デイリーレポート 2023年10月25日

October 25, 2023

【前日の為替概況】予想上回る米 10 月 PMI でドル上昇 対円 149.93 円、対ユーロ 1.0583 ドル

24 日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは 4 営業日ぶりに反落。終値は 1.0590 ドルと前営業日 NY 終値(1.0670 ドル)と比べて 0.0080 ドル程度のユーロ安水準だった。欧州時間に発表されたドイツや ユーロ圏の 10 月購買担当者景気指数(PMI)速報値が低調な内容となったことを受けて全般ユーロ売りが 先行した。米国の同月 PMI 速報値が予想より強い内容だったことが分かるとドル買いも優勢となり、0 時 30 分過ぎに一時 1.0583 ドルと日通し安値を更新した。

ユーロは対豪ドルでは一時 1.6652 豪ドル、対 NZ ドルでは 1.8120NZ ドル、対カナダドルでは 1.4532 カナダドル、対スイスフランでは 0.9458 スイスフランまで下落した。

ドル円は反発。終値は 149.91 円と前営業日 NY 終値(149.71 円)と比べて 20 銭程度のドル高水準とな った。米 PMI 速報値の上振れを受けて一時 149.93 円と日通し高値を付けたものの、心理的節目である 150 円に近づくと、政府・日銀による為替介入への警戒感が高まったため伸び悩んだ。ただ、全般ドル買いが 進む中、下押しは 149.75 円付近にとどまった。

ユーロ円は 4 日ぶり反落。終値は 158.77 円と前営業日 NY 終値(159.74 円)と比べて 97 銭程度のユー ロ安水準。低調なユーロ圏 PMI が相場の重しとなり、2 時前に一時 158.54 円と日通し安値を付けた。ア ジア時間に一時 159.92 円と 2008 年 8 月以来およそ 15 年ぶりの高値を付けたあとだけに利食い売りなど も出やすかった。

メキシコペソは軟調。WTI 原油先物価格が 2%超下落したことを受けて産油国通貨とされるメキシコペ ソには売りが出た。ドルペソは一時 18.3464 ペソ、ペソ円は 8.16 円までペソ安に振れた。同じく産油国 通貨であるノルウェークローネも対ドルで 11.1983 クローネ、対円で 13.39 円まで値を下げた。

【本日の東京為替見通し】ドル円は 150 円を巡る攻防、豪ドルは豪 CPI に要注目か

本日の東京外国為替市場のドル円は、150 円という本邦通貨当局のドル売り・円買い介入警戒水準に接 近していることで、実弾介入の有無に警戒していく展開が予想される。

ドル高・円安の根幹にある日米金融政策の方向性に関しては、日銀のインフレ見通しや YCC の修正観測 と米連邦準備理事会(FRB)の政策金利据え置き観測により、150 円台に乗せていく状況ではない。

10 月 30-31 日の日銀金融政策決定会合では、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2023 年度と 24 年度のコア消費者物価指数の前年度比上昇率の見通しが上方修正となる可能性、イールドカーブコン トロール(長短金利操作、YCC)の再修正の可能性は、円安抑制要因となる。しかし、「大規模緩和策は維 持する公算」との新聞報道もあり、予断を許さない状況が続く。

7 月に神田財務官が日銀の金融政策に言及した後、日銀金融政策決定会合で YCC の運用柔軟化が決定さ れており、今月 16 日に神田財務官が金融政策に言及したことで、YCC の運用柔軟化の可能性が警戒され ている。

10 月 31-11 月 1 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、米国中長期金利の上昇が利上げの代替とな るとの見立てや中東情勢の不透明感から、政策金利据え置き観測が高まっており、ドルの上昇を抑制する 要因となっている。すなわち、米 10 年・30 年債利回りが一時 5%台まで上昇していることで、FF 金利誘 導目標 5.25-50%を引き上げる必要性が後退している、との見立てである。

またドルの上値を抑える懸念材料としては、全米自動車労組(UAW)が自動車メーカーに対するストラ イキを再び拡大していること、米下院議長の選出が難航しており、議長不在の下院が機能不全に陥ってい ることなどが挙げられる。

9 時 30 分に発表される 7-9 月期豪消費者物価指数(CPI)は前期比+1.1%/前年同期比+5.3%)、9 月 の豪 CPI の予想は前年同月比+5.4%と予想されている。

3 日の豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨では、「インフレ率が依然として目標を大幅に上回っており、 しばらくはその状態が予想される。さらなる金利引き上げが必要かどうかは、今後のデータに依存する」 となっていた。11 月 7 日の RBA 理事会に向けて、インフレ状況に要注目となる。

【本日の重要指標】

<国内>

○14:00 ◇ 8 月景気動向指数改定値

<海外>

○09:30 ◎ 7-9 月期豪消費者物価指数(CPI、予想:前期比 1.1%/前年同期比 5.3%)

○09:30 ◎ 9 月豪 CPI(予想:前年同月比 5.4%)

○17:00 ◎ 10 月独 Ifo 企業景況感指数(予想:85.9)

○20:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数

○23:00 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:5.00%で据え置き)

○23:00 ☆ 9 月米新築住宅販売件数(予想:前月比 0.7%/68.0 万件)

○23:30 ◇ EIA 週間在庫統計

○26 日 02:00 ◎ 米財務省、5 年債入札

○26 日 02:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演

○26 日 05:35 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、あいさつ

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

24 日 13:48 岸田首相

「経済対策は、インフレが加速することないよう適切に対 応する」

「賃上げが物価に追いつくまで政府が支えること必要」

24 日 23:20 全米自動車労組(UAW)

「米ゼネラル・モーターズ(GM)のアーリントン組み立て 工場で 5000 人がストライキに参加」

25 日 01:01 ブリンケン米国務長官

「米国はイランとの紛争を望んでいない」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=基準線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグ ナルが点灯中。孕み線で切り返して転換線を上回って引けて おり続伸の可能性が示唆されている。 本日は、転換線 149.48 円を念頭に置き、基準線を支持に 押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 2 151.95(2022/10/21 高値)
レジスタンス 1 150.33(ピポット・レジスタンス 2)
前日終値 149.91
サポート 1 148.74(日足一目均衡表・基準線)
サポート 2 146.77(日足一目均衡表・雲の上限)

<ユーロドル=10/24 高値を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回ったものの、遅行スパン は実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナル が優勢な展開。3 手連続陽線の後、抱き線で反落して転換線 を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。 本日は、転換線 1.0595 ドルを念頭に置き、24 日高値を抵 抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕 舞い。

レジスタンス 1 1.0694(10/24 高値)
前日終値 1.0590
サポート 1 1.0483(10/6 安値)

<ポンド円=10/24 高値を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の中で引けているものの、転換線を下回って引け ていることで売りシグナルが優勢な展開となっている。2 手 連続陽線の後、孕み線で反落して転換線を下回って引けてお り続落の可能性が示唆されている。 本日は、転換線 182.43 円を念頭に置き、24 日の高値を抵 抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けたら手仕舞い。

レジスタンス 1 183.76(10/24 高値)
前日終値 182.30
サポート 1 181.00(日足一目均衡表・基準線)

<NZ ドル円=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な 展開となっている。2 手連続陽線でも転換線を下回って引け ており反落の可能性が示唆されている。 本日は、基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を 上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 88.65(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 87.61
サポート 1 86.82(日足一目均衡表・雲の下限)