デイリーレポート 2024年7月24日

July 24, 2024

【前日の為替概況】日銀金融政策正常化観測で円全面高対ドル155.57円、対ユーロ168.84円

23日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。終値は155.59円と前営業日NY終値(157.04円) と比べて1円45銭程度のドル安水準だった。前週の河野太郎デジタル相に続き、自民党の茂木敏充幹事 長が22日の講演で「日銀は段階的な利上げの検討も含めて金融政策を正常化する方針をもっと明確に打 ち出す必要がある」と話し、日銀の利上げに言及すると、日銀の政策正常化への思惑が高まり円買い・ド ル売りが優勢となった。21時30分前には156.27円付近まで下げ渋る場面もあったが、米長期金利の低 下に伴う円買い・ドル売りが入ると再び弱含む展開となり155.57円と日通し安値を更新した。なお、6 月米中古住宅販売件数や7月米リッチモンド連銀製造業指数は予想より弱い内容となった。

ユーロドルは反落。終値は1.0854ドルと前営業日NY終値(1.0891ドル)と比べて0.0037ドル程度の ユーロ安水準だった。欧州時間にデギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁が「9月は意思決定するには適 した月である」と述べたと伝わると、ECBが9月に追加利下げに動くとの思惑が高まった。全般ユーロ売 りが優勢になると、24時前に一時1.0844ドルと日通し安値を更新した。

なお、ユーロポンドは一時0.8398ポンド、ユーロカナダドルは1.4932カナダドル、ユーロスイスフラ ンは0.9669スイスフランまで値を下げた。

ユーロ円は大幅に3日続落。終値は168.88円と前営業日NY終値(171.03円)と比べて2円15銭程度 のユーロ安水準。30-31日に日銀金融政策決定会合を控える中、日銀の金融政策正常化への思惑が高ま ると円買いが優勢となった。ECBの追加利下げ観測を背景にユーロ安も進むと、2時30分過ぎに一時 168.84円と6月17日以来の安値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、円高要因となった茂木幹事長の発言に要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は30-31日の日米金融政策決定会合への警戒感から軟調な推移が予 想される中、155円台までの円高の要因となったと思われる自民党の茂木幹事長の発言には警戒しておき たい。

日銀が昨日14時頃に発表した6月の基調的なインフレ率を捕捉するための指標は、3つのうち2つが 前月より伸び率が拡大していたものの、2つは2%を下回ったままであることで、追加利上げの可能性を 高める数字ではなかった。

しかしながら、次期総裁候補と見なされている河野デジタル相や茂木幹事長による日銀に対する利上げ 要請発言を受けて、来週の日銀金融政策決定会合への警戒感が高まりつつある。

17日、河野デジタル相は、海外メディアとの英語のインタビューで、円の価値を高め、エネルギーや 食料品のコストを引き下げるために政策金利を引き上げるよう日本銀行に求めた。河野氏は、急激な円安 がもたらす国内物価への影響などの問題を強調した。河野氏は円が安くなれば輸出の増加につながるが、 多くの日本企業は海外に生産拠点を置いており、日本にとっての恩恵は限られていると述べた。そして「為 替は日本にとって問題だ。円は安過ぎる。価値を戻す必要がある」と付け加えた。

ドル円は翌18日に155.38円まで下落し、一目均衡表・雲の下限155.49円を一時的に下抜けたものの、 河野デジタル相が「日銀に対して利上げを直接求めているわけではない。金利が上がれば円高になるとい う理論を申し上げただけだ」と釈明したことで157円台に戻した。

22日の都内での講演で、茂木幹事長は、日銀について「段階的な利上げの検討も含めて金融政策を正 常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」と語り、過度な円安の是正へ分かりやすい情報発信を 求めた。ドル円は昨日155.57円まで下落し、一目均衡表・雲の下限155.87円を下抜けてNY市場を引け ており、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。

