デイリーレポート 2023年12月21日

December 21, 2023

【前日の為替概況】ドル円、4 営業日ぶり反落 米指標上振れでも上げ幅限定

20 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は 4 営業日ぶりに反落。終値は 143.57 円と前営業日 NY 終 値(143.84 円)と比べて 27 銭程度のドル安水準だった。20 時過ぎに一時 143.27 円と日通し安値を付け たものの、12 月米消費者信頼感指数が 110.7 と予想の 104.0 を上回ったことなどが相場を下支えすると 143.94 円付近まで下げ渋った。

ただ、引けにかけては再び上値が重くなった。米長期金利の指標となる米 10 年債利回りが一時 3.8455% 前後と 7 月 27 日以来の低水準を付けたことが相場の重しとなったほか、米国株の下落に伴う円買い・ド ル売りが入り 143.54 円付近まで下押しした。

ユーロドルは 3 日ぶりに反落。終値は 1.0942 ドルと前営業日 NY 終値(1.0981 ドル)と比べて 0.0039 ドル程度のユーロ安水準だった。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入ると 1.0976 ドル付 近まで下げ渋る場面もあったが、NY 午後に入ると失速した。米国株安を背景にリスク・オフのドル買い が入ると、6 時過ぎに一時 1.0930 ドルと日通し安値を更新した。

なお、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁は「追加利上げは不要、現行水準を維持すべき」「利下げ はすべきだが、直ちにではない」などと述べたと伝わった。

ユーロ円も 3 日ぶりに反落。終値は 157.10 円と前営業日 NY 終値(157.95 円)と比べて 85 銭程度のユ ーロ安水準。21 時前に一時 156.79 円と本日安値を付けたものの、売り一巡後はじりじりと下値を切り上 げ、1 時過ぎには 157.73 円付近まで下げ渋った。もっとも、引けにかけては米国株相場の下落に伴う円 買い・ユーロ売りが入り、157.03 円付近まで押し戻された。

【本日の東京為替見通し】ドル円、NY カットオプション(143.50 円・144.00 円)が値動き抑制か

日米の金融政策イベントが終わり、市場はクリスマス休暇に向けた閑散取引となるか。そういったなか 本日の東京外国為替市場のドル円は、明日 22 日に期日を迎えるオプション(143.50 円・144.00 円)が値 動きを抑制する展開が予想される。

今年最後となる主要国中央銀行の金融政策決定会合が終わり、クリスマスに向けて動きづらい展開の中、 日銀による大規模な金融緩和政策の維持により、目先の円買い圧力が後退している。18-19 日の日銀会合 や植田日銀総裁の会見で、金融政策正常化としてのマイナス金利の解除は 1 月会合ではなく 3 月会合以降 になることが示唆された。

一方で欧米英の中銀による金融政策は、来春以降に利下げ開始観測が高まっており、ドル円、ユーロ円、 ポンド円の上値が抑えられる要因となりつつある。

米連邦公開市場委員会(FOMC)のドット・プロット(金利予測分布図)では、来年 3 回の利下げが示唆 され、来年末の FF 金利誘導目標は 4.625%(4.50-75%)となっている。しかしながら、CME グループが FF 金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、来年 3 月の FOMC で 0.25%の利下げが開始さ れ、6 回の利下げで 12 月には FF 金利誘導目標が 3.75-4.00%まで引き下げられることが見込まれている。

米連邦準備理事会(FRB)の利上げ最終日から利下げ初日までの日数は、過去 30 年間の平均で 231 日。 2023 年 7 月 26 日の FF 金利誘導目標 5.25-50%への最後の利上げから 231 日目頃となる 24 年 3 月 19-20 日の FOMC での利下げ開始観測を高めている。

なお、昨日発表された英国 11 月の消費者物価指数(CPI)が前年比+3.9%となり、10 月+4.6%から伸 び率が鈍化していたことで、市場では、英中銀金融政策委員会(MPC)の利下げ開始時期が来年 5 月に前 倒しされ、24 年中に 5 回の利下げが織り込まれている。

また、欧州中央銀行(ECB)は、ユーロ圏の経済データの悪化、すなわちリセッション(景気後退)リ スクの高まりとインフレ鈍化を受けて、来年の利下げの必要性を強調している。市場では、春頃に利下げ が開始され、年内 6 回、160bp の利下げが織り込まれている。

【本日の重要指標】

<国内>

○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

<海外>

○16:45 ◇ 12 月仏企業景況感指数(予想:97)

○17:30 ◎ 11 月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比 2.7%)

○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:42.50%に引き上げ)

○22:30 ◎ 10 月カナダ小売売上高(予想:前月比 0.8%/自動車を除く前月比 0.5%)

○22:30 ☆ 7-9 月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率 5.2%)

○22:30 ◎ 7-9 月期米個人消費(確定値、予想:前期比年率 3.6%)

○22:30 ◎ 7-9 月期米コア PCE(確定値、予想:前期比年率 2.3%)

○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5 万件/188.8 万人)

○22:30 ◎ 12 月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲3.0)

○24:00 ◎ 11 月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.4%)

○22 日 01:00 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

20 日 08:32 グールズビー米シカゴ連銀総裁

「市場は利下げについて少し先走り気味」

「FRB は市場の要望によって威圧されるべきではない」

21 日 02:30 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁

「追加利上げは不要、現行水準を維持すべき」

「経済はデータが示唆するより急速に軟化」

「利下げはすべきだが、直ちにではない」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=12/19 高値を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ グナルが点灯中。3 手連続陽線の後孕み線で反落して転換線 を下回って推移しており、続落の可能性が示唆されている。 本日は 143.78 円の転換線を念頭に、19 日高値を抵抗に戻 り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。


レジスタンス 2 145.99(12/13 高値)
レジスタンス 1 144.96(12/19 高値)
前日終値 143.57
サポート 1 142.25(12/19 安値)
サポート 2 141.43(12/15 安値)

<ユーロドル=1.0870 ドル台の転換線から基準線が支持帯に>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を 上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが再点灯した。孕み線で反落したものの転換線を上回 って引けており、反発の可能性が示唆されている。ただし、 ダブル・トップ(1.1017 ドル・1.1009 ドル)の可能性には依然として留意しておきたい。 本日は 1.0870 ドル台まで水準を上げてきた転換線やその 下 1.0871 ドルの基準線辺りまでが支持水準か。押し目買いスタンスで臨み、基準線を下抜けた場合は手仕舞い。


レジスタンス 1 1.1009(12/14 高値)
前日終値 1.0942
サポート 1 1.0871(日足一目均衡表・基準線)

<ポンド円=181.30 円台の転換線を念頭に置いた取引>

陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲の下で引けているため三役逆転の強い売りシグナ ルが点灯している。雲の中では上値を抑えられ孕み線で反落 したものの、転換線付近では下げ止まった。 本日は転換線 181.34 円を念頭に置いた取引になるか。押 し目買いスタンスで臨む場合は、18 日安値 180 円付近まで下押しは想定しておきたい。

レジスタンス 1 183.51(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 181.44
サポート 1 180.00(12/18 安値)

<NZ ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を 下回り、雲を上回って引けているものの売りシグナルが優勢 な展開となっている。しかし、孕み線で反落したものの転換 線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。 本日は 89 円半ばの雲の上限を念頭に、転換線を支持に押 し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 90.43(12/20 高値)
前日終値 89.64
サポート 1 89.10(日足一目均衡表・転換線)