デイリーレポート 2023年11月6日

November 6, 2023

【前日の為替概況】低調な米 10 月雇用統計でドル安、対円 149.21 円 対ユーロ 1.0747 ドル

3 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は 3 日続落。終値は 149.39 円と前営業日 NY 終値(150.45 円)と比べて 1 円 06 銭程度のドル安水準となった。米労働省が発表した 10 月米雇用統計では非農業部門 雇用者数が前月比 15.0 万人増と予想の 18.0 万増を下回り、失業率が 3.9%と予想の 3.8%より弱い内容 となった。市場では「米連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクルが終了した」との見方が広がり、米長 期金利の指標となる米 10 年債利回りは一時 4.4798%前後と 9 月 25 日以来の低水準を記録。米金利の大 幅低下とともにドル売りが優勢となった。その後発表の 10 月米 ISM 非製造業景況指数が 51.8 と予想の 53.0 を下回ったことも相場の重しとなり、一時 149.21 円と日通し安値を付けた。

主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時 104.94 と 9 月 20 日以来の低水準を付け た。

ユーロドルは続伸。終値は 1.0731 ドルと前営業日 NY 終値(1.0622 ドル)と比べて 0.0109 ドル程度の ユーロ高水準だった。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)をきっかけに米利上げ終結観測が高まる中、 米金利の低下とともにドル売りが先行。この日発表の米経済指標が軒並み予想を下回ったこともドル売り を促し、2 時過ぎには一時 1.0747 ドルと 9 月 14 日以来の高値を更新した。

ユーロ円も続伸。終値は 160.24 円と前営業日 NY 終値(159.81 円)と比べて 43 銭程度のユーロ高水準。 米雇用統計や米長期金利の低下が好感されて、ダウ平均が一時 320 ドル超上昇すると、投資家のリスク志 向が改善し円売り・ユーロ買いが優勢となった。2 時過ぎに一時 160.40 円と日通し高値を更新した。

ユーロ円以外のクロス円も上昇が目立った。ポンド円は一時 185.02 円、豪ドル円は 97.32 円、NZ ドル 円は 89.62 円、スイスフラン円は 166.47 円、南アフリカランド円は 8.20 円まで値を上げた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、上値が重い展開か 低調だった米 10 月雇用統計受け

本日の東京外国為替市場のドル円は、低調な米 10 月雇用統計を受けた米 10 年債利回りの低下により上 値が重い展開が予想される。

米 10 月の雇用統計(失業率:3.9%、非農業部門雇用者数:前月比+15 万人)を受けて、米 10 年債利 回りは一時 4.47%台まで低下。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが FF 金利先物の動向に 基づき算出する「フェドウオッチ」では、来年 2024 年の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ開始時 期に対する見通しを 7 月から 5 月に前倒ししている。

また、米連邦準備理事会(FRB)の元エコノミストであるクローディア・サーム博士が提唱した「サー ム・ルール: Sahm Rule」では、リセッション(景気後退)入りリスクが高まりつつあるようだ。米失業 率の「3 ヵ月移動平均(※3.833%)」と「過去 1 年間の最低水準(※3.4%)」の差が 0.5%以上になった 場合、1 年以内にリセッション入りするとの説だが、10 月時点では 0.433%となっている。

さらに、7 月にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が、起業・廃業モデルなどを理由に、NFP が労働市場を過大評価している可能性を指摘した懸念が再び浮上するのかもしれない。10 月の雇用統計 では、12.2 万の会社・政府機関などの事業所調査(Establishment survey)での非農業部門雇用者数 (Non-Farm Payroll)は前月比で 15 万人増加していたが、6 万世帯の家計調査(Household survey)で は、就労者数は 34.8 万人減少していた。

中東情勢に関しては、イスラエルのアミハイ・エリヤフ文化遺産担当相が、パレスチナ自治区ガザへの 核兵器使用は「選択肢の一つだ」と述べたことが波紋を広げている。もし、レバノンを拠点とする武装組 織ヒズボラが介入して「第二戦線」が開かれた場合、そして核保有国のイランが介入して、「第三戦線」 が開かれた場合、戦術核が使用される可能性が高まることになる。

