デイリーレポート 2023年10月18日

October 18, 2023

【前日の為替概況】ドル円、良好な米 9 月小売売上高を受けて 148.84 円から 149.85 円まで上昇

17 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は 3 営業日ぶりに反発。終値は 149.81 円と前営業日 NY 終 値(149.51 円)と比べて 30 銭程度のドル高水準だった。9 月米小売売上高が予想を大幅に上回る強い数 字だったことが分かると、米長期金利の上昇とともにドル買いが先行。3 時前に一時 149.85 円と 3 日以 来約 2 週間ぶりの高値を付けた。10 月米 NAHB 住宅市場指数が予想を下回ったこと伝わると、149.60 円付 近まで伸び悩む場面もあったが下押しは限定的だった。

なお、欧州の取引時間帯には「日銀は 2024 年度の物価見通しを従来の 1.9%から 2%以上へ上方修正す る公算が大きい」との一部報道を受けて、一時 148.84 円まで売り込まれる場面があった。

ユーロドルは続伸。終値は 1.0577 ドルと前営業日 NY 終値(1.0560 ドル)と比べて 0.0017 ドル程度の ユーロ高水準だった。良好な米小売統計や米金利上昇を受けて 1.0538 ドル付近まで売られたものの、下 値は限定的だった。アジア時間に付けた日通し安値 1.0533 ドルが目先サポートとして働いたほか、欧州 株価の上昇に伴うリスク・オンのドル売りが出て一時 1.0595 ドルと日通し高値を更新した。欧州時間発 表の 10 月独 ZEW 景況感指数が予想を上回ったことで、ユーロ買いが入りやすい面もあった。

ただ、引けにかけては米長期金利の上昇に伴うドル買いが入ったため、若干伸び悩んだ。

ユーロ円も続伸。終値は 158.46 円と前営業日 NY 終値(157.90 円)と比べて 56 銭程度のユーロ高水準。 欧州株相場の上昇に伴うリスク・オンの円売りが優勢となり、1 時過ぎに 158.62 円と本日高値を更新し た。ただ、米国株が失速すると若干伸び悩んだ。

【本日の東京為替見通し】本日のバイデン米大統領のイスラエル訪問を控えて動きづらい展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、バイデン米大統領がイスラエルを訪問する予定となっていること で、動きづらい展開が予想される。

ドル円が 150 円台に上昇する局面では、鈴木財務相「為替は場合によって適切な対応が求められる」や 神田財務官「為替介入で過度の変動に対抗する」などの口先での円安牽制から、ドル売り・円買い介入へ 踏み切る可能性に警戒しておきたい。

昨年 10 月は、12-13 日の G20 財務相・中央銀行総裁会議の後、21 日と 24 日にドル売り・円買い介入が 実施されており、今年も 12-13 日の G20 会議の後に口先介入が行われていることで、要警戒となる。

また昨日は、30-31 日の日銀金融政策決定会合での経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、2023 年度と 24 年度のコア消費者物価指数の前年度比上昇率の見通しが上方修正となる公算が大きい、と報じ られたことで、日銀筋からの見解に注目しておきたい。

本日、バイデン米大統領は、イスラエルを訪れて、ネタニヤフ首相と会談する予定となっている。パレ スチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの壊滅を目指すイスラエルへの支持を打ち出し、ガ ザ住民への被害を最小限とするためにイスラエルに対して地上攻撃を回避するように要請すると思われ る。

ハマスを支援するイランは、イスラエルが地上攻撃を始めた場合には参戦すると警告していることで、 戦火は一気に拡大して第 5 次中東戦争が勃発するリスクが高まる。1973 年 10 月に勃発した第 4 次中東戦 争では、第一次石油ショックを引き起こし、円建て資産のトリプル安現象(円安・株安・債券安)となり、 原油価格は 1 バレル 3 ドル台から 11 ドル台まで上昇し、日本の消費者物価指数は 24%台に急騰した。

すなわち、バイデン米大統領による地上攻撃回避の要請が聞き入れられず、イランの参戦を招いた場合、 原油価格の上昇でトリプル安となり、ドル円は 150 円を超えて上昇することは必至となるため、本邦通貨 当局によるドル売り・円買い介入で阻止できるのか否か、という局面を迎えることになる。

またバイデン米政権がイスラエルに支援を行うためには、米国議会での採決が必要だが、昨日の本会議 で行われた下院議長選の第1回投票では、米共和党の保守強硬派、ジョーダン下院議員は必要な票を獲得 できなかった。投票では、ジョーダン氏は 200 票を獲得したものの、共和党議員 20 人が反対票を投じた ことで、承認に必要な 217 票に届かなかった。民主党は 212 人全員が同党のジェフリーズ院内総務に票を 投じた。

下院議長が選出されない限り、議会でのイスラエル支援の採決は出来ず、つなぎ予算の期限である 11 月 17 日に向けて、米国政府機関の閉鎖や米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスによる 米国債格下げ懸念が高まることになる。

