デイリーレポート 2024年1月4日
January 4, 2023
【前日の為替概況】米 10 年債利回り一時 4%台でドル高 対円 143.73 円、対ユーロ 1.0893 ドル
3 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は 143.29 円と前営業日 NY 終値(141.99 円)と 比べて 1 円 30 銭程度のドル高水準だった。米長期金利の指標となる米 10 年債利回りが 4%台まで上昇す ると円売り・ドル買いが先行。米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するバーキン米リッチモンド 連銀総裁が「追加利上げの可能性は依然として選択肢にある」と話し、市場の早期利下げ観測をけん制す るとドル買いが加速した。200 日移動平均線が位置する 143.18 円を上抜けて一時 143.73 円まで上値を伸 ばした。12 月米 ISM 製造業景況指数が 47.4 と予想の 47.1 をやや上回ったことも相場の支援材料。
1 日に石川県能登半島で地震が発生して以降、「日銀が早期に政策を変更することは困難」との見方が 広がっていることも円売りを誘った。
なお、11 月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が 879.0 万件と予想の 885.0 万件を下回ったことを受け て、一時 142.82 円付近まで伸び悩む場面もあった。
ユーロドルは 4 日続落。終値は 1.0922 ドルと前営業日 NY 終値(1.0942 ドル)と比べて 0.0020 ドル程 度のユーロ安水準だった。米長期金利の上昇をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行。米連邦準備理事 会(FRB)がこの日公表した昨年 12 月 12-13 日分の FOMC 議事要旨で「景気抑制的な政策スタンスを当面 維持することが適切との見解で一致」「金利は想定より長くピーク水準で維持される可能性がある」との 見解が示されると、一時 1.0893 ドルと日通し安値を付けた。
ただ、米 10 年債利回りが低下に転じると買い戻しが優勢に。4 時 30 分過ぎには 1.0926 ドル付近まで 下げ渋った。
ユーロ円は 4 営業日ぶりに反発。終値は 156.50 円と前営業日 NY 終値(155.37 円)と比べて 1 円 13 銭 程度のユーロ高水準。ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが優勢になると、一時 156.79 円と本日 高値を付けた。能登半島地震を受けて日銀の政策修正観測が後退する中、円売りが出やすい面もあった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、日米金融政策への思惑から底堅い展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、日米の金融政策への思惑から底堅い展開が予想される中、1 日に 発生した令和 6 年能登半島地震を受けた東京株式市場の動向や日銀関係筋からのマイナス金利解除に関 する発言を見極めることになる。
今年 3-4 月の日銀金融政策決定会合でマイナス金利解除が予想されていたが、能登半島地震により早期 の解除は困難になったのではないかとの見方が強まりつつあり、円売り要因となっている。
また、3 月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始確率がやや低下したことがドル買い要因と なっている。
昨年 12 月 12-13 日分の FOMC 議事要旨では「景気抑制的な政策スタンスを当面維持することが適切と の見解で一致。金利は想定より長くピーク水準で維持される可能性がある」とのややタカ派な見解が示さ れたことで、米 10 年債利回りは一時 4%台を回復した。 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが FF 金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッ チ」は、3 月の FOMC での 0.25%の利下げ確率は 65%程度まで低下し、据え置き確率は 29%程度まで上昇 している。
ドル円は、日本勢が不在の 2 日のシドニー市場で、能登半島地震を受けた思惑的な円の買い仕掛けで 140.82 円まで下落後、日銀の早期マイナス金利の解除が困難になったのではないかとの思惑から円売り が優勢となり、昨日は 200 日移動平均線が位置する 143 円台まで戻している。
日本での大震災に対する円相場は、1995年 1月の阪神淡路大震災と 2011年 3月の東日本大震災の後は、 リスク回避の円高となっている。 円高の要因としては、復興資金や保険金の手当てのための海外資産の売却・円買いという「レパトリエ ーション」や海外投機筋によるリスク回避としての「円・キャリートレード」の手仕舞いが挙げられる。
しかしながら、2 日と 3 日のドル円の底堅さの背景としては、生産活動の落ち込みや政府による復旧対 策の補正予算編成などで、1 月 22-23 日の日銀金融政策決定会合での早期マイナス金利解除が困難となり、 3-4 月時点でも金融政策正常化のハードルが高くなったとの見方が強まりつつあることが指摘されてい る。
【本日の重要指標】
<国内>
○東京証券取引所などが大発会
<海外>
○10:45 ◎ 12 月 Caixin 中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:51.6)
