デイリーレポート 2023年12月29日
Dec 29, 2023 ←当日の日付に変更
【前日の為替概況】ドル円、続落 米利下げ観測がドル売り促す
28 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。終値は 141.41 円と前営業日 NY 終値(141.83 円)と比べて 42 銭程度のドル安水準だった。米国のインフレ鈍化が鮮明になる中、米連邦準備理事会(FRB)が来年前半にも利下げに転じるとの観測がドル売りを促し、0 時 30 分過ぎに一時 140.25 円と 7 月 28 日以来 5 カ月ぶりの安値を付けた。ただ、ロンドン 16 時(日本時間 1 時)のフィキシングに絡んだ円売り・ドル買いのフローが観測されると 141.59 円付近まで急速に値を戻した。米 7 年債入札後に米長期金利の指標となる米 10 年債利回りが 3.85%台まで上昇したことも相場を下支えした。 市場では「年末年始を控えて取引参加者が少なく、市場流動性が低下。薄商いの中、値が振れやすい面があった」との声が聞かれた。
ユーロドルは 5 営業日ぶりに反落。終値は 1.1061 ドルと前営業日 NY 終値(1.1105 ドル)と比べて 0.0044ドル程度のユーロ安水準だった。米金利先安観などを背景にドル売りが進むと、欧州序盤には一時 1.1139ドルと 7 月 27 日以来約 5 カ月ぶりの高値を付けた。ただ、NY 市場では年末年始を控えたポジション調整目的の売りなどが出て軟調に推移した。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いも相場の重しとなり、3 時 30 分前には一時 1.1055 ドルと日通し安値を更新した。
ユーロ円は 4 日ぶりに反落。終値は 156.43 円と前営業日 NY 終値(157.51 円)と比べて 1 円 08 銭程度のユーロ安水準。ドル円が下値を試したタイミングで 156.00 円を下抜けると一時 155.83 円まで値を下げたものの、そのあとはドル円と同様にロンドン・フィキシングに絡んだ買い戻しが急速に進み、156.83円まで下げ渋った。
【本日の東京為替見通し】取引最終日引き続き方向感なし、午後の欧州通貨は更に流動性減か
本日のドル円も昨日同様に方向感がなく、月末・年末の特殊玉にかき乱され乱高下を繰り返すことになりそうだ。昨日のドル円は米金利の上下があったとはいえ、1 円 50 銭を超える大相場となった。本日は本邦からだけでなく、オセアニア・アジア諸外国から市場を動意づけるような主だった経済指標の発表や、金融関係の要人講演が予定されていないながらも、流動性が枯渇することが予想されることで激しく動くことになるだろう。
年末にかけては、日銀のゼロ金利政策の行方に対する憶測でドル円は上下したが、依然として今後の方向性は明確に示せないままだ。データ的には今週発表された、11 月の全国消費者物価指数(CPI)から算出した「刈込平均値」「加重中央値」「最頻値」のインフレ基調 3 指標が、生鮮食料品を除くコア CPI が 2%を超えてからは 22 年 4 月以来となる 3 指標の伸び率が同時にすべて縮小した。日銀政策決定会合の主な意見で「少なくとも来春の賃金交渉の動向を見てから判断しても遅くはない」との見解が示されたことも裏付けられる内容だった。
その一方で、インフレ基調 3 指標が公表された同 26 日に行われた NHK でのインタビューで、植田日銀総裁は「中小企業の賃金データが出てなくても、ほかの中小企業に関する指標が好調で、好循環を生み出すであろうということがあれば、ある程度前もっての判断ができる」と述べるなど、経団連が催促する「できるだけ早い正常化」へ舵を取る可能性を示している。同インタビューではチャレンジング発言について「政策的な意図を強く込めたものではなかったが、市場がどういうことを思っているのか、欲しがっているのかというのは非常によく分かった気がした」と述べた。しかし、この中小企業発言などを聞くと、市場はむしろより混迷を深めてしまい、年明けも市場との対話が成り立ってないことで乱高下となりそうだ。
リスクを持つのが難しい要因としては、来週本邦が休場の 3 日に 12 月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数、11 月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数、12 月 12-13 日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表など、重要イベントが予定されていることもある。個人投資家などはFX 業者での取引でポジションを保持することはできるが、本邦の金融機関や一般投資家などは連休中は通常通りとはいかず、年明けにかけての大相場には警戒していることだろう。