現状でのドル売り・円買い材料としては、以下の通りとなる。 ・米国議会での 11 月 17 日のつなぎ予算の期限に向けた 2024 年度予算案採決への警戒感 ・米連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクル終了観測 ・日本銀行の金融政策正常化

ドル買い・円売り材料は、以下の通り。 ・中東紛争が第 5 次中東戦争まで拡大して、石油ショックが引き起こされる可能性 (1973 年の第 4 次中東戦争、第一次石油ショックでの円建て資産トルプル安の再現)

【本日の重要指標】

<国内>

○08:50 ☆ 9 月 21-22 日分の日銀金融政策決定会合議事要旨

<海外>

○16:00 ◎ 9 月独製造業新規受注(予想:前月比▲1.0%/前年同月比▲2.3%)

○17:35 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演

○17:50 ◎ 10 月仏サービス部門 PMI 改定値(予想:46.1)

○17:55 ◎ 10 月独サービス部門 PMI 改定値(予想:48.0)

○18:00 ◎ 10 月ユーロ圏サービス部門 PMI 改定値(予想:47.8)

○18:30 ◎ 10 月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:46.0)

○21:45 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演

○24:00 ◇ 10 月カナダ Ivey 購買部協会景気指数

○7 日 02:00 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演

○7 日 03:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演

○ロシア(民族統一の日の振替休日)、休場

○米国は 5 日から冬時間に移行済み

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

3 日 23:20 バーキン米リッチモンド連銀総裁

「労働市場はより良いバランスにある」

「雇用統計で圧力が弱まったのは歓迎すべきこと」

「FRB の次の動きを予断しない」

「FRB は次回の利上げ決定までにさらに多くのデータを 見極める必要がある」

「インフレ率の低下に注目している」

「私の中では、利下げはまだ先のこと」

4 日 05:04 ボスティック米アトランタ連銀総裁

「経済見通しを考慮すると政策は適切な位置にある可能 性が高い」

「8-10 カ月の金利維持を支持する可能性も」

「雇用者数に満足、見通しと一致している」

「FRB はデータを監視し、忍耐強く待つ時間がある」

「リセッション(景気後退)なしにインフレ率 2%を達成で きると思う」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=150 円前半の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグ ナルが点灯中。しかし 3 手連続陰線、三羽烏で転換線を下回 って引けており続落の可能性が示唆されている。 本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上 抜けた場合は手仕舞い。149.58 円で横ばいの基準線も念頭に 置きたい。


レジスタンス 2 151.72(10/31 高値)
レジスタンス 1 150.27(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 149.39
サポート 1 148.17(10/10 安値)
サポート 2 147.88(日足一目均衡表・雲の上限)

<ユーロドル=雲の下限から転換線が支持帯に押し目買い>

大陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線 を上回り、雲の中で引けているものの買いシグナルが優勢な 展開となっている。2 手連続陽線、転換線を大きく上回って 引けており続伸の可能性が示唆されている。 雲の下限が 1.0659 ドル、転換線が 1.0630 ドル台で横ばい。 本日はそれら水準を支持帯とし押し目買いスタンスで臨み たい。転換線を下抜けた場合は手仕舞い。


レジスタンス 1 1.0814(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0731
サポート 1 1.0632(日足一目均衡表・転換線)

<ユーロ円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグ ナルが点灯している。2 手連続陽線で転換線を上回って引け ており続伸の可能性が示唆されている。 本日は 159.20 円台の転換線辺りまでを支持に押し目買い スタンスで臨みたい。同線を下抜けた場合でも、1・2 日安値 159.07 円の攻防が注目される。

レジスタンス 1 160.88(ピポット・レジスタンス 2)
前日終値 160.24
サポート 1 159.28(日足一目均衡表・転換線)

<豪ドル円=5 手連続陽線引け、買いスタンス継続>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグ ナルが点灯している。5 手連続陽線で転換線を上回って引け ており、上昇基調の強さがうかがえる。 95 円後半の転換線は依然として強い支持水準として意識 されている。下向きの調整があった場合、まずは 2・3 日の 安値圏 96 円半ばの攻防が注目される。


レジスタンス 1 97.81(ピポット・レジスタンス 2)
前日終値 97.29
サポート 1 95.79(日足一目均衡表・転換線)