デイリーレポート 2024年10月24日
October 24, 2024
【前日の為替概況】】ドル円、3日続伸米長期金利が約3カ月ぶりの高水準に
23日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。終値は152.76円と前営業日NY終値(151.08 円)と比べて1円68銭程度のドル高水準だった。米利下げ観測の後退を背景に米長期金利が上昇すると 全般ドル買いが先行。21時30分前に一時153.19円と7月31日以来の高値を更新した。「衆院選での自 民・公明与党の苦戦が予想されるなど政局不安が高まる中で、月末の日銀金融政策決定会合で利上げは実 施されづらいだろう」との思惑が浮上し、円売りを誘った面もあった。
なお、米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.2556%前後と7月26日以来約3カ月ぶりの 高水準を記録。11月の米大統領選挙でトランプ前大統領が優勢との見方が強まる中、米金利の上昇が続 いた。
もっとも、153円台では利食い売りなどが出たため、滞空時間は短かった。ダウ平均が一時600ドル超 下落したほか、ナイト・セッションの日経平均先物が大証終値比430円安の3万7640円まで下げたこと が相場の重しとなり、3時30分前には152.48円付近まで下押しした。
ユーロドルは小幅ながら3日続落。終値は1.0782ドルと前営業日NY終値(1.0799ドル)と比べて0.0017 ドル程度のユーロ安水準だった。米利下げ観測が後退する一方、ユーロ圏では低迷する経済を支えるため、 欧州中央銀行(ECB)が12月に大幅利下げを実施するとの見方が強まっており、ユーロ売り・ドル買いが 優勢になった。21時30分前には一時1.0761ドルと7月3日以来の安値を更新した。 ただ、米長期金利の上昇が一服すると下げ渋った。引けにかけては1.0787ドル付近まで下げ幅を縮め る場面があった。
なお、米連邦準備理事会(FRB)はこの日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)で「米経済 活動はほぼ全ての地区で前回から横ばいとなった」と総括。2地区が「緩やかな成長」と報告し、「ほと んどの地区では製造活動が縮小した」と指摘した。
ユーロ円は3日続伸。終値は164.69円と前営業日NY終値(163.17円)と比べて1円52銭程度のユー ロ高水準。東京市場からの円売りの流れが継続し、23時30分前に一時165.02円と7月31日以来の高値 を付けたが、買い一巡後は伸び悩んだ。ドル円の上げ幅縮小や日米株価指数の下落が相場の重しとなり、 3時30分前に164.30円付近まで上値を切り下げた。
【本日の東京為替見通し】ドル円、長期金利・株価を見据えての値動きか口先介入に警戒
本日の東京市場では、主だった経済指標の発表や要人発言が予定されておらず、ドル円は引き続き米長 期金利や、日経平均を眺めながらの展開となるか。
足もとでは、米利下げ観測が後退しているほか、日銀の利上げ観測も後退しており、ドル買い・円売り が進みやすい地合いではある。今週に入り、東京市場のドル円は時間外取引の米長期金利に振らされる場 面が目立っており、金利が上昇はドル買い圧力となる。昨日高値153.19円を超えると、7月31日に付け た直近高値153.88円に向けた一段高も考えられる。
一方、昨日は米株主要3指数がそろって下落しており、本邦株価への影響は気になるところ。ドル円は 今週に入り安値から約4円上昇して3カ月弱ぶりの高値を付けており、株安など何らかのきっかけがあれ ば利益確定売りが出やすい水準である点には注意が必要だろう。また、昨日は本邦要人発言からは円安け ん制発言は伝わってないものの、水準を考えると、引き続き本邦通貨当局による口先介入などの円安抑制 策への警戒は怠らないようにしたい。
【本日の重要指標】※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○15:00 ◎ 日銀金融システムレポート
<海外>
○13:30 ◎ 豪準備銀行(RBA)、年次レポート公表
○15:45 ◇ 10 月仏企業景況感指数(予想:98)
○16:15 ◎ 10 月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:44.9)
○16:15 ◎ 10 月仏サービス部門PMI 速報値(予想:49.9)
○16:30 ◎ 10 月独製造業PMI 速報値(予想:40.8)
○16:30 ◎ 10 月独サービス部門PMI 速報値(予想:50.6)
○17:00 ◎ 10 月ユーロ圏製造業PMI 速報値(予想:45.3)
○17:00 ◎ 10 月ユーロ圏サービス部門PMI 速報値(予想:51.5)
○17:30 ◎ 10 月英製造業PMI 速報値(予想:51.4)
○17:30 ◎ 10 月英サービス部門PMI 速報値(予想:52.4)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.2 万件/187.5 万人)
○21:45 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、あいさつ
○22:00 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:00 ◎ カザークス・ラトビア中銀総裁、講演
○22:45 ◎ 10 月米製造業PMI 速報値(予想:47.5)
