デイリーレポート 2023年8月1日
August 1, 2023
【前日の為替概況】ドル円 142.68 円まで上昇、日銀の臨時指し値オペによる円売り地合いが継続
31 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は 142.29 円と前営業日 NY 終値(141.16 円) と比べて 1 円 13 銭程度のドル高水準だった。日銀の臨時国債買い入れオペ実施を受けた円売りの流れが NY 市場に入っても続いた。22 時 30 分前には一時 142.68 円と日通し高値を付けた。
ただ、7 月米シカゴ購買部協会景気指数が予想を下回ったことが伝わると 142.01 円付近まで伸び悩ん だ。10 日の高値 143.01 円がレジスタンスとして意識された面もあった。
もっとも、NY 時間に限れば大きな方向感は出なかった。市場の関心は明日 1 日発表の 7 月米サプライ マネジメント協会(ISM)製造業景気指数や 3 日の 7 月米 ISM 非製造業指数、4 日の 7 月米雇用統計など、 米重要指標の結果に向かっており、積極的な売買は手控えられた。
ユーロドルは反落。終値は 1.0997 ドルと前営業日 NY 終値(1.1016 ドル)と比べて 0.0019 ドル程度の ユーロ安水準だった。欧州時間発表の 7 月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)コア速報値や 4-6 月期ユー ロ圏域内総生産(GDP)速報値が予想より強い内容となったことを受けてユーロ買い・ドル売りが先行。7 月米シカゴ PMI が予想を下回ったこともユーロ買い・ドル売りを促し、一時 1.1046 ドルと日通し高値を 更新した。
ただ、前週末の高値 1.1047 ドルが目先レジスタンスとして働くと失速した。月末のロンドン 16 時(日 本時間 24 時)のフィキシングに絡んだユーロ売りのフローが観測されると、一時 1.0994 ドルと日通し安 値を更新した。
ユーロ円は続伸。終値は 156.47 円と前営業日 NY 終値(155.42 円)と比べて 1 円 05 銭程度のユーロ高 水準。日銀の臨時国債買い入れオペ実施を受けた円売りの流れが継続し、一時 157.28 円と日通し高値を 付けた。ただ、ロンドン・フィキシングに絡んだユーロ売りのフローが観測されると 156.36 円付近まで 上値を切り下げた。
【本日の東京為替見通し】ドル円は日銀の指し値オペに要警戒、豪ドルはRBA政策金利に要注目
本日の東京外国為替市場のドル円は、10 時 10 分の指し値オペを確認した後は、日・米の 10 年債利回 りの動向に連れた値動きが予想される。
昨日は、日銀が 10 年債の対象銘柄を利回り 0.5%で無制限に買い入れる指し値オペに加えて、残存期 間 5-10 年対象の臨時オペをオファーしたことが「サプライズ」となり、日本国債 10 年物利回りは 0.60% 台を維持できず、ドル円は 140 円台後半からニューヨーク市場の高値 142.68 円まで上昇した。
本日は、引き続き 10 時 10 分の指し値オペの動向を見極めつつ、日・米の 10 年債利回りの動向に連れ た値動きが予想される。
しかしながら、市場の関心は、本日発表の 7 月米 ISM 製造業景気指数、3 日発表の 7 月米 ISM 非製造業 指数、4 日発表の 7 月米雇用統計など、米国の重要経済指標に向かっており、米 10 年債利回りも 3.9%台 で伸び悩んでいることで、ドル円の上値は限定的だと思われる。
今週のドル円は、米 7 月雇用統計が堅調な労働市場を示唆した場合、6 月 30 日の高値 145.07 円を目指 す展開が予想される。しかし、145 円以上のドル円に対しては、神田財務官がボラティリティー抑制を名 目にしたドル売り・円買い介入に踏み切る可能性があること、植田日銀総裁もイールドカーブコントロー ル(YCC)の柔軟化に為替市場のボラティリティー抑制を挙げていたことで、本邦通貨当局による円安阻 止の姿勢を見極めることになるのかもしれない。
豪ドルは、13 時 30 分に発表される豪準備銀行(RBA)理事会の政策金利に要注目か。
前回の RBA 理事会の議事要旨では「8 月理事会で改めて追加利上げの必要性を協議する方針」と言及さ れており、0.25%の利上げ(4.10%⇒4.35%)が見込まれている。しかし、4-6 月期の四半期消費者物価 指数(CPI)は前年同期比+6.0%と市場予想を下回り、前期の同比+7.0%からのインフレ鈍化傾向も確認 された。6 月 CPI は前年比+5.4%となり、依然としてインフレ目標(2-3%)を上回っているものの、5 月の同比+5.6%や四半期金融政策報告内の見通し(6 月時点で 6.25%)は下回っている。
リスクシナリオは、インフレ鈍化を受けて政策金利が据え置かれた場合となり、声明文も含めてインフ レ警戒姿勢の変化に要注目となる。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 6 月完全失業率(予想:2.5%)
○08:30 ◎ 6 月有効求人倍率(予想:1.32 倍)
<海外>
○07:45 ◎ 6 月ニュージーランド(NZ)住宅建設許可件数
○10:30 ◎ 6 月豪住宅建設許可件数(予想:前月比▲7.0%)
○10:45 ◎ 7 月 Caixin 中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.3)
