Titan FX(タイタンFX)
🇺🇸 FRB(米連邦準備制度) / 2026年4月会合・金融政策インフォグラフィック

FRB、金利を据え置き。 ただし反対は「4票」。

4月29日、FRBは政策金利を3.50〜3.75%に据え置きました。注目は採決——反対が4票に達し、1992年以来の多さに。中東情勢のエネルギー高でインフレが再加速(3月CPI+3.3%)するなか、委員会の対立が深まっています。

政策金利(FF金利・誘導目標)
0.000.00 %
2026年4月29日 決定
据え置き(8対4)
3.50〜3.75%を維持
政策金利(FF金利・誘導目標)
3.50–3.75%
4/29に3会合連続で据え置き
物価目標
2.0%
PCEベース・長期目標
消費者物価(CPI・3月)
+3.3%
2月の2.4%から急上昇
コアCPI(3月)
+2.6%
エネルギー高が押し上げ
01

据え置き、しかし反対は4票 — 1992年以来の多さ

THE DECISION

FRBは4月29日のFOMCで、政策金利(FF金利)の誘導目標を3.50〜3.75%に据え置きました。1月・3月に続く3会合連続の据え置きです。注目は採決で、8対4と反対が4票に。これは1992年以来の多さで、委員会内の対立の深まりを映しました。

反対の内訳は2方向です。1人は利下げを主張して反対、3人は声明に残る「緩和バイアス(今後は利下げ)」の文言に反対しました。中東情勢(2月末に始まったイラン戦争)に絡むエネルギー高で物価が再加速するなか、「利下げの可能性を残すべきか」を巡って意見が割れた形です。パウエル議長は、関税の物価押し上げは「一度限り」の可能性があるとしつつ、利下げを急がない姿勢を維持しました。

「次の一手」が見えにくい: かつて市場は2026年の利下げを見込んでいましたが、インフレ再燃で利下げ期待は後退。タカ派的な反対票も加わり、委員会のなかでは「据え置きか、いっそ利上げか」という議論もくすぶり始めています。
02

5.375%の山を下りて、3.625%で停止

POLICY RATE

FRBは2022年から記録的なスピードで利上げし、FF金利は2023年7月に5.25〜5.50%(中央値5.375%)でピークに。その後2024年9月から利下げに転じ、2025年12月の利下げで3.50〜3.75%へ。以後はインフレ再燃を受けて利下げを停止し、横ばいが続いています。

FF金利(誘導目標の中央値)の推移単位:%。0.375%→5.375%のピーク→3.625%、そして据え置き
出所:FRB(FOMC)の政策決定より作成(2026年4月29日時点)

最後の利下げは2025年12月。以降は「高め水準を、より長く(higher for longer)」を地で行く展開です。市場が当初見込んでいた2026年の利下げは、エネルギー高と関税による物価上振れを前に、後ずれを余儀なくされています。

03

イラン戦争でガソリン急騰、物価が跳ねた

INFLATION

3月のCPI(消費者物価)は前年比+3.3%と、2月の+2.4%から大きく跳ね上がりました。背景は2月末に始まったイラン戦争。エネルギー価格が前年比+10.9%、ガソリンが+21.2%と急騰し、物価上昇の約4分の3を占めました。関税要因と重なり、インフレ鈍化の流れが逆回転しています。

物価は目標2%からどれだけ離れているか単位:%/前年比。点線は目標2.0%(PCEベース)。CPI・コアともに3月分
出所:米労働省(CPI, 2026年3月、4月10日発表)

エネルギーを除いたコアCPIも+2.6%と、依然として目標2%を上回ります。一方で労働市場は底堅く、FRBに「利下げを急ぐ理由はない」と判断させています。物価高がエネルギー以外にどこまで広がるか——FRBはこの一点を注視しています。

04

「ドットプロット」が示す、年内の見通し

DOT PLOT & SEP

年4回の会合では、FOMCメンバーが将来の適正金利を点で示すドットプロットと経済見通し(SEP)が公表されます。4月会合での公表はなく、直近は2026年3月。その中央値は、年内あと1回(25bp)の利下げを示していました。物価再加速を受けて、次の6月会合での下方修正(利下げ見通しの後退)が意識されています。