ドル円の攻防の分岐点である155円割れは、日銀金融政策決定会合での国債の買入れ減額計画が「相応 の規模」(植田日銀総裁)となり、さらに、追加利上げが決定された場合になると思われる。すなわち、 相応の規模の減額と利上げというサプライズによって、投機筋の円売り持ちポジションの手仕舞いに繋が ると思われる。投機筋の円売り圧力は、7月16日時点のIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円の 売り持ちポジションは151072枚(×1250万円=約1.9兆円)までやや減少している。また、日銀が公表 する外国銀行在日支店の本支店勘定はキャリートレード残高を示唆しているが、4月時点で10.8兆円規 模となっている。

【本日の重要指標】

<国内>

特になし

<海外>

○15:00 ◇ 8 月独消費者信頼感指数(Gfk 調査、予想:▲21.0)

○15:45 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、パネルディスカッションに参加

○16:15 ◎ 7 月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:45.8)

○16:15 ◎ 7 月仏サービス部門PMI 速報値(予想:49.8)

○16:30 ◎ 7 月独製造業PMI 速報値(予想:44.0)

○16:30 ◎ 7 月独サービス部門PMI 速報値(予想:53.3)

○17:00 ◎ 6 月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比5.1%)

○17:00 ◎ 7 月ユーロ圏製造業PMI 速報値(予想:46.1)

○17:00 ◎ 7 月ユーロ圏サービス部門PMI 速報値(予想:53.0)

○17:30 ◎ 7 月英製造業PMI 速報値(予想:51.1)

○17:30 ◎ 7 月英サービス部門PMI 速報値(予想:52.5)

○20:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数

○21:00 ◎ レーンECB 専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演

○21:30 ◇ 6 月米卸売在庫(予想:前月比0.5%)

○22:45 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:4.50%に引き下げ)

○22:45 ◎ 7 月米製造業PMI 速報値(予想:51.7)

○22:45 ◎ 7 月米サービス部門PMI 速報値(予想:55.0)

○22:45 ◎ 7 月米総合PMI 速報値(予想:53.9)

○23:00 ☆ 6 月米新築住宅販売件数(予想:前月比3.4%/64.0 万件)

○23:30 ◇ EIA 週間在庫統計

○25 日02:00 ◎ 米財務省、5 年債入札

○25 日05:05 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、ローガン米ダラス連銀総裁、あいさつ

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

23日15:34デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁

「9月は意思決定するには適した月である」

「賃金の動向に特に注目していく」

「インフレは2024年を通じて現在のレベルで推移するだ ろう」

「現在の不確実性のレベルは非常に高いため、決定を 下す際には慎重でなければならない」

「フランスの選挙結果により、さらなる不確実性が生まれ た」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=三役逆転、雲の上限を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の下で引けたことで、三役逆転の強い売りシグナ ルが点灯した。2 手連続陰線で転換線を下回って引けている ことで続落の可能性が示唆されている。 本日は雲の下限155.87 円を念頭に置き、雲の上限を抵抗 に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 157.42(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス1 156.31(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 155.59
サポート1 154.55(6/4 安値)
サポート2 153.60(5/16 安値)

<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯中。しかし、抱き線で反落して転換線を下回っ て引けたことで続落の可能性が示唆されている。 本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上 抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0896(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0854
サポート1 1.0807(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロ円=7/22 安値を抵抗に戻り売りスタンス>

大陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線 を下回り、雲の中で引けているものの、売りシグナルが優勢 な展開となっている。3 手連続陰線で転換線を下回って引け ていることで続落の可能性が示唆されている。 本日は22 日の安値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同 水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 170.06(7/22 安値)
前日終値 168.88
サポート1 166.92(日足一目均衡表・雲の下限)

<豪ドル円=雲の上限を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の中で引けているものの、売りシグナルが優勢な 展開となっている。3 手連続陰線で転換線を下回って引けて いることで続落の可能性が示唆されている。 本日は雲の上限を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を 上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 104.15(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 102.92
サポート1 101.64(日足一目均衡表・雲の下限)