デイリーレポート 2023年12月5日

December 5, 2023

【前日の為替概況】ドル円、反発 米金利動向に振らされる展開

4 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は 147.21 円と前営業日 NY 終値(146.82 円)と 比べて 39 銭程度のドル高水準だった。全般に手掛かり材料を欠いたこともあり、米金利動向に振らされ る展開となった。米 10 年債利回りが 24 時過ぎに 4.23%台まで低下した場面では 146.40 円台まで弱含ん だものの、一巡後は 4.29%台まで上昇したことに伴って 147.45 円まで反発。ダウ平均の下げ幅縮小など も相場を下支えした格好となったが、引けにかけては米 10 年債利回りが 4.25%台まで再び上昇幅を縮め たことから 147.10 円台まで伸び悩んだ。

ユーロドルは 4 日続落。終値は 1.0836 ドルと前営業日 NY 終値(1.0884 ドル)と比べて 0.0048 ドル程 度のユーロ安水準だった。米長期金利の上昇を背景にしたユーロ売り・ドル買いの動きが活発化し、前週 末安値の 1.0829 ドルを下抜けて、11 月 14 日以来の安値となる 1.0804 ドルまで下押しした。もっとも、 その後は米金利上昇が一服したことから 1.0830 ドル台まで下げ渋った。

ユーロ円は 6 日続落。終値は 159.52 円と前営業日 NY 終値(159.75 円)と比べて 23 銭程度のユーロ安 水準だった。ユーロドルの下落につれて円買い・ユーロ売りが進み、一時 158.71 円まで下押し。その後 はユーロドルの下げ渋りや米株の下げ幅縮小などを支えに 159.60 円付近まで下値を切り上げた。

【本日の東京為替見通し】米金利に連れて方向感なく上下か、東京 CPI・RBA 声明文には要注目

連日、米金利の上下に連れて方向感のない動きを繰り返しているドル相場だが、本日のアジア時間も米 金利に連れる展開には変わらないだろう。イベントとして注目されるのは、まずは 11 月の東京都区部の 消費者物価指数(CPI)の結果になる。全国 CPI の先行指標となる同指標だが、昨年 6 月から日銀の目標 水準を上回る伸びを記録しているが、11 月も東京都区部 CPI は生鮮食料品を除いた市場予想は+2.4%と なっている。

依然として日米金利差は埋めがたい乖離があり、円を積極的に買い上げるような地合いではない。しか しながら、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが FF 金利先物の動向に基づき算出する「フェ ドウオッチ」によると、来年 3 月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ予想は、1 カ月前に 25%程 度だったものが 60%以上まで予想が高まっている。一方で、日銀が金融引き締めに転じる思惑が高まり、 他国の主要中央銀行が利下げをはじめる思惑があるのに反し、日銀が超緩和政策を終了することになれば 若干の円安修正に反応するか。

円以外の通貨では、豪ドルに注目。日本時間 12 時半に豪準備銀行(RBA)から政策金利および声明文が 公表される。市場予想は政策金利の 4.35%据え置きとなっているが、注目は声明文。前回の RBA 議事要 旨では「インフレを巡るスタッフ予想からみると利上げはあと 1-2 回となる見通し」との言及があり、他 国のような利上げ打ち止め感がまだ出ていない。声明文でも引き続きインフレに警戒姿勢を示すのか、ま たはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長同様に「十分に引き締め的」との見解を変えるのかが注目さ れる。

【本日の重要指標】

<国内>

○08:30 ◎ 11 月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合予想:前年比 2.4%)

<海外>

○09:01 ◇ 11 月英小売連合(BRC)小売売上高調査

○09:30 ◇ 7-9 月期豪経常収支(予想:31 億豪ドルの黒字)

○10:45 ◎ 11 月 Caixin 中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:50.5)

○12:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表(予想:4.35%で据え置き)

