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🇬🇧 BOE(イングランド銀行) / 2026年6月会合・金融政策インフォグラフィック

BOE、3.75%で据え置き。 利上げ票が「2」に増えた。

昨日(6/18)の会合で、イングランド銀行は政策金利を3.75%に据え置きました(採決7対2)。反対した2名はいずれも「利下げ」ではなく0.25%の利上げを主張。CPIは2.8%まで鈍化したものの、BOEはエネルギー波及で年後半に再び上昇すると警告しています。図で読み解きます。

政策金利(バンクレート)
0.00
2026年6月18日 決定
据え置き(7対2)
利上げ票が1→2に増加
政策金利(バンクレート)
3.75%
6/18に据え置き(7対2)
物価目標
2.0%
CPIベース・中期的に
消費者物価(CPI)
+2.8%
直近・エネルギーで再上昇の見込み
採決(MPC 9人)
7–2%
反対2名は0.25%利上げを主張
01

利上げを求める反対票が、2票に増えた

THE HOLD

イングランド銀行(BOE)の金融政策委員会(MPC)は、6月18日の会合で政策金利(バンクレート)を3.75%に据え置きました。採決は7対2。注目すべきは反対者の中身です。反対した2名(ピル理事とグリーン委員)が求めたのは利下げではなく、0.25%の利上げ。前回4月の反対1票から、利上げを求める「タカ派」が増えました。

これは「タカ派的な据え置き(hawkish hold)」と呼ばれます。エネルギー価格は前回会合以降に下落したものの、依然として高く変動も大きいまま。BOEは「CPIは年後半にさらに上昇する可能性があり、賃金・物価への二次的影響のリスクに対し政策で対抗する必要がある」と警戒姿勢を維持しました。3月会合の全会一致(9対0)から、委員会は着実にタカ派色を強めています。

次の一手は7月: BOEは毎月は開催せず、年8回会合を開きます。今回の決定は6月18日。次の決定会合は2026年7月30日(金融政策報告書=MPRを同時公表)で、鈍化したCPIとエネルギー由来の物価上振れリスクのどちらを重視するかが焦点です。
02

5.25%の山を下りて、3.75%で一服

POLICY RATE

BOEはコロナ後のインフレに対し、2021年末から14回連続で利上げ。バンクレートは2023年8月に5.25%のピークに達しました。その後インフレ鈍化を受けて2024年8月から利下げに転じ、2025年12月に3.75%へ。以後は4会合連続で据え置き、下り坂の途中で足を止めています。

バンクレートの推移単位:%。0.1%→5.25%のピーク→3.75%、そして据え置き
出所:イングランド銀行の政策決定より作成(2026年6月18日決定を反映)

利下げサイクルは、6回の引き下げ(合計1.5%)でいったん停止しました。市場はかつて2026年中のさらなる利下げを見込んでいましたが、物価再燃リスクとタカ派的な票割れを受けて、むしろ利上げを織り込む動きに転じています。「次は上か、下か」が読みにくい、難しい局面です。

03

物価は鈍化、でも「サービス」が粘る

INFLATION

直近のCPI(消費者物価)は前年比+2.8%まで鈍化しました。目標2%に近づきつつありますが、BOEは「年後半に再び上昇する」と警告。中東情勢に絡むエネルギー高が時間差で波及するためです。賃金を反映するサービスCPIも+3.2%と粘り強く、物価が目標へ完全に戻りきらないリスクが残ります。

物価は目標2%からどれだけ離れているか単位:%/前年比。点線は目標2.0%。サービスが高止まり
出所:英国統計局(ONS)CPI(直近)。サービスはサービスCPI

足元の物価は落ち着きつつあるものの、BOEは先行きの上振れを警戒します。エネルギー価格は前回会合以降に下落したとはいえ、なお高く変動が大きいまま。労働市場では失業率が5.0%へ上昇し、景気減速の兆しも見えます。物価の再燃リスク景気の弱さの綱引きのなか、委員会は据え置きで様子を見つつ、利上げを求める声も無視できない——難しい局面が続いています。

04

国債を「売る」中央銀行 — 量的引き締め

BALANCE SHEET

BOEは主要中銀のなかでも踏み込んだ量的引き締め(QT)を進めています。満期到来を待つだけでなく、保有する英国債(ギルト)を市場で能動的に売却しているのが特徴。2025年10月からの1年間で、保有残高を700億ポンド削減する計画です。

