デイリーレポート 2023年11月27日
November 27, 2023
【前日の為替概況】ユーロドル 1.0949 ドルまで強含み、ドルインデックスは 103.36 まで低下
24 日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは続伸。終値は 1.0939 ドルと前営業日 NY 終値(1.0905 ドル)と比べて 0.0034 ドル程度のユーロ高水準だった。米感謝祭翌日で米債券・株式・商品市場が短縮 取引となる中、ユーロ買い・ドル売りが優勢となった。ポンドやカナダドルに対してドル売りが進んだ影 響も受けて、前日の高値 1.0930 ドルを上抜けると一時 1.0949 ドルまで上値を伸ばした。主要通貨に対す るドルの値動きを示すドルインデックスは一時 103.36 まで低下した。
なお、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は「インフレ率は鈍化しているが、勝利宣言はできない」「こ れまでの利上げの効果を見極める段階にきている」と述べたほか、デギンドス ECB 副総裁は「現在の金利 水準は十分に長く維持されており、今後インフレは抑制される可能性が高い」などと語った。また、ミュ ラー・エストニア中銀総裁は「おそらくこれ以上利上げする必要はない」との見解を示した。
ドル円は 3 営業日ぶりに小反落。終値は 149.44 円と前営業日 NY 終値(149.56 円)と比べて 12 銭程度 のドル安水準となった。クロス円の上昇につれた買いが入った半面、対欧州・オセアニア通貨でドル売り が進んだ影響を受けたため、ドル円自体は大きな方向感が出なかった。米国市場が実質休場となる中、149 円台半ばでの狭いレンジ取引に終始した。
ユーロ円は 3 日続伸。終値は 163.47 円と前営業日 NY 終値(163.11 円)と比べて 36 銭程度のユーロ高 水準。ユーロドルの上昇につれた買いが入ると、4 時前に一時 163.65 円と日通し高値を付けた。欧州株 相場の上昇を背景にリスク・オンの円売りも出た。
ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。ポンド円は一時 188.66 円、豪ドル円は 98.54 円、NZ ドル円は 91.04 円、カナダドル円は 109.99 円、スイスフラン円は 169.68 円、メキシコペソ円は 8.75 円まで値を 上げた。
【本日の東京為替見通し】ドル円、上値が重い展開か 米長期金利の伸び悩みで
本日の東京外国為替市場のドル円は、重要な経済指標や要人発言の予定もなく、米 10 年債利回りが 4.50%手前で伸び悩んでいることで、上値が重い展開が予想される。
先週末 24 日に米 S&P グローバルが発表した米 11 月総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は 50.7 と 10 月から横ばいだった。しかし、雇用指数が 10 月の 51.3 から 49.7 へ低下して 3 年半ぶりに 50 割れと なり、第 4・四半期の景気減速予想と一致。その影響もあり、米中長期債の利回りが低下してドルインデ ックスの弱含みに繋がった。
今後も 12 月 12-13 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、米国の雇用情勢や物価情勢を見極め ていくことになる。次回 FOMC について、WSJ 紙の Fed 番であるニック・ティミラオス記者は「10 月の米 雇用統計と CPI、7 月が Fed の最後の利上げとなる見方を強く示唆。12 月 FOMC では声明文をどのように 修正し、FRB が利上げを見送ったことを反映させるかが大きな議論になりそうだ」と述べている。
CME が FF 金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、12 月 FOMC では、約 95%程度の確 率で金利据え置きを織り込み、利下げ開始時期は来年 6 月からだと見込んでいる。
パウエル FRB 議長の発言はタカ派とハト派がまちまちとなっており、データを見極めていくことになる。 タカ派発言は「必要と判断すれば一段の政策引き締めをちゅうちょしない。インフレ率を 2%に下げる上 で十分な引き締めを行ったと完全には確信を持てていない」。ハト派発言は「数カ月の良好なデータで見 誤るリスクと、引き締め過ぎるリスクの両方に対処できるよう、引き続き慎重に行動していく」。
ドル円のテクニカル分析では、長期的には、エリオット波動の最終第 5 波を示唆する「斜行三角形」を 形成しつつあり、中期的には高値反転を示唆する「弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)」、そ して短期的には「ダブル・トップ(151.72 円・151.91 円)」を形成しつつある。
本日は、攻防の分岐点である日足一目均衡表・転換線の 149.29 円、ネック・ラインである 11 月 3 日の 安値の 149.21 円付近を念頭に入れて取引に臨むことになる。
【本日の重要指標】
<国内>
○08:50 ◇ 10 月企業向けサービス価格指数(予想:前年比 2.1%)
<海外>
○21:00 ◇ 10 月メキシコ貿易収支
