デイリーレポート 2023年4月27日
April 27, 2023
【前日の為替概況】ドル円、小幅続落 不安定な値動き
※前日の為替概況文章貼り付け26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小幅続落したものの、総じて不安定な値動きだった。終値は133.67円と前営業日NY終値(133.76円)と比べて9銭程度のドル安水準。米10年債利回りが3.43%台まで上昇したことをきっかけに円売り・ドル買いが先行。21時30分過ぎに一時133.94円と日通し高値を付けた。ただ、「米政府は米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)の救済について、現時点では消極的」との報道が伝わると、米金融システム不安再燃への警戒から一転売りが優勢に。米10年債利回りが低下に転じたことも相場の重しとなり、23時30分前には133.02円と日通し安値を更新した。
節目の133.00円手前では買い戻しが入ったほか、米10年債利回りが3.45%台まで上昇したことを受けて133.88円付近まで持ち直す場面もあったが、日通し高値133.94円目前で失速。「FRCは米連邦準備理事会(FRB)貸出へのアクセスを制限される可能性」との一部報道が伝わり、ダウ平均が290ドル超下落したことも相場の重しとなり、133.48円付近まで押し戻された。
なお、市場では「明日の1-3月期米国内総生産(GDP)速報値や28日の3月米個人消費支出(PCE)などの米重要指標の発表を控えているほか、27-28日の日銀金融政策決定会合を前に、様子見ムードが強く神経質な動きとなった」との声が聞かれた。
ユーロドルは反発。終値は1.1041ドルと前営業日NY終値(1.0973ドル)と比べて0.0068ドル程度のユーロ高水準だった。欧州時間発表の独仏消費者信頼感指数の上振れを手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行。22時30分前に一時1.1095ドルと昨年3月31日以来約1年1カ月ぶりの高値を更新した。米地銀の経営や米債務上限問題など米経済を巡る不透明感が強まっていることもドル売りを促した。
ただ、買い一巡後は上値が重くなった。欧州株安やダウ平均の失速でリスク・オフのドル買いが入ったほか、米長期金利が上昇に転じたことが相場の重しとなり、1.1032ドル付近まで下押しした。
ユーロ円も反発。終値は147.60円と前営業日NY終値(146.78円)と比べて82銭程度のユーロ高水準だった。20時30分過ぎに一時147.91円と日通し高値を付けたものの、NY市場に入ると147.50円を挟んだレンジ取引に終始した。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は方向感が出なかった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、神経質な動きも下値は限定か、本日から日銀会合
本日の東京市場でドル円は昨日同様に133円台で神経質な値動きとなりそうだ。本日から明日にかけて日銀金融政策決定会合が開かれる。植田日銀総裁にとって就任後では初めての会合となる今回、前総裁の政策に沿い大規模な金融緩和継続が決定される見込み。一方、足もとで米金利の低下が一服していることもあり、日米金利差の観点から下値は限定的か。
一部通信社が米大手金融機関のエコノミストの見方として、日銀がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の正常化に踏み切る確率について「市場コンセンサスより高い」を報じている。3月の基調インフレが上昇したこと、YCC修正でも本邦国債への影響が限られていること、新体制スタートで改善がしやすいことなどがその理由。ただ、今回の会合のリスクシナリオとはしながらも、YCC柔軟化は夏までに実施される可能性とう指摘だ。欧州の金融機関も、6月または7月会合で日銀はYCC正常化に向けた方針を示すとみているところはあるようだ。調整する場合、ターゲット金利をこれまでの10年債から5年債に変更するとの予想も広がってきている。市場参加者(特に海外)が盛り上がりやすいのは、「異次元緩和の出口策シナリオ」、つまり本邦金利の上昇に対する思惑というのは相変わらずか。
しかしながら新日銀総裁の植田氏は今週の衆院での質疑応答で、金融緩和継続の必要性、YCC堅持、年末に向けて物価低下の見通しなどを繰り返し述べていた。明日の定例記者会見でどの程度まで独自色を出すのか注目されるものの、経済学者出身(戦後初めての)の新総裁が投機筋を喜ばすような(つまり、相場をかく乱する)ことは言わないのでないか。
なお、ニューヨーク引け後に米下院は、共和党のマッカーシー下院議長が推し進めてきた大幅な歳出削減を伴う連邦債務上限引き上げ法案を2票差で可決した。4人の共和党議員が反対票を投じたという。こちらに対し、時間外の米債券市場がどのような反応をするかも注視する必要があるだろう。可決前ではあるが、米国債1年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は上昇幅を拡大(債務不履行リスクへの警戒)している。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○14:00 ◇ 2 月景気動向指数改定値
○日銀金融政策決定会合(1 日目)
<海外>
○10:00 ◇ 4 月ANZ 企業信頼感
