RBA、3会合連続の利上げ。 金利は4.35%へ逆戻り。
5月5日、豪州準備銀行はキャッシュレートを4.10%から4.35%へ引き上げました。2月・3月に続く3会合連続の利上げで、金利は2023年につけた前回ピークと同じ水準まで戻りました。いったん下げた金利が再び駆け上がる——物価再燃に揺れる豪州の金融政策を、図で読み解きます。
4.10→4.35%(3会合連続)
2月・3月に続く、3会合連続の利上げ
豪州準備銀行(RBA)は5月5日の会合で、政策金利(キャッシュレート)を4.10%から4.35%へ0.25%引き上げました。採決は8対1(1人は4.10%据え置きを主張)。これで2026年に入って2月・3月・5月と3会合連続の利上げ。引き上げ幅は合計+0.75%に達しました。
背景は物価の再燃です。基調インフレ(トリム平均)が目標レンジ(2〜3%)の上限を上回り続け、中東情勢に絡む燃料高も上振れリスクを高めました。声明は「総合・基調インフレともに依然として高すぎる」とし、必要ならさらなる利上げも辞さないと明言。ブロック総裁は、インフレが目標へ低下する確信が得られるまで「やるべきことをやる」と述べました。
下げて、また上げる — 金利の「往復」
RBAは2022年から利上げを進め、2023年11月に4.35%でピークに。その後2024年末から利下げに転じ、2025年5月に3.60%まで下げました。ところが物価が再燃し、2026年は3回連続で利上げ。今回5月、金利は再び4.35%へ——山を下りて、また同じ頂上に登り直した形です。
この「往復」は、インフレとの戦いがいかに一筋縄でいかないかを物語ります。いったん下がったインフレが、エネルギー高で再び加速し、利下げを帳消しに。現在の4.35%は前回ピークと同じ水準ですが、「据え置きで維持」ではなく「利上げで再到達」した点が決定的に異なります。市場の関心は、ここが新たな天井になるのか、それとも通過点なのかに移っています。
基調インフレが、目標レンジの「上」に
直近(1〜3月期)のCPI(消費者物価)は前年比+4.6%。RBAが重視する基調インフレ(トリム平均)は+3.3%で、目標レンジ2〜3%の上限を上回ったままです。物価の基調が帯からはみ出している限り、RBAは利下げに動けず、むしろ追加利上げを迫られます。
RBAの物価目標は、米欧日のような「2%」のピンポイントではなく「2〜3%のレンジ」。基調インフレがこの帯の上限を超えている限り、RBAは引き締めを続けざるを得ません。利上げで物価を抑えるか、景気への配慮で立ち止まるか——5月会合は、前者を選んだ判断でした。
割れた委員会が、利上げへ収束
金融政策は、9人の金融政策委員会(Monetary Policy Board)の議論で決まり、近年は票の内訳も公表されます。2026年の3回の利上げをたどると、委員会が「迷い」を経て利上げへ収束していった過程が見えてきます。
最も割れたのは3月の5対4。利上げを急ぐべきか慎重になるべきか、委員会が真っ二つになった瞬間でした。それが今回5月は8対1と、利上げ支持へ大きく傾きました。インフレの粘着性を前に、委員会の見方が「引き締め継続」で固まりつつあることを示しています。決定はシドニー時間14時30分、その1時間後にブロック総裁が会見します。
利上げの代償 — 景気と住宅
3会合連続の利上げは、家計や企業の借入負担を着実に重くします。豪州は変動金利の住宅ローンが多く、利上げの効果が家計に直接届きやすいのが特徴。RBAは物価を抑えるために引き締めを進める一方、景気や住宅市場を冷やしすぎるリスクとの綱渡りを迫られています。
利上げは通常、豪ドル高の材料となり、対米ドルで底堅さにつながります。一方で、豪州債利回りは上昇し、株式市場(ASX200)は金利上昇を嫌気して上値が重くなりがちです。RBAにとっては、インフレ抑制と景気下支えの両立という難題が続きます。
2026年 金融政策委員会カレンダー
会合は年8回、おおむね6週間ごとに開かれます。うち2・5・8・11月の会合では、四半期ごとの詳細な金融政策報告(SMP)が公表されます。今回(5/5)の利上げを終え、次回は6月15〜16日です。
市場の関心は、6月会合で4回連続の利上げに踏み切るのか、いったん様子見に転じるのか。基調インフレが目標レンジ(2〜3%)へ向けて低下するかどうかが、次の判断を左右します。5月のSMP(金融政策報告)で示された見通しが、その手がかりとなります。
為替・市場への影響、用語ミニ解説
豪ドルは代表的な資源国通貨で、RBAの金利と中国・商品市況に左右されます。3会合連続の利上げは通常、豪ドルの下支え材料。対円では、豪州の高金利が豪ドル買い・円売りの背景となってきました。日本との金利差は依然として大きく開いています。