デイリーレポート 2024年1月12日

January 12, 2023

【前日の為替概況】ドル円、米 12 月 CPI で 146.41 円まで上昇後に 145.20 円台へ反落

11 日のニューヨーク外国為替市場でドル円は 3 営業日ぶりに反落。終値は 145.29 円と前営業日 NY 終 値(145.76 円)と比べて 47 銭程度のドル安水準となった。12 月米消費者物価指数(CPI)が前月比 0.3% /前年比 3.4%と予想の前月比 0.2%/前年比 3.2%を上回り、エネルギーと食品を除くコア指数が前月 比 0.3%/前年比 3.9%と前年比で予想を上回ったことが分かると、米長期金利の上昇とともに全般ドル 買いが先行。前日の高値 145.83 円や 5 日の高値 145.97 円を上抜けて一時 146.41 円と昨年 12 月 11 日以 来 1 カ月ぶりの高値を付けた。前週分の米新規失業保険申請件数が 20.2 万件と予想の 21.0 万件より強い 結果となったこともドル買いを促した。

ただ、一時は 4.06%台まで上昇した米 10年債利回りが 3.96%台まで低下するとドル円にも売りが波及。 6 時 30 分過ぎに 145.26 円付近まで押し戻された。市場では「米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観 測は根強い」との指摘があった。

なお、今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するメスター米クリーブランド連銀総裁は「12 月 CPI の結果は我々の仕事がまだ終わっていないことを示唆」「3 月は利下げ時期としては恐らく早過ぎ る」と述べ、市場の早期利下げ観測をけん制した。

ユーロドルはほぼ横ばい。終値は 1.0972 ドルと前営業日 NY 終値(1.0973 ドル)と比べて 0.0001 ドル 程度のユーロ安水準だった。22 時 30 分頃に一時 1.0996 ドルと日通し高値を付けたものの、米 CPI の上 振れをきっかけにドルが全面的に買われると一時 1.0930 ドルと日通し安値を更新した。ただ、米長期金 利が低下に転じると一転ユーロ買い・ドル売りが優勢に。5 時前には 1.0983 ドル付近まで持ち直した。

なお、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁はテレビインタビューで「金利はピークに達した可能性が高 い」「インフレを巡る最も困難な時期は終わった」「インフレ経路がデータで確認されれば利下げを開始で きる」などと話した。

ユーロ円は反落。終値は 159.41 円と前営業日 NY 終値(159.94 円)と比べて 53 銭程度のユーロ安水準。 23 時 30 分前に一時 160.18 円と昨年 12 月 1 日以来の高値を付けたものの、5 時 30 分前には一時 159.39 円と日通し安値を更新した。ドル円の失速につれた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、米 12 月コア CPI の伸び率鈍化で上値が重い展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は上値が重い展開が予想される。昨晩発表された米 12 月 CPI のコア 及びスーパーコアの伸び率鈍化を受けて、米 10 年債利回りが低下していることが重しとなりそうだ。

ドル円は、昨年 11 月 13 日の高値 151.91 円から 12 月 28 日の安値 140.25 円まで 11.66 円下落した後に 反発。昨日は 146.41 円まで上昇して半値戻しの 146.08 円を上回り、一目均衡表の雲の中へ入った。しか しながら現状は 145 円台に戻しており、雲の下で推移している。すなわち、「半値戻しは全値戻し」を意 識する展開を警戒しておきたい。もし上昇基調が続くのならば、上値目処は雲の上限 146.81 円や 61.8% 戻しの 147.46 円となる。

2023 年 12 月の米 CPI は前年比+3.4%(11 月:+3.1%)まで加速するも、エネルギーと食品を除くコア 指数は同比+3.9%(11 月:+4.0%)となり、2 年 7 カ月ぶりに 4%を割り込んだ。また、パウエル FRB 議 長が物価見通しの判断に最も重要であると注視しているスーパーコア(※住居費を除くサービス業の価格 動向)は、前年比+4.09%だった。住居費インフレは前年比+6.15%で 11 月の同比+6.51%から低下し、家 賃インフレは前年比+6.47%で 11 月+6.87%から低下し、どちらも 22 年 7 月以来の低水準だった。

CME グループが FF 金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3 月 19-20 日の米連邦公 開市場委員会(FOMC)での 0.25%の利下げ確率は 71%台へやや上昇、据え置き確率は 24%台へ低下して いる。

なお、米財務省が発表した 23 年 12 月の財政収支は 1294 億ドルの赤字となり、前年同月比で 444 億ド ル(約 52%)増加した。歳出は 3%増の 5587 億ドルで、12 月としては過去最高を記録した。昨年 10 月 には、年間の利払い額が 1 兆ドルを超えたことが話題になったが、12 月の利払い費は 1190 億ドルだった。

米議会は、1 月 19 日のつなぎ予算の期限に向けて 24 会計年度(23 年 10 月─24 年 9 月)の予算を審議 しているが、ジョンソン米下院議長は「つなぎ予算案についてコミットしていない。期限に間に合うこと を強く希望している」と述べており、予断を許さない状況が続いている。

10 時 30 分に発表される 12 月中国消費者物価指数(CPI)の予想は前年比-0.4%、生産者物価指数(PPI) の予想は同比-2.6%と、デフレ懸念を強めることが見込まれている。中国人民銀行はデフレ阻止のために 金融緩和策を打ち出しているものの、今のところ効果は限定的だ。世界生産シェアが高い中国によるデフ レの輸出が、主要国のインフレ圧力を緩和させる可能性を高めている。