5,250億ポンド
金融政策目的で保有する英国債の残高(2026年4月末・直近公表値)。ピークから着実に縮小中。国債売却は長期金利の上昇要因にもなり、財政との緊張をはらみます。
保有する英国債(金融政策目的)の推移単位:億ポンド/四半期末ベース。約8,750億ポンドのピークから、満期到来+市場売却で縮小
出所:イングランド銀行 資産買い入れファシリティ(APF)保有額より四半期末ベースで作成(概数)

利上げを求める反対票が2票に増えたことで、市場では英国債(ギルト)利回りの上昇圧力が意識されます。QTによる需給の緩みも、長期金利を押し上げる一因です。金利を据え置きつつ、バランスシート面では引き締めを続ける——その複合効果が市場に効いています。

05

誰が決める? — MPCの「9人」

STRUCTURE

金融政策は、金融政策委員会(MPC)の9人による一人一票の多数決で決まります。総裁・副総裁らBOE内部の5人と、外部から任命される外部委員4人で構成。FRBやECBと違い、各委員の投票がそのまま票数として公表されるのが大きな特徴です。

6月18日の採決「7対2」9人が一人一票。賛成7(据え置き)・反対2(いずれも利上げを主張)
賛成 7人(据え置き)反対2(利上げ主張)内部委員5人(総裁・副総裁ら)+ 外部委員4人 = MPC 9人
出所:BOEのMPC構成と2026年6月18日の採決にもとづき作成(概念図)
賛成(据え置き)7人反対(利上げ主張)2人

この透明性ゆえに、票割れそのものが強いメッセージになります。票の流れを追うと、3月の9対0(全会一致)→4月の8対1→6月の7対2と、利上げを求める「タカ派」が一歩ずつ増えてきました。今回の「反対=利上げ」が2票に増えたことは、委員会のインフレ警戒の高まりを映し、市場のタカ派的な見方を後押ししています。議事録(minutes)も同時公表され、議論の中身まで読めます。

06

2026年 MPCカレンダー

SCHEDULE

MPCは年8回開催。うち2・5・8・11月の会合では、詳細な経済見通しをまとめた金融政策報告書(MPR)が公表されます。今回の決定は6月18日。次回は7月30日(MPR公表)です。

2月
5
据え置きMPR
3月
19
据え置き(9–0)
4月
30
据え置き(8–1)MPR
6月
18
据え置き(7–2)
次回
7月
30
次回MPR
9月
17
11月
5
MPR
12月
17
年内最終

決定は英国時間の正午に、議事録とあわせて公表されます。次回7月30日の会合では、金融政策報告書(MPR)とともに新たな経済見通しが示されます。鈍化したCPIとエネルギー由来の上振れリスク、そして上昇する失業率という相反する材料を、委員会がどう判断するかが注目されます。

07

為替・市場への影響、用語ミニ解説

IMPACT & GLOSSARY

ポンドは主要通貨の一つで、BOEの金利はポンド相場を左右します。タカ派的な据え置きを受け、ポンドは対ドル・対ユーロで底堅く推移。英国の金利は主要国のなかで米国に次ぐ高さで、利回りを求める資金を引き寄せる一方、住宅ローン負担などの重荷にもなります。

主要5中銀の政策金利(2026年6月時点)単位:%。英国は米国に次ぐ高水準
出所:BOE・FRB・ECB・日銀・RBAの政策金利より作成
利上げを求める反対票が、1票から2票へ——タカ派的な据え置きが、なお続いている。
バンクレートBOEが設定する政策金利。市中銀行がBOEに預ける準備預金に付く金利で、英国の金利全体の基準となる。
サービスインフレ外食・宿泊・理美容などサービス価格の上昇率。賃金を強く反映するため、物価の粘り強さを測る指標として重視される。
MPC(金融政策委員会)9人の委員が一人一票で政策を決める会議体。票数と議事録が公表され、透明性が高いのが特徴。
量的引き締め(QT)保有する国債(ギルト)を満期到来や市場売却で減らす政策。BOEは能動的な売却を行う数少ない中銀。
為替・金利の見方: 利上げや「タカ派」的な情報は、一般にポンド高・英金利上昇の材料。ただし実際の相場は各国の金利差・地政学・他指標で決まります。本ページは教育目的の解説で、投資助言ではありません。