デイリーレポート 2023年12月13日

December 13, 2023

【前日の為替概況】ドル円、3 日ぶり反落 米インフレ鈍化確認されドル売り先行

12 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は 3 営業日ぶりに反落。終値は 145.45 円と前営業日 NY 終 値(146.16 円)と比べて 71 銭程度のドル安水準だった。米労働省が発表した 11 月米消費者物価指数(CPI) がほぼ予想通りの内容となり、インフレの鈍化が確認されると全般ドル売りが先行。前日の安値 144.78 円を下抜けて一時 144.74 円と日通し安値を更新した。ただ、米長期金利の指標となる米 10 年債利回りが 4.14%台から 4.24%台まで上昇すると、一転ドル買い戻しが優勢に。23 時 30 分過ぎには 145.85 円付近 まで持ち直した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは 103.49 の安値から 104.10 の高値まで持ち直した。

ユーロドルは続伸。終値は 1.0794 ドルと前営業日 NY 終値(1.0765 ドル)と比べて 0.0029 ドル程度の ユーロ高水準だった。欧州時間発表の 12 月独 ZEW 景況感指数が予想を上回ったことを手掛かりにユーロ 買い・ドル売りが先行。米 CPI 発表直後に全般ドル売りが強まると、一時 1.0827 ドルと日通し高値を付 けた。ただ、買い一巡後はすぐに上値が重くなった。米長期金利が低下幅を縮めた流れに沿ってユーロ売 り・ドル買いが出ると、1.0767 ドル付近まで下押しした。

ユーロ円は 3 日ぶりに反落。終値は 157.00 円と前営業日 NY 終値(157.34 円)と比べて 34 銭程度のユ ーロ安水準。20 時 30 分過ぎに一時 156.64 円付近まで値を下げたものの、4 時 30 分過ぎには 157.22 円付 近まで下げ渋った。

【本日の東京為替見通し】政治・経済の脱安倍路線が円買い要因に、日銀観測報道に要警戒

本日のドル円相場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を前に動きにくい展開が予想される。 もっとも、引き続き来週 18-19 日に行われる日銀政策決定会合への観測記事などが市場を動意づける可 能性もあることには要警戒となる。

FOMC に関しては、政策金利を 5.25-5.50%に据え置く予想が 98.4%となるなど、予想を翻すことはな いだろう。ただし、12 月はドットプロットも公表されることで、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長 の会見同様に注目度が高い。

日銀政策決定会合については、昨日も海外勢は日経新聞の「12 月に解除を事前予告し、フォワードガ イダンスを同時に修正する見方もある」との観測記事に反応し、円を買い戻していた。日本の政治状況は、 政治資金パーティをめぐる問題で安倍派 4 閣僚の交代となりそうだが、同時に本日の日経新聞が記載して いるように「アベノミクス転換期」、すなわち日銀による金融緩和路線の終了も現実味を帯び、政治・経 済ともに脱安倍路線となりそうだ。昨日の本邦金利市場は 5 年債の入札が順調だったことで、債券が買わ れた(利回りは低下した)ように、12 月にゼロ金利解除をすることを期待する声は少ない。一方で、2024 年上期での解除は非常に可能性が高まっている。

市場が過度に円買いのニュースに反応するのは、昨年 12 月の日銀政策決定会合で当日の高値から 7 円 弱の円高・ドル安が進行したことも一因。市場流動性が悪い 12 月相場で、日銀が今後の解除方針を打ち 出すようなことがある場合は、再び昨年と同じ動きを繰り返す可能性があり、円買いの逃げ場を探してい るようだ。

本日の経済指標では、日銀の企業短期経済観測調査(短観)が発表される。かつては円相場を最も動意 づけた指標だが、ここ最近の反応は鈍かった。しかしながら、日銀がゼロ金利解除に向かっているとされ る中で、業況判断指数(DI)が好結果だった場合のポジティブサプライズになれば、市場は敏感に反応し そうだ。

本日は他のアジア、オセアニア国からは主だった経済指標の発表は予定されていない。しかしながら、 豪政府から中間予算が発表されることには注目しておきたい。

【本日の重要指標】

<国内>

○08:50 ☆ 日銀・企業短期経済観測調査(短観、12 月調査)

☆ 大企業製造業の業況判断指数(DI、予想:10)

◎ 大企業非製造業の業況判断指数(DI、予想:27)

◎ 大企業製造業 DI・3 月見込み(予想:9)

◎ 大企業非製造業 DI・3 月見込み(予想:25)

◎ 大企業全産業設備投資計画(前年度比、予想:12.4%)