【本日の重要指標】

<国内>

○08:50 ◎ 11 月国際収支速報

◇ 経常収支(予想:季節調整前 2 兆 3851 億円の黒字/季節調整済 2 兆 1770 億円の黒字)

◎ 貿易収支(予想:5330 億円の赤字)

○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース、2 週分)

○14:00 ◇ 12 月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数 49.8/先行き判断指数 49.5)

<海外>

○10:30 ◎ 12 月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比▲0.4%)

○10:30 ◎ 12 月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲2.6%)

○未定 ◎ 12 月中国貿易収支(予想:747.5 億ドルの黒字)

○16:00 ☆ 11 月英国内総生産(GDP、予想:前月比 0.2%)

○16:00 ◎ 11 月英鉱工業生産指数(予想:前月比 0.3%/前年比 0.7%)

○16:00 ◎ 11 月英製造業生産高(予想:前月比 0.3%)

○16:00 ◇ 11 月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:157.00 億ポンドの赤字/30.00 億ポンドの赤字)

○16:00 ◇ 11 月トルコ経常収支(予想:17.0 億ドルの赤字)

○16:45 ◇ 12 月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比 0.1%/前年比 3.7%)

○16:45 ◇ 11 月仏消費支出(予想:前月比▲0.1%)

○21:00 ◎ 11 月インド鉱工業生産(予想:前年同月比 4.0%)

○21:00 ◎ 12 月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比 5.87%)

○21:30 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演

○22:30 ◎ 12 月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比 0.1%/前年比 1.3%)

◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比 0.2%/前年比 1.9%)

○24:00 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演

○13 日 01:00 ◎ 12 月ロシア CPI(予想:前月比 0.9%)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

11 日 05:21 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁

「政策金利は 2%の物価目標達成に十分に景気抑制 的」

「緩和前にインフレ率が 2%に向かうと確信する必要が ある」

「インフレ率を 2%に戻すという我々の取り組みはまだ終 わっていない」

「FRB はしばらくの間、制限的な政策スタンスを必要とす るだろう」

「見通しはいまだ不透明、金利決定は会合ごとに行われ る」

「経済に対するリスクは両面ある」

「インフレ状況はかなり改善」

「バランスシートの縮小は計画通りに進んでいる」

11 日 06:38 米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲン スラー委員長

「投資家は暗号資産に慎重であるべき」

11 日 23:31 ブイチッチ・クロアチア中銀総裁

「ユーロ圏のソフトランディングを予想」

「第 1 四半期の賃金動向をしっかり確認したい」

12 日 01:56 メスター米クリーブランド連銀総裁

「12 月 CPI の結果は我々の仕事がまだ終わっていない ことを示唆」

「今年もインフレ率は引き続き低下するとの予測」

「今年は 2%の目標に届かないだろう」

「3 月は利下げには早すぎる」

「まだ利下げするには至っていない、経済が予想通りに 進んでいるというより多くの証拠が欲しい」

12 日 03:29 バーキン米リッチモンド連銀総裁

「インフレが目標に向かっていることを確信したい」

「インフレ率が 2%に向けて軌道に乗れば利下げに前向 きになる」

「本日の米 CPI はほぼ予想通りであり、全体としては緩 やかな推移を示唆」

12 日 04:56 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁

「現時点では我々は戦いに勝利している」

「我々はインフレの最も困難で最悪の時期を乗り越えた と思う。それはインフレが順調に低下するという意味で はない」

「2025 年のユーロ圏インフレ率は 1.9%を見込む」

「ECB はピーク金利にある可能性が高い」

「インフレ経路がデータで確認されれば利下げを開始で きる」

12 日 05:22 グールズビー米シカゴ連銀総裁

「利下げ前にさらなるデータを確認する必要がある」

※時間は日本時間

【日足一目均衡表分析】

<ドル円=1/10 安値を支持に押し目買いスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の下で引けているものの、買いシグナルが優勢な 展開となっている。孕み線で反落したものの転換線を上回っ て引けており、反発の可能性が示唆されている。 本日は 10 日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。


レジスタンス 2 146.41(1/11 高値)
レジスタンス 1 146.04(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 145.29
サポート 1 144.32(1/10 安値)
サポート 2 143.62(日足一目均衡表・転換線)

<ユーロドル=転換線を念頭、雲の上限を支持に押し目買い>

極小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで三役好転の強い買い シグナルが点灯している。2 手連続陽線の後に孕み線で小反 落したが、僅かながらも転換線を上回って引けており、反発 の可能性が示唆されている。 本日は転換線 1.0962 ドルを念頭に置き、雲の上限を支持 に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。


レジスタンス 1 1.1046(1/2 高値)
前日終値 1.0972
サポート 1 1.0843(日足一目均衡表・雲の上限)

<ポンド円=押し目買いスタンス、下値は雲の上限がめど>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で推移しているため三役好転の強い買いシグ ナルが点灯している。孕み線で反落したものの転換線を上回 って引けており、反発の可能性が示唆されている。 本日は押し目買いスタンスで臨みたいが、売り圧力が強ま るようだと 183.60 円台の雲の上限まで下押しも想定しておきたい。

レジスタンス 1 186.16(1/11 高値)
前日終値 185.40
サポート 1 183.63(日足一目均衡表・雲の上限)

<NZ ドル円=89 円後半の転換線を支持に押し目買い>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシ グナルが点灯している。孕み線で反落したものの転換線を上 回って引けており、反発の可能性が示唆されている。 本日は 89 円後半の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。


レジスタンス 1 91.52(2023/12/1 高値)
前日終値 90.55
サポート 1 89.81(日足一目均衡表・転換線)