また、東京の金融機関は午後からはユーロドル、ポンドドルなど東京が休場となる 3 日がスポット応当日の通貨の取引は極力避ける傾向が高まる。同様にクロス円も、ばらしてカバー(例、ポンド円をポンド円でカバーするのではなく、ポンドドルとドル円でカバー)することも難しくなってくることで、市場流動性が一気に悪化することには備えておきたい。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○全国の証券取引所、大納会
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
<海外>
○16:00 ◇ 12 月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○16:00 ◇ 11 月トルコ貿易収支(予想:59.0 億ドルの赤字)
○17:00 ◇ 12 月スイス KOF 景気先行指数(予想:97.0)
○21:00 ◎ 11 月南アフリカ貿易収支(予想:58 億ランドの黒字)
○23:45 ◎ 12 月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:51.0)
○30 日 01:00 ☆ 7-9 月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比 5.5%)
○30 日 01:00 ◎ 12 月ロシア消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比 0.9%)
○米債券市場は短縮取引
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
28 日 18:20 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「現時点で利下げを考慮するのは時期尚早」
「2024 年の利下げについて保証はできない」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=5 日線を試す局面、転換線は重し>
下影陰線引け。7 月末以来の 141 円割れとなり勢いづき、140.25 円まで下振れが先行した。7 月 28 日以来の同安値水準では反発。141 円台を回復して NY を引けている。
本日 141.88 円前後で低下中の 5 日移動平均線を試すことにまずは注視。ただ、低下傾向が続く見込みの転換線 142.61
円は重しとなるだろう。
レジスタンス 2 142.61(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス 1 141.88(5 日移動平均線)
前日終値 141.41
サポート 1 140.85(12/28 レンジ 38.2%水準)
<ユーロドル=深押しとなっても転換線前後にとどまるか>
上影陰線引け。前日高値 1.1123 ドルを上回り 1.1139 ドルまで上値を伸ばした。7 月 27 日以来の高値圏でさらに上振れたこともあり、その後は反動安のような調整が進んだ。ただ、反落は 1.1055 ドルまでと、1.1046 ドルで引けた 5 日移動平均線を割り込まない範囲にとどまった。上向きの基調はまだ続いていることが確認できたといえよう。深押しとなっても一目均衡表・転換線 1.1027 ドル前後にとどまるか。
レジスタンス 1 1.1139(12/28 高値)
前日終値 1.1061
サポート 1 1.1027(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロ円=転換線回復できず目線は下向き>
下影陰線引け。27 日に一目均衡表・基準線 158.48 円が抵抗となり伸び悩んで以降の下落が 155.83 円まで進んだ。19日以来の安値をつけている。下げ渋って 156 円台に戻したものの、サポートが期待された一目・転換線 156.98 円を回復できすに NY を引けた。目線は下向きで、155 円付近に位置する 200 日線も意識されそうだ。
レジスタンス 1 157.03(21 日移動平均線)
前日終値 156.43
サポート 1 155.83(12/28 安値)
<豪ドル円=下振れるも転換線を回復>
下影陰線引け。27 日に一時 97.60 円と、目先の上値の節目
だった 19 日高値 97.59 円を若干ながら上回った。しかし滞空時間はわずか。上昇は勢いづかず昨日は 96.10 円まで下振
れている。しかし一目均衡表・転換線 96.34 円を回復しており、現水準 96.14 円から低下する見込みの一目・基準線に追
随する展開は回避できた。本日の水準 96.54 円からもう少し上昇が続く見込みの転換線前後で支えられる展開が続くか。
レジスタンス 1 97.24(12/28 高値)
前日終値 96.57
サポート 1 96.10(12/28 安値)