日銀、0.75%で据え置き。 展望レポートは強気。
4月28日、日銀は政策金利を0.75%に据え置きました。足元の物価は目標2%を下回るものの、同時に公表した「展望レポート」では、2026年度の物価見通しを+2.8%と強気に提示。追加利上げへの地ならしが、静かに進んでいます。
0.75%を維持・展望レポート公表
据え置き、でも見通しは強気
日銀は4月28日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物レートの誘導目標)を0.75%に据え置きました。2025年12月の利上げ(0.5→0.75%)以降、初の会合での維持です。一方、同時公表した展望レポートでは、2026年度の物価上昇率を+2.8%と、目標2%を上回る水準で見込みました。
足元のコアCPI(3月)は+1.8%と、まだ目標を下回ります。それでも見通しを強気に置いたのは、賃金と物価の好循環への自信に加え、中東情勢に絡むエネルギー高が物価を押し上げ始めたためです。植田総裁は、経済・物価が見通しどおりに推移すれば「引き続き政策金利を引き上げる」と述べ、追加利上げに含みを残しました。
マイナス金利から、0.75%への階段
日銀の政策金利は、長く−0.1%のマイナス圏にありました。転機は2024年3月のマイナス金利解除。同年7月に0.25%、2025年1月に0.5%、2025年12月に0.75%と一段ずつ階段を上り、この4月会合ではその0.75%を維持しました。
0.75%は、米国(3.6%)や英国(3.75%)に比べれば依然としてかなり低い水準。この大きな金利差が、長く続く円安の主因です。日銀が利上げを進めれば差は縮まりますが、そのペースは慎重。賃金・物価の好循環が確かなものになるかを、一歩ずつ確かめながら進めています。
足元1.8%、見通し2.8%。この差をどう読むか
直近のコアCPI(生鮮食品を除く、3月分)は前年比+1.8%。5か月ぶりに加速したものの、目標2%は下回ります。一方で展望レポートの2026年度見通しは+2.8%。日銀は先行きの加速を織り込み、足元より高い見通しを示しました。
エネルギーや食料を除いたコアコアCPIは+2.4%と、物価の基調はすでに2%を上回っています。賃上げが価格に転嫁され、サービス価格も上がってきた——この「賃金と物価の好循環」の定着が、強気の見通しと追加利上げ姿勢の根拠です。ただし足元(1.8%)と見通し(2.8%)の差は大きく、エネルギー高が一巡すれば見通しの下振れもありえます。
もう一つの正常化 — 国債買い入れの減額
日銀は金利だけでなく、大量に買い続けてきた国債(JGB)の買い入れを減らす正常化も並行して進めています。買い入れ額を四半期ごとに段階的に縮小しており、その結果、長く膨張してきた総資産も減少に転じました。利上げと並ぶ、もう一つの引き締めです。
金利を上げつつ、国債市場の急変は避ける——この「二正面の正常化」を、市場を驚かせないよう慎重に進めるのが日銀の課題です。長期金利(10年債利回り)は正常化を映してじわりと上昇しており、住宅ローンや企業の借入金利にも波及していきます。
誰が決める? — 政策委員会の「9人」
金融政策は、年8回開かれる金融政策決定会合で、9人の政策委員の多数決で決まります。内訳は総裁1人・副総裁2人・審議委員6人。議長は植田総裁が務め、会合は2日間にわたって議論されます。
決定は2日目の昼ごろに公表され、続いて総裁の記者会見が開かれます。1・4・7・10月の会合では、経済・物価の見通しを示す「展望レポート」が同時に公表され、市場が特に注目します。今回の4月会合は、その展望レポートの公表回でした。
2026年 金融政策決定会合カレンダー
会合は年8回。うち1・4・7・10月の会合では「展望レポート」が公表されます。今回(4/28)の会合を終え、次回は6月15〜16日です。
市場の最大の関心は、次の利上げがいつか。強気の展望レポートと植田総裁の発言を受けて、市場は夏場にかけての追加利上げを意識し始めました。次回6月会合での判断が、次の手がかりとなります。
為替・市場への影響、用語ミニ解説
日銀の金利は、ドル円相場を大きく左右します。日本の金利が上がり、米国との金利差が縮めば、本来は円高方向の力が働きます。ただし日米欧の金利差は依然として大きく、円の重荷が続いています。強気の展望レポートは、追加利上げ観測を通じて円の下支え材料になり得ます。