デイリーレポート 2023年10月24日

October 24, 2023

【前日の為替概況】米 10 年債利回り 4.82%台でドル下落 対円 149.56 円、対ユーロ 1.0678 ドル

23 日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは 3 日続伸。終値は 1.0670 ドルと前営業日 NY 終値 (1.0594 ドル)と比べて 0.0076 ドル程度のユーロ高水準だった。一時は 5.0187%前後と 2007 年 7 月以 来の高水準を記録した米 10 年債利回りが 4.82%台まで低下すると全般ドル売りが優勢となった。市場で は「26 日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を前にポジション調整目的のユーロ買いが入った」との声も 聞かれ、3 時 30 分過ぎには一時 1.0678 ドルと 9 月 20 日以来約 1 カ月ぶりの高値を付けた。

主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時 105.52 まで低下した。

ドル円は反落。終値は 149.71 円と前営業日 NY 終値(149.86 円)と比べて 15 銭程度のドル安水準とな った。週明け早朝取引では一時 150.11 円まで上昇する場面もあったが、NY 市場に入ると徐々に弱含んだ。 米長期金利が急速に低下したため全般ドル売りが優勢となり、オセアニア時間の安値 149.74 円を下抜け て一時 149.56 円と日通し安値を更新した。

ユーロ円は 3 日続伸。終値は 159.74 円と前営業日 NY 終値(158.77 円)と比べて 97 銭程度のユーロ高 水準。ユーロドルの上昇につれた買いが入ったほか、安く始まった米国株が一時上昇に転じるなど底堅く 推移したことが相場の支援材料となった。3 時 30 分過ぎには一時 159.78 円と 2008 年 8 月以来およそ 15 年ぶりの高値を更新した。

オセアニア通貨は堅調だった。米長期金利が低下に転じたほか、中東情勢の緊張から上昇していた原油 先物価格も下落。投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ、リスクセンチメントに敏感なオセアニア通貨 には買い戻しが入った。豪ドル米ドルは 0.6349 米ドル、NZ ドル米ドルは 0.5858 米ドルまで上げたほか、 豪ドル円は 95.02 円、NZ ドル円は 87.67 円と日通し高値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、米 10 年債利回り低下や日銀への警戒感から伸び悩む展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、米 10 年債利回りの低下、来週の日銀金融政策決定会合への警戒 感、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の警戒感から上値が重い展開が予想される。

昨日のニューヨーク債券市場では、30 年債利回りが約 5.18%、10 年債利回りも 16 年ぶりに 5.0187% まで上昇していたが、資産家のビル・アックマン氏が米 30 年債のショートポジションを買い戻したとの ことで、30 年債は 5%前後、10 年債は 4.8%台まで低下し、ドル売りを誘発した。

ドル円は 150 円という本邦通貨当局のドル売り・円買い介入警戒水準付近での膠着状況が続いている。 3 日のニューヨーク市場では 150.16 円まで上昇したものの、大口のドル売りで 147 円台まで反落し、昨 日のシドニー市場では 150.11 円まで上昇したものの、東京市場では伸び悩む展開となった。

現時点での相場変動要因を整理して置きたい。

まず、ドル高・円安の根幹にある日米金融政策の方向性の相違がある。

10 月 31-11 月 1 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、米国中長期金利の上昇が利上げの代替となる との見立てや中東情勢の不透明感から、政策金利据え置き観測が高まっており、ドルの上昇を抑制してい る。

30-31 日の日銀金融政策決定会合では、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2023 年度と 24 年 度のコア消費者物価指数の前年度比上昇率の見通しが上方修正となる可能性、イールドカーブコントロー ル(長短金利操作、YCC)の再修正の可能性が、円安を抑制している。

7 月に神田財務官が日銀の金融政策に言及した後、日銀金融政策決定会合で YCC の運用柔軟化が決定さ れており、今月 16 日に神田財務官が金融政策に言及したことで、YCC の運用柔軟化の可能性が警戒され ている。

そして、中東情勢の緊迫化を受けて、有事のドル買いへの警戒感が高まりつつある中、リスクシナリオ は、第 5 次中東戦争と石油ショックによる円建て資産のトリプル安現象(円安・株安・債券安)となる。

さらに、米国議会での次期下院議長の選任が難航していることは、ウクライナやイスラエルへの支援の 遅れ、そして、11 月 17 日のつなぎ予算が切れて米国政府機関の閉鎖になれば、米格付け会社ムーディー ズ・インベスターズ・サービスによる米国債格下げというドル売り要因に繋がる。

【本日の重要指標】

<国内>

特になし

<海外>

○15:00 ◎ 9 月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)

○15:00 ◎ 6-8 月英失業率(ILO 方式、予想:4.3%)

○15:00 ◇ 11 月独消費者信頼感指数(Gfk 調査、予想:26.6)

○16:15 ◎ 10 月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:44.4)

○16:15 ◎ 10 月仏サービス部門 PMI 速報値(予想:44.6)

○16:30 ◎ 10 月独製造業 PMI 速報値(予想:40.0)

○16:30 ◎ 10 月独サービス部門 PMI 速報値(予想:50.0)

○17:00 ◎ ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、講演

○17:00 ◎ 10 月ユーロ圏製造業 PMI 速報値(予想:43.7)

○17:00 ◎ 10 月ユーロ圏サービス部門 PMI 速報値(予想:48.7)

○17:30 ◎ 10 月英製造業 PMI 速報値(予想:44.7)

○17:30 ◎ 10 月英サービス部門 PMI 速報値(予想:49.3)

○22:45 ◎ 10 月米製造業 PMI 速報値(予想:49.5)

○22:45 ◎ 10 月米サービス部門 PMI 速報値(予想:49.8)

○22:45 ◎ 10 月米総合 PMI 速報値(予想:50.0)

○23:00 ◎ 10 月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:2)

○25 日 02:00 ◎ 米財務省、2 年債入札

○インド(ヒンドゥー教ダシェラ祭)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

23 日の金融市場では、要人の発言は特になかった。

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=基準線を支持に押し目買いスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグ ナルが点灯中。抱き線で反落したものの転換線を上回って引 けており反発の可能性が示唆されている。しかし、高値圏で の弱気の乖離には警戒しておきたい。 本日は、転換線 149.48 円を念頭に置き、基準線を支持に 押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 151.95(2022/10/21 高値)
レジスタンス 1 150.16(10/3 高値)
前日終値 149.71
サポート 1 148.74(日足一目均衡表・基準線)
サポート 2 146.57(日足一目均衡表・雲の上限)

<ユーロドル=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の下で引けており、三役逆転の強い売りシグナル が点灯中。しかし、3 手連続陽線で転換線を上回って引けて おり続伸の可能性が示唆されている。 本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線 を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 1.0747(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0670
サポート 1 1.0587(日足一目均衡表・転換線)

<ユーロ円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。3 手連続陽線で転換線を上回って引 けており続伸の可能性が示唆されている。 本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線 を下抜けたら手仕舞い。

レジスタンス 1 160.61(ピポット・レジスタンス 2)
前日終値 159.74
サポート 1 158.38(日足一目均衡表・転換線)

<豪ドル円=10/12 高値を抵抗に戻り売りスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な 展開となっている。陽線で切り返して、一時基準線 95.00 円 を上回ったものの、転換線を下回って引けており反落の可能 性が示唆されている。 本日は、12 日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同 水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 95.83(10/12 高値)
前日終値 94.86
サポート 1 93.85(日足一目均衡表・雲の下限)