○23:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、議会証言
○24:00 ☆ 10 月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲4.8%/72.3 万件)
○28 日 01:30 ◎ 米財務省、2 年債入札
○28 日 03:00 ◎ 米財務省、5 年債入札
○インド(シーク教ナナック生誕日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
24 日 16:38 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼 チーフエコノミスト
「英中銀は、断固としてインフレとの戦い継続する必要 がある」
「金融政策を緩和する余裕はない」
「経済活動が低迷しているが、主に供給サイドが原因で インフレ圧力の緩和とは無関係」
「経済活動はわれわれの予想より低迷しているが、イン フレの根底にある国内要因の主要指標(サービス価格 インフレと賃金の伸び)を見ると、夏まで頑強に高止まり している」
「国内インフレと賃金の伸びは直近のデータでも、わず かな歓迎すべき低下の兆しは見られたが、依然として非 常に高い水準にある」
「高止まりしているインフレの構成要素を引き下げること が中銀の課題」
24 日 19:09 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「インフレ率は鈍化しているが、勝利宣言はできない」
「これまでの利上げの効果を見極める段階にきている」
24 日 22:35 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「ユーロ圏経済は 2023 年下半期に停滞する」
「第 4 四半期の GDP は第 3 四半期と同様になる可能性 が高い」
「リスクは下方に傾いている」
「現在の金利水準は十分に長く維持されており、今後イ ンフレは抑制される可能性が高い」
25 日 02:44 ミュラー・エストニア中銀総裁
「おそらくこれ以上利上げする必要はない」
「インフレは明らかに減速傾向を示している」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=149.20 円台の転換線やネックラインを意識>
陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けているものの売りシグナルが優勢な展
開。抱き線で反落して転換線(※24 日:149.47 円)を下回
って引けた。同線は本日 149.29 円まで水準を下げてきてい
る。本日は転換線やダブル・トップ(151.72 円・151.91 円)
のネック・ライン 149.21 円を念頭に置いた取引に。雲の上
限(149.01 円)を割り込むようであれば、22 日安値辺りを
目指す展開となるか。
レジスタンス 2 151.91(11/13 高値)
レジスタンス 1 150.77(11/17 高値)
前日終値 149.44
サポート 1 148.02(11/22 安値)
サポート 2 147.15(11/21 安値)
<ユーロドル=上向き転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグ
ナルが点灯している。2 手連続陽線で転換線を上回って引け
ており、続伸の可能性が示唆されている。
転換線は 1.0890 ドル台まで上昇してきた。本日は同線を支
持に押し目買いスタンスで臨み、下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 1.1005(8/11 高値)
前日終値 1.0939
サポート 1 1.0895(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロ円=162 円後半の転換線を支持に押し目買い>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため三役好転の強い買いシグナ
ルが点灯している。3 手連続陽線で転換線を上回って引けて
おり続伸の可能性が示唆されている。本日は、162 円後半で横ばいの転換線を支持に押し目買い
スタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 164.20(ピポット・レジスタンス 2)
前日終値 163.47
サポート 1 162.78(日足一目均衡表・転換線)
<豪ドル円=年初来高値に迫る、上昇中の転換線が支持>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグ
ナルが点灯中。3 手連続陽線で転換線を上回って引けており、
続伸の可能性が示唆されている。16 日につけた年初来高値
98.62 円に迫ってきた。本日は、上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨
み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 98.88(ピポット・レジスタンス 2)
前日終値 98.37
サポート 1 97.73(日足一目均衡表・転換線)