米イラン停戦崩壊、原油急騰とFOMC議事要旨タカ派で市場揺れる
2026-07-09 08:00 日本時間時点
本日のポイント
- トランプ大統領が「停戦は終わった」と宣言し、米軍はイランへの空爆を2日連続で実施、打撃範囲はミサイル・無人機施設にまで拡大した
- WTI原油は74.59ドル(+1.46%)と前日日中高値72.51ドルを上抜けて続伸し、ブレント原油は欧州時間中に一時80ドル台に急騰した
- 6月FOMC議事要旨では「少数の委員」が6月会合での即時利上げを主張していたことが判明、連邦基金先物は年末までに約38bp相当の利上げを織り込む水準まで上昇した
- ダウ平均は576ドル安(-1.09%)と続落した一方、ナスダックはエヌビディア(+3.67%)など半導体株主導で+0.19%と逆行高で引けた
- シカゴ日経先物は大取終値比990円高の67,800円で、本日の東京寄り付きは直近3日の続落からの反発が見込まれる
マーケットスナップショット
| 指標 | 水準 | 前日比 |
|---|---|---|
| ドル円 | 162.57 | +0.01% |
| ユーロドル | 1.1422 | +0.11% |
| 日経平均(終値) | 66,819 | -2.11% |
| ハンセン指数(終値) | 24,199 | +2.99% |
| ダウ先物 | 52,574 | -0.10% |
| S&P500先物 | 7,517.75 | -0.15% |
| ナスダック100先物 | 29,414 | -0.18% |
| NY金先物 | 4,088.30 | +0.14% |
| WTI原油 | 74.59 | +1.46% |
| ビットコイン | 62,252 | -1.68% |
| 米10年債利回り | 4.569% | +4.0bp |
外国為替市場 — ドル高・円安基調継続も介入警戒が上値を抑制
USD/JPYは162.57と前日比ほぼ横ばい(+0.01%)で、前日の変動幅(安値162.08〜高値162.70)内で推移している。米イラン緊張再燃に伴う「有事のドル買い」がドルを下支えする一方、日本の長期金利が一時2.87%(約30年ぶり高水準)まで上昇したことで日米金利差縮小への思惑が円の急落を抑制した。政府・日銀の介入警戒も163円台への突破を難しくしている。ユーロドルは1.1422(+0.11%)と小幅高で、本日19時30分(日本時間)予定のECB6月議事要旨の内容を見極める動きが先行している。本日の東京では162円台後半での推移が続くとみられるが、163円超えには介入警戒が上値を抑える公算が大きい。
株式市場 — NY続落もハイテク逆行高、東京は反発スタートへ
8日のNY市場では、トランプ大統領の「停戦終了」発言を受けてダウ平均が一時855ドル安まで急落し、終値は576ドル安(-1.09%)の52,348ドルで引けた。S&P500は-0.28%。ただしナスダック総合指数はエヌビディア(+3.67%)・超微電脳(SMCI、+7.39%)など半導体・AI株に買い戻しが入り+0.19%と逆行高となり、フィラデルフィア半導体指数も2%超上昇した。香港ハンセン指数は前日比+2.99%の24,199と大幅高で、アリババが+12%急騰して北向き資金が集中した。シカゴ日経先物は大取終値比990円高の67,800円で、ADRでもみずほFGが上昇する一方ホンダは下落と高安まちまちだった。ADRと先物の方向から判断すると、本日の東京は半導体・AI関連株を中心に買い戻しが先行する公算が高い。寄り付きは続落後の反発が見込まれるが、中東情勢の一段の悪化には引き続き警戒が必要だ。
マクロ経済 — FOMC議事要旨タカ派、日本長期金利が約30年ぶり高水準
8日公表の6月FOMC議事要旨では、委員の大多数がインフレへの警戒感を強める一方、「少数の委員」が6月会合での即時利上げを支持する論拠を主張したことが明らかになった。労働市場への懸念はやや後退し、インフレ目標達成に向けた不確実性は高い。連邦基金先物は年末までに約38bp相当の利上げを織り込む水準まで上昇した。日本では長期金利が一時2.87%に上昇し、1997年5月以来約30年ぶりの高水準を記録した。また、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は8日に政策金利を25bp引き上げて2.50%とし、2023年以来3年ぶりの利上げを実施した。本日は中国6月CPI・PPIと米新規失業保険申請件数(予想218K)が発表される。今夜のECB6月議事要旨と米申請件数を受けて、グローバルな利上げ期待の再点火が続くかどうかが焦点となる。
コモディティ — 原油は中東リスクで続伸、金は高値から反落
WTI原油は74.59ドル(+1.46%)と前日の日中高値72.51ドルを大きく上回る水準で推移しており、米イラン衝突の激化を受けた供給懸念が買いを呼んでいる。欧州市場ではブレント原油が一時80ドル台に急騰し、ホルムズ海峡の通航障害リスクが供給不安を高めた。金はイラン関連報道で一時4,167.20ドルの日中高値を付けたが、その後のトランプ発言によるドル高・米金利上昇を受けて4,088.30ドルまで反落し、前日の日中レンジ(4,107〜4,167ドル)を下回った水準で推移している(対前日清算比ではわずか+0.14%)。原油は中東情勢が一段と悪化すれば上値余地が大きく、インフレ再燃リスクとして引き続き警戒が必要だ。
国際情勢 — 米イラン停戦崩壊、ホルムズ海峡封鎖リスクが市場を圧迫
米中央軍は9日未明、イランのミサイル・無人機施設を対象に追加空爆を実施した。8日に続く連日の攻撃で、トランプ大統領は「停戦は終わった。イランは電話してきて協議を強く望んでいるが、彼らが約束を守るかどうか分からない」と述べた。イラン側は「米軍の中東基地に大規模反撃を行う」と予告し、ホルムズ海峡封鎖を示唆する発言も相次いでいる。市場では「ホルムズ海峡の通航正常化は2027年以降」との観測も浮上した。トルコで開催されたNATO首脳会議ではトランプ大統領が欧州の対イラン軍事協力を求め、ウクライナへのパトリオット・ミサイル製造容認を表明した。IEA・IMF・世界銀行・WTOの4機関は共同声明で「世界経済は中東戦争に一定の耐性を示しているが、成長と物価安定への懸念は深まっている」と警告し、IMFは2026年の世界成長率見通しを3.0%に小幅下方修正した。エネルギー供給リスクとインフレへの波及が当面の最大変数であり、情勢の一段の悪化は株式・債券市場のリスクオフを加速させる可能性が高い。
今後の注目イベント
| 日時(日本時間) | 国/地域 | イベント | 注目点 |
|---|---|---|---|
| 07/09 21:30 | 米 | 新規失業保険申請 (予想 218K) | 労働市場の底堅さと利上げ見通し |
| 07/10 21:30 | 加 | Employment Change (予想 11.2K) | 北米雇用の方向性 |
| 07/10 21:30 | 加 | 失業率 (予想 6.6%) | 同上 |