○13:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表(予想:4.35%に引き上げ)
○15:00 ◇ 7 月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比▲0.2%)
○16:00 ◇ 7 月トルコ製造業 PMI
○16:50 ◎ 7 月仏製造業 PMI 改定値(予想:44.5)
○16:55 ◎ 7 月独製造業 PMI 改定値(予想:38.8)
○16:55 ◎ 7 月独雇用統計(予想:失業率 5.7%/失業者数変化 2.00 万人)
○17:00 ◎ 7 月ユーロ圏製造業 PMI 改定値(予想:42.7)
○17:30 ◎ 7 月英製造業 PMI 改定値(予想:45.0)
○18:00 ◎ 6 月ユーロ圏失業率(予想:6.5%)
○22:45 ◎ 7 月米製造業 PMI 改定値(予想:49.0)
○23:00 ◎ グールスビー米シカゴ連銀総裁、あいさつ
○23:00 ☆ 7 月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:46.8)
○23:00 ◇ 6 月米建設支出(予想:前月比 0.6%)
○23:00 ◎ 6 月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:961.0 万件)
○24:00 ◇ 7 月メキシコ製造業 PMI
○2 日 03:00 ◎ 7 月ブラジル貿易収支(予想:82.23 億ドルの黒字)
○スイス(建国記念日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
31 日 22:29 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「FRB の政策に関しては非常に良い方向」
「月次のインフレ率はかなり良好」
「インフレ低下は素晴らしいニュース」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=雲の上限を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な
展開。しかし、2 手連続陽線で切り返して転換線を上回って
引けており、続伸の可能性が示唆されている。本日は、雲の上限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同
線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 2 145.07(6/30 高値)
レジスタンス 1 143.01(7/10 高値)
前日終値 142.29
サポート 1 141.61(日足一目均衡表・雲の上限)
サポート 2 140.38(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売り、雲のねじれに警戒>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため、三役好転の強い買いシグ
ナルが点灯中。しかし、被せ線で反落して転換線を下回って
引けており、続落の可能性が示唆されている。本日は雲がね
じれて変化日となる可能性に警戒しておきたい。本日は、下降中の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、
同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 1.1087(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0997
サポート 1 1.0866(日足一目均衡表・雲の上限)
<ユーロ円=7/31 安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。154.74 円で同値の転換線と基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けていることで、買い
シグナルが優勢な展開。2 手連続陽線で転換線・基準線を上
回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。 本日は、7 月 31 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨
み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 157.81(7/24 高値)
前日終値 156.47
サポート 1 155.11(7/31 安値)
<豪ドル円=基準線を支持に押し目買いスタンス>
大陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線
を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢
な展開が続いている。しかし、2 手連続陽線で転換線を上回
って引けており、続伸の可能性が示唆されている。 本日は、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線
を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 96.83(7/4・5 高値)
前日終値 95.57
サポート 1 94.32(日足一目均衡表・基準線)