○22:45 ◎ 10 月米サービス部門PMI 速報値(予想:55.0)
○22:45 ◎ 10 月米総合PMI 速報値(予想:53.8)
○23:00 ☆ 9 月米新築住宅販売件数(予想:前月比0.6%/72.0 万件)
○25 日02:00 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○25 日04:45 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○20 カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、最終日)
○BRICS 首脳会議(ロシア・カザン、最終日)
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会(ワシントン、26 日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。 ※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。 ※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
23日15:42ブリンケン米国務長官
「イスラエルがイランによる1日の攻撃に対し、さらなる 緊張激化を招かない方法で対応することが重要」
「ガザの統治と安全保障に関する明確な理解を得るた めに米国は取り組んでいる」
「米国はイスラエルによるガザの再占領を完全に拒否」
「残された2つの課題は、人質を帰還させることと戦争を 終結させること」
23日20:54クノット・オランダ中銀総裁
「より大幅な利下げには大きな経済悪化が必要」
「賃金上昇率の最大の鈍化はまだ先」
「2025年にインフレ率が2%に到達することにかなり自 信」
23日21:10センテノ・ポルトガル中銀総裁
「成長とインフレに関しては、下振れリスクが優勢」
「労働市場に関して懸念すべき初期の兆候」
「0.50%の利下げも選択肢として検討されており、データ が利下げ幅を決定」
「経済成長に対する下振れリスクが蓄積」
23日21:17ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「現在のデータは12月の0.50%利下げを正当化しない」
「一部では12月の大幅な利下げを主張する可能性が高 いと主張」
「市場が織り込んでいる利下げは踏み込み過ぎとの公 算大」
「欧州のソフトランディングは保証されていると見る」
23日22:51カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)声明
「理事会は政策金利を0.50%引き下げ、バランスシート 正常化政策を継続」
「世界経済は今後2年間、約3%のペースで拡大すると 引き続き予想」
「米国の成長は以前の予測よりも力強くなると予想する ものの、中国の見通しは依然として低調」
「先進国のインフレはここ数カ月で低下し、現在は中銀 の目標付近にある」
「世界の金融状況は7月以降緩和しているが、これは 一部には政策金利の低下に対する市場の期待によるも のである」
「カナダの今年上半期の経済成長率は約2%で、下半期 は1.75%の成長を見込む」
「労働市場は依然として軟調で、9月失業率は6.5%だっ た」
「賃金の伸びは生産性の伸びに比べて高いまま」
「全体として、経済は供給過剰状態が続いている」
「GDP成長率は、低金利に支えられ、徐々に強まると予 測」
「CPIインフレ率は、6月の2.7%から9月の1.6%へと大 幅に低下した」
「住宅のインフレ率は依然として高いものの、緩和し始 めている」
「世界的な原油価格の下落により、ガソリン価格が下落 した」
「コアインフレ率の指標は現在2.5%未満」
「インフレ圧力はもはや広範囲に及ばないため、企業と 消費者のインフレ期待はほぼ正常化している」
「インフレ率は予測した期間を通じて目標に近い水準を 維持し、インフレ率の上昇圧力と低下圧力がほぼ均衡 すると予想」
「インフレ率が現在2%の目標付近に戻ったため、理事 会は経済成長を支援し、インフレ率を1%から3%の範 囲の中央付近に維持するため、政策金利を0.50%引き 下げることを決定」
「経済が最新の予測とほぼ一致するよう推移すれば、政 策金利をさらに引き下げる予定」
「ただし、政策金利のさらなる引き下げの時期とペース は、今後得られる情報と、それがインフレ見通しに与え る影響に関する評価によって決まる」
「BOCは1回の会合ごとに決定を下す」
「インフレ率を2%の目標に近づけることで、国民の物価 安定を維持することに尽力する」 23日23:16ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「インフレの進展に非常に満足」
23日23:18レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト
「最近のデータの中には、成長予測に関して疑問を投げ かけるものもある」
「経済が劇的に弱体化することは避けたい」
「ディスインフレが軌道に乗っているとの高い確信」
23日23:47ナーゲル独連銀総裁
「ECBは2%のインフレ目標をほぼ達成できる軌道に乗 っていると確信」
23日23:50マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総 裁
「コアインフレは予想通り緩和している」
「成長予測は大きく変わっていない」
