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今週総括:中東・AI半導体が激動の一週間、来週はFRB証言とCPIに注目

2026-07-11 08:00 日本時間時点

本日のポイント

  • 米軍がイランへ複数回の大規模空爆を実施、ホルムズ海峡でのイランによる商船攻撃でWTIは75.13ドルまで急騰後71.51ドルまで急落。米伊交渉は継続中
  • SKハイニックスのナスダック上場(265億ドル調達、外国企業の米上場として史上最大)が週後半のAI半導体相場に再点火し、ナスダック100は週間+1.69%、S&P500は週間+1.23%
  • ドル円は7月7日に約40年ぶりの安値162.04円を記録。週末に片山財務相のGPIF国内投資活用発言で161円台後半まで反落
  • FRBが議会提出の7月金融政策報告書でインフレ「一段と上昇」と指摘、AIブームも要因として明示。CME FedWatchでは7月利上げ確率33.7%
  • 来週はウォーシュFRB議長の議会証言(2日間)と6月米CPI、7月14日(火)からQ2大手銀行決算が焦点

マーケットスナップショット

指標水準前日比
ドル円161.67-0.42%
ユーロドル1.1419-0.13%
日経平均(終値)68,558+1.20%
ハンセン指数(終値)24,175+0.60%
ダウ先物52,962+0.38%
S&P500先物7,626.00+0.49%
ナスダック100先物30,068+0.44%
NY金先物4,128.90-0.29%
WTI原油71.51-0.79%
ビットコイン64,069+1.40%
米10年債利回り4.569%+3.0bp

外国為替市場 — 約40年ぶり円安、片山財務相のGPIF発言で週末に小幅戻し

今週の外国為替市場の最大テーマは「近40年ぶりの円安」だった。7月7日にドル円は162円台に突入し近40年ぶりの円安水準を記録した。中東緊張下でも円に安全資産買いが集まらない構造が浮き彫りになった。日本10年債利回りは約29年ぶりの高水準に達したにもかかわらず、日米金利差の大きさがドル高・円安を牽引し続けた。10日(金)、片山財務相が「GPIF等の退職金基金を通じた国内金融資産への投資促進」を検討していると発言すると、ドル円は前日高値162.42から161.29まで急速に反落し、週末は161.67円で着地した。来週はウォーシュFRB議長の議会証言と6月CPIの結果が、161円台を維持できるかの試金石となる。

株式市場 — 中東不安と半導体急落を乗り越えたAI主導の反発

週初は三星電子Q2決算が市場期待を下回り、日経平均は大幅な急落を記録した。しかしSKハイニックスのナスダック上場(初日+12.76%、時価総額1.22兆ドル超、265億ドル調達で外国企業の米上場として最大規模)が市場のセンチメントを反転させた。SKハイニックスCEOは「2027年がメモリー業界史上最悪の供給不足になる」と予告し、AI需要の中長期的な力強さを印象付けた。日経平均は金曜終値68,558円(+1.20%)で週を締め、シカゴ日経先物は大取比440円高まで上昇した。一方で日本10年債利回りは約29年ぶりの高水準に達しており、金利上昇が株のバリュエーションに与える影響への警戒感も残る。来週は7月16日(木)のTSMC(台積電)法説会が次の相場の方向を占う。

マクロ経済 — FRBタカ派色が強まる、来週のCPIとWarsh証言が焦点

FRBは10日に議会提出の7月金融政策報告書を発表し、「春以降インフレが一段と上昇している」と明記した上でAIブームも物価上昇要因として指摘した。FOMC6月議事録では利上げを支持する少数意見が確認されており、ウォーシュ議長体制でのタカ派姿勢がより鮮明になっている。6月の非農業部門雇用者数は+5.7万人にとどまり雇用の急減速が示されたが、ホルムズ海峡問題を通じたエネルギー価格の上昇リスクがインフレ再燃懸念を高めている。CME FedWatchでは7月会合での据え置き確率66.3%、利上げ確率33.7%。来週の6月CPI発表がこの確率を大きく動かす可能性がある。

コモディティ — WTIが週中に75ドル台急騰後71ドルに急落、金は週間約1.5%安

今週の商品市場はエネルギーの乱高下が主役だった。ホルムズ海峡でのイランによる商船攻撃を受けてWTIは前日高値75.13ドルまで急騰したが、米伊交渉継続の観測と「攻撃は強硬派内部の失態」とのイラン側の説明が広まり、週末には71.51ドルまで急落した。IEAが「2026年の世界石油需要が2020年以来初めて年間で減少する」との見通しを示したことも、需要サイドの頭打ち懸念を意識させた。金は中東緊張の高まり期に4,200ドル手前まで上昇したが、地政学リスクプレミアムの剥落と米金利上昇を受けて週間約1.5%下落し4,100ドル台で着地した。来週の米伊交渉の行方がエネルギー市場の最大の変動要因となる。

国際情勢 — 米伊、停戦が実質崩壊も対話は継続

今週の地政学リスクは「ホルムズ海峡危機」が市場を最も動かしたテーマとなった。米軍がイランへの80超の標的への大規模攻撃を実施し、イランは弾道ミサイルで約旦米軍基地を攻撃するなど反撃。ホルムズ海峡は実質的な閉鎖状態となった。しかし週後半にはイランが「商船攻撃は強硬派による内部ミス」と説明し、カタール・パキスタン・オマンを通じた調停交渉が継続していることが伝わった。11日(土)にはイラン外相アラグチがアマン(マスカット)を訪問し、米国はイランに対し「ホルムズ海峡の通行の自由を土曜日までに公式表明しなければ追加措置を取る」と圧力をかけている。ハメネイ師最高指導者の死去も加わり、イランの政治的空白が中東情勢の不確実性をさらに高めている。来週の米伊交渉の着地が、エネルギー・リスク資産全般の最大の変動要因となる見通し。

今後の注目イベント

日時(日本時間)国/地域イベント注目点
7月11日(土)中東イラン外相アラグチ アマン訪問・米伊停戦協議ホルムズ海峡航行の公式確約、追加攻撃の有無
7月14日(火)米国Q2決算シーズン開幕(大手銀行)利上げ環境下の業績耐性、景況感の確認
来週前半米国ウォーシュFRB議長 議会証言(2日間)インフレ・利上げ見通し、ドル相場を左右
来週米国6月CPI(消費者物価指数)7月利上げ確率(33.7%)の見直し材料
7月16日(木)台湾台積電(TSMC)法説会・Q2決算発表AI半導体需要の実態、下期ガイダンス