○10:30 ◇ 1-3 月期豪輸入物価指数(予想:前期比0.5%)
○18:00 ◎ 4 月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:99.9)
○18:00 ◎ 4 月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲17.5)
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:8.50%で据え置き)
○21:00 ◇ 3 月メキシコ貿易収支(予想:11.89 億ドルの赤字)
○21:30 ☆ 1-3 月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率2.0%)
◎ 1-3 月期米個人消費(速報値、予想:前期比年率4.1%)
◎ 1-3 月期米コアPCE(速報値、予想:前期比年率4.7%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.8 万件/187.8 万人)
○23:00 ◎ 3 月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比0.5%/前年比なし)
○28 日01:15 ◎ パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○28 日02:00 ◎ 米財務省、7 年債入札
○南アフリカ(自由の日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
26 日09:49 植田日銀総裁 「国債の利払い費への配慮で必要な金融政策が妨げられることはない」
「金融政策、財政資金の調達支援が目的ではない」
26 日21:10 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「総合インフレ率は低下傾向だが、コアインフレ率は上昇基調」
26 日21:20 ヘロドトゥ・キプロス中銀総裁
「上昇傾向にある賃金が懸念材料」
27 日02:41 カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)議事要 旨
「インフレ率が低下し金融政策が十分に制限的であるかどうかを確認するには、より多くの証拠が必要」
「当局者は、2023 年後半の利下げに対する市場の期待は、最も可能性の高いシナリオではないとの認識で一致」
「労働市場は依然として逼迫していることを認識」
「経済が年初に予想よりもやや強いとの認識」
「さらなる利上げの準備ができていることを引き続き示すことが重要との見解で合意」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=転換線に追随して134 円台に定着したい>
下影小陰線引け。133.65 円で推移していた一目均衡表・転
換線から下振れ、一時133.02 円まで下落した。同水準から戻し、転換線を上回ってNY を引けている。
本日134.08 円に切り上がった転換線を下回って朝方は推移。転換線に追随して134 円台へ定着できるか見定める局面となる。現状からすれば転換線は、この水準で頭打ちとなる公算。現在133.42 円に位置する一目・雲の上限の低下に追随して下値を探る展開など、不安定な動きを警戒したい。
レジスタンス2 134.73(4/24 高値)
レジスタンス1 134.08(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 133.67
サポート1 133.02(4/26 安値)
<ユーロドル=1.11 ドルの関門克服へ向けた足場固め>
上影陽線引け。一時1.1095 ドルと、年初来高値を更新す
る動きとなった。昨年3 月31 日以来、約1 年1 カ月ぶりの1.11 ドル回復に迫る同水準からやや押し戻され、少し長めのひげを形成した。目先的な重さを示唆している。上昇傾向の一目均衡表・転換線1.1002 ドル前後での底堅さを維持し、同大台克服の足場を固めることができるか注視することに
なる。
レジスタンス1 1.1095(4/26 高値)
前日終値 1.1041
サポート1 1.0964(4/25 安値)
<ポンド円=戻り鈍ければ、21 日線など試す展開に>
陽線引け。一目均衡表・転換線を挟んだ攻防となっている。昨日は転換線を回復した水準で上値が重かった。本日166.70円へわずかに切り上がった転換線付近で底堅さを示すとみる。ただ、現状からすれば転換線は本日の水準で頭打ちとなる公算。戻りが鈍いなら、21 日移動平均線などのサポートを試す展開となるだろう。
レジスタンス1 167.25(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 166.67
サポート1 165.72(21 日移動平均線)
<NZ ドル円=基準線の底打ちに追随して戻す可能性も>
陰線引け。一目均衡表・基準線82.63円付近が重く、3月28日以来の安値81.56 円まで下落した。基準線付近の重さが気になるものの、同線は週明けには切り上がり始める可能性がある。同線に沿って一目・雲の下限を試す展開を期待したいところ。ただ、その付近では低下する転換線も抵抗になるため、上値が重くなりそうだ。
レジスタンス1 82.26(4/26 高値)
前日終値 81.74
サポート1 81.19(3/28 安値)