11 時に発表される 7-9 月期中国国内総生産(GDP)の予想は前期比+1.0%、前年同期比+4.4%、9 月中 国鉱工業生産の予想は前年比+4.3%、9 月中国小売売上高の予想は、前年比+4.9%となっている。予想を 下回った場合は、リスク回避の地合いとなることで要注目となるが、米国が対中半導体制裁を強化するこ とで、中国の景況感悪化懸念が高まりつつある。

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

特になし

<海外>

○07:30 ◎ ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、講演

○11:00 ☆ 7-9 月期中国国内総生産(GDP、予想:前期比 1.0%/前年同期比 4.4%)

○11:00 ◎ 9 月中国鉱工業生産(予想:前年比 4.3%)

○11:00 ◎ 9 月中国小売売上高(予想:前年比 4.9%)

○15:00 ◎ 9 月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.5%/前年比 6.6%)

○15:00 ◎ 9 月英 CPI コア指数(予想:前年比 6.0%)

○15:00 ◇ 9 月英小売物価指数(RPI、予想:前月比 0.5%/前年比 8.9%)

○17:00 ◎ 9 月南アフリカ CPI(予想:前月比 0.6%/前年比 5.3%)

○18:00 ☆ 9 月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比 4.3%)

○18:00 ☆ 9 月ユーロ圏 HICP コア改定値(予想:前年比 4.5%)

○18:00 ◇ 8 月ユーロ圏建設支出

○20:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数

○20:00 ◇ 8 月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲1.0%)

○21:00 ◎ 8 月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比 1.2%)

○21:15 ◇ 9 月カナダ住宅着工件数(予想:24.00 万件)

○21:30 ◎ 9 月米住宅着工件数(予想:138.0 万件、前月比 7.5%)

◎ 建設許可件数(予想:145.0 万件、前月比▲5.9%)

○23:30 ◇ EIA 週間在庫統計

○19 日 01:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演

○19 日 01:30 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加

○19 日 02:00 ◎ ボウマン FRB 理事、あいさつ

○19 日 02:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演

○19 日 03:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

○19 日 04:15 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

○19 日 05:00 ◎ 8 月対米証券投資動向

○バイデン米大統領、イスラエル訪問

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

17 日 05:40 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁

「FRB は利上げを終える可能性が高い」

「インフレは低下すると見ている」

「データに何らかの変化がなければ、FRB は金利を据え 置くべき」

17 日 09:12 ブリンケン米国務長官

「バイデン米大統領は 18 日にイスラエルを訪問」

「大統領はイスラエルへの米国のコミットメントを再確認 する」

17 日 09:34 豪準備銀行(RBA)議事要旨

「委員らはインフレ率が依然として目標を大幅に上回っ ており、しばらくはその状態が予想されると指摘」

「2022 年 5 月以来の金融引き締め効果が完全にデータ に表れるには時間がかかるだろう」

「0.25%の利上げも検討したが、金利を据え置くことが最 も有力な選択肢であるとの認識で一致」

「経済指標や金融市場から金融政策スタンスの調整を 必要とするほどの新たな情報は得られなかった」

「インフレが予想よりも持続することが判明した場合には、 さらなる政策引き締めが必要となる可能性がある」

「さらなる金利引き上げが必要かどうかは、今後のデー タと、それが経済見通しやリスク評価の進展にどのよう に変化するかに依存する」

18 日 00:02 バーキン米リッチモンド連銀総裁

「FRB には次の利上げに踏み切る前にデータを確認す る時間がある」

「インフレの道筋はまだ明らかではないが、進展が見ら れる」

「賃金圧力は依然として残っているが、全体的には緩和 されている」

「長期金利が上昇しており、それが引き締め状況となっ ている」

「我々は制限的な政策スタンスをとっていると確信」

18 日 01:13 格付け会社フィッチ・レーティングス

「イスラエルの格付け『A+』を引き下げる可能性」

18 日 06:25 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁

「インフレ率は依然として高すぎる」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグ ナルが点灯中。2 手連続陰線の後、抱き線で切り返して転換 線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線 を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 151.95(2022/10/21 高値)
レジスタンス 1 150.16(10/3 高値)
前日終値 149.81
サポート 1 149.01(日足一目均衡表・転換線)
サポート 2 148.59(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロドル=10/16 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の下で引けており、三役逆転の強い売りシグナル が点灯中。しかし、2 手連続陽線で転換線を上回って引けて おり続伸の可能性が示唆されている。 本日は、転換線 1.0562 ドルを念頭に置き、16 日の安値を 支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は 手仕舞い。

レジスタンス 1 1.0607(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0577
サポート 1 1.0507(10/16 安値)

<ユーロ円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯した。2 手連続陽線で転換線を上回って引けて おり続伸の可能性が示唆されている。 本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線 を下抜けたら手仕舞い。

レジスタンス 1 159.76(8/30 高値)
前日終値 158.46
サポート 1 157.54(日足一目均衡表・転換線)

<豪ドル円=雲の上限を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回っているものの、遅行ス パンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグ ナルが優勢な展開となっている。2 手連続陽線で転換線を上 回って引けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は、雲の上限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同 線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 96.92(9/29 高値)
前日終値 95.37
サポート 1 94.32(日足一目均衡表・雲の上限)