デイリーレポート 2024年1月11日

January 11, 2023

【前日の為替概況】ドル円 145.83 円まで続伸、日米株価指数の上昇を受けたリスク選好地合い

10 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は 145.76 円と前営業日 NY 終値(144.48 円) と比べて 1 円 28 銭程度のドル高水準となった。厚生労働省が東京時間に発表した 2023 年 11 月の毎月勤 労統計調査で、物価変動の影響を除いた実質賃金が 20 カ月連続で減少したことが分かると、日銀の早期 政策修正観測が後退。NY 市場に入っても円を売る動きが続いた。米国株相場や日経平均先物の上昇を背 景にリスク選好の円売り・ドル買いも出て、一時 145.83 円と本日高値を付けた。なお、ナイト・セッシ ョンの日経平均先物は大証終値比 410 円高の 3 万 4860 円と高値引けとなった。

5 日の 12 月米雇用統計発表直後に付けた高値 145.97 円がレジスタンスとして意識されるといったんは 伸び悩む場面もあったが、下押しは 145.57 円付近にとどまった。

ユーロドルは反発。終値は 1.0973 ドルと前営業日 NY 終値(1.0931 ドル)と比べて 0.0042 ドル程度の ユーロ高水準だった。ロンドン 16 時(日本時間 1 時)のフィキシングに向けて全般ユーロ買いが強まっ たほか、シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事が「インフレの上振れリスクがあるため、警戒を続 ける必要」「利下げに関する議論は時期尚早」との見解を示したことが相場の支援材料となり、5 時過ぎ に一時 1.0973 ドルと日通し高値を更新した。

なお、ユーロ豪ドルは 1.6392 豪ドル、ユーロ NZ ドルは 1.7639NZ ドル、ユーロポンドは 0.8621 ポンド、 ユーロカナダドルは 1.4682 カナダドル、ユーロスイスフランは 0.9344 スイスフランまで上昇した。

ユーロ円は上昇。終値は 159.94 円と前営業日 NY 終値(157.94 円)と比べて 2 円程度のユーロ高水準。 日銀の早期政策修正観測が後退する中、全般円売りが優勢になると一時 159.96 円と昨年 12 月 1 日以来約 1 カ月ぶりの高値を更新した。シュナーベル ECB 専務理事が利下げに慎重な姿勢を示したこともユーロ買 いを誘った。

クロス円も堅調だった。ポンド円は一時 185.76 円、豪ドル円は 97.69 円、NZ ドル円は 90.75 円、カナ ダドル円は 108.99 円まで値を上げたほか、スイスフラン円は 171.35 円と史上最高値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、米 12 月 CPI 控えて半値戻し 146.08 円を意識し堅調推移か

本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米 12 月消費者物価指数(CPI)への警戒感から高 値圏での堅調推移が予想される。

日銀金融政策決定会合での早期マイナス金利解除は、令和 6 年能登半島地震を受けた生産活動の落ち込 みや政府による復旧対策の補正予算編成などで、困難ではないかとの見方が円売り要因となっていた。そ して昨日は、2023 年 11 月の毎月勤労統計調査で、物価変動の影響を除いた実質賃金が 20 カ月連続で減 少しており、日銀の金融政策正常化の条件である「賃金と物価の好循環」には程遠い状況だったことで円 売りが加速している。

ドル円のテクニカル分析では、昨年 11 月 13 日の高値 151.91 円から 12 月 28 日の安値 140.25 円まで 11.66 円下落した後、今年 1 月 5 日の高値 145.97 円まで反発して、半値戻しの 146.08 円に迫っている。 明日の日足一目均衡表・雲の下限が 146.04 円に位置していることで、146 円台に乗せて抵抗帯である雲 の中に入っていくのか否かが注目ポイントになる。

今夜発表される米 12 月 CPI は前年比予想+3.2%で、11 月+3.1%から上昇する見込み。CPI の結果を受 けた 3 月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率の動向を見極めることになる。CME グループが FF 金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3 月 FOMC での 0.25%の利下げ確率は 64%程 度、据え置き確率は 32%程度となっている。

なお米国 12 月のインフレ動向は以下の通りに低下傾向が続いており、ネガティブサプライズに警戒し ておきたい。

ISM 製造業「価格」指数は、12 月が 45.2 となり、11 月の 49.9 から低下している。

ISM 非製造業「価格」指数は、12 月が 57.4 となり、11 月の 58.3 から低下している。

ミシガン大学の 12 月調査の 1 年先インフレ期待は 3.1%となり、11 月調査の 4.5%から低下して、2021 年 3 月以来の低水準だった。

ニューヨーク連銀の 12 月調査の1年先のインフレ期待は 3.0%となり、11 月調査の 3.4%から低下し て、2021 年 1 月以来の低水準だった。

【本日の重要指標】

<国内>

○14:00 ◇ 11 月景気動向指数速報値(予想:先行 107.9/一致 114.5)