○16:45 ◇ 10 月仏鉱工業生産(予想:前月比 0.2%)

○17:50 ◎ 11 月仏サービス部門 PMI 改定値(予想:45.3)

○17:55 ◎ 11 月独サービス部門 PMI 改定値(予想:48.7)

○18:00 ◎ 11 月ユーロ圏サービス部門 PMI 改定値(予想:48.2)

○18:30 ◎ 11 月英サービス部門 PMI 改定値(予想:50.5)

○18:30 ◎ 7-9 月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比▲0.1%/前年同期比▲0.2%)

○19:00 ◎ 10 月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比 0.2%/前年比▲9.5%)

○21:00 ☆ 7-9 月期ブラジル GDP(予想:前期比▲0.2%/前年同期比 1.9%)

○23:45 ◎ 11 月米サービス部門 PMI 改定値(予想:50.8)

○23:45 ◎ 11 月米総合 PMI 改定値

○24:00 ◎ 10 月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:930.0 万件)

○24:00 ☆ 11 月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:52.0)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

4 日 17:50 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁

「最近のインフレデータは朗報でポジティブサプライズ」

「勝利宣言をするには時期尚早」

「金融政策スタンスはデータに左右され、会合ごとに変 化する」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=一目・転換線が抵抗となり上昇を抑えそう>

下影陽線引け。146.23 円まで下落が先行した。その後は 147.45 円まで反発。目先の底堅さを示唆する下ひげをともな う足型で引けている。148.09 円へ切り上がった一目均衡表・雲の下限の動きを追 うようにさらに戻すことを期待したい局面。しかし低下が続 く見込みの一目・転換線 147.97 円が抵抗となり上昇を抑えそうだ。


レジスタンス 1 147.97(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 147.21
サポート 1 146.48(ピボット・サポート 1)
サポート 2 145.91(9/11 安値)

<ユーロドル=21 日線を追うように戻す展開期待>

下影陰線引け。一時 1.0804 ドルと、11 月 14 日以来の 1.08 ドル割れをうかがう下振れが先行した。低下傾向の一目均衡 表・転換線 1.0911 ドルと、横ばいから上昇へ向かう可能性 がある一目・基準線 1.0767 ドルに挟まれたレンジ中程で方 向性をうかがう状況。1.0820 ドル付近で推移する 200 日移動 平均線を下回る水準で底堅さを示し下げ渋っており、本日 1.0852 ドル前後で上昇中の 21 日線を追うように戻す展開が 期待できるところ。反発しきれなくとも基準線がいったん支 えになると予想できる。

レジスタンス 1 1.0895(12/4 高値)
前日終値 1.0836
サポート 1 1.0767(日足一目均衡表・基準線)

<ポンド円=転換・基準線の交差する水準への収れん想定>

下影小陰線引け。11 月 21 日以来の 185 円割れ目前となる 185.08 円まで下落幅を広げる展開が先行した。しかし大きく 戻し一時 186 円台を回復している。いくつかのクロス円に観 られる頭打ちや低下傾向の一目均衡表・転換線と、切り上が りが予想される一目・基準線に挟まれたレンジでの推移。ま ずは両線の交差が予想される 186 円半ばに収れんするような動きが想定しやすい。


レジスタンス 1 186.87(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 185.97
サポート 1 185.00(日足一目均衡表・基準線)

<NZ ドル円=転換線付近を維持して推移できるか注目>

下影陰線引け。クロス円の中でも比較的強めな一目均衡 表・転換線を上回る推移となっていた。しかし昨日は一時 90.52 円と、転換線 90.55 円を割り込む場面もあった。本日 90.74 円へ上昇した転換線付近の水準を維持して推移できる か注目。下抜けた場合、90.15 円前後で上昇中の 21 日移動平 均線がサポートになるか確かめることになる。

レジスタンス 1 91.12(12/4 高値)
前日終値 90.75
サポート 1 90.15(21 日移動平均線)