○16:45 ◇ 12 月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比 0.2%/前年比 3.7%)
○17:50 ◎ 12 月仏サービス部門 PMI 改定値(予想:44.3)
○17:55 ◎ 12 月独サービス部門 PMI 改定値(予想:48.4)
○18:00 ◎ 12 月ユーロ圏サービス部門 PMI 改定値(予想:48.1)
○18:30 ◎ 12 月英サービス部門 PMI 改定値(予想:52.7)
○18:30 ◇ 11 月英消費者信用残高(予想:14 億ポンド)
○18:30 ◇ 11 月英マネーサプライ M4
○21:30 ◇ 12 月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:00 ◎ 12 月独 CPI 速報値(予想:前月比 0.1%/前年比 3.7%)
○22:15 ☆ 12 月 ADP 全米雇用報告(予想:11.5 万人)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.6 万件/188.3 万人)
○23:45 ◎ 12 月米サービス部門 PMI 改定値(予想:51.3)
○23:45 ◎ 12 月米総合 PMI 改定値
○5 日 01:00 ◇ EIA 週間在庫統計
○ロシア(新年休暇)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
3 日 22:31 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「追加利上げの可能性は依然として選択肢にある」
「金利の推移よりも、インフレが引き続き低下し経済が好 調を維持するかどうかに重点を置く」
「経済が健全な一方、インフレに関しては実質的な進歩 を遂げている」
4 日 04:01 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 (12 月 12-13 日分)
「当局者はさらなる利上げが適切になる可能性があると 指摘」
「当局者はインフレの上振れリスクがあると認識」
「当局者は政策金利がピークかそれに近い可能性が高 いと認識」
「当局者はバランスシートの縮小がこれまでのところ順 調に進んでいると認識」
「当局者は GDP 成長率が鈍化し、労働市場のリバラン スが 2024 年も継続すると認識」
「当局者は金利が想定より長くピーク水準で維持される 可能性を認識」
「当局者らは政策がしばらくの間、制限的なスタンスを維 持することが適切であると再確認」
「当局者全員が 2%のインフレ目標に向けて 2023 年に 明らかな進展が見られたと指摘」
「当局者は慎重でデータに依存したアプローチを維持す る重要性を強調」
「当局者は 2024 年末までの利下げ予測を認識」
※時間は日本時間
【日足一目均衡表分析】
<ドル円=3 日の安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ
グナルが点灯している。しかし、2 手連続陽線で反発して転
換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は、200 日移動平均線 143.24 円を念頭に置き、3 日の
安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 2 144.96(2023/12/19 高値)
レジスタンス 1 144.38(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 143.29
サポート 1 141.86(1/3 安値)
サポート 2 140.82(1/2 安値)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を下回っているものの、雲の上で引けていることで、買いシグ
ナルが優勢な展開となっている。しかし、4 手連続陰線で転
換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を
上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 1.1016(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0922
サポート 1 1.0851(日足一目均衡表・雲の上限)
<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
大陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けているため三役逆転の強い売りシグ
ナルが点灯している。しかし、抱き線で反発して転換線を上
回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 182.96(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 181.48
サポート 1 180.47(日足一目均衡表・転換線)
<NZ ドル円=昨年 12/27 高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引けているものの、売りシグナルが優勢な
展開となっている。抱き線で反発したものの転換線を下回っ
て引けており、反落の可能性が示唆されている。
本日は、昨年 12 月 27 日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス 1 90.42(2023/12/27 高値)
前日終値 89.47
サポート 1 88.72(1/3 安値)