FRB、金利を据え置き。 ただし反対は「4票」。
4月29日、FRBは政策金利を3.50〜3.75%に据え置きました。注目は採決——反対が4票に達し、1992年以来の多さに。中東情勢のエネルギー高でインフレが再加速(3月CPI+3.3%)するなか、委員会の対立が深まっています。
3.50〜3.75%を維持
据え置き、しかし反対は4票 — 1992年以来の多さ
FRBは4月29日のFOMCで、政策金利(FF金利)の誘導目標を3.50〜3.75%に据え置きました。1月・3月に続く3会合連続の据え置きです。注目は採決で、8対4と反対が4票に。これは1992年以来の多さで、委員会内の対立の深まりを映しました。
反対の内訳は2方向です。1人は利下げを主張して反対、3人は声明に残る「緩和バイアス(今後は利下げ)」の文言に反対しました。中東情勢(2月末に始まったイラン戦争)に絡むエネルギー高で物価が再加速するなか、「利下げの可能性を残すべきか」を巡って意見が割れた形です。パウエル議長は、関税の物価押し上げは「一度限り」の可能性があるとしつつ、利下げを急がない姿勢を維持しました。
5.375%の山を下りて、3.625%で停止
FRBは2022年から記録的なスピードで利上げし、FF金利は2023年7月に5.25〜5.50%(中央値5.375%)でピークに。その後2024年9月から利下げに転じ、2025年12月の利下げで3.50〜3.75%へ。以後はインフレ再燃を受けて利下げを停止し、横ばいが続いています。
最後の利下げは2025年12月。以降は「高め水準を、より長く(higher for longer)」を地で行く展開です。市場が当初見込んでいた2026年の利下げは、エネルギー高と関税による物価上振れを前に、後ずれを余儀なくされています。
イラン戦争でガソリン急騰、物価が跳ねた
3月のCPI(消費者物価)は前年比+3.3%と、2月の+2.4%から大きく跳ね上がりました。背景は2月末に始まったイラン戦争。エネルギー価格が前年比+10.9%、ガソリンが+21.2%と急騰し、物価上昇の約4分の3を占めました。関税要因と重なり、インフレ鈍化の流れが逆回転しています。
エネルギーを除いたコアCPIも+2.6%と、依然として目標2%を上回ります。一方で労働市場は底堅く、FRBに「利下げを急ぐ理由はない」と判断させています。物価高がエネルギー以外にどこまで広がるか——FRBはこの一点を注視しています。
「ドットプロット」が示す、年内の見通し
年4回の会合では、FOMCメンバーが将来の適正金利を点で示すドットプロットと経済見通し(SEP)が公表されます。4月会合での公表はなく、直近は2026年3月。その中央値は、年内あと1回(25bp)の利下げを示していました。物価再加速を受けて、次の6月会合での下方修正(利下げ見通しの後退)が意識されています。
3月時点の中央値(年末3.4%)は、当時の3.50〜3.75%から年内1回の利下げを示唆していました。しかしその後の物価上振れで、市場の利下げ期待は剥落。次回6月のSEPで点が「年内ゼロ利下げ」へ動けば、利下げ局面の終わりが明確になります。
誰が決める? — FOMCの「12票」
金融政策は、年8回開かれるFOMC(連邦公開市場委員会)で決まります。投票権を持つのは12人——ワシントンの理事7人、ニューヨーク連銀総裁(常任)、そして残る11の地区連銀総裁が輪番で4人です。今回はこのうち4人が反対に回りました。
この透明性ゆえに、4票もの反対は強いメッセージになります。「利下げ寄り1票」と「利下げ示唆の文言に反対の3票」という両方向の反対は、インフレの先行きを巡って委員会が割れていることを示しています。決定は米東部時間14時に発表され、その30分後にパウエル議長が会見します。
2026年 FOMCカレンダー
FOMCは年8回開かれ、うち3・6・9・12月の会合で経済見通し(SEP)とドットプロットが公表されます。今回(4/29)の会合を終え、次回は6月16〜17日です。
市場は、エネルギー価格と関税の影響でインフレが高止まりするか、それとも和らぐかを、6月以降の会合で見極めようとしています。6月会合では新しいSEP(ドットプロット)が公表され、利下げ見通しがさらに後退するかが最大の焦点です。
為替・市場への影響、用語ミニ解説
ドルは世界の基軸通貨。FRBの金利は世界中の通貨・債券・株式を動かします。米国の金利が高いままなら、ドル高・円安の地合いが続きやすく、ドル円相場の重要な背景となります。タカ派的な据え置きを受けて、米長期金利には上昇圧力がかかりました。