デイリーレポート 2024年7月30日
July 30, 2024
【前日の為替概況】ユーロドルは1.0803ドルまで軟調推移、米長期金利が低下幅を縮小
29日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3営業日ぶりに反落。終値は1.0821ドルと前営業日 NY終値(1.0856ドル)と比べて0.0035ドル程度のユーロ安水準だった。独長期金利の低下などを手掛か りにユーロ売り・ドル買いが先行。一時は4.14%台まで低下した米10年債利回りが4.18%台まで低下幅 を縮めると全般ドル買い戻しも優勢となり、23時30分過ぎに一時1.0803ドルと日通し安値を付けた。 市場では「前週までに発表されたユーロ圏の景気指標を受け、米国と比べたユーロ圏景気の相対的な弱さ が意識されている」との声が聞かれた。
ただ、一目均衡表基準線が位置する1.0807ドルや雲上限1.0776ドルがサポートとして意識されると 1.0826ドル付近まで下げ渋った。 ドル円は反発。終値は154.02円と前営業日NY終値(153.76円)と比べて26銭程度のドル高水準だっ た。アジア時間に一時153.02円と日通し安値を付けたものの、欧米市場に入ると買い戻しが優勢に。米 長期金利が低下幅を縮小したことなどが相場を下支えし、23時前に154.21円付近まで持ち直した。ただ、 アジア時間に付けた日通し高値154.35円を上抜けることは出来なかった。
もっとも、この日は主要な米経済指標の発表がなかったうえ、30-31日の日銀金融政策決定会合や米 連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて積極的な売買は手控えられた。
ユーロ円は続落。終値は166.67円と前営業日NY終値(166.93円)と比べて26銭程度のユーロ安水準。 ただ、NY市場に限れば狭いレンジでのもみ合いに終始した。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時 に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。
【本日の東京為替見通し】本日は日・米金融政策決定会合1日目、月末絡みの取引に終始か
本日の東京外国為替市場のドル円は、本日から日・米金融政策決定会合が始まり、明日発表される日銀 金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を控えて動きづらい展開が予想される中、月末 に向けた売り買いをこなしていく展開が予想される。
日銀がインフレ目標2%の目安として注視しているコア消費者物価指数(CPI)の6月分は前年比+2.6% だったが、明日の日銀金融政策決定会合で、政策金利(0-0.10%)が0.15%引き上げられるサプライズ の確率は40%程度となっている。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ目標2%の目安として注視しているPCEデフレーターの6月分は 前年比+2.5%だったが、明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利(5.25-50%)が0.25%引き 下げられるサプライズの確率は4%程度となっている。
本日から開催される日銀金融政策決定会合では、岸田首相やポスト岸田候補の河野デジタル相、茂木自 民党幹事長による日銀への金融政策正常化を要請するかのような発言を受けて、国債買い入れの減額計画 に加えて、追加利上げの可能性が警戒されている。政治日程と絡めれば、自民党総裁選挙は、岸田総裁の 任期が満了する9月末の前の10日以内、9月20日から29日までの間に実施される。
そして、日銀金融政策決定会合は9月19-20日に予定されており、日銀が追加利上げを目論んでいるの ならば、9月20日よりも明日7月31日の方が無難なのかもしれない。
植田日銀総裁は、6月会合後の記者会見で、「先行き、基調的な物価上昇率が見通しに沿って2%に向け て上昇していけば、政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えている」と述 べていた。すなわち、明日、0.15%程度の政策金利引き上げと金融緩和度合いの調整としての国債買い入 れの減額計画の同時実施があり得る可能性を示唆していた。そして、植田日銀総裁は6月18日の国会で の発言を最後に、異例ともいえる沈黙を保っており、市場に疑心暗鬼を生み出す要因となっている。
ドル円は、利上げと相応の国債買い入れ減額が決定された場合、長期的な攻防の分岐点である200日移 動平均線(151.61円)を下抜けて150円を割り込むシナリオが予想される。
しかし、利上げが見送られた場合、155円を上抜けて上昇することが予想されるものの、FOMC声明を日 本時間8月1日の午前3時に控えていることで、上値は限定的だと思われる。
そして、FOMC声明で、現状の金融政策の維持が決定され、パウエルFRB議長が慎重なスタンスを堅持 した場合、今年の本邦通貨当局の円買い介入ゾーンである157円~161円に向けた上昇が見込まれること になる。
【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間
<国内>
○日銀金融政策決定会合(1 日目)
○08:30 ◎ 6 月完全失業率(予想:2.6%)
○08:30 ◎ 6 月有効求人倍率(予想:1.24 倍)
<海外>
○10:30 ◎ 6 月豪住宅建設許可件数(予想:前月比▲1.5%)
○14:30 ◇ 6 月仏消費支出(予想:前月比0.2%)
○14:30 ◎ 4-6 月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.2%)
○16:00 ◇ 7 月スイスKOF 景気先行指数(予想:102.4)
○17:00 ☆ 4-6 月期独GDP 速報値(季節調整済、予想:前期比0.1%/前年同期比横ばい)
○17:00 ☆ 4-6 月期独GDP 速報値(季節調整前、予想:前年同期比0.3%)
○18:00 ◎ 7 月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:95.4)
○18:00 ◎ 7 月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲13.0)
○18:00 ☆ 4-6 月期ユーロ圏GDP 速報値(予想:前期比0.2%/前年比0.5%)
○21:00 ◎ 7 月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.2%/前年比2.2%)
○21:00 ◎ 4-6 月期メキシコGDP 速報値(予想:前期比0.4%/前年比2.3%)
○22:00 ◇ 5 月米住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
○22:00 ◎ 5 月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比6.7%)
○23:00 ◎ 6 月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:800.0 万件)
○23:00 ◎ 7 月米消費者信頼感指数(予想:99.7)
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1 日目
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
29日の金融市場では、要人の発言は特になかった。
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を
下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ
グナルが点灯中。3 手連続陰線の後、小陽線、小陰線、小陽
線で下げ止まっているものの、依然として転換線を下回って
おり下落トレンド再開の可能性が示唆されている。
本日は下落している転換線を抵抗に戻り売りスタンスで
臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 156.02(日足一目均衡表・雲の下限)
レジスタンス1 154.90(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 154.02
サポート1 153.02(7/29 安値)
サポート2 151.61(200 日移動平均線)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を
上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ
グナルが点灯中。しかし、抱き線で反落して転換線を下回っ
て引けていることで続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上
抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0872(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0821
サポート1 1.0767(日足一目均衡表・雲の上限)
<ユーロ円=下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
小陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線
を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売り
シグナルが点灯している。2 手連続陰線で依然として転換線
を下回って引けているため続落の可能性が示唆されている。
本日は下落している転換線を抵抗に戻り売りスタンスで
臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 168.36(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 166.67
サポート1 166.14(7/24 安値)
<豪ドル円=7/26 高値を抵抗に戻り売りスタンス>
小陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線
を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売り
シグナルが点灯中。2 手連続陽線でも依然として転換線を下
回って引けていることで反落の可能性が示唆されている。
本日は26 日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同
水準を上抜けた場合は一旦手仕舞い。
レジスタンス1 101.49(7/26 高値)
前日終値 100.88
サポート1 99.22(7/25 安値)