○14:00 ◇ 日銀地域経済報告(さくらレポート)

<海外>

○09:30 ◇ 11 月豪貿易収支(予想:75.00 億豪ドルの黒字)

○未定 ◎ 韓国中銀、政策金利発表(予想:3.50%で据え置き)

○18:30 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演

○21:00 ◎ 12 月ブラジル IBGE 消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比 4.54%)

○21:00 ◇ 11 月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比 0.1%)

○22:30 ☆ 12 月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比 0.2%/前年比 3.2%)

☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比 0.3%/前年比 3.8%)

○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.0 万件/187.1 万人)

○12 日 02:40 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演

○12 日 03:00 ◎ 米財務省、30 年債入札

○12 日 04:00 ◎ 12 月米月次財政収支(予想:653 億ドルの赤字)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

10 日 06:32 米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲン スラー委員長

「SEC のソーシャルアカウントが不正使用された」

10 日 17:33 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁

「今年は急速なディスインフレのペースが鈍化する可能 性が高い」

「入手したデータは、将来が依然として不確実であり、見 通しが下方に傾いていることを示している」

「ディスインフレの進行は年初に一時停止する可能性」

11 日 00:07 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理 事

「センチメント指標が底を打っている証拠がある」

「短期的な経済見通しは我々の予測と一致して引き続き 弱い」

「インフレ率が低下するにつれ、2024 年も賃金の伸びは 緩やかに低下すると予想」

「インフレ率は 2025 年に目標の 2%に達すると予想」

「インフレの上振れリスクがあるため、警戒を続ける必 要」

11 日 00:08 ベイリー英中銀(BOE)総裁

「英国のインフレ率を目標に戻すことが重要」

「英国では失業率が急増していない」

「英国の世帯収入はここ数カ月で増加した」

「中東での出来事はまだ経済に大きな影響を与えてい ないが、注視している」

11 日 00:11 格付け会社フィッチ・レーティングス

「米政府機関の閉鎖は格付け変更要因にはならない」

11 日 04:41 デコス・スペイン中銀総裁

「経済成長へのリスクは依然下方に偏っている」

「ECB の今後の動きはデータ次第、不確実性は高い」

「ECB は不十分かつ過剰な引き締めを避けなければな らない」

「2024 年のインフレ率低下は鈍化する見通し」

「インフレは予想よりも良好に推移」

11 日 05:23 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁

「インフレ率を 2%に戻すという我々の取り組みはまだ終 わっていない」

「FRB はしばらくの間、制限的な政策スタンスを必要とす るだろう」

「見通しはいまだ不透明、金利決定は会合ごとに行われ る」

「経済に対するリスクは両面ある」

「インフレ状況はかなり改善」

「バランスシートの縮小は計画通りに進んでいる」

「政策金利は 2%の物価目標達成に十分に景気抑制 的」

「緩和前にインフレ率が 2%に向かうと確信する必要が ある」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=1/10 安値を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシ グナルが点灯中。しかし、2 手連続陽線で転換線を上回って 引けており、続伸の可能性が示唆されている。151.91 円から 140.25 円までの下落幅の半値戻し 146.08 円に注目か。 本日は 10 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。


レジスタンス 2 146.81(日足一目均衡表・雲の上限)
レジスタンス 1 146.25(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 145.76
サポート 1 144.32(1/10 安値)
サポート 2 143.40(日足一目均衡表・転換線)

<ユーロドル=雲の上限を支持に押し目買いスタンス>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。抱き線で反発して転換線を上回って 推移し始めており、続伸の可能性が示唆されている。 本日は転換線 1.0966 ドルを念頭に置き、雲の上限を支持 に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。


レジスタンス 1 1.1084(2023/12/29 高値)
前日終値 1.0973
サポート 1 1.0839(日足一目均衡表・雲の上限)

<ユーロ円=雲の下限を支持に押し目買いスタンス>

大陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢 な展開となっている。2 手連続陽線で転換線を上回って引け ており、続伸の可能性が示唆されている。 本日は雲の下限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス 1 161.20(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 159.94
サポート 1 159.38(日足一目均衡表・雲の下限)

<豪ドル円=横ばいの転換線を支持に押し目買い>

陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯した。抱き線で反発して転換線を上回って引け ており、続伸の可能性が示唆されている。 本日は、96.76 円で横ばいの転換線を支持に押し目買いス タンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。


レジスタンス 1 98.54(2023/11/24 高値)
前日終値 97.66
サポート 1 96.76(日足一目均衡表・転換線)