<海外>

○16:00 ☆ 10 月英国内総生産(GDP、予想:前月比横ばい)

○16:00 ◎ 10 月英鉱工業生産指数(予想:前月比▲0.1%/前年比 1.1%)

○16:00 ◎ 10 月英製造業生産高(予想:前月比横ばい)

○16:00 ◇ 10 月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:143.00 億ポンドの赤字/21.50 億ポンドの赤字)

○17:00 ◎ 11 月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.1%/前年比 5.6%)

○18:30 ◎ 11 月南アフリカ SACCI 企業信頼感指数

○19:00 ◎ 10 月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.3%/前年比▲4.6%)

○20:00 ◇ 10 月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比 0.9%)

○21:00 ◇ MBA 住宅ローン申請指数

○22:30 ◎ 11 月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比 0.1%/前年比 1.0%)

◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比 0.2%/前年比 2.2%)

○14 日 00:30 ◇ EIA 週間在庫統計

○14 日 01:00 ☆ 7-9 月期ロシア国内総生産(GDP)改定値(予想:前年比 5.5%)

○14 日 04:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:5.25-5.50%で据え置き)

○14 日 04:00 ◎ FOMC、経済・金利見通し発表

○14 日 04:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

○14 日 06:30 ☆ ブラジル中銀、政策金利発表(予想:11.75%に引き下げ)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

12 日 23:43 イエレン米財務長官

「インフレ率が FRB の目標まで下がらない理由はない」

「労働市場は依然堅調だが、冷え込んでいる」

「インフレは有意に低下している」

13 日 00:39 バイデン米大統領

「CPI の結果はインフレに対する継続的な前進を示して いる」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=基準-転換線レンジ切り下がりに沿う重い流れ予想>

下影陰線引け。昨日 145.11 円に位置していた一目均衡表・ 転換線を下抜け一時 144.74 円と、前日 11 日安値 144.78 円 をわずかながら割り込む場面もあった。 145 円台を回復して転換線を再び上回ったものの、低下が 続く見込みの同線を追うように下値を探る展開を想定しや すい。戻り局面に控える一目・基準線も 146.81 円も横ばい がら低下へ向かうことが予想され抵抗になる。基準線と転換 線に挟まれたレンジ前後の緩やかな動きかもしれないが、同 レンジの切り下がりに沿った重い流れが予想される。


レジスタンス 1 146.18(12/12 高値)
前日終値 145.45
サポート 1 144.74(12/12 安値)
サポート 2 144.15(12/7-11 上昇幅の半値押し)

<ユーロドル=強弱判断の分かれめ 200 日線回復しきれない>

上影小陽線引け。まだ上昇の可能性を残す一目均衡表・基 準線 1.0837 ドルへ近づくように 1.0827 ドルまで上値を試し た。しかし相場の強弱を判断する上の分かれめ 200 日移動平 均線 1.0825 ドルを越えたところで頭打ち。反落しており 200 日線目線での相場の強さを回復できない。相場の強さを回復 しきれないまま、低下継続が見込まれる一目・転換線 1.0819 ドル前後の重さに押される展開が予想できる。


レジスタンス 1 1.0866(21 日移動平均線)
前日終値 1.0794
サポート 1 1.0742(12/11 安値)

<ポンド円=雲の中で低下が続く見込みの転換線を追うか>

下影陰線引け。11 日には上限が上昇中の一目均衡表・雲を 上抜けた。しかし押し戻されて昨日は雲の上限 182.72 円近 辺で NY を引けている。本日早朝は 183.07 円へ切り上がった 雲の上限を下回って推移。現水準 183.10 円から雲の中へ突 入して低下が続く見込みの一目・転換線の動きに沿うように 失速するリスクを念頭に置いておくべきか。

レジスタンス 1 183.59(12/12 高値)
前日終値 182.74
サポート 1 182.12(日足一目均衡表・雲の下限)

<NZ ドル円=転換・基準線と雲に挟まれたレンジで安定欠く>

下影陰線引け。一目均衡表・基準線と転換線が重なってい る 89.61 円を付近の抵抗をこなしきれず一時 89 円割れとな った。転換線・基準線が推移する水準と一目均衡表・雲に挟 まれたレンジ中心の動きではあるが動意が安定しない。 88.36円前後で推移する 90日移動平均線や薄い雲を再び試し にいく展開も視野に入れておきたい。

レジスタンス 1 89.66(12/11 高値)
前日終値 89.21
サポート 1 88.68(12/7-11 上昇幅の半値押し)