(1.0749 ドル)と比べて 0.0008 ドル程度 のユーロ高水準だった。日本時間夕刻に一時 1.0790 ドルと日通し高値を付けたものの、一時は 3.70%台 まで低下した米 10 年債利回りが 3.79%台まで上昇するとユーロ売り・ドル買いがじわりと強まった。23 時前には 1.0743 ドル付近まで下押しした。

もっとも、今週予定されている欧州中央銀行(ECB)定例理事会や FOMC など重要イベントを前に大きな 方向感は出なかった。

ユーロ円は 3 営業日ぶりに反発。終値は 150.18 円と前営業日 NY 終値(149.70 円)と比べて 48 銭程度 のユーロ高水準。欧米株価や日経平均先物の上昇を受けて円売り・ユーロ買いが強まると一時 150.26 円 付近まで上げた。ただ、日本時間夕刻に付けた日通し高値 150.35 円を上抜けることは出来なかった。

【本日の東京為替見通し】ドル円 FOMC を控えて動きづらいか、三角保ち合いを形成中

本日の東京外国為替市場のドル円は、本日と明日開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて動 きづらい展開が予想される。

ドル円は、過去 9 日間のレンジの中心である日足一目均衡表・転換線 139.45 円を軸に、5 月 30 日の高 値 140.93 円と 6 月 1 日の安値 138.45 円を底辺とする三角保ち合いを形成しつつあり、放れに就くスタン スとなっている。すなわち、FOMC 声明やパウエル FRB 議長の会見がタカ派的であれば上放れ、ハト派的 ならば下放れの可能性が高まることになる。

本日からの FOMC では、先日、次期 FRB 副議長に指名されているジェファーソン FRB 理事がタカ派的な 利上げ休止を示唆していたように、据え置きが見込まれている。注目ポイントは、ドット・プロット(金 利予測分布図)での 7 月 FOMC での利上げ示唆や 12 月の FF 金利の見通しとなる。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが FF 金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッ チ」では、6 月は 5.00-25%で据え置き、7 月は 5.25-50%への利上げ確率が高まっている。 5 月の FOMC 声明では、「委員会は入手する情報を注意深く見極め、その金融政策への含意を判断する」 と言及し、3 月 FOMC 声明に盛り込まれた「いくらかの追加引き締めが適切となる可能性を見込む」との 文言が削除されたことで、6 月の利上げ休止を示唆した。

パウエル FRB 議長は、5 月 FOMC 声明発表後の記者会見で、「今回の声明は 6 月の政策金利据え置きを示 唆しているのか?」との質問に対し、「追加利上げを見込むとの文言を削除したことは意義のある変化だ。 政策は入手するデータに左右され、会合ごとに判断する。その質問には 6 月の会合時に取り組む」と答え ていた。

FF 金利誘導目標は、これまでの 10 回の利上げで 5.00-25%まで上昇している。 消費者物価指数(CPI)は、昨年 6 月の前年比+9.1%をピークに、4 月は FF 金利の下限 5.00%を下回る 同比+4.9%まで低下しており、本日発表される 5 月の CPI は同比+4.1%まで伸び率が鈍化することが見込 まれている。また、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している PCE 総合価格指数の 4 月分は、同比+4.4%と発表されており、3 月分の同比+4.2%からは上昇していたものの、FF 金利の下限 5.00%は下回っている。そして、米 10 年債利回りが 3.7%台、米 2 年債利回りが 4.5%台で推移し、長短 金利逆転(逆イールド)となっていることは、これまでの経験則では、リセッション(景気後退)の到来 を警告し、FED ピボット(FRB の利下げへの転換)を予告している。1968 年以降の 8 回のリセッションは、 米国債の 3 カ月物利回りが 10 年物を上回るイールドカーブ逆転の後に起きている。足もとで 3 カ月物利 回りは 5.2%台で推移している。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

○08:50 ◇ 4-6 月期法人企業景気予測調査

<海外>

○09:30 ◇ 6 月豪ウエストパック消費者信頼感指数

○10:30 ◇ 5 月豪 NAB 企業景況感指数

○15:00 ◎ 5 月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.1%/前年比 6.1%)

○15:00 ◎ 5 月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)

○15:00 ◎ 2-4 月英失業率(ILO 方式、予想:4.0%)

○18:00 ◎ 6 月独 ZEW 景況感指数(予想:▲13.1)

○18:00 ◎ 6 月ユーロ圏 ZEW 景況感指数

○18:00 ◎ グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員候補、議会証言

○19:00 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演

○21:30 ☆ 5 月米 CPI(予想:前月比 0.2%/前年比 4.1%)

☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比 0.4%/前年比 5.3%)

○23:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言

○24:00 ◎ ディングラ英 MPC 委員、講演

○14 日 02:00 ◎ 米財務省、30 年債入札

○米連邦公開市場委員会(FOMC)1 日目

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

12 日 23:21 マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員

「英データと調査は 5 月の BOE の予測以来好調を維持」

「4%の賃金上昇では CPI を 2%に戻すのは困難」

「5月以降の予想外のCPI上昇はコア商品と食品価格が要因」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=6/9 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナル が点灯している。2 手連続陽線で転換線を上回って引けてお り続伸の可能性が示唆されている。 本日は、転換線 139.45 円を念頭に、9 日安値を支持に押し 目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 140.93(5/30 高値)
レジスタンス 1 140.25(6/7 高値)
前日終値 139.60
サポート 1 138.76(6/9 安値)
サポート 2 137.34(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロドル=1.07 ドル前半の転換線を念頭に置いた取引>

小陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線 を下回り、雲の下で引けて三役逆転の強い売りシグナルが点 灯中。1.08 ドル超えの 90 日移動平均線や雲の下限が抵抗水 準として意識されたままだ。しかし転換線を上回って引けて おり、続伸の可能性が示唆されている。 本日は 1.0726 ドルまで上昇してきた転換線を念頭に置い た取引に。5 月 31 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨 み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 1.0806(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0757
サポート 1 1.0635(5/31 安値)

<ユーロ円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナル が点灯している。2 手連続陰線の後、窓を空けて反発して転 換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は 149 円半ばの転換線を支持に押し目買いスタンスで 臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 151.07(5/29 高値)
前日終値 150.18
サポート 1 149.54(日足一目均衡表・転換線)

<豪ドル円=5 手連続陽線、12 日安値を支持に押し目買い>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けているため、三役好転の強い買いシグ ナルが点灯している。5 手連続陽線で転換線を上回って引け ていることで続伸の可能性が示唆されている。 本日は、12 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、 同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 95.20(2022/11/8 高値)
前日終値 94.24
サポート 1 93.78(6/12 安値)