「本日の50bpの利下げについて明確なコンセンサスが 得られた」
24日00:17加藤財務相
「G20は世界的な金融情勢を協議すると思う」
24日00:26ビルロワドガロー仏中銀総裁
「ECBが後手に回っているとは考えていない」
「物価に関しては大きな進展があった」
「12月理事会は全ての選択肢がある」
24日01:43エスクリバ・スペイン中銀総裁
「インフレリスクは均衡を維持」
「インフレ率は2%の目標に近づいている」
「12月の金利決定は引き続き柔軟で、データに依存」
24日03:06米地区連銀経済報告(ベージュブック)
「米経済活動はほぼすべての地区で横ばい。2地区で は緩やかな成長が報告された」
「ほとんどの地区では製造活動が縮小したと報告」
「住宅価格は概ね横ばい、または若干上昇した」
「港湾労働者のストライキは短期間で、一時的な混乱を わずかに引き起こしたに過ぎなかった」
「ハリケーンの被害は農作物に影響を及ぼし、南東部で はビジネス活動と観光の一時停止を引き起こした」
「不確実性が高まっているにもかかわらず、長期的な見 通しについてやや楽観的だった」
「全体として、雇用はわずかに増加し、半数以上の地区 がわずかまたは緩やかな拡大を報告し、残りの地区は ほとんど変化がないと報告」
「多くの地区が労働者の離職率が低く、解雇は限定的で あると報告」
「労働者の需要はいくらか緩和し、採用は成長よりも主 に補充に重点を置いた」
「賃金は一般に、わずかまたは緩やかなペースで上昇 が継続」
「複数の地区で賃金上昇のペースが鈍化」
「一部では通常よりも大きな賃金上昇が報告された」
「インフレは引き続き緩和し、ほとんどの地区でわずか にまたは緩やかに上昇したと報告」
「住宅価格は多くの地区でわずかに上昇したが、家賃は 横ばいまたはわずかに下落した」
24日03:27パネッタ伊中銀総裁
「中立金利からまだ遠い」
「インフレ目標の達成は2025年末よりかなり早い」
「経済は明らかに弱体化している」
「さらなる利下げを促す環境にいる」
24日03:59ベイリー英中銀(BOE)総裁
「英国内外では予想よりも早くデインフレが進行」 「高い貯蓄率は消費者の慎重さを反映」
24日04:10植田日銀総裁
「インフレ率は緩やかに上昇している」
「日銀はインフレ期待を新たなレベルに引き上げたい考 えだ」
「インフレ期待は変化しているが、非常に緩やか」
「トータルで適切な正常化規模を重視」
「ここ2カ月ほど、米経済の動向を懸念している」
「利下げの適切な規模を事前に特定するのは難しい」
「政策がキャリートレードに与える影響や数値化は困難」
「日銀の政策戦略を明確にすることが極めて重要」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=200 日線超えを意識した買い仕掛けも入ったもよう>
大陽線引け。7 月31 日以来の高値153.19 円まで上昇する
強い動きとなった。相場の強弱を判断する際の分岐点とされ
る200 日移動平均線を上回っていることで、テクニカル要因
を背景とした買い仕掛けも入っているもよう。急上昇を受け
た調整を挟むことは想定できるが、昨日のレンジ内で落ち着
きどころを探り、強い流れを維持することが期待できる。下
押しが深めになっても、本日151.40 円付近で推移する200
日線付近で支えられそうだ。
レジスタンス1 153.88(7/31 高値)
前日終値 152.76
サポート1 152.11(10/23 レンジ半値水準)
サポート2 151.40(200 日移動平均線)
<ユーロドル=戻り5 日線にもとどかず、転換線も抵抗>
下影小陰線引け。目先の節目だった8 月1 日安値1.0778
ドルを割り込み、1.0761 ドルまで下振れた。やや長めの下ひ
げをともなう足型を形成しており、下値での底堅さも感じら
れる。しかし戻りも限られ1.08 ドル台で低下中の5 日移動
平均線にもとどかない。低下中の一目均衡表・転換線1.0852
ドルも抵抗となり、下向きの流れがまだ続くか。
レジスタンス1 1.0852(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0782
サポート1 1.0736(7/3安値)
<ポンド円=5 日線の上昇伴う上向きの流れ想定>
上影陽線引け。7 月30 日以来の高値198.44 円まで上振れ
た。NY 終値は197.39 円と1 円以上押し戻されたものの、始
値から終値までの実体部も1 円以上あるため、さほどネガテ
ィブに受け止めなくていいだろう。すう勢を示す5 日移動平
均線(本日196.38 円前後)の上昇をともなう上向きの流れ
継続を予想する。昨日いったん上昇が抑えられた198.44 円
の上抜けから、7 月30 日高値199.47 円を目指す流れが期待
できる。
レジスタンス1 198.44(10/23 高値)
前日終値 197.39
サポート1 196.38(5 日移動平均線)
<NZ ドル円=相場好転へ向かうかの分岐点、雲低下に注意>
陽線引け。一目均衡表・雲の上限91.05 円付近の攻防から
やや上方向へシフトし一時92.05 円と、9 月27 日以来の92
円回復となった。相場の強弱の分岐点とされる200 日移動平
均線92.17 円にはまだとどいてないが、状況の好転へ向けた
仕掛けどころ。明日以降、雲の上限が低下し始め、サポート
される水準が低下していく点には注意だが、上昇傾向の一
目・転換線91.06 円が代わってサポートになってきた。
レジスタンス1 92.29(9/27 高値)
前日終値 91.70
サポート1 91.06(日足一目均衡表・転換線)