実質GDP成長率 (2026年)
2.4%
失業率 (2026年末)
4.4%
PCEインフレ (2026年)
2.7%
FF金利・中央値 (2026年末)
3.4%
出所:FRB「経済見通し要約(SEP)」2026年3月18日公表の中央値。

3月時点の中央値(年末3.4%)は、当時の3.50〜3.75%から年内1回の利下げを示唆していました。しかしその後の物価上振れで、市場の利下げ期待は剥落。次回6月のSEPで点が「年内ゼロ利下げ」へ動けば、利下げ局面の終わりが明確になります。

05

誰が決める? — FOMCの「12票」

STRUCTURE

金融政策は、年8回開かれるFOMC(連邦公開市場委員会)で決まります。投票権を持つのは12人——ワシントンの理事7人ニューヨーク連銀総裁(常任)、そして残る11の地区連銀総裁が輪番で4人です。今回はこのうち4人が反対に回りました。

投票権「12票」の内訳理事7人 + NY連銀総裁(常任)+ 地区連銀総裁4人(輪番)=12票
理事 7人(常に投票)NY連銀総裁(常任)地区連銀総裁 4人(輪番)
出所:FRBの投票ルールにもとづき作成(概念図)
理事7人=常に投票NY連銀総裁=常任地区連銀総裁=4票を輪番

この透明性ゆえに、4票もの反対は強いメッセージになります。「利下げ寄り1票」と「利下げ示唆の文言に反対の3票」という両方向の反対は、インフレの先行きを巡って委員会が割れていることを示しています。決定は米東部時間14時に発表され、その30分後にパウエル議長が会見します。

06

2026年 FOMCカレンダー

SCHEDULE

FOMCは年8回開かれ、うち3・6・9・12月の会合で経済見通し(SEP)とドットプロットが公表されます。今回(4/29)の会合を終え、次回は6月16〜17日です。

1月
27–28
据え置き
3月
17–18
据え置き見通し
今回
4月
28–29
据え置き(8–4)
6月
16–17
次回見通し
7月
28–29
9月
15–16
焦点見通し
10月
27–28
12月
8–9
年内最終見通し

市場は、エネルギー価格と関税の影響でインフレが高止まりするか、それとも和らぐかを、6月以降の会合で見極めようとしています。6月会合では新しいSEP(ドットプロット)が公表され、利下げ見通しがさらに後退するかが最大の焦点です。

07

為替・市場への影響、用語ミニ解説

IMPACT & GLOSSARY

ドルは世界の基軸通貨。FRBの金利は世界中の通貨・債券・株式を動かします。米国の金利が高いままなら、ドル高・円安の地合いが続きやすく、ドル円相場の重要な背景となります。タカ派的な据え置きを受けて、米長期金利には上昇圧力がかかりました。

主要5中銀の政策金利(2026年4月時点)単位:%。米国はFF金利の中央値。利下げ・利上げの方向はまちまち
出所:FRB・ECB・日銀・BOE・RBAの政策金利より作成(2026年4月時点)
約6.9兆ドル
FRBの総資産(バランスシート)。 コロナ後の約8.95兆ドルのピークから量的引き締め(QT)で縮小。金利の据え置きと並行して、資産の圧縮が静かに続いています。
FRBの総資産の推移(四半期末)単位:兆ドル。2022年の約8.95兆ドルのピークから量的引き締め(QT)で縮小
出所:FRB 週次バランスシート(H.4.1)より四半期末ベースで作成(概数)
反対が「利下げ」と「利上げ寄り」の両方向に——委員会は、次の一手で割れている。
FF金利(フェデラルファンド金利)銀行同士が短期資金をやり取りする際の金利。FRBはこの誘導目標(幅)を決め、世界の金利の基準となる。
ドットプロット/SEPFOMCメンバーが将来の適正金利を点で示す図と、経済見通し要約。年4回公表され、利上げ・利下げ観測を左右する。
反対票(dissent)FOMCで決定に反対した委員の票。票数と理由が公表され、委員会内の対立や次の政策方向を読む手がかりになる。
量的引き締め(QT)保有する国債などを満期到来とともに減らし、市場の資金を吸収する政策。金利の引き締めと並行して進む。
為替・金利の見方: 利上げや「タカ派」的な情報は、一般にドル高・米金利上昇の材料。ただし実際の相場は日米金利差・地政学・他指標で決まります。本ページは教育目的の解説で、投資助言ではありません。